憑依円堂列伝〜TS娘と時々未来人〜   作:花蕾

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評価バーに色ついた、アザマス


化身アームド

 天馬が敵陣へと切り込んでいく。プロトコル・オメガ側も止めようと動くが、天馬の方が上手だった。

 

「『アグレッシブビート』!フェイ!」

 

 必殺技で抜き去り、フェイにパスを回す。DFが止めにかかるが、遅い。ボールを受け取ったフェイは既に必殺技のモーションに入っていた。

 

「『バウンサーラビット』!!」

 

 兎のように軽やかに跳ね必殺シュートを打つ。緑色のエネルギーを纏ったシュートはみるみるゴールへと進む。

 

「『キーパーコマン──」

 

「ちげぇ!よく見ろ!」

 

 ベータが叫ぶ。その視線の先にはボール目掛けて加速している天馬の姿があった。

 

「『真マッハウィンド』!!」

 

 チェインで速度を増したシュートはキーパーの反応を超えゴールネットに突き刺さった。

 

「ゴォォォォル!!決まったぁ!テンマーズ一点先取だ──ーっ!!」

 

「やったぁ!」

 

「よくやった、フェイ、天馬!」

 

 試合において先制点は大きな意味を為す。

 先制点を取ったチームは勝ちやすい、という論文すらあるほどだ。

 

「風丸もすごかったな!だけど、いつ必殺技を習得したんだ?」

 

「わからない。だけど、自然と力が湧いて……円堂だってすごかったじゃないか」

 

「共鳴現象による力だろうね」

 

 フェイがそう言う。

 詳しく聞くと、興奮しピンク色へとなったワンダパが説明してくれた。

 異なった並行世界で生まれた俺が互いに干渉しあってパワーアップする現象のことらしい。そのおかげで俺はマジン・ザ・ハンドを、風丸は二つの必殺技を使うことができた。

 イナズマイレブンGO2の初期でちょろっとでたぐらいだから完璧に記憶から消してたわ、共鳴現象。

 

 プロトコル・オメガ2.0ボールから試合再開。長い髪のFW、レイザがボールを受け取り進んでいく。

 

「行かせない!『ワンダートラップ』!」

 

 天馬がそれをカット。すかさず、前線のフェイへとパスするが、

 

「もーらい」

 

 ベータがカットする。デュプリたちが止めに入る。

 

「オラ!どけぇ!オレが通るんだよ!!」

 

 力強いドリブルで強引に進んでいく。3人のデュプリが必殺技で止めようとするが、ドリブル技すら使わず突破した。

 

「跡形もなく叩き潰してやる!こい!『虚空の女神アテナ』!!」

 

 これが……化身!初めて見るが、迫力がすごい。

 

「アームド!」

 

 化身を鎧のように纏った。

 化身使いの最終段階である化身アームドだ。

 

「『シュートコマンド07』!!」

 

 ベータは先程同じ技を放つ。だが、威力は段違いだ。あまりの威力に思わず足がが下がってしまいそうになる。だけど、不思議と力が湧いてくる。共鳴現象か、それもあるだろう。しかし、共鳴現象よりも強いヤツと戦えているという事実が俺を奮い立たせる。

 

「ハアアアアア!『魔神グレイト』!!」

 

 それは無意識だった。

 

「アームド!」

 

「何!?」

 

 ベータが、いや、それだけじゃない、天馬もフェイも驚きの声を上げていた。

 

「円堂さんが化身使いに……!」

 

「さらにアームドまで!?」

 

「絶対に止めてみせる!『ゴッドハンド』!」

 

 黄金の手がシュートを受け止めようとする。最初は拮抗していたが、徐々に押されていく。それは偏に俺とベータのサッカープレイヤーとしての経験の差だった。技のキレ、化身の熟練度、全てにおいてベータが上だ。

 

「ぐっ……」

 

 ゴッドハンドにヒビが入ってゆく。

 

「片手でダメなら両手ならどうだ!『ゴッドハンド」

 

 左手を掲げ()()()()()()()()()()()を生み出す。

 

「──W』!!!」

 

 二つとなったゴッドハンドは押し返していき、ついにボールは俺の手の中に収まった。

 

「また止められた、だと……おもしれぇ」

 

「ベータ……笑ってる」

 

「え」

 

 オルカの言葉でベータは自分の顔に笑みが浮かんでることに気づいた。まるで、自分がサッカーを、円堂守との戦いを心から楽しんでいるようではないか。

 

「ハハッ、どうだ、サッカーは楽しいだろう!」

 

 そんな感情は認められない。ベータは未来意思決定議会『エルドラド』の管理者であり、チームプロトコル・オメガ2.0のリーダーだ。一度の失敗すら許されない立場だ。事実、前任者のアルファはただ一回の敗北でムゲン牢獄へと送られている。それなのに、エルドラドが消すと決めたサッカーで心が踊っている。

 笑みをなくそうとするが、表情筋が言うことを聞かない。

 

「困っちゃいましたねぇ……」

 

 ここにいるのが、他の管理者であれば影響は受けなかっただろう。機械的なアルファ、傲慢なガンマ、アンドロイドのレイ・ルクではなく、任務の中で嗜虐心を満たすベータだからこそ諸に影響を受けてしまった。

 

(これはどう転んでもムゲン牢獄行きですかね……)

 

 自身の異変を既にエルドラドはキャッチしてるだろう。管理者として相応しくないとして再教育されるのは目に見えている。

 はあ、とため息を漏らす。

 とはいえ、やることは変わらない。自身の未来がどうなろうが、任務は遂行しなければならない。その後に弁明はしよう。運が良ければ気の迷いとして見逃されるかもしれない。ベータはそう考えを纏めた。

 

 

「おーい、この試合、俺も入れてくれないかな?」

 

 新しい不確定要素にベータの顔は歪んだ。




私のプロトコル・オメガ内の推しはレイザです。
次話でプロトコル・オメガ編完結です。オリジナル話が二つくらいあって無印編に進む予定です

頑張って土曜0時に毎週更新できるよう頑張ります
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