憑依円堂列伝〜TS娘と時々未来人〜   作:花蕾

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監督

 難航しそうな監督探しだったが、割とすぐに候補者が見つかった。

 雷雷軒の店主、響木さんだ。イナビカリ修練場のことを知っていたことがあり雷門中サッカー部となんかしらの関わりがあるのではないか、ということからそうなった。

 その考えは事実である。響木さんは40年前の雷門中サッカー部、伝説の“イナズマイレブン ”のメンバーである。

 

「監督になってください、お願いします!」

 

「……仕事の邪魔だ」

 

 早速、雷雷軒に行き頭を下げるが返ってくるのはつれない返事のみ。

 

「あなたはイナビカリ修練場のことを知っていた。つまり、雷門中サッカー部OB、いや伝説のイナズマイレブンの一員じゃないんですか?」

 

「……イナズマイレブンは災いを齎らす。恐ろしいことになるぞ」

 

 響木さんは淡々とそう返す。

 

「あのな……注文しないならとっとと出てけ!」

 

「だったらラーメン一つ!」

 

 こうして、俺が雷雷軒に通いつつ響木さんの説得をする日々が始まった。

 

「チャーシュー麺一つと、それと監督になってください」

「……チャーシュー麺だな」

 

「ラーメンセットに監督お願いします」

「そんなものはメニューない」

 

「ラーメン一つと監督になってください、お願いします」

「それ毎日して飽きないのか。ラーメンだな、監督にはならん」

 

 毎日通ってラーメンと監督をお願いしてるが一向に良い返事は返ってこない。ラーメンはうまかった。え、腹がでてきてる?何言ってるかわからない。

 帝国戦まであと二日。今日までに良い返事を貰いたい。他に伝がないかと言われたらあるにはあるのだが、これは最終手段にしたいところ。

 

「円堂守だな。俺はこういうもんだ」

 

 雷雷軒に向かおうとしたところで無精髭が特徴的なおじさんに呼び止められた。確かこの人は鬼瓦さん。取り出された警察手帳からわかるように現役の刑事だ。

 話があるということで鬼瓦さんに連れられて鉄塔広場に向かう。そこで語られたのは40年前のとある事件。

 

 “イナズマイレブンの悲劇”

 40年前、無類の強さを誇りイナズマイレブンの異名を持った雷門中サッカー部はフットボールフロンティア全国大会決勝にまで勝ち上がった。しかし、イナズマイレブンが日本一の称号を得ることはできなかった。理由は決勝戦の会場に向かうべく雷門サッカー部の乗っていたバスがブレーキの故障により事故が起きたからだ。事故で怪我を負ったイナズマイレブンは這ってでも会場に行こうとしたが、試合会場に試合を棄権すると一本の電話が入った。その結果不戦勝により帝国の優勝。そこから帝国の40年間の無敗伝説が始まった。

 

 そして、その事件を負うため当時記者だった鬼瓦さんは刑事に転職したとのことだ。

 

「これで以上だ。時間取らせて悪かったな」

 

「いえ、こちらこそ貴重な話を聞けてよかったです」

 

 鬼瓦さんの話を聞いた後、再度雷雷軒に向かう。

 

「……またお前か」

 

「鬼瓦さんから聞きました。響木さんがキーパーだったこと、40年前に起こったイナズマイレブンの悲劇についても」

 

「……鬼瓦のオヤジか、あのお節介め」

 

「あのまま終わってもいいんですか?」

 

 そう言うと新聞から響木さんは目を離しこちらをようやく見た。

 

「なんだと……」

 

「響木さんには稲妻町から離れることもできたはずだ。それなのにまだ雷門中がある稲妻町にいるというのはそういうことじゃないんですか!」

 

「減らず口を叩く」

 

 いつもより好感触だ。これならいけるかもしれない。

 

「勝負をしましょう」

 

「勝負だと?」

 

「はい、響木さんが3本シュートを打って俺が3本とも止めたら、監督をしてください!」

 

「はあ、3本中3本だと? アホな勝負だ」

 

「この勝負で俺の覚悟を響木さんに見せます。だからお願いします!」

 

「……いいだろう、一本でも止めれなかったらこの話は終いだ」

 

 了承してもらえたことに安堵する。あとは俺次第。

 河川敷に移動しいざ勝負。

 

「よし、来い!」

 

 こちらの準備を整ったのを確認して響木さんは数回リフティングした後シュートを放つ。強烈な回転と共にゴールの左下へと向かう。その勢いは衰えを感じさせない。それになんとか反応して防ぐ。

 

「一本目、止めたぞ!」

 

「やるな」

 

 今度は軽くボールを上げてから軽く助走をつけてシュートする。ボールの正面に走り込み熱血パンチで弾く。ボールは弾かれた衝撃でそのまま響木さんの元まで返っていく。

 

「おりゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

「!ほぉ、熱血パンチ!」

 

「これで後一本!」

 

「調子に乗るなよ。最後の一本、止められなかったら監督の話はナシだ」

 

「はい!」

 

 これで決まる。俺は頬を叩き気合を入れ直す。

 

「お前さんの覚悟が本物なら……見せてみろォ!」

 

 響木さんはボールをセットし足を大きく振りかぶってシュートする。先の二本とは比べ物にならないほどの威力だ。

 

「『ゴッドハンド』!」

 

「あれは……!まさしくゴッドハンド……!!」

 

 ゴッドハンドでボールを受け止める。

 

「ハッハッハッ、こいつは驚いた!大介さんがピッチに帰って来やがった!おい、お前名前はなんと言うんだ?」

 

「円堂守です!」

 

「守……良い名前だ」

 

 こうして、響木さんは監督になることを認めてくれた。そして、ついに迎える地区予選決勝帝国戦。前回は帝国の試合放棄で名目上勝利で終わった。今回はそんな不完全なものじゃなくてちゃんとした勝利を、そして全国への切符を手に入れてみせる。




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