憑依円堂列伝〜TS娘と時々未来人〜   作:花蕾

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アンケート投票結果見て、底に沈んでた設定が急にupしてきた。なお、サブタイすら満足に決まれない自分にオリ技のセンスある命名など出来ないという事実に苦しんでる


禁断解放

「『ビーストファング』!!!」

 

 源田は両手を上下に構え前へと突き出す。その独特な構えはまるで肉食獣の口のようなイメージを思わせる。そして、その両手を神の矢の如く放たれたボールを喰らうように挟み込む。

 

「うがぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 獣のように吠える。

 それもそのはず、ビーストファングは帝国学園で禁断の技として封印されたもの。封印理由は、大きすぎる反動。世代最強と謳われる源田ですら万全の状態でも一試合で二度が限度だ。

 さらに源田の身体は世宇子の強烈なシュートを何度も受けている。そのため、ボロボロであり万全の状態とは程遠い。

 

「なんとしても……止めてみせるッ!!」

 

 しかしながら、源田にはそのようなことは関係ない。彼にあるのは、自身の身体がどうなろうとボールを止めるという意志のみ。既に腕の感覚はなく、全身には激痛が走っている。それでも、腕を解くことはしない。

 長いようで一瞬の拮抗の末、ボールは源田の両手の中で動きを止めた。

 

「神の力が……」

 

 その結果に世宇子メンバーが呆然とし動きを止める。そのおかげか、源田の腕から零れ落ちコロコロと転がったボールは奪われることなく五条の足元へたどり着いた。

 その瞬間、五条は反射的にボールを持ち走り出した。

 

「ッ!止めろっ!」

 

 遅れて世宇子メンバーがそれに気づき、五条の進路を塞ぐ。

 

「『裁きの鉄槌』!!」

 

 MFのヘルメスが作り出した巨大な足が神罰かのように五条に振り下ろされようとする。しかし、その光景を見ても五条は普段の不敵な笑みを崩さなかった。

 

「ククク……いきますよ、洞面君」

 

「任せてください……!」

 

「「『分身フェイント』!!」」

 

 二人が同時に分身を作り出す。計六人となった彼らは高速でパスを繋ぐ。そのため、ヘルメスの狙いが定まらない。

 

「ここだ!」

 

「……ククク、残念でした、ボールはあちらです。では皆さん、後はお任せしますよ」

 

 苦し紛れに巨大な足を振り下ろしたヘルメスに、五条はボールを持った洞面の姿を視界に捉えながら嗤う。そして、五条は笑みを浮かべたまま踏み潰された。

 

「寺門先輩!」

 

 洞面は迫り来る世宇子の面々を小柄の体型を生かして突破し、ストライカーである寺門へとボールを渾身の力を込めて蹴る。

 ボールを受け取った寺門。ゴールへと身体の向きを変える。しかし、その先にいたのはDFのディオ。彼は既に技の発動準備を終えており飛び上がる。

 

「『メガクェイク』!」

 

 そして、急降下し地面にその巨体を叩きつける。帝国にも似た技──アースクェイクがあるが、威力はそれを優に超える。地割れが発生し、寺門の足元の地面が隆起していく。

 

「このボールはなんとしても……!佐久間ァ、任せたぞ!」

 

「何っ!?」

 

 空中に投げ出された寺門は、ボールがディオの足元に行く前にヘディングで佐久間の方に打ち出す。その最後の悪あがきとも見える行為は確かにボールを繋いだ。

 佐久間は眼帯で隠れていない左目でゴールを鋭く睨みつける。このボール無駄にはできない、繋いでくれた五条や洞面たち、自分に託してくれた寺門、身を犠牲にしてシュートを止めた源田、仲間たちのためにも。

 だから、彼は──覚悟を決めた。

 

 ピピィィィッ

 

 佐久間の口笛がグランド中に音を響かせる。それと同時に地中から現れたペンギンは、彼が普段操る七色の色鮮やかなそれではない。

 

「なんだ……それはッ!」

 

 そのペンギンは赤かった。ただそれだけのはずなのに、本能的な恐怖だろうか、見ているものたちは背筋に冷や汗が流れ鳥肌が立つ。

 地中から赤いペンギンが飛び出し、振り上げられた佐久間の右足を啄んでいく。

 

「『皇帝ペンギン──」

 

 その技はビーストファング同様、強大な威力と引き換えにあまりにも大きな負担があるため封印された禁断の技。そして、ゴッドハンドすら破ったあの皇帝ペンギン二号の原型となった技。

 

「── 一号』ォォォォォォォォ!!うがぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 その名は“皇帝ペンギン一号”。まさに必殺と言っても過言ではない、ハイリスクハイリターンの上で成り立つ技である。

 

「『ツナミウォール』!!何ッ!!」

 

 呼び起こした津波の壁を容易く突破される。それに戸惑いの声を激しく上げながらも、ポセイドンは止めようとボールを両手で掴む。

 

「何だ、この力はっ!あんなボロボロの身体のどこにこんなパワーがぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!?」

 

 だが、ボールの勢いが緩むことはない。ポセイドンの身体を吹き飛ばし、ゴールネットへ突き刺さった。

 

「ゴ、ゴォォォォル!帝国学園、ついに1点を返したぁぁっ!」

 

 電子掲示板の0の表記が1へと変化する。それと同時にどさりという音がしていく。

 最初に源田が、次に五条が、その次に大野が、また一人また一人と帝国学園の選手たちが次々に倒れていく。そして、最後まで立っていた佐久間も姿勢を崩していく。

 

「みんな……!」

 

 いつのまに来ていたのだろうか。赤いマントをした自分たちの一番頼りになる彼がそこにいる、その光景を最後の最後に佐久間は視界に写した。

 

「すまない、鬼道さん。あんたが来るまで、待てなかった……」

 

 そう言い残し佐久間は今度こそ倒れた。

 

「佐久間ァァァァァッ!!」

 

 鬼道の悲痛な叫び声が静かなグランドに反響する。

 

 世宇子10-1帝国

 

 帝国学園の試合続行不可により、世宇子中の勝利。王者が姿を消した。




憑依円堂が一回も喋らなかった……
それに憑依円堂より帝国の方が主人公してる感ある……
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