試合への時刻が刻一刻と迫る。グランドには既に帝国の選手が現れ、ウォーミングアップを始めている。
「……!いつもより気合い入ってるな、佐久間」
「まあな。初戦だとしても油断はできない」
「ああ、しかし……」
源田が言い淀む。その理由は、佐久間だけでなくこのスタジアムにいる全ての人間が察していた。
なぜいないのか、それは帝国のメンバーですら分かっていない。前試合で怪我をしたというわけでもないし、当然彼が試合をサボるような人間ではない。そのような人間性であればこの帝国のキャプテンになることなどできない。それゆえに彼の不在が帝国に不吉さを感じさせていた。
「おい、でてきたぞ!」
「あいつらが……!」
ついに正体を現した世宇子イレブン。開会式、ウォーミングアップですら姿を見せず、推薦招待枠という今までにはない枠で出場するため地区大会などの試合の情報がない、全てが謎に包まれた彼らのベールがついに剥がされた。
そんな彼らの姿を見て、スタジアムで唯一俺は困惑していた。
(アフロディがいない、だと?)
そう、アフロディの姿がないのだ。
影山の性格から鬼道が試合に出れないよう細工をする可能性は考えていたためそこまで驚きはなかったが、彼女の姿がないというのは予想にすらしていなかった。代わりに入ってるのは誰だ?ベンチメンバーの誰かということまではわかるが、流石に名前までは覚えていない。
世宇子イレブンの前にドリンクが運ばれてくる。
(あれが、“神のアクア”か)
神のアクア、確か元々は軍事用のものを改良したドーピング剤。それを飲むことで超人的なパワーを得ているのだ。当然デメリットもある。それは飲んでから短時間しか効果がないのだ。そのため、試合の最中に何度も飲み直さなくてはならない。それって、欠陥ひ……いや、そもそもドーピング剤に欠陥もクソもなかったわ。
試合開始。帝国ボールからスタート、寺門が切り込もうとするが、世宇子イレブンを見て戸惑い足を止める。
「おーっと、世宇子イレブン、誰も動かない!まるでゴールを打ってください、と言わんばかりだぁっ!」
「舐めやがって……!それならお望み通り打ってやる!『百烈ショットV3』!」
動かずこちらをニヤニヤと見る世宇子イレブン。それに激昂し寺門は自身の実力を示すようにシュートを放つ。V3まで進化している百烈ショット、その威力は単独で打つシュートの中ではかなり高い。
「なん、だと」
しかし、ボールがゴールを揺らすことはなかった。世宇子のキーパー、ポセイドンが必殺技すら使わずに止めたのだ。そして、ポセイドンはボールを
どういうことだ、とポセイドンの方を見るとこちらを指で挑発している。その意図を理解した帝国イレブンの動きは素早かった。
「「「『デスゾーン改』!!」」」
「『ツナミウォール』!」
寺門、佐久間、洞面が飛び上がり、帝国の代名詞とも言える技を放つ。だが、ポセイドンが地面を叩き生み出した大きな津波が壁となりボールは力を失い落ちていく。
「だったら、今度はこれだ!」
ポセイドンから再びボールを渡された佐久間たちは怯まず動く。
「『分身デスゾーン』!」
「『皇帝ペンギン──」
「「──二号』!」」
デスゾーンと皇帝ペンギン二号の組み合わせだ。紫のエネルギーを纏ったペンギンがゴールへと突き進んでいく。
「『ツナミウォール』!ぐっ」
先程同様津波の壁を呼び出すが、ペンギンは止まらない。壁を押し破り、その先には──
「『ギガントウォール』!!」
巨大化したポセイドンがそこにはいた。ボールの上から拳を叩きつけめり込ませることで完全に止めていた。
流石にそれを見た帝国イレブンは表情を驚愕で染める。
「これじゃウォーミングアップにすらならねぇな」
「デスゾーンも皇帝ペンギン二号も通用しないなんて……」
帝国のシュートに興味を無くしたのか、ポセイドンは前線へとボールを投げる。受け取ったのはFWのデメテル。
「『アースクエイク』!」
「『キラースライド』!」
ボールを奪わんと帝国DFが襲いかかる。地上からはキラースライドが、上空からはアースクエイクが放たれる。
「愚かな……『ダッシュストーム』!!」
しかし、その必殺技は届かない。デメテルが発生させた突風が盾となり帝国の必殺技を防ぎ、また矛となりDFを吹き飛ばした。
「こい!」
「これが神の力だ!『リフレクトバスター』!」
デメテルが放ったシュートは、空中に浮遊した岩にぶつかり反射しながら威力を上げていく。そして、極限までエネルギーを得たボールがゴールへと襲いかかる。
「『フルパワーシールド』!」
ペナルティエリアそのものを覆うほどの衝撃波がボールの前に壁として立ち塞がる。しかし、
「馬鹿な……」
その衝撃波は容易く破られボールはゴールネットへ深く突き刺さった。
「世宇子中先制!王者帝国からあっさりとゴールを奪ったぁぁ!」
世宇子1-0帝国
そこからはまるでリプレイを見ているようだった。帝国のキックオフから始まり、世宇子がボールを奪いゴールを決めていく。変わっていくのは帝国の面々の傷だけだった。
「な、なんということでしょう!これで世宇子中、10得点目……!あの帝国が手も足も出ない!!」
気づけば電子掲示板のスコアは10-0を記していた。
「これで終わりだ!『ディバインアロー』!」
試合再開と同時にボールを奪ったヘラは一気にゴール前まで上がる。そして、ボールを連続で蹴り、最後は後ろ回し蹴りで止めと言わんばかりにシュートを放つ。
それに対し、源田が取った構えは今までのパワーシールドとは別物だった。
「『ビーストファング』!!!」
禁断の獣が神に牙を剥いた。
最近、他作者様みたいにあとがきにその話のキャラについて、を書くべきか迷ってる
オリ技は
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使ってもいい
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使ってもいいが数は少なめ
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事情がない限りは使わないでほしい