憑依円堂列伝〜TS娘と時々未来人〜   作:花蕾

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こんなタイトルですが、試合回じゃないです


幽鬼

「次の相手は尾刈斗中か。前も結構な点差で勝てたし余裕だろ」

 

「それがね、尾刈斗中、この前の練習試合の後猛特訓して相当強くなってるらしいわ」

 

 俺が困惑している間に話は進んでいく。

 尾刈斗対秋葉名戸の試合で一体何が起こったのだろうか……え、開幕ゴーストロック?何それ怖い

 音無から試合映像を見せてもらったが明らかにパフォーマンスが向上している。ゴーストロック抜きにしても強い。尾刈斗にもイナビカリ修練場的なものがあるのかもしれない。

 あと、噂で聞いたのだが、負けた秋葉名戸中が試合結果を改竄しようとハッキングをしようとしたらしい。だが、急にパソコンが爆発し未遂に終わったようだ。これが尾刈斗の呪い……?ま、まあ、あくまで噂だから……

 

「しかし、豪炎寺が出れないか」

 

 頭に思い浮かべるのは先程すまないと申し訳ない顔をしながら病院に向かっていった豪炎寺の姿。原因はこの前の御影専農戦の終わりの下鶴と山岸とファイアトルネードのぶつかり合いだ。入院するほどではなかったが、準決勝までに完治とはいかずドクターストップがかかってしまった。

 豪炎寺の不在は痛手だ。雷門の強みの一つの強烈な連携シュート、ドラゴントルネード、イナズマ落とし、イナズマ一号の三つ、その全てに豪炎寺が関わっている。豪炎寺が欠場となると準決勝で連携シュートを使うことができない。攻撃力が一気に下がることとなる。

 尾刈斗のGK鉈のゆがむ空間のことを考えるとさらに辛いところだ。

 

「なーに、辛気臭い顔してんだ!豪炎寺がいないなら俺が一人でドラゴントルネードを打ってやるぜ!」

 

 そう強気で言う染岡。たしかにドラゴンクラッシュとファイアトルネードを両方習得している染岡ならいけるかもしれない。確か、似たような技があったはずだ。どこかで染岡に伝えてみるか

 

「そうだな!よし、みんな、練習するぞ!尾刈斗がめちゃくちゃ強くなったのなら俺たちはその上をいくまでだ!」

 

 こうして、雷門中サッカー部はイナビカリ修練場にこもり猛練習するのであった。

 

 

 

 

【20XX年 ???】

 

「さて、諸君、我々はこれより歴史の分岐点に揺さぶりをかける。バウゼン、準備はできているな」

 

「はっ!フットボールフロンティア予選準決勝で戦う尾刈斗中。彼らの力を利用します。彼らも円堂守に運命を狂わされた者たち、利用価値はありますので」

 

 バウゼンと呼ばれた男はニヤリと笑いながらそう言った。

 彼らは20XX年の未来で世界からサッカーをなくそうとする革新派である。

 そのトップの軍服に身を包んだ男、ヒビキ提督は雷雷軒の店主である響木にそっくりであった。

 

 

 

 

 

【尾刈斗中 サッカー部部室】

 

 尾刈斗サッカー部メンバーは部室に集まっていた。何しろ、次の試合の相手は練習試合で辛酸を舐めさせられた雷門だ。監督である地木流にとっても選手である幽谷たちにとっても特別な意味をもつ試合と言える。

 

 尾刈斗は対雷門用の新戦術を実践で使えるか試したものの一回戦、二回戦は基本的にゴーストロックを主体にした戦術で勝ち抜いている。つまり、雷門側にまだ手の内は全て見せていない。

 

 これなら

 

 

 

 

 

「勝てる。そう思ってんじゃないよな?」

 

 

 

 

 

 その時、悪魔が囁いた。

 

「なっ!?」

 

 幽谷の視界に映るのは、先程までの部室と違い白一面。間違いなく異常だ。それなのに、それなのに、

 

(なぜ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!)

 

 これを普通だと、当たり前だと処理してしまう。抗おうとするが、まるで意味を成さない。

 そして、白い空間に現れたのは

 

「俺……!?」

 

 幽谷自身であった。

 

「円堂守が憎くないのか?」

 

「何を言って……」

 

「ゴーストロックは俺たちが作り上げた最強のタクティクスだった」

 

 そうだ、ゴーストロックを最強の戦術だと、帝国にすら届くものだと思っていた。

 

「だが、それは円堂守に壊された」

 

 それは雷門に戦うまでの話だ。どういうわけか試合前に既にゴーストロックは攻略されていた。

 

「もう一度聞く。()()()()()()()()()()?」

 

 幽谷はその問いかけに即座に返答することができなかった。彼の中でそう考えることが少なからずあったからだ。しかし、それはしょうがないことである。幽谷はキャプテンであるものの中学一年生。まだ幼い彼にそこまでを求めるのは酷というものだ。

 

「そうだろう、そうだろう、憎いだろう!」

 

 そんな幽谷の様子を見てもう一人の幽谷の声が上がっていく。

 

「なら、俺を受け入れろ」

 

 そう言って近づいてくる。幽谷はどうにかして逃げ出そうとするが、金縛りにあったかのように動けない。

 

「やめ、やめろぉぉぉぉ!」

 

 そして、ついに幽谷の一つ目のバンダナに伸ばされた手が当たった。

 

「俺はおまえだ」

 

 もう一人の幽谷が闇のようなオーラになり一つ目のバンダナを通して幽谷に注がれていく。全てのオーラが吸い込まれると同時に白い空間が解除される。

 

「ふふふ、雷門を潰す……!」

 

 正気を失った表情で雷門への敵意を剥き出しにする幽谷たち。その姿はさながら幽鬼であった。




久しぶりに現れた未来要素。薄いような気もするがよろしくお願いします
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