憑依円堂列伝〜TS娘と時々未来人〜   作:花蕾

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神をも喰らう鬼

「おーっと、なんということでしょうか!我々の目の前には信じられない光景が広がっております!」

 

 フットボールフロンティアBブロック準決勝。Aブロックを勝ち抜いた雷門に続き、どの中学が決勝に勝ち進むのか、それを見に多くの観客がスタジアムに駆けつけていた。

 その試合は、悲惨の一言でしか表せなかった。グランドにあちこちは抉れ黒煙が立ち込め、バーがへし折れたゴール、倒れ伏す多くの選手、その光景に観客たちは小さな悲鳴を上げる。

 

「よ、45対0!あ、あの帝国を大量得点で破ったダークホース、世宇子中が手も足も出ない、まさかの準決勝敗退!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「世宇子中が破れただと!それにあいつらはそんな大量得点を許すようなチームじゃなかったはずだ!」

 

「相手は一体どこのチームだ?」

 

 帰宅途中に飛び込んできたニュースに鬼道は声を荒げ、豪炎寺は冷静に相手を問う。

 

「──王牙学園だ」

 

「っ!?」

 

「王牙学園……そんな名前のチーム、開会式のときいたか?」

 

 告げられたチーム名に俺は息を呑む。その隣では、聞き慣れないチーム名に染岡が疑問の声を上げていた。

 聞いたことがないのは当たり前だ。王牙学園、いや、()()()はこの時代に存在するものではない。彼らの正体は、今より八十年後の未来からきた()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。その実力は圧倒的、国家代表のチームすら軽々と超えるチームだ。

 

「王牙学園……」

 

 予想だにしていなかった相手に俺は途方に暮れた。頼むから未来に帰ってくれ。くるならこちらの準備が整ってからにしてくれ、頼むから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ついにやってまいりました、フットボールフロンティア決勝戦!ついに日本一を決める試合が始まります!どんな試合を見せてくれるのかぁ!!」

 

 スタジアム入りした俺たちは円陣を組み志気を高める。ついにやってきた決勝当日、いや、やってきてしまったというのが正しい表現だろう。やれることはしてきたが、この実力差だ、嫌な気分にもなる。だが、そんなことでくよくよ言ってる暇はない。できる限りの最高のプレイをしよう。

 

 そうこうしているうちに暗雲が垂れ込め陽の光が遮られる。先程までは絶好の晴天だったがいきなり変化し、その明らかな異常気象に観客は不安の声を上げる。そして、次の瞬間、雷がグランドに落ちる。

 

「見ろ!」

 

 鬼道の声に従い空を見上げれば、そこには鬼の紋章があった。その紋章が妖し気に光りスタジアムを包み込む。

 

「これは……どうしたことでしょう。フロンティアスタジアムが一瞬にして別のスタジアムになってしまいました!!」

 

 スタジアムには先程の紋章と似た大きな建物やマークを写したようなものが浮いており、異様な雰囲気を醸し出していた。

 

「おおっと、あれは!」

 

 さらにグランドの方を向けば、九人の男たちが鋭い視線をこちらに送っていた。そう彼らがオーガだ。

 

 センターラインに両チームが整列する。本来ならその後、両キャプテンの握手やらがあるのだが、オーガのキャプテンであるバダップ・スリードがこれを拒否。理由は、戦場で敵と馴れ合う必要がないからだそうだ。サッカーの試合で戦場と言われてもうん?と思ってしまうが、この世界に限ってはそんなに違わないような気もしなくもない。

 

「戦闘準備、散開せよ」

 

 バダップに従い、他八名が姿勢を正す。そして、腕を腰の位置で曲げ一定の速度で動きそれぞれのポジションへ移動する。

 こちらも戸惑いつつ、ポジションにつく。今回は木戸川清修戦と同じだ。いつも通りの豪炎寺と染岡のツートップに加え、MFは鬼道、アフロディ、一之瀬、マックスといった攻守どちらにも秀でている選手で固められている。そのため、かなり柔軟性が高い戦い方ができるだろう。

 

「了解、フェイズIIスタート」

 

 バダップがそう言うと、オーガの服が軍服からユニフォームへと一瞬にして変わった。

 両チームが準備できたことを確認した審判がホイッスルを鳴らし、開始を告げる。ついに雷門と未来からの侵略者との試合が始まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キラード博士、俺もう行きます!」

 

「待ってください、カノンくん」

 

 飛び出そうとしたバンダナの少年を通信機の先にいる人物が止める。

 

「まだ準備が終わっていません。カノン、あなたに頼んで連れてきてもらった方々の存在証明やらにまだ時間がかかります」

 

「そんな!?」

 

 少年は理由を聞き、声を上げる。しかし、しょうがないことなのだ。少年たちが声をかけた人物たちは平行世界の特異点であり、この世界線では存在していない人物たち。そのため、本来予定していた準備だけでは足らず追加の作業を行っているところなのだ。それが終わるのが早くて試合の前半終了、遅くて後半終了10分前だ。

 

「曾祖父ちゃん……」

 

 少年、カノンは祈った、どうか耐えていてくれ必ず助けにいくから、と。

 そして、時を同じくしてベンチの彼女もまた動き始めていた。

 

「彼らが……へぇ、なるほどなるほど……とりあえず、こちらを手伝ってしまいましょうか。お楽しみはその後ということで」




よ、ようやく決勝戦開始です、長かった……
次回もお楽しみに


明日からイナイレ杯スタートするのでよろしかったら是非!
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