憑依円堂列伝〜TS娘と時々未来人〜   作:花蕾

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未来からの助っ人

「おーい、この試合、俺も入れてくれないかな?」

 

 突如、スタジアムに声が響き渡る。周りを見渡すと、誰もいなかったはずの観客席に人影を見つけた。その人物は観客席から飛び降りフィールドに飛び降りた。

 

「剣城、来てくれたんだな!……ん?」

 

 その見覚えのある姿を見て天馬は駆け寄るが、思っていた人物ではないことに疑問符を浮かべる。

 

「俺は君の知っている京介では無い。京介の兄、剣城優一だ」

 

 彼の名は剣城優一。天馬の本来のチームメイトである剣城京介の兄である。

 

「もう歩けるんですか?」

 

 天馬の記憶では、優一は手術のリハビリ中で完治には程遠かったはずだ。しかし、観客席から飛び降りたところを見るとそのような面影はない。

 

「話は後だ、今はあいつらと戦おう」

 

「は、はい!」

 

 飲み込めない部分はあるが、味方ということは確かなはずだ。どういう形であれ優一とプレイできることを天馬は喜んだ。

 

「円堂さんに風丸さんとサッカーできるとは光栄です」

 

「ん?俺たちのことを知っているのか?」

 

「ええ、まあ、はい」

 

「その話は試合の後で。今は試合に集中しよう」

 

 優一がどういう存在か、ある程度予想立てたフェイは話を切り上げる。事実、優一の事情を話してる暇はない。

 FWだったデュプリのキモロが消え、空いたFW枠に優一が入った。

 

 プロトコル・オメガ2.0のスローインから試合が再開する。優一が瞬時奪いとる。そのままドリブルで上がっていく。

 

「そう簡単に行かせるか!!」

 

 プロトコル・オメガ2.0のDF陣が止めようと動く。が、優一は鮮やかなプレイでDFの三人をごぼう抜きにした。

 

「すげぇな……」

 

 思わず声が漏れる。それほどまでにプレイが綺麗だった。

 

「『魔戦士ペンドラゴン』!!」

 

 後はゴールキーパーのみとなったところで優一は化身を発動させた。

 

「アームド!」

 

 化身を纏った。その姿にはベータと同じくらいの圧力を感じる。

 

「天馬もできるはずだよ!やってみるんだ!」

 

「よし、やってみるよ」

 

 フェイに言われ天馬も化身を呼び出す。

 

「『魔神ペガサスアーク』!」

 

 ……ん?なんか、ペガサスアークさん髪黒いんですけど、身体赤いんですけど。

 もしかしてですけど、通常版じゃなくて映画限定の『魔神ペガサスアークR』さん……?

 

「アームド!」

 

 天馬も同じようにアームドする。

 

「で、できた……!」

 

 できないと思っていたため、天馬は驚きの声を上げる。

 

「いくよ、天馬くん」

 

「はい、優一さん!」

 

 天馬からは光のオーラが、優一からは闇のオーラがボールに注入される。オーラが入るにつれボールは浮かび上がっていく。それを飛び上がった優一と天馬が同時にキックする。

 

「「『グレートブラスター』!!!」」

 

 幻とすら言われた必殺技が放たれる。まあ、幻と言われた原因は、予告編に登場したのにも関わらず映画本編では登場しなかったからという悲しい理由なんだけど。

 

「『キーパーコマンド03(ドーンシャウト)』!」

 

 プロトコル・オメガのゴールキーパー、ザノウは今度は必殺技を使えたが、化身アームドした二人による必殺シュートには叶わずあっさりと破られてしまう。

 

「させるかよ!!」

 

 回り込んでいたベータはアームドしシュートを弾き返そうとする。

 しかし、シュートの威力は凄まじく、ザノウの必殺技で弱まっているにもかかわらずベータを吹き飛ばしゴールネットに突き刺さった。

 これで2対0。

 

 

『── 』

 

「……イエス、マスター」

 

 ベータはエルドラドから撤退の命令を受け取る。

 

「なんだ、あれ!?」

 

 上空にUFOのようなものが現れ、ベータたちを回収し姿を消した。

 

「天馬、守ったんだ……円堂守がサッカー部を作る流れを僕たちは守ったんだよ!」

 

「てことは俺たちの勝ちだ!やったー!」

 

 プロトコル・オメガ2.0の試合放棄による勝利。まあ、スコアでも2対0で勝ってるし、きちんとした勝利と言えよう。

 

 勝利の余韻に浸かりながら天馬とフェイ、優一の事情を聞く。

 天馬とフェイはプロトコル・オメガによる過去改変で消されたサッカーを取り戻すため時間旅行をしていることを話す。

 一方、優一は本来なら足の怪我でサッカーできなくなるはずだが改変の影響で怪我がなくなった。それだけで終わりなら幸せだが、そうはいかない。そのせいで弟である京介からサッカーを奪うことになってしまった。弟にサッカーを返すために動いてるとのことだ。

 

「事情はわかった!みんなサッカーを守るために戦ってるんだろ」

 

「そうです!」

 

「頑張れよ!本当なら俺もいきたいけど、俺にはやることがたくさんあるから行けねぇ」

 

 時空を超えて色んなやつと戦う。俺もしたいが、今現在問題が山積みである以上いけない。

 

「でも、どうしても俺たちの力が必要になったらまた来いよ!ぜってぇ、力になるからよ!」

 

「はい!」

 

 こうして、天馬たちは未来へと帰っていった。

 

「いやー、しっかしすごかったな!」

 

「まだ、夢を見てるみたい」

 

「ところで……」

 

「ん?どうした?」

 

 風丸が何か言いたげそうにしている。なんだ?

 

「どうやって帰るんだ?」

 

「へ?」

 

 …………

 

「ヤッベェぞ!風丸!秋!こんな時間までに外にいたら怒られちまう!」

 

 周りを見渡せばすっかりと暗い。俺はちょくちょく鉄塔広場で特訓して遅くに帰ることはあるが、ここまではない。

 結局、なけなしのお小遣いで電車に乗って帰ることになった。

 トホホホ、今月のタイヤ買えなくなった……

 

 

 

 

【エルドラド】

 

「プロトコル・オメガ2.0すら破られるとは嘆かわしい限りだ」

 

「……申し訳ありません、マスター」

 

 試合時間はまだあったが、負けは負けだ。

 

「我々は君たちの敗因を分析し決定を下した。ザノウ、ネイラ、ガウラ、ドリムを解任し『ムゲン牢獄』送りとする」

 

「マスター!」

 

 抵抗虚しく四人はムゲン牢獄へと送られていく。

 

「そしてベータも解任し、()()()に当たってもらう」

 

「別任務……?」

 

 思っていなかった展開だ。ベータは驚きの声を上げる。

 

「我々の把握していないタイムジャンプの反応が検知された。君にはその究明に向かってもらう」

 

「イエス、マスター」

 

 確かにそれは大問題だ。とはいえ、今はそんな問題に戦力を割けるほどエルドラドに余裕がない。だから、お役御免となったベータにそのお鉢が回ってきたのだろう。

 

「それで、マスター、時代は?」

 

「時代は先程と同じ。円堂守の時代だ」

 

 ◇◇◇

 

 次の日、円堂守のクラスには水色の髪をした可憐な少女が増えていた。




プロトコル・オメガ編完!
書いてみて思ったんですけど、意外とプロトコル・オメガ編難しい。エルドラドについてやら優一の説明なんかどこまですればいいのかわからない、他の人とほぼ同じ内容になるという……してない人が多いのはこれが原因かな……いつかプロトコル・オメガ側のストーリーもしたいですね。
次はオリジナル話です!よろしくお願いします
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