「──『ダークネス・サクリファイスハンド』」
織部が展開した黒骨の手に死槍と化したボールが牙を剥く。
まず、突き刺した先端の部分が粉々になった。次に正面から受け止めていた甲の部分が悍ましい音を立てながら削られていった。そして、最後に骨手の中から出てきた黒い手がボールを
「と、止めた……?止めたぁぁぁぁぁぁぁぁ!キーパー織部、バダップのデススピアーを見事止めました!!」
「なん、だと……!」
織部は顔を歪めたバダップを見て鼻を鳴らす。そして、ボールを織部からカノンの足元へと投げる。
「俺たちは信じてる……曾祖父ちゃんたちのサッカーを!」
「ああ、そうだ、繋ぐんだ」
「未来へ!」
「俺たちの」
「「「「「「「「「サッカーを!」」」」」」」」」
アフロディにさらにボールが回る。そして、彼女を囲うような陣形で全員でオーガ陣営へと切り込んでいく。
「このボールは渡さないよ」
止めに入ったサンダユウたち相手にアフロディは不敵な笑みを浮かべ指をパチンと鳴らす。その瞬間、
「『真ヘブンズタイム』!」
静止した世界の中、アフロディはただ一人足を動かす。そして、再度時が動き出すと同時にオーガディフェンス陣を突風が襲う。
「いけ、円堂くん、鬼道くん、豪炎寺くん!」
そして、ボールをアフロディが上げる。それと同時に俺、鬼道、豪炎寺が飛び上がる。
ボールに降りかかるは紫電。それから感じられるパワーは千羽山戦の時の比ではない。そして、それを三人で
「「「『イナズマブレイク
シュートの余波からザゴメルはすぐさま理解する、これはエレキトラップでは止められない、と。そして、判断する、あの技を使うしかない、と。
そうしてからは早い。ザゴメルの背中から何かが蠢き飛び出した。その正体は二人の小柄な選手。試合開始からずっとザゴメルのユニフォームの中に隠れていたのだ。
飛び出した二人がザゴメルの両手に乗っかる。そして、二人の頭をぶつけるように乱暴に接続し強烈な電撃を発生させる。
「『ハイボルテージ』!」
電撃の壁を持ってシュートを迎えうつ。予想よりも数段高い威力にザゴメルは顔を顰める。だが、それでもザゴメルの方がほんの少し上だった。完璧に止めることは叶わなかったが、弾くことに成功、姿勢が崩れつつもザゴメルは豪快な笑みを浮かべたまま落ちていく。
そして次の瞬間、彼の笑みは凍りついた。
「もう駄目じゃないですか、止めたら」
弾かれたボールの先にいたのは紅菊。落ちてくるボールに合わせて右足を振り抜く。減速することなく直線に最短距離を進んでいくボールに、先程の必殺技のノックバックで体制を崩した状態のザゴメルは追いつけない。ゴールネットが小さく揺れた。
「まだまだ!」
試合再開と共にボールを加賀美が奪いとる。そして、豪炎寺と鬼道と合わせて三人でトライアングルの形で上がっていく。ある程度上がったところで加賀美がボールを踏み抜き雄叫びを上げ、全身から力を注ぐ。
「『ライトニングブラスター』!!」
巨大な雷の球体となったボールを両足で撃ち出す。加賀美の渾身の力が込められたシュートは轟音を響かせながら進んでいく。
「修也!鬼道!」
「「おう!」」
二人が呼びかけに応じる。それと同時にボールざ青く輝くエネルギーを纏っていく。飛び上がり豪炎寺と鬼道が左右から同時に蹴る。
「『プライム──」
「──レジェンド』!!」
「『ハイボルテージ』!」
極上の伝説の名を冠した必殺技をザゴメルたちは雷の壁を用いて対抗する。だが、抵抗できたのほんの一瞬。壁は直ぐに壊れボールはゴールネットに突き刺さった。
「『スカーレッドブレイズ』!」
今度は亜門が炎を発生させエスカバからボールを奪いさる。そのままサイドを駆け上がる。それを止めんと正面からダイッコ、ブボーが抑えに入り、さらには後ろからはサンダユウが挟み込む。
「よっと」
まずは背後のサンダユウのスライディングを軽くジャンプで避ける。飛び上がった亜門目掛けてブボーが突撃する。それも身体を捻ることで避ける。地に足がつきそうなタイミングで、ダイッコがタックルを仕掛ける。しかしながら、それも読んでいた。タックルの直前で、先に視線で合図を送っていた鬼道にボールを逃す。そして、亜門は姿勢を崩しながらタックルを受け流し鬼道から戻ってきたボールを足に収める。
「さあ──いくぞ」
亜門が口笛を鳴らす。それに呼応するように彼の後ろから真っ赤な火柱と鮮やかな水柱が上がる。その中から現れたのは悪魔とシャチ、正確には彼の中に宿った者たちの分身。
彼らがボールを中心に三角形の力場を作り出す。激しく燃え上がる炎の豪快なエネルギー、全てを流れ落とさんとする水の神秘なる力、両パワーを亜門は回転上昇しながら混ぜ合わせる。それを上空から蹴り落とす。地面に向かっていくボールに向かって二体の分身が走り込んでいく。
「『ザ・トリニティ』!!」
「『真エレキトラップ』!」
その三位一体の必殺技を前に、ザゴメルは普段より早いタイミングでエレキトラップを発動させる。悠々とそれは突破されるが、それは承知の上。
では、なぜエレキトラップのタイミングが通常と違ったのか。
「『真ニードルハンマー』!!」
ニードルハンマーの射程を稼ぐためだ。ニードルハンマーという技の飛び上がって拳を叩きつけるという性質上、この技にはボールとの距離がある程度必要だったのだ。
それがザゴメル個人にできる精一杯だった。しかし、それでは止まらない。
「うぐっ…………ウガァァァァァァッ!!」
ザゴメルの腕は弾き返されボールは顔に直撃、そして、そのままゴールへ叩きつけられた。
6-6。オーガの首元に雷門の牙がようやくたどり着いた。
地味にヘブンズタイム初お披露目回。
リアルの都合で三月初めまで基本更新がありません、申し訳ありません