ベンチに戻ってきた俺たちはスポーツドリンクを飲みながら、前半の振り返りと後半の作戦について話し合う。
「二点のリードは大きい。後半は奴らも焦って攻めてくるだろう、特にあの三兄弟はな」
「なるほどな」
焦りからくる三兄弟と他面子とのコンビネーションの綻びを狙うつもりか。前半でも三兄弟と他で足並みが揃ってないところはあったしな。
「それに奴らはあの必殺技を見せていない」
「トライアングルZか」
あの三兄弟による連携技、トライアングルZ。河川敷では止めれたが、あのときは本気を出していなかったはず。バックトルネード同様、技進化をしているならかなり強力だ。
それを打つために、三兄弟が多少強引な攻めをしてくる可能性は高い。
「後半は奴らの連携の隙を突き、トライペガサス、イナズマブレイクで追加点を狙っていくぞ」
「さあ、決勝に進むのは雷門か、それとも木戸川清修か!運命の後半開始です!」
こちら側からのキックオフ。豪炎寺、染岡、マックスがパスを回し三兄弟を躱す。だが、その先には木戸川のMF陣が待ち構えていた。
「「「『ハリケーンアロー』!!」」」
木戸川のMF、茂木、跳山、屋形が竜巻を作り出し、その風力で浮き上がったマックスを連続でタックルしてボールを奪いとる。
「くるぞ!」
「そろそろ見せてやろうじゃん!」
ボールを奪取した跳山はそのまま、勝へとパスを繋ぐ。受け取った勝は走り出す、その後ろには友、努の姿が。
「「「『トライアングルZ改』!!」」」
勝、友、努が連続で蹴り、最後は独特なポーズを決める。やはり、トライアングルZも進化していたか。
「『マジン・ザ・ハンド改』!」
俺の背後に現れた魔神がシュートを止めんと右手を突き出す。前回はこれで止めれたが、
「ぐっ……うわぁぁぁっ!」
今回の結果は違った。魔神が押し負け、ボールはゴールの中へと入っていた。
「ゴール!木戸川清修、武方三兄弟の連携技、トライアングルZで一点を奪い返したぁぁ!!」
くそ、止めれなかった。次は必ず止めてみせる。
試合再開。すぐに努がボールを奪い上がろうとするが、鬼道の指示で動いたマックスたちにより進路が塞がれる。しかたなく勝にパスを回すが、そこを狙って鬼道がスライディングをしかける。そのため、勝は慌ててシュートをする。
「これは正面!円堂、しっかりキャッチ!」
「よし、もう一回行くぞ」
キャッチしたボールをそのまま一之瀬へ。そのまま上がっていく。それに追随するように俺、土門もまた敵陣地へと切り込んでいく。
「俺の目の前でそう何度もやらせはしないぞ!『スピニングカットV3』!」
俺たちの前に現れたのは西垣。俺たちの進路に向けて足を振るい衝撃波の壁を生み出す。突如現れたそれに、俺たちは吹き飛ばされる。
「ペガサスの羽が折れたな」
西垣は弾かれたボールを拾い中盤へ繋ぐ。受け取った茂木はドリブルで雷門陣内まで進み、ペナルティエリア前にいる勝へとパスを出す。
「なっ!」
「なんと、FWの豪炎寺がいつのまにか守備に下がっていた!このまま木戸川陣内へ切り込む!」
「染岡!」
染岡がマークを振り切り、豪炎寺からのパスを受ける。そのまま連携シュートでゴールを狙う。
「『ドラゴン──」
「──トルネード』!!」
「『タフネスブロック』!」
しかし、それは軟山が身体を張って大きく弾く。ボールは空中へと浮き、その落下予想地点へ木戸川メンバーが動く。だが、ボールが地につくことはなかった。
「まだだよ。『天空の刃』!」
アフロディが飛び上がり、浮いたボールをゴールへ押し出す。一回シュートを止め油断していた軟山は必殺技の発動が間に合わない。なんとかボールに向かって飛び上がるが、触れることもできずゴールネットへ。
「ゴール!一度弾かれたボールにアフロディが素晴らしい反応で食らいつき追加点を上げた!三対一、雷門が再び木戸川清修を突き放したぁぁ!」
「『クロスドライブ』!」
「『タフネスブロック』!」
「『ハリケーンアロー』!!」
「『バックトルネード改』!」
両者果敢に攻防を繰り広げる。追いつきたい木戸川清修、リードがあるものの油断を切らさない雷門、どちらも一歩も引かぬ状況が続く。
「俺たちが最強だと!」
「勝って証明するんだ!」
「うおおおおおっ!!」
そんな中飛び出してきたのは、武方三兄弟。鬼道からボールを奪いとり凄まじい勢いで走り、シュートを放つ。
「「「『真トライアングルZ』!!!」」」
極限にまで高められた彼らの熱量に応えるかのように、そのシュートは進化した。
「『風神・雷神』!!」
俺はそのシュートに二体の魔神を出現させ対抗する。二点のリードはある、だがこのシュートは必ず止めなくてはならない。
「それがみんなのゴールを預かるキーパーってもんだ!」
「円堂!」
「俺達も一緒に止めるっス!」
俺が踏ん張っていると、風丸と壁山が後ろにつき両肩を支える。
「お前ら……よし、いくぞ!」
それに呼応するかのように、色褪せ始めていた二体の魔神は色を取り戻し、シュートの勢いで引っ込み始めていた腕を再度伸ばした。そして、しばらくのぶつかり合いの末、ボールは俺の両手の中に煙を上げながら収まった。
「と、止めた!木戸川清修のトライアングルZを三人がかりで防ぎました!そして、ボールは円堂から豪炎寺に渡ったぁ!今度は雷門が木戸川清修に攻めかかる!」
「やらせないっしょ!」
豪炎寺が上がるが、素早く戻っていた三兄弟が進路を塞ぐ。それを見て豪炎寺はふっ、と笑いボールを後ろに下げた。
「何っ!?」
「行け!トライペガサスだ!」
「っ!ああ!」
一之瀬も一瞬戸惑ったもののすぐさま行動に移す。上がってきた俺、土門に合わせ一之瀬も走り始める。
「トライペガサスはやらせない!『スピニングカットV3』!」
またもや、俺たちの進行方向に青い壁が現れる。だが、俺たちの足が止まることはなかった。突き抜けるように壁から飛び出し俺たちは交差する。蒼炎が噴き出し、そして、鮮やかなな橙色へ変化する。そして、橙炎は巨鳥を形成する。俺たちがボールを同時に蹴ると、巨鳥はその力に導かれるようにゴールへ進んでいく。
「冗談じゃないっしょ!」
「このままじゃ僕たちは終われない!!」
「決めさせてたまるかッ!!」
三兄弟が止めに入るが、それを物ともしない。三人を薙ぎ倒し、ゴールキーパーすらも吹き飛ばしゴールへと突き刺さった。
「ゴール!雷門、新たな必殺技でゴールをこじ開けた!!ここで試合終了!四対一、雷門中が40年ぶりに決勝進出だぁ!!」
試合終了と同時にみんなが歓声を上げる。それにより、勝ったという事実が脳内に入っていき、緊張の糸が外れその場にへたり込む。
「勝ったんだな……」
「ああ、勝ったんだよ、円堂」
一之瀬と土門と会話を交わしていると、木戸川清修の一人が声をかけてきた。西垣だ。
「やられたよ、完敗だ。最後のは素晴らしい技だった。あれはお前たちと円堂の技、ザ・フェニックスだ」
「フェニックス、不死鳥か。一之瀬にはぴったりだな」
そうして互いの健闘を讃えあった。
他の方をチラリと見れば、豪炎寺と三兄弟、二階堂さんが会話してるのが見える。恐らく去年の真実だったり色々なことを話しているのだろう。それで彼らの間にあった確執がなくなるのなら喜ばしいことだ。
こうして、木戸川清修との戦いに幕が降りた。次は決勝戦、気を抜かないようにいこう。
「オペレーションサンダーブレイク第二段階、オペレーションオーガへと移行せよ!」
鬼がその力を振るう日は近い。
次回は尾刈斗戦ぶりの未来要素。ちなみに、現状憑依円堂くんはオーガが来ることは知りません、可愛そうに