憑依円堂列伝〜TS娘と時々未来人〜   作:花蕾

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UA65000突破ありがとうございます!


疾風

「『分身シュート』!」

 

「ぐっ……!」

 

「円堂、戦国伊賀島の猛攻を凌いだぁぁ!そして、ここでホイッスル!前半終了、勝負は後半に持ち越されたぁ!」

 

 戦国伊賀島のFW、柳生十郎が三人に分身しシュートを放つ。俺は押し込まれつつもなんとか止めることに成功する。それと同時に前半が終了した。

 スコアは0-0、始まったときから変動はないままだ。そこからは互角のような印象を受けるが、試合の内容はまるで違う。戦国伊賀島は前半を通して5本シュートを放っている。それに対して雷門はドラゴントルネード以降シュートまで辿り着いていない。全く攻めることが出来ていないということではないが、戦国伊賀島の素早い動きに厄介な必殺技たちによって止められてしまう。

 

「やり辛いな」

 

「ああ、思ったようなプレイができねぇ……」

 

 戦国伊賀島の厄介さはキーパーである俺以上にフィールドにいるみんなが感じている。

 だが、戦国伊賀島には穴がある。前半に見た、四股踏みにつちだるま、分身シュート、その全てが一人技、()()()()()()()()()()()()()()。そこからわかるのは戦国伊賀島は個人プレイのレベルは高いが、連携はそこそこなレベルで陣形のような決まった形でしかできないということだ。それならやりようがある。

 

 

 

「さあ、いよいよ後半が始まります!どちらが先制点を手にし試合が動かすのかぁ!!」

 

 後半が始まる。戦国伊賀島が猛攻を仕掛けてくる。

 

「くそ、速い!」

 

「遅い!」

 

 一気にFW、MFを抜き去る。その前に立ち塞がった壁山だが、柳生が素早く動き左右から揺さぶりをかけあっさりと突破する。そして、そのままシュート、とはならなかった。

 

「なっ、こいつ、完全に気配が……!」

 

「ふふふ、通さないよ。『コイルターン改』」

 

 壁山の巨体に隠れ気配を消していた影野が奇襲をかけボールを奪ったのだ。そして、ボールを前線に送るが、すぐに奪われてしまう。また攻めてくる。しかし、雷門も負けてはいない。

 

「『スピニングフェンス』!」

 

 相手が分身フェイントで突破しようとするが、風丸が竜巻を発生させ分身諸共吹き飛ばしボールを奪い返す。そのまま前へとボールを運ぼうとするが、立ち塞がったのは霧隠。

 

「押し通る!」

 

「無駄だ、お前のスピードはもう見切った!」

 

 風丸がどうにか抜こうと揺さぶりをかけるが、霧隠には通用しない。それに焦った風丸は強引に突破しようとするが、霧隠がその焦りをつきボールを奪る。

 

「伊賀島流蹴球戦術、偃月の陣!!」

 

 ボールを奪った戦国伊賀島は新たな陣形を発動させる。

 霧隠を中心に左右に展開し半月型の陣形で突進してくる。その勢いは凄まじく、巻き上げられた砂塵も相まって土色の槍のようにも見える。ボールを奪おうと宍戸たちが動くが、近づくことすら叶わない。

 DFラインまでくると霧隠が飛び出してくる。

 

「『キラースライド改』!」

 

「『残像』!」

 

「『コイルターン改』」

 

「その手はもう見た!」

 

 土門のキラースライドを残像で躱し、その先にいた影野のコイルターンも閉じ込められる前に残像を使うことで回避する。

 

「もらった!『つちだるまV2』!」

 

「させないっス!『ザ・ウォール改』!」

 

「ナイスだ、壁山、『真熱血パンチ』!」

 

 必殺シュートが放たれるが、壁山のシュートブロックが入り俺のところに来る前に威力が大分下がった。なんなくそれをセーブ。

 

「もう一度だ、『つちだるまV2』!」

 

「ゴールは割らせない!『風神・雷神』!」

 

 弾かれたボールは霧隠の足元へ。再度、シュートが放たれる。それに対抗し俺も技を発動させる。勝負を制したのは俺だった。両手でがっしりと掴んだボール、それを勢いよく投げる。

 

「いけ、風丸!」

 

「ああ!」

 

 ボールは受け取った風丸はドリブルで駆け上がっていく。それに危機感を覚えたのか戦国伊賀島の面々が動き出す。

 

「伊賀島流忍法、『くもの糸』!」

 

「これ以上、あいつにダサい真似見せられるか!『疾風ダッシュ改』!」

 

 糸が広がる前に風丸が疾風ダッシュで一気に突破する。勢いに乗った風丸は次々と相手選手を抜き去っていく。

 

「いくぞ、豪炎寺!」

 

「おう!」

 

「『炎の風見鶏』ィィィ!」

 

「伊賀島流忍法、『つむじ』の術!……ぬわぁぁぁッ!」

 

 炎の鳥が舞い上がる。戦国伊賀島のキーパーはひるまずつむじを発動するが、それは炎鳥の羽ばたきを抑えることは叶わない。ボールと共にゴールへと押し込まれてしまう。

 

「ゴォォォォル!雷門、豪炎寺と風丸の鮮やかな連携シュートが決まり点をもぎ取ったぁ!」

 

 1点先取。それに加えて試合残り時間はわずかだ。当然、戦国伊賀島もこの状況が意味することを理解している。キックオフと同時に霧隠が味方すらも置き去りにするスピードで駆け上がってくる。

 そのスピードに追い縋るものが一人。

 

「行かせるか!」

 

 風丸だ。疲労を感じだした足に発破をかけ霧隠へと迫っていく。

 

(くそ、どういうことだ……振りきれん……!)

 

 さらに速度を上げる、ダメだ、これが最高だ。

 左右に揺さぶりをかける、ダメだ、引っかからない。

 緩急をつけて一気に、ダメだ、直ぐに調整された。

 これなら、これなら……ダメだ。

 

「俺の方が速いはずなのに、なぜ!」

 

「足が速いだけじゃダメなんだよ!サッカーは!」

 

 長い攻防の末、風丸が霧隠からボールを奪いとった。そのまま上がっていく。その姿はまさに一陣の風。

 

「豪炎寺!」

 

「『ファイアトルネード』ォォ!」

 

 風丸のセンタリングに合わせて、豪炎寺が飛び上がり右足でボールを振り抜く。キーパーは反応できずゴールにボールが突き刺さった。

 

「試合終了!2-0で雷門中、一回戦突破だぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、と」

 

 戦国伊賀島戦から一日が経ち、今度は観客としてフットボールフロンティアスタジアムに俺は訪れていた。

 昨日の試合のときも観客席は埋まっていたが、今日はさらにボルテージが高いように感じる。それもそのはず。今日の対戦カードは

 

 帝国-世宇子

 

 王者の初戦である。




これにて戦国伊賀島戦終了です。
書きながら思ったんですけど、偃月の陣って攻略法あるんですかね。これ、確実にキーパー前までボール運べません?

オリ技は

  • 使ってもいい
  • 使ってもいいが数は少なめ
  • 事情がない限りは使わないでほしい
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