憑依円堂列伝〜TS娘と時々未来人〜   作:花蕾

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祝賀会

 帝国との試合の翌日、雷門中サッカー部の面々の姿は雷雷軒にあった。地区予選優勝の祝賀会として響木監督が特別に貸し切らせてくれたのだ。

 

「響木監督、替え玉一つ、いや二つ!」

 

「こっちは餃子!」

 

 さらに響木監督が全て奢ってくれるということで、皆思い思いのものを頼んでいく。かくいう俺も雷雷軒の全メニュー制覇を目標に注文を重ねる。

 

「しかし、帝国も全国大会に出るなんてな」

 

「あんな強い帝国とまた戦わなきゃいけないんですかぁ」

 

 帝国学園は昨年優勝校としての出場枠があり、地区予選での結果に関わらず全国大会出場が決定しているのだ。そのため、関東地区からは二つの学校が全国大会に駒を進めることになる。去年は確か野生中が関東地区代表として、帝国が昨年優勝校枠として全国大会に出ていたはずだ。

 

「あらあなたたち、それは決勝まで勝ち進むという宣言で宜しいのかしら?」

 

「え、どういうことでヤンスか?」

 

「前年度優勝校と同地区の出場校、つまり帝国と俺たちはブロックが違うんだよ」

 

 そうじゃないと、フットボールフロンティア一回戦が関東地区予選決勝の再試合になるみたいな惨状になるからな。そのため、雷門と帝国はそれぞれ別ブロックに振り分けられており決勝まで絶対に対戦しないように調整されている。

 

「円堂くん、よく知っていたわね」

 

「フットボールフロンティアは何年間も見ているしパンフレットも読み込んでるからな。そういう夏未もよく知っていたな」

 

「大会規約を隅から隅まで目を通したもの。ルールを知らずにあんなに慌てるのはもうこりごりだわ」

 

 ああなるほど、と音無たちが監督探しのときの夏未の姿を思い出し苦笑いを浮かべる。あんなことになることは滅多にないとは思うが、備えあれば憂いなしだ。しておくに越したことはない。

 

「流石、夏未先輩頼もしいです」

 

「事務関係は得意分野よ。これからは音無さんが情報担当、木野さんがフィジカル面担当ということでよろしくって?」

 

「「は、はい……」」

 

 それ今とそんなに変わらないような気するけどな。まあ、ちゃんと得意分野で割り振られてるから大丈夫だろう。紅菊の姉御?あの人はなんでもできるから……

 

「私にだってできないことはそれなりにあるんですよ」

 

「紅菊、頼むから心を読むのはやめてくれ」

 

「いや、それは円堂さんの表情がわかりやすいのが問題だと思いますよ」

 

 え、と思い近くの風丸の方を向くと顔をそっと背けられる。続けてみんなの方を向くとうんうんと頷いている。そして、最後に豪炎寺に無言で肩を叩かれた。流石にこの人数から言われると反論しようがない。

 

「おっ!俺たちが新聞に載ってるぞ」

 

「おお本当だ、すげぇ!」

 

 目の前の皿を空にした染岡が置いてあった新聞を広げ、俺たちの写真がデカデカと載っているのを見つける。

 地区予選決勝の結果なんて本来はそこまで大々的に取り上げられるようなものではないが、40年間無敗だった帝国を倒したことが評価され面丸々使って記事が組まれているようだ。

 

「円堂なんか小学校の頃の話まであるじゃねぇか」

 

 嘘だろと新聞を見ると、確かに稲妻KFC時代の俺の話も載っている。なんか鬼道との関係が小学校からのライバル云々になっておりすごいドラマチックな感じになっている。いや、間違いではないのだが、誇張されすぎているような気がする。

 

「あ、監督!餃子もう一皿!」

 

「私も追加をお願いするわ」

 

 土門と夏未が同時に注文する。しかし、材料はもう一人前分しか残ってないとのこと。店にある食材を食い尽くすって俺たちどんだけ食ってんだ……?それに雷雷軒は明日も営業するはずだ。大丈夫なのだろうか。

 

「それじゃ、夏未ちゃんどーぞ」

 

「夏未、()()()?」

 

 夏未の眼光が鋭くなる。それに釣られ店内の温度も下がったかのような錯覚に陥る。原因となった土門は予想外の展開に弁明しようとするが、うまく考えが纏まらない。

 

「あっ、いやそのー、さっきのは気の迷いというかなんというか……」

 

「ふふっ、悪くないわね。その呼び方」

 

 夏未が笑みを浮かべながらそう言うと張り詰めていた空気が霧散する。流石に呼び方一つで怒るわけはないとは分かっていたが、これは心臓に悪い。

 

「だけど、理事長代理としての私への敬意は忘れないでいただきたいわ。私の言葉は理事長の言葉よ?」

 

 最近はサッカー部マネージャーとして関わることが多いからそこら辺は忘れがちになっていたな。理事長代理に生徒会長、サッカー部のマネージャー、そして成績はダントツでトップ。どうやったらそれらを全てやれるのだろうか。

 

「それじゃあ、理事長ならどんな言葉をコイツらに贈るかね?」

 

 響木監督にそう頼まれると、夏未は表情をガラリと真剣なものに変え立ち上がる。そして、理事長としての言葉を紡ぐ。

 

「サッカー部は今や雷門中の名誉を背負っていると言っても過言ではないわ。必ず全国制覇を成し遂げてちょうだい!」

 

「よし、任せておけ!みんな、次は全国制覇だ!」

 

「「「おう!!」」」

 

 こうして、俺たちは全国制覇への決意を新たにしたのだった。




どっかで憑依円堂の稲妻KFC時代を詳しく書きたいな、と思ってたりする
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