憑依円堂列伝〜TS娘と時々未来人〜   作:花蕾

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動画サイトで必殺技集見たら出したい技がたくさんになってきたので初投稿です


より高く

「よーし、みんな、ついにフットボールフロンティアが始まるぞぉー!!」

 

「「「「おぉー!」」」」

 

 ようやく、と言ったところか。ここまでかかることは知識として理解していたが、実際にしてみると違う。

 

「で、相手は?」

 

「ああ、さっき決まったぞ。野生中だ」

 

「野生中……確か、去年の地区大会の決勝で帝国と戦ってます」

 

 俺が対戦校の名前を、音無がそれに情報を付け足す。

 

「その通りです」

 

 相槌を打ちながら突然冬海先生が部室に入ってくる。この人が部室にくるのマジでいつぶりだ……?

 

「初戦大差で敗退、なんて事は勘弁して欲しいですね。ああ、それから」

 

「チーッス!俺、土門 飛鳥、一応DF希望ね」

 

 ヒョロ長いが体つきはしっかりしている色黒の男が冬海先生の後ろから入ってくる。

 

「君も物好きですね、こんな弱小クラブに態々入部したいなんて」

 

 そりゃ、自分の意思じゃないからな。

 彼、土門飛鳥は()()()()()()()()である。鬼道からの指令を受け雷門中サッカー部に潜り込みに来たのだ。

 

 そのまま冬海先生は部室をでていく。土門は嫌味だけ言ってでていく冬海先生に目を白黒させる。わかるよ、その気持ち。

 

「土門くん!」

 

「あれ、秋じゃないか?雷門に来てたのか」

 

「うん。円堂くん、彼が昔話した私のアメリカに住んでたときの友達なの」

 

「そうなのか。よろしくな、土門」

 

「ああ、よろしくな」

 

 土門と握手する。スパイではあるが、根はいいやつだ。すぐにサッカー部にも馴染むだろう。

 

「相手、野生中だろ。大丈夫かな?」

 

「なんだよ、新入りが偉そうに」

 

「前の中学で戦った事あるからね。瞬発力、機動力共に大会屈指、特に高さ勝負には滅法強いのが特徴だ」

 

 そう言う土門に高さならファイアトルネードにドラゴントルネードもある、と染岡は反論する。

 

「アイツらのジャンプ力、とんでもないよ?ドラゴントルネードだって上から抑え込まれちゃうかも」

 

「んな訳」

 

「土門の言う通りだ、野生中となら俺も戦った事がある。空中戦だけなら帝国をも凌ぐ、あのジャンプ力で上を取られたら……」

 

 豪炎寺にもそう言われてしまっては染岡も口を閉ざすしかない。

 まあ、実際そうなのだ。昨年の地区予選決勝を見に行ったが、帝国は完璧に空中戦は負けておりデスゾーンを打てなかったほどだ。

 

 そうとなれば、新必殺技だ。ファイアトルネードもドラゴントルネードも押さえ込まれてしまうとなると得点源となるシュートがなくなってしまう。染岡のドラゴンクラッシュが残っているが、マークをつけられた終わりだ。

 

 習得する必殺技案としては、原作通りの『イナズマ落とし』とパラレルワールド作品であるアレスの天秤で登場した『メテオドロップ』である。

 

 高さという基準においてはメテオドロップが有利だが、習得難易度的に考えるとイナズマ落としと言わざるを得ない。

 メテオドロップはまず人間二人を空中で打ち出せるほどのキック力がある人物が必要だ。豪炎寺ならいけると思うが、そうなると打ち出す側がいなくなる。

 そういうわけでイナズマ落としを習得することになった。

 

「よし、不安定な足場からシュートができるのは豪炎寺だな、頼むぞ」

 

「ああ」

 

 既にイナズマ落としの秘伝書は回収済みだ。一年前に雷門理事長に頼み込んでもらっておいた。それを俺が噛み砕きみんなに概要を伝えている。

 

「で、豪炎寺の足場になれるやつは……壁山、お前だ!」

 

「えぇぇぇ!お、俺っすか!?」

 

「ああ、そうだ。これはお前にしかできないことなんだ」

 

 実際そうだ。雷門中で足場になれるほど大型なのは壁山しかいない。

 

「わかったっス。俺やってみるっス!」

 

 なんとか壁山からも了承が取れた。

 

 場所を河川敷に移し特訓だ。

 豪炎寺と壁山を中心に俺と音無がサポートに入りイナズマ落としの練習。他のメンツには前回同様基礎訓練、それをこなしたら各々の必殺技の強化を頼んである。雷門サッカー部の面々はクイックドロウやローリングキックといった燃費のいい技を取得している。熟練度が上がればさらに有用になることは間違いなしだろう。

 

 

 

 

「いくぞ、壁山!」

 

「ひいいいい!怖いっす!!」

 

 秘伝書の通りやってみるが、壁山は怖さで豪炎寺を避けてしまう。これで試行回数は十回を超える。

 

「豪炎寺が怖いか……」

 

「うーん、確かに前から人が走ってくると怖いですからね」

 

 音無と共にどう対応するか、を考える。

 壁山が豪炎寺を受け止めることさえできればほぼ完成だ。豪炎寺のフォームも完璧だし、見せてもらった壁山のジャンプも申し分ない。

 

 日が暮れるまで練習したが、終始壁山が豪炎寺を受け止めることはなかった。

 

 

 

 

(どうしようか……)

 

 授業中だが、ずっと頭で悩んでいる。前世の記憶はあるものの、そこまで詳しくは覚えていない。

 

「どうしたの、円堂くん」

 

「ん、つくしじゃないか。あれ、授業は?」

 

「とっくに終わったよ。今はもう休み時間」

 

 クラスメイトである大谷つくしの視線につられ時計をみると確かに授業時間外だ。やべぇ、授業なにも聞いてなかった。それに科目は古典だ。数学ならどれほどよかったことか

 

「それでなんかあったの、悩み事?」

 

「いや、ちょっとサッカー部でな……」

 

 昨日のことを話す。つくしはそれを聞きふむふむと言ったあと、

 

「壁山くんがそうなってるなんて意外」

 

「ん、そうなのか?」

 

「だって、この間の帝国戦のときだってがっしりブロックしてたじゃない。怖いもんなしかな、って思っちゃった」

 

 そういえばそうだな。帝国の激しいタックルにも逃げ出さず対抗してたし、シュートブロックまでしてたな。あ、そうか。

 

「サンキューな、つくし!糸口が見つかった!」

 

「う、うん、なんかよくわかんないけど」

 

 

 

 

 放課後、

 

「壁山、やるぞ!」

 

「キャ、キャプテン!無理っスよ。昨日でわかったでしょ、他の人に頼んでもらった方が……」

 

「いいや、お前にしか頼めないんだ。頼む、壁山、この通りだ」

 

「キャプテン……わかったっス、もう少しだけやってみるっス」

 

 弱気になっていた壁山をなんとか乗せ、特訓を再開する。

 

「やっぱり無理っスぅぅぅぅ!」

 

「逃げるな、壁山!豪炎寺から目を逸らすから怖いんだ!」

 

 つくしとの会話で壁山に度胸があることは既にわかっている。ならなぜこんなに怖がっているのか、それは豪炎寺を見ていないからだ。今思い返せば、昨日壁山はずっと下を向いていた。おそらく、受け止めるということを自分に意識させようとしていたのだろう。それがかえって逆効果になってしまっていた。

 

「豪炎寺を信じろ!それに壁山、お前はあの帝国のシュートすら受け止めたんだぞ、ぜったいにできる!」

 

「キャプテン……豪炎寺さん、もう一回お願いします!」

 

「ふっ、いい顔になったな、壁山。よし、いくぞ」

 

 それから数十秒後、河川敷に稲妻が落ちた。




つくしちゃんは可愛い。え、驚異の侵略者編?ディフェンダー?ナニイッテルカワカラナイ
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