ありふれた錬成師と神に愛された病弱で世界最強   作:ファフ

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月下の語らいと罪

【オルクス大迷宮】

 

 それは全百階層からなると言われている大迷宮である。七大迷宮の一つで、階層が深くなるにつれて強力な魔物が出現するようになる。

 にもかかわらず、この迷宮には冒険者や傭兵、新兵の訓練に非常に人気である。理由は階層によって魔物の強さが分かる事と魔石が良質だかららしい。最近は魔石を使ったハジメ作のアーティファクト(仮)用に魔石集めをする人が多く訪れている。

 大迷宮の入り口は10メートルほどの大きい扉で塞がれており、崖と崖の間にあるように見える。その大迷宮のすぐ側には町が栄えてる。本当に大迷宮なのかと思うほど人が多く、建物も多い。

 

 

 

 零人達は、メルド団長率いる騎士団員数名と共に、オルクス大迷宮へ挑戦する冒険者達のための宿場町【ホルアド】に到着した。

 道中、魔物に何回か遭遇したが訓練したおかげか怪我もせず勝てた。だが、やはり命を奪うには抵抗があるらしく、いい気分になれなかった。しかし、これが問題じゃない。技術が発達してないため車ではなく馬車移動なのが問題だった。ちゃんと整備されてない道を馬車で行くとそれはもう揺れる揺れる。そのせいか半分以上のクラスメイトが乗り物酔いになった。「酔い止めの曲はないのか?」と聞かれたが流石に全ての歌を試した訳じゃないし、どれがどんな効果を与えるか把握してないから、代わりに酔い止めの薬を与えたが全部消えた。

 

 

 

 今は新兵訓練によく利用する王国直営の宿屋にいる。明日から実際に潜って訓練するから、今日はホルアドの観光と言う名の息抜きだった。屋台でカエル肉の串焼きを買って食べてみたがテレビで言ってた通り鶏肉ぽかったのはいい思い出。

 それから時が過ぎ、もう夜中になっている。そろそろ就寝の時間で薬を飲まないといけない時間帯でもある。

 

「はいこれ、今日の分の薬ね」

 

 ハジメがそう言い、大きさや形がバラバラな薬を三粒渡してくる。ちなみにハジメと同じ部屋で一部屋二人ずつに別れている。

 

「いつもすまんな。前から思ってたんだが、なんで俺の常備薬持ってんの?」

「叔母さんに頼まれてるの、零人が薬切らした時用にって」

「なるほど」

「ちなみに皆も持ってるよ」

「へー。…………おい、ちょっと待て。何故持ってる!?」

「皆の前で何回倒れた事があると思ってんの?」

「すみませんでした」

 

 ベッドの上で素早く土下座をする。

 確か高校に入ってから十回を越えてから数えてないから恐らく三十は越えてると思う。よく生きてるよ俺。

 

「明日は初めての迷宮攻略だからね、万全の状態にしておかないと」

「だな。迷宮(ダンジョン)で何が起こるかわからないし」

 

 隠しトラップや隠し扉、モンスターハウス……etc.色々な事があるかもしれない。

 

「しかも、まだ完全攻略されてないんでしょ?」

「ああ、リリィ達がそう言ってたぞ。なんでも現最強といわれているパーティーですら勝てない魔物が65階層にいるらしい。確か名前がベヒモスだったはず」

「ベヒモス?旧約聖書に出てくる陸の怪物だよね?海のレヴィアタンと空のジズで三頭一鼎とされてるやつ」

「さすがハジメ、知識豊富だな」

 

 ゲームにも出てくる有名な怪物でもある。本来なら象やカバ、サイに似た動物の姿をしており、時間が経つにつれて巨大化していった神の傑作で完璧な獣とも言われている。最近のゲームだと〝ベヒーモス〟やFFシリーズだと〝バハムート〟と言われ、ドラゴンや牛の姿をしている不思議な怪物だ。

 

「流石に初日で65階層は行かないでしょ、メルド団長だって20階層までしか行かないって言ってたし」

「どっかの馬鹿が転移トラップに引っ掛かって飛ばされない限りな」

「やめてよ、フラグ立っちゃうから」

「冗談だ、冗談」

 

 そんな雑談をしていると扉からコンコンコンとノックする音がする。

 

(誰だ?こんな夜中に?光輝達か?)

 

 明日の事で何か言いに来たのかと思いながら扉に近づく。しかし、その疑問は続く声で杞憂に終わった。

 

『ハジメ君零人君、起きてる?白崎と八重樫です。ちょっといいかな?』

 

 ありゃま。筋肉質の男どもだと思ったが我が校で二大女神と呼ばれる美女達だったとは。取り敢えず、開けてもいいかとハジメにアイコンタクトで確認する。わりとすぐに問題ないと送り返してきた。ちなみにアイコンタクトは(ハジメ曰く)うちのクラスでは必須スキルらしい。

 鍵を外して扉を開けると、そこには純白のネグリジェにカーディガンを羽織っただけの香織と香織よりはましだが薄い寝間着にカーディガンを羽織った雫がいた。

 

「……なんでやねん(←赤面)」

「えっ?(←困惑)」

「どったの、二人とも?(←無表情)」

「やっちゃった……(←後悔)」

 

ある意味、衝撃的な光景に思わず関西弁でツッコミするハジメ。

よく聞こえなかったのかキョトンとする香織。

薄着の美女になんの感情も抱かない零人。

薄着で来てしまったことにやっと気づいた雫。

 

「取り敢えず中に入ったら?何かあったんでしょ?」

「うん、お邪魔します」

 

 未だ困惑してる香織と落ち着いた雫を部屋に入れる。すると、奥の廊下から大介がこちらを覗いていた。あっちも俺の視線に気がついたようだ。

 

――あとで情報頼む。

――ラジャ。

 

 アイコンタクトで会話する。話し合いが終わったら説明しに行かないと。二人が俺のベッドに座るとすかさずハジメが紅茶モドキを差し出す。さっきまで俺たちの分しかなかったのにいつ用意した?

 

「で、本当にどったの、こんな夜中に?流石に子守唄はできないぞ」

 

 知ってる子守唄は小さい子供にしか効かないから無理。

 

「いや、子守唄を歌ってほしくて来たわけじゃないから、明日の事についてだから」

「そうなん?」

「うん……、明日の迷宮なんだけどね……ハジメ君には町で待っててほしいの。教官達やクラスの皆は私が必ず説得する。だからお願い!」

 

 話しているうちに興奮したのか身を乗り出して懇願する香織。それに顔を真っ赤にして困惑するハジメ。

それもそうだろう。片思いの相手が手を握って鼻先まで顔を近づけて来たんだから。

 

(それにしても可笑しい。確かに香織はハジメの事になると興奮するがここまで積極的じゃなかったのに今日はぐいぐいと来るな。まるで、明日ハジメに何が起こるかを見て止めるような勢いだ。…………ちょっと待て、〝視た〟?)

 

「……なぁ、香織。もしかして、視たのか?」

「?視たって?」

「………………うん」

「最っ悪だ……」

 

 早速さっきのフラグ回収しちまった。

 

「ごめん、話がわかんないんだけど?」

「すまんすまん。取り敢えず不味い事になってきたぞ」

「へ?」

「香織が予知夢を視ちまった」

「へー、予知夢ね。…………予知夢!?」

「ちなみに予知夢は野村健太郎(あの馬鹿)の『第六感(笑)』とは違い、必ず当たる」

『ウェイ!?」

 

 あれは小学校の運動会前日の事。香織が凄い顔になって俺に運動会を休むように言ってきた。無論断って参加したが途中で倒れた。その時に香織が休むように言ってきたのはこの事かと思った。治って香織に聞いて見ると夢で俺が倒れたのを視たらしく止めようとしたらしい。それから何か大きな出来事が身近で起ころうとするとそれを夢として視れるようになったらしい。ちなみに外した事はない。

 

「それでどんな夢だったんだ?ハジメに関わることだろ?」

「うん…………、真っ暗な場所にハジメ君がいたんだけど……声を掛けても全然気がついてくれなくて……走っても追いつけなくて、最後は……」

 

 その先を口に出すことを恐れるように押し黙る香織。ハジメは、落ち着いた気持ちで続きを聞く。

 

「最後は?」

 

 香織はグッと唇を噛むと泣きそうな表情で顔を上げた。

 

「……消えてしまうの……」

「……そっか」

 

 消える…か。まるで闇落ちしたかのように聞こえる。

 

「でも、それだけじゃないの……」

「「ん?」」

 

 続きがあった。

 

「……何度もね、ハジメ君に手を伸ばしたの。でも届かなくて……ハジメ君が消えたと思ったら……今度は私が消えちゃったの」

「えっ!?」

「体が消えたと思ったら……まるで奈落に落ちるような感覚に襲われたの……、雫ちゃんや皆の声が聞こえたと思ったらね……皆の上辺りに真っ白な人影が怖い顔をして笑ってたの」

「真っ白な…人影……?」

 

 真っ白な人影か。まるでハジメと香織を消そうとした張本人のように感じる。そこは黒シルエットにしないと駄目じゃないか!(使命感)

 

「そしたらね……今度は零人君が消えちゃったの」

「俺もか」

「でも可笑しいの」

「可笑しい?」

 

 確かに俺は皆と違って体が弱いから、何か違ってても可笑しくないのに。

 

「うん、なんかね、消えたと思ったら皆何処かに行っちゃって零人君が居た所に青白い雷が発生してたの」

「青白い雷?俺の技能に雷を発生させるやつなんてないぞ。一応、電気系の魔法も使えるが全部黄色だし」

「だから、可笑しいの……零人は〝断罪神〟であって、〝雷神〟じゃないし」

 

 なるほど、そういうことか。

 

「取り敢えず、警戒だけはしとくさ。流石に異世界だ。逆に外れるかもしれないぞ?」

「なら、いいんだけど……」

 

 雫が香織の背中を擦ってる。雫が一緒に来たのはルームメイト兼落ち着かせ役だからか。

 そんな中、ハジメが口を手で隠しながら何か考え込んでいる。

 

「……だったらさ、守ってくれないかな?」

「え?」

 

 凄いこと言ってるぞ。女子に守ってもらうって男のプライドに傷付かない?そこら辺の川に捨ててきたの?あっ、その顔はちゃんと自覚してんだ。

 

「白崎さんは〝治癒師〟だよね?治癒系統に天性の才を示す天職。たとえ大怪我しても白崎さんなら治せるでしょ?夢の話を聞く限り、白崎さんが消えるのは僕を追ってきたからだと思う。だから僕が何ともなければ白崎さんや零人も安全だと思うよ。それに光輝君達もいるから問題ないし、龍太郎君は馬鹿だけど直感は凄く当たるでしょ?馬鹿だけど」

「おい、何故二回言った」

「気のせいだよ」

「明日潰されるぞ、お前……」

「南無三」

「八重樫さんやめて、マジで死んじゃう」

 

 命知らずだろ。ハジメも言ったが龍太郎は勘が鋭い。裏で龍太郎もしくはその友達の悪口を言うと場所まで特定出来てしまうとんでもない才能だ。もう直感の域を越えて予知レベル。それで何人犠牲になったか……。間違えた、何十人だ。

 

「変わらないね、ハジメ君は」

「?」

 

 香織の言葉に訝しそうな表情になるハジメ。その様子に香織をくすくすと笑う。

 

「ハジメ君は、私と会ったのは高校に入ってからだと思ってるよね?でもね、私達は、中学二年の時から知ってたよ」

 

 う~んと唸るハジメを横に何か思い出す。同時に雫も思い出したようだ。

 

「「ああ、土下座の回か」」

「ど、土下座!?」

 

 懐かしい。あれは四年前のこと、俺と光輝、龍太郎、香織に雫と一緒に下校している時だった。

 

「うん、不良っぽい人達に囲まれて土下座してた。小さな男の子とお婆さんの為に頭を下げていて、私はハジメ君のこと凄く強くて優しい人だと思ったの」

「へ?」

「だって、見知らぬ人のために頭を下げることは凄く勇気のいることなんだよ?光輝君や龍太郎君は真っ先に相手の人を殴っちゃうけど、南雲君は違った。弱くても立ち向かえる人や他人の為に頭を下げる人ははそんなにいないの。そんな姿を見て、かっこいいと思った」

「そうだったんだ……」

「だから、私の中で一番強くてかっこいい人はハジメ君なんだ。あの後、雫ちゃん達と一緒にハジメのこと調べたんだよ?高校にハジメ君を見つけたときは凄く嬉しかった。そのときにね、ハジメ君と零人君が家がお隣さんで幼馴染だってことを知ったの。ねぇ、なんで調べているときに教えてくれなかったのかな?かな?」

 

 突然、香織が光を失った目でこちらを見てくる。流石に怖いのですぐに目をそらした。竜宮レナ化してますよ?だって言ったら俺にアルバムとか持ってこいとか言いそうじゃん。

 

「当たり前じゃない」

「人の心読むのやめてくんない?」

 

 貴様、いつ読心術なんて覚えた。

 

「確か、土下座のあと警察がすぐに来てたわね」

「あっ、その犯人俺だわ」

「「「え?」」」

「だってあのままだったら光輝と龍太郎(馬鹿二人)が特攻すんじゃん。流石にヤバいと思ったから知り合いの警官に入れて呼び出したんだ」

「相変わらずコネが凄いわね……」

「そこまでじゃないぞ?せいぜい大企業の社長までだ」

「「「いや、十分凄いから!」」」

 

 そうだろうか?これくらい普通だろ。皆Twitterでフォローしているんだからできると思うけど。

 

「まあ、零人君が規格外なのは置いといて」

(規格外とは心外な!)

 

 そんな俺の心の声を無視して、香織は決然とした眼差しでハジメを見つめた。

 

「私がハジメ君を守るよ、絶対に」

 

 ハジメはその決意を受け取る。真っ直ぐ見返し、そして頷いた。

 

「ありがとう」

 

 …………何故だろうか、二人の周りがピンク色に見える。

 幻覚だと思って何度も目を擦って見直す。だが、何度やってもピンクのままでついには花まで咲き始めた。

 あっ、もしかして……

 

「(なぁ、雫さん雫さん。これが惚気ってやつですかい?)」

「(ちょっと違うわね。どちらかと言うと惚気話の方が近いわ)」

「(なるほど、メモっとこ)」

「(それにしても甘いわね。コーヒーが飲みたくなってきた)」

「(そうか?まだまだ足りないんだけど)」

「(零人は重度の甘党でしょ。私達にとってはもう充分よ。そんなことより外出ない?ちょっと話したい事があるの)」

「(ラジャ)」

 

 そう言って足音を立てずハジメ達に気づかれないように部屋を出る。扉を閉める前に二人を見たがまだ見つめ合ってたよ。そういうのは誰もいないところでやってくれ。断罪(だんざ)りたくなるから。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 部屋から少し歩いて中庭に出る。

 

「んで、どったの?話したいことって」

 

 そう聞くと雫の顔が暗くなった。

 

「…………実はね、私も視ちゃったの」

「……マジ?」

「でも香織のとは違かった」

「ほう」

 

 雫が予知夢を視るとは初めてじゃないか?いつもは香織が視ても雫が視ることはなかったのに。

 

「私が視たのは零人が消える所だった」

「また俺が消えるのか」

「でも香織が言った消え方じゃなかった」

「?」

「南雲君のような消え方だったの。だけど、可笑しかった」

「???」

 

 どういう事だ?ハジメと同じような消え方だと?確かに香織が言ってた事とは違うな。

 

「南雲君とは違って真っ白な場所で光が強い所に向かって零人が歩いていたの。追い付こうと思って走ったんだけど、いくら走っても追いつけなくて逆に離れていった。しばらくしたら零人の隣に突然人影が現れたの」

 

 また人影か。雫の話し方だとさっきの香織が言ってた真っ白な人影じゃなさそうだ。

 

「顔は見えなかった。でも、零人は優しい顔をしてその人影を見てた。そしたらね、歩き出して消えちゃった」

 

 消えちゃった……か。ハジメのやつとは違って行方不明になるんじゃなくて何処か遠くに行くような言い方だな。

 

「ふむ……、まっ、取り敢えず気を付けてみるよ。さっきも言ったがここは異世界だ。もしかしたら、逆転劇が起こるかも知れないだろ?」

「そうね……。香織みたいな夢を初めてだったから少し動揺しちゃったみたい。ごめんなさいね」

「いや、問題ない。いつも二人になったら雫が弱音を吐くのは当たり前だろ?雫が言っただろ、俺の前なら弱音を吐けるって」

「そうだったわね、……ふう。緊張しちゃっから疲れちゃった。ねぇ、何か歌ってくれない?」

「そうだな……、なら『Apple』はどうだ?シンフォギアの」

「いいわね。デュエット曲だし、皆にも迷惑かからないし」

「じゃあ歌うか。どっちがいい?」

「セレナパートをやるわ」

「了解」

 

「りんごは浮かんだお空に~♪」

「りんごは落っこちた地べたに~♪」

 

 しばらく歌って月がちょうど真上に来たところで雫が自分の部屋に戻った。そろそろハジメ達も復活して元の部屋に帰っているはずだからな。

 雫が見えなくなった瞬間、スマホを取り出してLINEを開く。ちなみにだが、何故トータスでメールができるかは大気中の魔力が関係しているらしい。大気中に魔力はほんの少しだがある。その魔力から微弱の電波が発生している。その電波を使ってメールのやり取りができる。ただし、半径十五メートル以内でしか使えず、電話をするならルーターか電信柱を作らなくちゃいけない。電池は魔石を使った充電器があるから問題ない。

 取り敢えず、大介に今から行くことを伝える。

 

 

「面白い情報手に入れたぞ」

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《翌朝》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「諸君、ここは何処だ」

 

「「「「「「最後の審判を下す法廷だ」」」」」」

 

「異端者には」

 

「「「「「「死の鉄槌を!」」」」」」

 

「よろしい、これより異端審問会を開催する。罪人、前へ」

 

 

「ちょっと待って!僕が何をしたのさ!?」

 

 粗めの縄を縛られ黒い覆面とローブを身に付けた十数人に囲まれているハジメが叫ぶ。

 リーダー的存在が木槌を鳴らし黙らせる。すると巻物のような物を持った覆面が前に出てきた。

 

「罪状を読み上げたまえ」

「被告『南雲ハジメ』以下、この者を『オタク』とし、『白崎香織』を『聖女』とする。

法の罪状としては我らが郷里である背信行為であり、昨夜オタクの部屋に聖女が入っていくのを我らが同胞が目撃。

今後、オタクと聖女の関係について十分な調査を行い、オタクに対する然るべき措置と聖女の今後の慣習を」

「結論だけ述べたまえ」

 

「夜中に聖女と二人で過ごしたのが羨ましいであります!!!」

 

「判決、死刑」

 

 

 判決が下されると周りにいた覆面達が大鎌や先に刃の付いた鞭、釘バットなどの凶器を何処からか取り出した。錬金術でも使えるようになったのだろうか。

 

「待って待って待って!それだったら、ルームメイトの零人も同罪でしょ!?なんで僕だけなのさ!」

 

 そんな質問に覆面リーダーが首を傾げる。

 

「病弱に死刑執行(こんなこと)できるはずがないだろう。そもそも、病弱は聖女と同行していた剣姫と部屋を出て中庭に出ている。つまり貴様は男部屋に聖女と二人きりだったのだ。これが罪状である。我らはこの世界で強くなっているのだ。これくらいで死ぬはずがなかろう」

「ちくしょう!何も言い返せない!……ちょっと待って、なんで零人達が外に出たのを知ってるのさ」

「ああ、それは「俺が言ったからな」」

「この声は!」

 

 声がした方向を見てみると、彼らと同じローブを身に纏い覆面を手に持った零人がいた。

 

「てか、見てたんだったら助けてよ。なんでそっち側なのさ」

「忘れたのかハジメ、俺はお前の不幸が好きだってことを!

「えぇ!!!???初めて知ったんだけど!?」

「あれ?そうだっけ?」

(そういえば、本人の前で言ってなかったな)

 

 肝心なことを言っていなかった零人。そんなことを気にもせず覆面リーダーが進めようとする。

 

「遺言はそれでいいな。総員、殺れ」

「「「「「「sir,yes,sir!」」」」」」

「ちょっ、本当に待って!戦闘職の皆の攻撃に耐えれるわけないでしょ!や、やめっ、ア―――――――――――!」

 

 

 

 ハジメの叫び声が宿屋全体に響き渡り、その後、ぼろぼろになったハジメが発見されたそうな……。




零人のクラス(の男子)は全員、異端審問会に所属しており光輝がリーダーをやっております。え?光輝はモテるだろって?確かにモテますが彼女がいないから、問題ありません。

この『ありふれた錬成師と神に愛された病弱で世界最強』の略はなに?

  • 錬病
  • あり神
  • あり病
  • 錬神
  • その他
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