(訳:第十回『あり病』のあらすじのコーナー!)
信治・良樹「「何があった!?」」
零人「ふごごふご?ふごふご、ふご」
(訳:前回オルクス大迷宮で俺が死んだだろ?それで怒られまして、縛りつけられました)
信治「じゃあほっといていっか」
良樹「だな」
零人「ふご~、ふごご~」
(訳:え~、助けてよ~)
良樹「今回はこの俺、斎藤良樹と中野信治で行うぞ」
信治「えーと、前回はオルクス大迷宮のラスボスに挑んだんだっけ。そこで死んだ馬鹿がすぐ側にいるんだよな」
良樹「てか、今生きていることにびっくりなんだけど?」
信治「それは今回ので理由が分かるみたいだ」
信治「兎に角、本編を見てみようぜ」
「「それでは本編をどうぞ!」」
零人(俺、いつまでこんな格好してればいいんだろう………)《亀甲縛り&後手縛り中》
〔ハジメside〕
夢を見た。
目の前で零人が消えていく夢だ。銀頭が放った光弾で消えていった。アイツの敏捷なら簡単に避けれる筈なのに避けずに突っ立ていた。何か言ったように見えたが何も聞こえない。声を出そうも口が動かなかった。完全に光の飲み込まれた瞬間、目が覚めた。
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「―――――うっ!」
目を開けて体を動かそうとしたら右半身に激痛が走った。
「ハジメ君!」
「ハジメ!」
一番最初に映ったのは香織とユエだ。
「よぉ………、香織、ユエ」
右手を挙げる。なんとか動くようだ。だが、右目が見えない。足元を見てみると神水を入れていた試験管が何本も転がっていた。
「こんなに使っちまったのか………、あとで神結晶探しに行かねぇとな」
呑気なことを考えていると二人が肋骨を折るような勢いで突撃して来てきた。
「イテテ………、どうした?」
優しくポンポンと叩くと勢いよく頭を振り上げてきた。そして、その目には大粒の涙を流していた。
「零人君が、零人君が………!」
「………?零人がどうかしたのか?」
そういえばさっきから零人の姿が見えない。ヒュドラとまだ戦ってるのではないかと思うが戦闘音が全く聞こえない。聞こえてくるのはヒュドラが移動を繰り返している音だけだ。
まさか………だよな………?
「死んじゃった!」
「は?」
しんだ………………?
あいつが………………?
なんで………………?
様々な疑問が脳内に溢れてくる。脳の処理が追いつかない。
零人が死んだこと口にしたせいか、さっきよりも大粒の涙を流し大声で泣き叫んでいる。一方、ユエは声を殺して泣いていた。そのせいか服を握る力が強くなってきている。
「なぁ、香織、嘘だよな?だってあいつさっきまで笑ってたんだぞ?なんで死んでんだ?」
ヒュドラを倒して使い道や入手できる固有魔法について話し合っていたのになんで………
「わかんない………!わかんないよぉ!」
拭いても拭いても溢れてくる涙、喉がかれるぐらいの泣き声。それを堪えようとしても抑えきれないのが見てわかる。
こんなにも香織が大声で泣いているのにヒュドラは一向に気づかない。なんでだと思っていると右手に何かが触れた。
そこにあったのは刃渡り十五センチ程の小さなダガーナイフだった。
(これは………………)
そのナイフに見覚えがあった。
確かまだトータスに来て間もない頃、〝錬成〟の練習用に作ったナイフだ。あの頃は魔力が少なかったし未熟だったから切れ味もいまいちで刃渡りが短すぎる。でも、あいつは、零人は気に入ってくれた。
『いいナイフじゃん』
『でも切れ味悪いよ?』
『確かに切れ味は悪いけど速度や角度でなんとかなるし、俺にはこれくらいの長さが丁度いい』
『ん~、零人がそう言うならいいけど』
『サンキュー、宝物庫のナイフ少しデカイから使いにくかったんだ。これでマシにな―――ゴホゴホッ』
『ほら~、まだ治ってないんだからさっさと寝る!』
ナイフを手に取る。持ち手には紐で繋がれた紫色の魔石が付いていた。魔石には魔法陣が刻まれている。〝静寂の領域〟の魔法陣だ。
零人がもしものために作っていたやつだ。恐らくあいつがいない時に使う為なのだろう。死ぬ直前に魔力を込めて投げたみたいだ。これのおかげでヒュドラに見つからないで済んだらしい。
回復しきってない足を動かし立ち上がる。
「…………香織、ユエ、行くぞ」
「「え?」」
二人がきょとんとした顔で俺を見てくる。
「あいつの為にも生きて此処を攻略するぞ。そのためにヤツを倒す。手伝ってくれるか?」
座っている二人に手を差し伸べる。驚いたのか少し間が空き、さっきよりも涙が出てしまった。でも、さっきみたいに悲し泣きじゃなくて嬉し泣きだとわかる。
ゆっくりとだが手を握ってきた。
「うん、うん!」
「零人の為にも生きなきゃ!」
滅多に大きい声を出さないユエも大声で言う。二人の手を引っ張り立たせる。服に付いた土を払い、ナイフを仕舞う。仕舞うと同時に〝静寂の領域〟の結界が消えていく。零人が込めた魔力が底を尽きたのだろう。
結界が消えたことによりヒュドラが俺達に気づいた。
(さぁ、弔い合戦だ)
〔ハジメsideout〕
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〔???side〕
「………………そんなに食べれなアーーーーーーーーー♂!!!!!!!!!!!!」
「はっ、夢か。よかった~」
先程まで身で感じていたものが夢だとわかった。だが、その夢の内容が思い出せない。いや、思い出してはいけない。本能が危険だと警告している。そんなに酷い夢だったのか………。
悪夢を見たおかげで目が一気に覚めた。それにより今自分がいる場所が鮮明に分かる。
「久しぶりに此処に来たな」
寝ていたところ、つまり今立っている場所には柔らかい草が生い茂っており、俺を囲むような感じに色とりどりの花が咲いている。そして、目の前には向こう岸まで十メートル程の川が流れていて、下流には広大な海が広がっている。上流のほうには木製ボートが置いてある。川の向こう岸には此処よりも花が沢山咲いている。俺の後ろ側には森が広がっており、ちょうど真後ろに一本道があった。
所謂、死後の世界と言われる場所だ。いや、『この世』と『あの世』との境界線上と言ったほうがいいだろう。
「やっぱ死んだのか俺。まぁ、しょうがないか」
あのヒュドラの銀頭の攻撃を防御せずに直接受けたんだ、死んでも可笑しくない。
「とりあえず、状況整理でもしとくか」
え~と、俺の名前は紅零人。17歳の高校二年生、病弱で何度も死んでは生き返ってるので家に死亡診断書が五十枚以上あり、此処には五十回以上来ている。そして、去年にゼウス様達から神格を授かり神に至った。んで、ほんの1ヶ月ちょい前に異世界召喚されて今に至る。
うん、いい感じにまとめられた。
川の周辺を歩き回り、二時間ぐらい経った。
「それで?そこに隠れている人出てきたら?気配が隠しきれてないぞ」
さっきからずっと森のほうから視線が感じられた。姿が見えないから木の陰からこっそりとでも見ていたのだろう。だが、気配が隠しきれてない。いや、隠す気がないのか。
しばらく気配がする所を見つめていると観念したのか潔く出てきた。出てきた人物に見覚えがあった。
「ゼウス様?」
そう、俺が小さい頃助け、俺に神格と神の座を渡してきたギリシャ神話の主神ゼウス様だ。
銀色に輝く髪に本当に老人なのか疑うほどの美貌でそれによく合う髭、服の上からでも分かる筋肉、古代ギリシャの服に近い現代服を着ている。
「うむ、久しぶりじゃな零人」
「はい、お久しぶりです」
異世界召喚されてから1ヶ月半で最近倒れてないから大体2ヶ月ぶりの再会。まぁ、他の
「さりげなくディスるのやめて」
「やっべ、口に出てた。でも、美女がいたら口説きますよね?」
「当たり前じゃ!」
「やっぱエロ爺じゃん」
ホント振れねぇなこの神。今は行方不明になったら大騒ぎになる時代だからやってないけど昔だったらめちゃくちゃやってたんだろうな。
てか、そんなことよりも……………
「なんか………………透けてません?」
透けてる、超透けてる。後ろの木が普通見える。え、幽霊にでもなったんですか?あっ、俺も微妙に透けてた。まぁ、まだゼウス様よりははっきりしてるけど。
「その事なんじゃがな、今意識だけをこっちに飛ばしてるんじゃ」
「幽体離脱っすか」
まさかの幽体離脱。ゼウス様なら可能………なのか?この神、天空神だよな、霊体は管轄外の筈なんだけど。俺は慣れたから何時でも出来るけど貴方は出来ないよね?
「そうとも言うな。本来ならもう少し濃い筈なんじゃがな、信仰が無さすぎてこれを維持するのも大変なんじゃよ」
「あー、確かにこの世界一神教ですからね、ゼウス様達信仰してないですし」
「じゃがお主達がいるおかげで信仰がほんのちょっとあるんじゃ。だからギリギリ現界できるんじゃよ」
なるほど。多宗教国家である日本特有の信仰で現界できてるのか。なら納得。そもそも俺ら漫画や小説とかで神話とかに詳しいから信仰もしてるみたいなもんだし。
「それでどうしたんですか?幽体離脱してまで来るなんて余程のことなんでしょう?」
ゼウス様が会いに来るのはなにか重大なことが起きた時に限る。前に来たのは大嵐の時にやって来て神界に連れてかれた。何でもしばらく行ってないから「レイトニウムが足りない」とかで他の
「お主が行方不明になったせいで大災害になりました」
「\(^o^)/」
おわった………………
「まぁ、お主が此処にいる時点で無事が確認出来たから今復旧作業に入ってるぞ」
「あっぶねー!もう少しで世界崩壊でしたよ!てか、死んだから此処にいるので無事じゃないです!」
「それもそうじゃな」
死んだら此処に来るように設定したの貴方ですよね?そこ忘れちゃ駄目でしょ。
「それで〝本題〟は何ですか」
大災害のことは世間話みたいなもんだ。いや、世界崩壊が世間話って結構ヤバイけどさ、なにか隠してるように聞こえた。
「やはり気づいておったか。では本題に入ろう。お主が今いる世界の神、エヒトと言ったか」
やっぱり隠してたか。それにいつもの爺言葉が無くなってる。初めて本気のゼウス様を目の当たりにしたな。
「あやつの邪神認定が正式に決まった」
だろうな、俺の断罪神の技能〝断罪〟でエヒトを討伐しろって出てるし。
「あやつの行為は目に余るものばかりだ。我々の中にも邪神に分類される者も多いが度がすぎている。このままでは世界が崩壊してしまう。そこでお主にあやつの殺害をお願いしたい」
えー。
「いや、もうちょい前に言ってくれたら可能だったんですが今、体が消滅しちゃって生き返るの不可能なんですけど………」
ヒュドラの攻撃もろに喰らって体消滅したから此処にいるんですけど?よくよく考えたら生き返るのが可能って人外だよな。
「体ならここにあるぞ」
「なんでだぁー!?」
なんであんの!?消滅した筈だよね!?
「消滅する寸前に回収しといた」
「だからいつもと死んだ感覚が可笑しかったのか!でもグッジョブ!!」
可笑しいと思ってたんだ。いつもならゆっくり意識が落ちていくのに今回は突然だったからな、殺される感覚は初めてだったけどなんか死んだって感覚がいまいちピンと来なかったんだよな。
これで生き返れる!
「ありがとうございます!では逝ってきます!」
「字間違っとるぞ」
あ、やっべ。もう死んでるから意味ねぇか。
「それともうひとつ……………」
「?どうしたんですか?」
こっちは急いでるのにどうしたんだろう?
「お主の体についてじゃ」
体?産まれた時から病弱なのは知ってますよ?そのせいで何回も死んでゼウス様達に会いに行ってるんですけど?
「すでにガタがきている、たとえ今戻ってもすぐ死ぬぞ」
「はい、分かっています。それでも俺は行きます」
そんなことは分かっている。死ぬのなんて慣れた。ただもう二度と会えなくなるだけだ。寂しいが仕方がない。それでも、
「友達を助けれるならこの命安いもんですよ」
足元から青白い雷が発生する。だが痛くないし、火傷もしていない。まるで自然に発生したものじゃなくて俺自ら生み出した感覚がする。
「そうか……………。なら、お主の神格を覚醒しなければならないと思ったんじゃが必要ないみたいじゃな」
へっ?覚醒?
「あの、神格の覚醒って何ですか?」
「む?おぉ、そういえば話しておらんかったな。確かに儂はお主に神格と神の座を授けた。じゃがあれは未覚醒の神格なんじゃよ」
へぇー( ・∀・)。あのとき貰った神格って未覚醒だったんだ。あれ?でも天職に断罪神があったのはなんでだ?未覚醒なのに存在するのはあり得ない筈なんだけどな?
「儂の忠告を押しのけて行くのなら神格を覚醒させようと思ったんじゃがな、今さっき自分で覚醒したんじゃよ」
マジですか。
「これでお主も儂らと同じ領域に至った。じゃがお主はまだ人として生きるのじゃろう?これだけは覚えといておくんじゃ。誰がなんと言おうとお主はお主だ。お主が、零人が進みたい道を行くがいい」
「………………はいっ!」
思わず、大粒の涙が溢れてしまう。
嗚呼、久しぶりに泣いたよ。最後に泣いたのはいつだったかな。まさかゼウス様に泣かされるとは思ってみなかった。
「じゃあ、行ってきます!」
「うむ、気を付けるんじゃよ」
抜け殻の体に入り、森の一本道を歩いていく。進むに連れて光が強くなっていくが気にしない。ゼウス様の気配も消えた。恐らく分身の維持ができなくなったのだろう。
もう既に森を抜けて辺り一面光しか見えなくなっていた。
〔???→零人sideout〕
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〔ハジメside〕
「ちく………しょう………」
勝てない。銀頭のヤツ倒した筈の他の頭まで復活させやがった。しかも、ただ復活させたんじゃなくて強化までしやがった。黄頭の防御すら貫くシュラーゲンが全く効かなくなっていた。
黒頭は影魔法まで使ってくるようになったし、赤・青・緑頭は各属性の高位魔法を連発してくる。恐らくあの銀頭がリミッターだったのだろう。アイツが起きたせいでリミッターが外れ強くなったのだろう。
なんとか倒そうとしてありったけの弾薬と魔力を費やしたが首を一つも潰せなかった。
「香織………ユエ………!」
魔力を使い果たし眠って動けない二人に向かって這いずりながら近づく。
ようやく辿り着いたところでヒュドラが一斉に光を放ち始めた。
(くそ、ここまでか………)
もう魔力も残ってなく、二人を抱えながら逃げるのは不可能だ。ましてや魔力があったとしても超強化された攻撃を回避するのは無理だろう。
最後の力を振り絞り二人を抱き寄せる。
「ごめんな、香織、ユエ」
謝りながら二人を庇うようにヒュドラに背を向ける。すると後ろから光弾を発射する音がし、光が強くなった。
そっと目を閉じる。ジリジリと熱で背中が焼けていく感覚が伝わってくる。次の瞬間、とてつもない爆発が起きた。だが、
(………………?)
いつまで経っても痛みがやってこない。不思議に思いゆっくりと目を開く。
そこには俺達を避けるように放射状に地面が焼け爛れていた。焼けた場所を見る限り、俺よりも前、ひと一人分空けた場所から避けるように焼けているみたいだ。
おそるおそる後ろを振り向く。
そこにはいる筈がない人間が立っていた。
「なぁにしけたツラしてんだハジメ?」
見間違える筈がない。十七年間ずっと近くにいて一緒に成長したんだ。見間違えるなんてあり得ない。
二週間前に黒から白に変わってしまった髪、一見痩せているように見えるが肌が見える手や服ごしで判別できるほど引き締まった体、この迷宮攻略でボロボロになった灰色のロングコート、何もかも見透かすような宝石のように透き通る紅色の瞳、そして聞き慣れた声。
「………………おせぇよ!」
「零人!」
〔ハジメsideout〕
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〔零人side〕
ふぅ、あぶねぇあぶねぇ。あと0.1秒でも遅かったら取り返しのつかないことになっていた。咄嗟に前腕をストライクフリーダムに変えてビームシールドを張った。魔力を使いビームシールド発生装置がギリギリ壊れない程度に出力を出した。てか、ヒュドラ強くなってね?
光が止み、俺達を仕留めきれなかったのかヒュドラが動揺するかのようにうねっている。
後ろを見てみるとしけた顔をしたハジメがこっちを見ていた。
「なぁにしけたツラしてんだハジメ」
まるで幽霊でも見たかのような顔をしている。まぁ、俺死んだし普通ここにいる筈ないもんな。
少し間が空き、笑うようにハジメが声を張り上げた。
「おせぇよ!零人!」
久しぶりにハジメの声を聞いた。いや、此方だと死んでから一時間も経ってないけどな。さっきまでいた場所だと時間の流れが遅く大体三時間近くいた。
地面を殴り土煙を起こす。ヒュドラの視界が遮られている内にハジメもろとも三人を抱かえ損傷が少なく入り口に近い柱に隠れる。
「すまん遅れた。大丈夫か?」
「これが大丈夫に見えるか?」
服には所々穴が空いていたり破けていてそこから見える生傷があの強化ヒュドラの強さを物語っている。それに俺が死ぬ前に受けた極光によって右目があった場所にぽっかりと空洞ができていた。
「いや全然(ヾノ・∀・`)」
「その顔やめろ」グーパン
「サーセン」
おもいっきりグーで顔面殴られたんだけど。横じゃなくて正面から。凹んでないよね、ね?
「そうだハジメ、コップ作れるか?三人分」
「あ?それぐらいならすぐ作れるが」
ハジメが地面に手をつき〝錬成〟を発動しコップを三つ作り出す。
「えっと〝清水〟」
生活用魔法の〝清水〟を発動してコップに二口分の水を注ぐ。
「あとは………」
腰からシグルブレイドを抜き、左人差し指に軽く押し当てる。触れただけですっぱり切れ血が溢れる。溢れた血を一滴ずつコップに垂らす。軽くかき混ぜて一つをハジメに差し出す。
「ほら飲め」
「は?」
「何を躊躇ってる。ほらぐいーっと」
「ちっ、わかった」
しぶしぶ飲み始める。ごくごくと二回喉が鳴ると体に変化が起き始めた。
「なんで傷が治ってんだ?神水じゃあるまいし」
そう、飲んだ直後すぐに効果が発揮される神水と同じようにハジメの生傷が綺麗さっぱり治った。
「俺の血を混ぜたからな。神になったから血が普通じゃなくなっちまってな。本来なら神血水が正しいんだが神水のほうが言いやすいだろ?」
「なるほどな」
ハジメ達を守る直前、ステータスプレートを見てみたらある技能に派生技能が追加されていた。
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病弱〈E〉[+自己完結][+神水無効][+魔法無効][+神水生成]
============================================
名前からしてヤバかった。自己完結は風邪をうつさなくなる。まぁ、これは凄く嬉しい。でもあとの三つがヤバイ。
病気が神水や魔法で治らなくなった。地道に薬で治すしかないみたいだ。
そして、俺の血が神血になったせいで神水と同じ効果を持った。だが、そのまま直で飲むと逆に回復し過ぎて全身の細胞が壊死して死ぬらしい。だから、さっき一度希釈してから飲ませた。ユエに対しては原液でも問題ないみたいだが。
「ほら、香織とユエにも飲ませとけ」
残った二つも差し出し飲ませる。擦り傷とか治りゆっくりと目が開いていく。
「あれ?ここは……………って、零人君!?」
「やっはろー、香織」
まるで幽霊でもみたかのような驚き方をされた。う~ん、意外と心に来るな。
すると、ユエも起きてきた。
「ん………………、えっ、うそ。生きてたの?」
「Jud.………ん?いや、バリバリ死んでたぞ。さっき生き返ったばっかだけど」
体はゼウス様によって保護されていたけど幽体離脱とは違い完全に魂が抜けていたから死んでいた。まぁ、ヒュドラの攻撃で死んだんじゃなくて寿命で死んだんだが。
「話はあとでするから今はアイツを片付けてくる」
「無理だよ!私達三人でも勝てなかったのに零人君一人じゃ勝てないよ!」
香織が必死に止めてくる。
「大丈夫、今の俺はかなり強いから」
制止を拒否しヒュドラに向かって歩く。俺が柱から出てきたのを目視したのか甲高い咆哮を上げる。
「クルゥアン!!!」
部屋全体がビリビリと振動するが気にせず進む。ヒュドラとの距離が五十メートルぐらいになった所で立ち止まり右手を前にかざす。
「さぁ、初陣だ。来い」
右手から青白い稲妻が発生し腕を伝って体、足へと流れていき、足元も稲妻で覆われる。そして真名を叫ぶ。
「
天井から轟音と共に極大の雷が落ちてきた。部屋が雷光に包まれ周りが見えなくなるがすぐ光が消えていく。
雷が落ちた場所に巨大な戦斧が佇んでいた。
黒を基調とし、雷を彷彿するような装飾が施され、先端に真っ赤に透き通る宝玉と宝石、柄にも同じ宝石が二ヶ所埋め込まれている。白銀に輝く刃は万物を切り伏せるようにも感じ取れる。
俺の身長よりも少し大きく、二メートルは確実に越えているだろう。柄を握り締めると周囲に雷鳴が轟き無数の稲妻が走る。何回か俺にも当たっているが火傷すらなく、むしろ体力や魔力が回復している。
ケラウノスを持ち上げ頭上で軽く振り回し肩に乗せる。持つと結構軽く感じたが肩に乗せてみると意外と重かった。ちょっと痣になってないか心配になったのは秘密にしておこう。
次の瞬間、頭の中で何が割れるような感覚に襲われ思考がすっきりとする。そして、目の前の景色が鮮明に見え始めた。
「行くぞ」
柄を両手で持ち、足に力を入れ加速する。一秒もかからずヒュドラに接近しケラウノスを振り下ろす。一振りで赤頭と青頭を切り落とし電撃で残りの頭と切断部分を焼く。
「クルゥアァァァ!?!?!?!?!?」
あまりにもの激痛にヒュドラが悲鳴を上げる。今までは首を切られたりしただけだったのに切断部分を焼かれ、高電圧の雷を全身に受けたんだ。悲鳴を上げても可笑しくない。
地面に刺さっているケラウノスをそのまま横に振りヒュドラに叩きつける。ヒュドラは吹き飛ばされ壁に激突し倒れた。
一瞬の出来事に困惑し首をうねらせるがすぐに白頭が咆哮を上げ切断された首を再生するが完全に回復せずボロボロの状態だった。恐らく切断部分を焼いたおかげで再生を妨害したのだろう。
まだ不完全な状態だが首が治ったと同時に俺に殺気を向け突進してくる。麻痺しているのか動きが遅く、簡単に避けれた。避けたのに怒ったのか銀頭が極光を放ってきた。
「ふっ!」
ケラウノスを振り上げ斬撃を飛ばし極光を斬る。攻撃を防がれたことに苛立ちさっきよりも強烈な殺気を向けてきた。さらにすべての頭が口を大きく開き、魔法陣を展開して光を溜め始めた。
(そろそろ潮時か)
ケラウノスを地面に突き刺し右手を掲げる。
「―――星は」
右腕に深紅の魔力を纏い、手に小さな魔法陣を展開する。
「星はいつまでも輝き続ける」
〔零人sideout〕
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〔ハジメside〕
零人がケラウノスを突き刺し右手を掲げると空気が一変する。風魔法を使ってないのに突風が吹き青白い稲妻が荒れ狂う。
「――――星は」
零人が口ずさむと手に小さな魔法陣が展開されていた。
「星はいつまでも輝き続ける」
すると、手の魔法陣が部屋の天井を覆うほど大きくなり深紅に光る。光が止むとそこには幻想的な風景が広がっていた。
此処は地上よりも深く決して空など見える筈もないのに天井には数多の星々が輝いている。故郷の地球で見られる火星、土星などの惑星に月などの衛星、獅子座やオリオン座などの星座も見える。まるで星座盤の下にいるようだった。
これじゃあ、まるで………………
「宝具………しかも固有結界じゃねぇか」
固有結界の域には少し程遠いが俺達にしたら驚異の領域だった。
「宝具?」
宝具のことを知らないユエが首を傾げて聞いてくる。
「ああ、ユエは知らなかったな。宝具はな、いわばその人物を象徴するものなんだ。宝具には様々な種類があって、武器や防具、ましてや技なんかも宝具だ。俺ならこのドンナーが宝具かもな」
落ちているドンナーを拾い上げユエに見せる。続けて香織が話し始める。
「そして固有結界はね、その人物の深層心理――所謂イメージを現実世界に投影して塗りつぶす究極の魔術。
「じゃあ零人がやっているあれは」
「そう、私達がやっていることの何十倍も凄いこと」
俺達には到底真似できない所業だ。これではっきりした。
「あいつは、零人はもう誰にも止められねぇ!」
〔ハジメsideout〕
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〔零人side〕
天井が星々で覆われると俺の周りに一メートル程の魔法が展開され各魔法陣に天井の星々から水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星・冥王星の惑星が溶け込む。
「あらゆる生命の輝きこそが星の輝き」
すると魔法陣が一層輝き、剣が現れる。形は一つ一つ違い、それぞれの惑星をモチーフにしているようなデザインだった。
「その輝きを汚す者に我は裁定を下す!」
手を振り下ろし剣を発射する。勢いよくヒュドラに向かっていき硬い外皮をもろともせず貫通する。体に無数の巨大な穴があき、激痛でヒュドラが魔法陣を消した。この隙を逃さず、ケラウノスを持ち直す。そのまま真っ直ぐ進むのではなく壁と壁を往き来し壁を蹴る度に加速する。加速する度に雷が落ちるような轟音が鳴り響く。十分加速し、一瞬でヒュドラの頭上に辿り着く。
「さぁ、貴様の罪を数えろ!」
「『
落雷の如くヒュドラに向かって落ち、ヒュドラを通りすぎる。勢い余って地面まで切り裂いた。ケラウノスでヒュドラを真っ二つにすると追撃するように雷が四方八方から降り注ぐ。
刃に付いた血を落とすように振り払うと俺の後ろで更に追い討ちでヒュドラにさっきよりも巨大な雷が落ちた。
光が止むとそこには牙や骨、肉の一部が転がっており、あの巨体が綺麗さっぱり消えていた。
「流石に魔石も消し飛ばしたから復活しねぇだろ」
十秒以上経つが動きがない。どうやら本当に死んだようだ。
気を緩め、戦闘態勢を解除する。すると鮮明だった眼がいつもどおりの景色を写し出し、すっきりしていた頭も元に戻った。
手に持っていたケラウノスが雷に戻り虚空に消える。ケラウノスは元々雷そのもので本来なら実体を持たない。だが俺の力で一時的に戦斧として実体を持たせた。俺の技能に〝斧術〟があったのはこのためなんだろう。
「やっと終わった………………」
ハジメ達がこっちに向かって走ってきている。何か言っているようにも見えるがほとんど聞こえない。しかも意識が朦朧としてきて視界がぶれる。
最後の力を振り絞り伝える。
「じゃ、あとは頼んだぞ………」
そこで俺の意識は眠るように途絶えた。
〔零人sideout〕
すみません、遅くなりました!
しかも、未完成の状態で投稿したしまったのですぐに修正しました。
雷霆のイラストは次回発表します
ガンダム作品の中で何が好きですか?
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機動戦士ガンダム
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機動戦士ガンダムΖΖ
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機動武闘伝Gガンダム
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∀ガンダム
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Gのレコンギスタ
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機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ
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その為