真央・妙子「「なんか教育番組っぽい」」
零人「内容は子供向けじゃないけどね~」
零人「さて、前回から二ヶ月も空いてすまなかったな。ちょっと作者が受験前の模試やらなんやらで忙しかったらしい」
妙子「本音は?」
零人「話の繋げ方が思い付かなくて手がつけれなかったらしいぜ」
真央「あとで処刑ね」
作者「!?」
零人「まぁ、もう十二月だし共通テストまで一ヶ月だからあまり投稿できなくなるから気長に待ってほしいだってさ」
真央「駄作になったら拷問追加ね♪」
作者「!?!?」
妙子「それより早くあらすじ紹介しないと時間無くなるわよ?」
零人「おっとそうだった」
真央「確か、前回は大迷宮のラスボスを倒した後の話だったわよね」
零人「おう、俺が力を使いすぎて倒れた後だ。あそこでトータスの真実を知った」
妙子「びっくりしたわ、まさかトータスがエヒトのゲーム盤だったなんて」
真央「ほんと何のために戦ってきたのか」
零人「まあまあ、もう終わった事だしいいじゃねぇか」
真央「だね」
零人「目覚めた後、部屋の中をt『ピピッ、ピピッ!』あちゃー、時間切れか」
妙子「もう少し話したかったね」
真央「そうね、物寂しいけど締めましょうか」
零人「Jud.それじゃあ、せーのっ!」
「「「本編をどうぞ!」」」
〔光輝side〕
レッドフレームとの訓練が始まってから五日後、遂に帝国の使者が訪れた。現在、俺達はいつもの王座の広間に集まっている。
広間には初めて訪れた時のように王様達が椅子に座っており、その横にイシュタルさん達司祭、レッドカーペットの横には王国の重鎮や騎士達が立っている。前と違うのは俺達は騎士側に立っていて、レッドカーペットの上には帝国の使者が五人ほど立っていることだ。
「使者殿、よく参られた。勇者方の至上の武勇、存分に確かめられるがよかろう」
「陛下、この度は急な訪問の願い、聞き入れて下さり誠に感謝いたします。して、どなたが勇者様なのでしょう?」
「うむ、まずは紹介させて頂こうか。光輝殿、前へ出てくれるか?」
「はい」
王様と使者の定型的な挨拶のあと、早速、俺達のお披露目となった。王様に促され前にでる。召喚された頃と違い、まだ二ヶ月程度しか経っていないのに随分と精悍な顔つきになっていると前にメルドさんに言われた。
ここにはいない、王宮の侍女や貴族の令嬢が見れば間違いなく熱い吐息を漏らしうっとり見蕩れているに違いないだろう。俺にアプローチをかけている令嬢方だけで既に二桁はいるのだが……………。
そして、俺を筆頭に、次々と迷宮攻略のメンバーが紹介された。
「ほぅ、貴方が勇者様ですか。随分とお若いですな。失礼ですが、本当に六十五層を突破したので? 確か、あそこにはベヒモスという化物が出ると記憶しておりますが……」
使者は、俺を観察するように見やると、イシュタルの手前露骨な態度は取らないものの、若干、疑わしそうな眼差しを向けた。使者の護衛の一人は、値踏みするように上から下までジロジロと眺めている。そんなに見つめられてもそっちの趣味はないんだけどな。
「ではお話しましょうか? どのように倒したかとか、六十六層のマップを見せるとかどうでしょう?」
「いえ、お話は結構。それよりも手っ取り早い方法が「ああ、一番手っ取り早い方法がありましたね。戦ってみましょうか?」………………ほう」
俺が戦う事を提案した瞬間、使者の雰囲気が一気に変わった。
「帝国は実力主義の国でしたよね?なら話を聞くよりも一度剣を交えたほうが分かりやすいと判断したのですが、どうでしょう?」
「勇者様がそう言われるのでしたらこちらは構いませんが」
王様は俺の視線を受けてイシュタルに確認を取る。イシュタルは頷いた。神威をもって帝国に俺を人間族のリーダーとして認めさせることは簡単だが、完全実力主義の帝国を早々に本心から認めさせるには、実際戦ってもらうのが手っ取り早いと判断したのだろう。
「構わんよ。光輝殿、その実力、存分に示されよ」
「決まりですね、では場所の用意をお願いします」
こうして急遽、勇者対帝国使者の護衛という模擬戦の開催が決定した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
対戦相手は、なんとも平凡そうな男だった。高すぎず低すぎない身長、特徴という特徴がなく、人ごみに紛れたらすぐ見失ってしまいそうな平凡な顔。一見すると全く強そうに見えない。だが、気配が使者の中でも一番強かった。何と言えば良いのだろう、闘争心、殺意、好奇心などが色々混ざっていていた。上手く隠していたらしく王様達は気づかなかったみたいだったが何となく直感で感じた。
刃引きした大型の剣をだらんと無造作にぶら下げており、構えらしい構えもとっていなかった。恐らくどんな体勢になっても負けない自信があるのだろう。
どう反撃してくるのか分からなかった。だから最初の一撃は割かし本気で打ち込むことにした。
「いきます!」
〝縮地〟により高速で踏み込むと豪風を伴って唐竹に剣を振り下ろした。並みの戦士なら視認することも難しかったかもしれない。峰打ちをするつもりだ。だが、
バキィ!!!
「ガフッ!?」
倒すつもりが逆に俺がやられてしまった。護衛の方は剣を掲げるように振り抜いたまま光輝を睥睨している。光輝が峰打ちのため一瞬、剣が斜めになった瞬間、相手の剣で跳ね上がり俺を吹き飛ばした。
俺は地滑りしながら何とか体勢を整え、護衛を見る。峰打ちに集中していたとは言え、護衛の攻撃がほとんど認識できなかった。護衛は掲げた剣をまた力を抜いた自然な体勢で構えている。そう、先ほどの攻撃も動きがあまりに自然すぎて危機感が働かず反応できなかった。
「はぁ~、おいおい、勇者ってのはこんなもんか?まるでなっちゃいねぇ。やる気あんのか?」
平凡な顔に似合わない乱暴な口調で呆れた視線を送ってきた。その表情には失望が浮かんでいた。
確かに、俺は護衛を見た目で判断して無造作に正面から突っ込んでいき、あっさり返り討ちにあったというのが現在の構図だ。俺は相手を舐めていたのは自分の方であったと自覚し、怒りを抱いた。今度は自分に向けて。
「すみませんでした。もう一度、お願いします」
俺は本気になり、自分の無礼を謝罪する。護衛は、そんな光輝を見て、「戦場じゃあ〝次〟なんてないんだがな」と不機嫌そうに目元を歪めるが相手はするようだ。先程と同様に自然体で立つ。
気合を入れ直すと再び踏み込む。
唐竹、袈裟斬り、切り上げ、突き、と〝縮地〟を使いこなしながら超高速の剣撃を振るう。 しかし、そんな嵐のような剣撃を護衛は最小限の動きでかわし捌き、隙あらば反撃に転じている。時々、俺の動きを見失っているにもかかわらず、死角からの攻撃にしっかり反応している。長年戦ってきた直感なのだろう。
俺には護衛の動きに覚えがあった。それはメルドさんだ。彼とのスペック差は既にかなりの開きが出ているにもかかわらず、未だ俺はメルドさんとの模擬戦で勝ち越せていない。それはひとえに圧倒的な戦闘経験の差が原因だ。それに今は俺達だけじゃなくメルドさんや信頼できる神殿騎士の人達もレッドフレームの訓練に参加している。ちなみに誰一人レッドフレームに勝ってないのは内緒だ。
おそらく護衛も、メルドさんと同じく数多の戦場に身を置いたのではないだろうか。その戦闘経験が俺とのスペック差を埋めている。つまり、この護衛はメルドさん並かそれ以上の実力者というわけだ。
「ふん、確かに並の人間じゃ相手にならん程の身体能力だ。しかし、少々素直すぎる。元々、戦いとは無縁か?」
「えっ?はい、そうですよ。俺達の世界はもう八十年近く戦争をしてませんし、そもそも俺達は文官として勉学を学んでいる途中でしたので」
「……それが今や〝神の使徒〟か」
チラッとイシュタル達聖教教会関係者を見ると護衛は不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「おい、勇者。構えろ。今度はこちらから行くぞ。気を抜くなよ?うっかり殺してしまうかもしれんからな」
護衛はそう宣言するやいなや一気に踏み込んだ。俺より遅く感じるほどだというのに、
「ッ!?」
気がつけば目の前に護衛が迫っており剣が下方より跳ね上がってきていた。慌てて飛び退る。しかし、まるで磁石が引き合うかのようにピッタリと間合いを一定に保ちながら鞭のような剣撃が襲った。
不規則で軌道を読みづらい剣の動きに、〝先読〟で辛うじて対応しながら一度距離を取ろうとするが、まるで引き離せない。〝縮地〟で一気に距離を取ろうとしても、それを見越したように先手を打たれて発動に至らない。
ダメージ覚悟で剣を振ろうとした瞬間、その隙を逃さず護衛が魔法のトリガーを引く。
「穿て――〝風撃〟」
呟くような声で唱えられた詠唱は小さな風の礫を発生させ、俺の片足を打ち据えた。
「うわっ!?」
踏み込もうとした足を払われてバランスを崩す。その瞬間、壮絶な殺気が俺を射貫く。冷徹な眼光で俺を睨む護衛の剣が途轍もない圧力を持って振り下ろされた。
刹那、悟った。彼は俺を殺すつもりだと。
剣が目の前に振り下ろされ真っ二つになりそうになる。
しかし、そうはならなかった。
ガキンッ!
「ガッ!?」
生存本能に突き動かされて〝限界突破〟を使い、全ステータスを三倍にして護衛を剣もろとも吹き飛ばす。
一瞬、死を連想してしまったせいか冷や汗が止まらない。鏡がないから分からないけど恐らく険しい顔で喰い縛った表情をしているだろう。
「はっ、少しはマシな顔をするようになったじゃねぇか」
「そりゃ、どうも!てか、この鎧邪魔!」
籠手を脱ぎ、床に叩きつけるように投げ捨てる。俺の奇行に驚いたのか護衛は呆然と立ち尽くしていた。王様達も声すら上げずにあんぐりとしていた。
そんな様子を無視して鎧を全部脱いで服だけになる。てか、誰だよこんな重い鎧を用意したの。これじゃ動きが制限されて避けれる攻撃も避けれないじゃないか。それに聖剣も無駄に重いし。
だからついでに聖剣も捨てる。これにはイシュタルさん達もびっくりしてる。
「レッドフレーム!」
名を叫ぶと観客席からブースターの音が聞こえ、俺の横に着地してきた。
『御呼びでしょうか』
「刀を」
『御意』
手を横に差し出すと鞘に入ったレッドフレームの刀『ガーベラストレート』が置かれる。
『ご存分に』
そうプラカードで伝えるとブースターを吹かせて観客席に戻った。
「さぁ、試合を再開しましょう」
「……………へぇ、それがお前の本気って訳か。いいぜ、お望み通りやってやる」
バックステップで距離を取り、呼吸を整える。相手の護衛はさっきと同じように脱力するように剣を構えている。最初の一撃で分かったがこちらから攻撃すると逆にこちらが殺られてしまう。だから、こっちから攻めるのではなく、あっちから攻めてもらう。
刀を腰まで持っていき、柄に手を添えてゆっくりと掴み力を込めていく。抜くのは一瞬、極限まで意識を高め、タイミングを合わせる。
会場が静寂に包まれる。俺も護衛も動かない。
すると観客席の何処からか水が一滴落ちる音が静寂に包まれた会場に鳴り響く。
それが合図になった。
次の瞬間、護衛が突撃してきた。
普通の人なら見失う速さだが、今の俺なら見れる。真っ直ぐ突撃してくるのではなく左右に小刻みにカットを入れながらどのタイミングで剣を下ろしてくるのかを惑わすためだろう。あの速さであれほど動けるなんて俺でも難しい。余程対人戦を得意としているのか、遊んでいるのだろう。
突撃する直前、今まで以上に殺気が強くなった。あっちは本気で俺を殺しに来ている。
なら俺も本気で相手をしよう。
「八重樫流刀術」
俺が何か仕掛けることに気がついたのか一気に距離を縮めて剣を振り下ろしてきた。
「水月・漣」
勝負は一瞬でついた。
護衛は膝をつき、お腹に手を当てる。血は出ていないものの服は肌ギリギリまで切られていた。俺は大きな怪我はないが左頬に切り傷が出来て少し血が出ている。
「それくらいにしましょうか。勇者様の強さも証明されたようですし、これ以上は無駄でしょう。さて、……………ガハルド殿もお戯れが過ぎますぞ?」
「……………チッ、バレていたか。相変わらず食えない爺さんだ」
イシュタルさんが発動した光り輝く障壁で水を差された〝ガハルド殿〟と呼ばれた護衛が、周囲に聞こえないくらいの声量で悪態をつく。そして、興が削がれたように肩を竦め剣を納めると、右の耳にしていたイヤリングを取った。
すると、まるで霧がかかったように護衛の周囲の空気が白くボヤけ始め、それが晴れる頃には、全くの別人が現れた。
四十代位の野性味溢れる男だ。短く切り上げた銀髪に狼を連想させる鋭い碧眼、スマートでありながらその体は極限まで引き絞られたかのように筋肉がミッシリと詰まっているのが服越しでもわかる。
その姿を見た瞬間、周囲が一斉に喧騒に包まれた。
「ガ、ガハルド殿!?」
「皇帝陛下!?」
そう、この男、何を隠そうヘルシャー帝国現皇帝ガハルド・D・ヘルシャーその人である。まさかの事態に王様が眉間を揉みほぐしながら尋ねた。
「どういうおつもりですかな、ガハルド殿」
「これは、これはエリヒド殿。ろくな挨拶もせず済まなかった。ただな、どうせなら自分で確認した方が早いだろうと一芝居打たせてもらったのよ。今後の戦争に関わる重要なことだ。無礼は許して頂きたい」
王様は額に手をつき、呆れた声を出した。
「相変わらずですな。貴方の真っ直ぐなところは素晴らしいですが今回はやり過ぎですぞ。完全に殺す気だったではありませんか」
「まぁな、だが死ななかった。それに俺にここまで傷を負わせたのは彼奴が初めてだ」
一斉に俺に視線が集まる。急に大勢に見られると結構気持ち悪くなる。てか、護衛………いや、ガハルド陛下強すぎだろ。今立っているだけで凄くキツいんだけど?よく俺の攻撃が当たったな。
前に陛下はフットワークが物凄く軽すぎて、このようなサプライズはよくあると聞いていたけど軽すぎない?いくらなんでもやり過ぎじゃね?
そんなことを考えていると王様が話し出した。
「それでどうでしたかな、勇者殿は強さは?」
「ああ、強さは十分だろう。だが、やはり気持ちが体に着いていけてないな。最後のほうでようやく本気になったが今のままだと戦場に出たときに足元すくわれて死ぬぞ」
ですよねー。いつまで経っても気持ちの切り替えが上手くいかないのは俺でも気づいている。でもやっぱり人間や人間の形をした物を攻撃するときには手加減をしてしまう。メルドさんにも指摘されて改善しようとしているがなかなか出来ない。
「……………ご指摘ありがとうございます。次にお会いするまでには気持ちを切り替えれるよう精進します」
「おう、そうしとけ。次は最初っから楽しませてくれよ?」
また試合をする約束をしながら握手をして交流会が終わった。なんか陛下直々に指導するとか言い出したがさすがにアウトだと思い丁重に断った。
ちなみに翌日の朝、早朝訓練をしていた雫を見て陛下が気に入り愛人にどうだと割かし本気で誘ったハプニングがあった。しかし、雫は心に決めた相手がいると告げ断った。二人の会話を盗み聞きしていた俺を含めた早朝組は雫の想い人を知ってるし、その返答を聞いてぽかーんとする陛下の顔を即座に撮影しLINEに話の内容と共に拡散。皆の反応を見て腹を抱えながら爆笑していた。
グループLINEに拡散したからこの事がすぐに雫にバレて恐怖の鬼ごっこが始まったのはここだけの話。