憑依円堂列伝〜TS娘と時々未来人〜   作:花蕾

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お久しぶりです。遅れてしまい申し訳ありませんでした。


鬼を超えろ

「円堂、守……!」

 

 バダップはこの苦々しい状況の最たる原因に、煮えたぎる怒りと底冷えする声を漏らす。今すぐあの男を直接排除してしまいたい、そんな考えが頭に浮かぶ。しかし、だめだ。そんなことをしてしまえば、

 

(()()()()()()()()()()()()())

 

 どういうわけかわからないが、今回のターゲットである円堂守に対しサッカー以外の方法を用いた場合時空が不安定になり世界が滅びてしまうのだ。その現象は、ヒビキ提督含めた革新派が総出で何度も計算とシュミレーションを重ねた上で覆ることがなかった。

 この世界に存在する他の特異点、松風天馬や稲森明日人にも同じ傾向が見られたが、円堂守がその中で最も酷かったのだ。流石にターゲットを排除できたとしても世界がなくなってしまっては意味がないため、バダップたちは仕方なくサッカーという手段を用いることになった。

 

 ただ、円堂守を直接排除できる方法が存在しないわけではない。

 

「「「『デスブレイク』!!!」」」

 

 ──試合中における直接攻撃、いわゆる()()()()()である。

 バダップが空中に蹴り上げたボールは血のような赤黒色の棘に覆われる。そして、追うように飛んだミストレ、エスカバと共に逆三角形のフォーメーションで同時に打ち出した。モーションはイナズマブレイクと似ているが、全くの別物で真逆の立ち位置のこのシュートは禍々しいエネルギーを伴い地面を抉りながら進んでいく。

 

「サッカーを捨てろッ!円堂守ゥゥゥ!捨てるのだぁぁぁぁぁ!」

 

 その言葉と同時に、シュートの威力が増大したかのように感じる。いや、事実しているのだろう。その証拠にボールから鬼のようなオーラが飛び出している。みんなが止めようと接近を試みるが、その全てが失敗に終わる。

 シュートの進行先はゴールではなく、俺。今はキーパーではないため、当然手は使えない。とはいえ、手を使えたとして止めれる保証はどこにもない。

 ゴクリと唾を飲み、無意識に足が下がっていく。しかし、その後退りはすぐに止まることになる。

 

 

 …………テン

 

 …………プテン

 

「キャプテン!!」

 

 皆の声が聞こえる、こんな紛い物の俺を信じてくれる声が。ならば応えなくては。

 

「スゥーっ、よし!」

 

 深呼吸して固まっていた身体を脱力させ筋肉をほぐす。そして、頬をバシーンと叩きマイナスなイメージを追い出す。

 

「さあ、こい!」

 

 必ず止めてみせる、その意志はエネルギーとなりて俺の身体に宿る。その証拠に背中から炎が飛び出していた。

 カノンはそれを見て化身であると結論づけようとした。だが、すぐさまその考え方を改めた。

 

(()()…………?)

 

 今カノンの目に写っているのは純白の炎だった。

 化身の兆候は、その強大な力を誇示するかのような荒々しい紫炎である。それに比べてどうだ。白炎は穏やかに揺れているがどこか力強さを感じさせ、その純真さは神々しい。違っているのは火を見るより明らかである。

 その異質な力を円堂守自身も感じ取っていた。それは無意識であったため、力の本質を正しく理解できなかった。だが、扱い方だけは本能的に把握した。

 

 放出した白炎を取り込み、身体の中心部、心臓に集中させる。無造作に放出されていたエネルギーは一点に集まることで活性化していく。そして、俺はそれを一気に解放させる。

 心臓部から放出された白炎は、円堂守が最も作りなれた形である巨大な手へと変化していた。その白き手はシュートを掴み、白炎を中和するようにボールに注いでいく。

 

「サッカーを捨てろ、円堂守ゥゥゥゥゥゥ!」

 

「捨てて、たまるかッ!」

 

 バダップの叫びに呼応してシュートの威力が、俺の叫びに呼応して注がれる炎の勢いが増していく。

 

「「「「オオオオオオオオオオオッ!!」」」」

 

 俺、バダップ、エスカバ、ミストレの四者の雄叫びがスタジアムに響く。

 

「まだ、まだ……!」

 

 単純に考えれば一対三のパワー勝負。俺が押されていくのは当然の摂理だ。

 

「もっとだ……、もっともっとォォォォ!」

 

 身体の奥底からエネルギーを搾り出す。まだ空っぽじゃない。後のことなんて考えるな。ここで全て使い果たすのだ。

 その搾り出された炎は膨張し、シュートを押されている白き手からすらはみだしスタジアム全体を覆い尽くす。全員がその眩さに視界を塞ぎ、次に来るである熱量に身構える。しかし、それが来ることはなかった。逆に感じたのは優しさに包まれているかのような心地よさ。それに身を任せるかのように人々は、オーガすらも身体から力が抜けていく。

 

 そして、いつしかボールの回転音は消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゆっくりと落ちてくるボールを胸でトラップする。足元に静かに落ちたボールの重みを感じ、無意識にゆっくりとドリブルを開始する。

 

「はっ、みんな、円堂に続け!」

 

 俺のドリブルに気づいたことで炎の安らぎからいち早く脱却した鬼道が、周りへ慌てて指示を出す。それに合わせてまたオーガも我に返りディフェンスへと動く。

 俺から鬼道にボールが渡る。イリュージョンボールでサンダユウを突破、そのまま風丸へパス。ダイッコが突進で奪おうとするが、疾風ダッシュで鮮やかに躱す。

 

「豪炎寺!」

 

 高く上げられたボールはゲボーの小柄な身体では届かず、また彼のデーモンカットの影響範囲外だ。ファイアトルネードの要領で高く飛びそのまま地面に撃ち落とす。落下地点にいたのは加賀美。近くにいたブボーがスライディングを仕掛けるもののジャンプで避け、ボールを繋いでいく。

 

「「「『シグマゾーン』!」」」

 

 ドラッヘたちが連携技で仕掛ける。三方向から襲いくるオーガメンバーに対し、亜門はただ動かず足に力を込めボールを踏みつける。

 

「き、貴様……!」

 

「力比べはこんなもんだろっ!」

 

 その立ち振る舞いはさながら不動明王。攻撃したドラッヘたちが逆に吹き飛ばされる結果で終わる。

 

 そうして、またボールが紡がれていく。亜門からカノンへ、カノンからアフロディへ、どんどん。

 

「キャプテン!」

 

 そして、繋がったボールは紅菊から俺へと戻ってきた。

 

「カノン!」

 

「うん、行こう、曾祖父ちゃん!」

 

 俺とカノンを中心に黄金の気の円が現れ、足にエネルギーが注入されていく。そこから感じる、みんなからの思い、サッカーへの気持ちに、カノンと顔を見合わせて笑う。

 円から全てのエネルギーを力に変換し終えると同時に俺とカノンはボールを勢いよく振り抜いた。

 

「「『オメガ・ザ・キャノン』!!」」

 

 光となったボールは、ニードルハンマーで対抗したザゴメルを吹き飛ばしゴールネットへ突き刺さった。




憑依円堂の白炎は裏設定(何話か前に前書きで再upしてきた、って言ったもの)に関係するものです。これについての詳細な情報は今後のストーリーで解明していく感じです。というかがっつり関わるとこがあります、大分先だけど。そこら辺も楽しみに待っていただけたら、と思います。

次回、エピローグ(予定)

オリジナル技
・オメガ・ザ・キャノン
シュート技 属性 山 二人技
憑依円堂とその子孫であるカノンの二人による連携シュート。
名前からわかる通りオメガ・ザ・ハンドをシュート技に応用したものである。元技のように莫大な気を集め、それを二人で一気に解放しゴールへ叩き込む。
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