憑依円堂列伝〜TS娘と時々未来人〜   作:花蕾

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事故

「円堂くん、走って!試合始まっちゃうよ!」

 

「おわぁぁ、急げ!急げ!」

 

 今日はフットボールフロンティア決勝戦。

 中学サッカー界一を決める試合である。

 そして、その熱い試合の日に、俺は遅れた。

 

 フットボールフロンティアスタジアムまであと一つの信号。赤から青に変わり、俺たちと同じように多くの人たちがフットボールフロンティアスタジアムへと足を進める。

 そんなときだった、車用信号が赤なのにトラックが突っ込んできたのは。

 

「まずい!秋!」

 

「円堂くん!?」

 

 そのトラックの軌道上に一人の少女がいる。周りは突っ込んでくるトラックによる驚きか恐怖で動けない。

 秋に鞄を渡し、俺は近くの電柱を足場にして自身を押し出す。

 

「『かっとびディフェンス』!!」

 

 本来この技は二人技だ。足の裏を合わせ押し出すことで弾丸のようなスピードでブロックする技だ。

 しかし、今回踏み台にしたのは電柱。思ったよりスピードはでない。

 

「掴まれ!」

 

「う、うん!」

 

 トラックが衝突するギリギリで到達する。

 少女を抱き抱える。そして、次の瞬間俺の身体は強い衝撃を受けてアスファルトに投げ出された。

 意識が遠のいていく。最後に見たのは痛みで泣き出した少女の顔と駆け寄ってくる秋の姿だった。

 

 

 

 

 

【稲妻総合病院】

 

「試合に間に合わないっ!?……へ?」

 

 無機質なベッドの上で目を覚ました。周りを見れば秋と風丸が俺の手を握りながら寝ていた。

 部屋の時計を見れば既に針は12時を回っていた。

 そこで自分がトラックに轢かれたことを思い出した。

 

(やっちまった……)

 

 俺は知っていた、この事故が起こることを。

 この事故は帝国学園の総帥、影山零治が仕掛けたものだ。

 俺が助けた少女、豪炎寺夕香をトラックで轢き、彼女の兄である木戸川清修中のエースストライカー、豪炎寺修也を欠場させ帝国学園の優勝を確実にする。それが影山の狙いだ。

 まあ、この事故で豪炎寺が転校することで雷門中サッカー部のストーリーが始まり影山の策略がことごとく潰されることになるのだが。

 

 それを防ぐことを目的に動いていたが、自分が轢かれるつもりはなかった。助けにいって自分が怪我をするなんて本末転倒だ。

 まあ、治療のあとを見る限り、そこまで長引きそうなものがないのは幸いだ。

 

 

 

 

 

「全治二ヶ月です」

 

 意外と重症じゃねぇか。

 医師の説明を聞く。手術をする必要はないらしい。

 

「二ヶ月もサッカーできないのかぁ」

 

 雷門中サッカー部も人数が増えていきミニゲームができるぐらいにはなった。最近だと、マネージャー兼監督?の紅菊さんも加入したことで練習も効率化した。上達していく手応えを感じはじめたところだったので残念だ。

 

 サッカーができないことを嘆いていると、俺の病室の扉がノックされる。

 

「どうぞ?」

 

「失礼する」

 

 開かれた扉の先にいたのは、炎のストライカー、豪炎寺だった。

 

「久しぶりだな」

 

「ん、ああ」

 

 この言葉から分かる通り、俺と豪炎寺は知り合いだ。小学生大会で幾度か顔を合わせている。

 

「妹を助けてくれてありがとう」

 

「はは、気にすることはないさ」

 

「いや、そうもいかない。円堂に怪我をさせてしまった」

 

「だから、気にすんなって。それでお前の妹さんの方は」

 

 気にしないように再度伝えたあと、夕香ちゃんの状況を聞く。俺が意識を失う前に見た感じはそこまでの大怪我にはなっていなかったはずだ。

 

「円堂が庇ってくれたおかげで命に関わりはないようだ」

 

「ならよかった」

 

 ふぅ、ひとまず目的達成。豪炎寺が雷門に来ないかもしれないがなんとかなるだろう。体験版だと染岡もファイアトルネード打てたし

 

 

 その後、豪炎寺に連れられ夕香ちゃんにも会った。意識ははっきりしており元気だったのでよかった。

 

 

 ◇◇◇◇

 

 次の日

 

「木戸川清修から転校してきました、豪炎寺修也です。よろしくお願いします」

 

 なんで????

 

「円堂、入部届けだ」

 

「お、おう、っていや、どうして雷門に?」

 

「夕香のためだ」

 

 ん?どういうことだ?夕香ちゃんはそこまでの怪我じゃないはずだけど

 

「大事を取って夕香は病院にしばらくの間、入院することになった。父が病院にいると言っても忙しいし、フクさんに毎日来てもらうわけにはいかないしな。だから、俺が側にいれるように雷門中に転校してきたんだ」

 

 たしかに稲妻総合病院と雷門中は目と鼻の先だ。なにかあったときを考えれば妥当だろう。

 

「なるほどな。ところで木戸川清修の人たちには言ったのか?」

 

「…………」

 

「おい」

 

 そっぽを向いた感じ、話していないだろう。

 

「じゃあ、後で電話とかで」

 

「あいつらの電話番号は知らない」

 

「なんでだよっ!?」

 

 詳しく話を聞くと仲が悪かったわけではないようだ。

 豪炎寺は名門木戸川清修中のスタメンだ。必然的に周りは歳上ばかりとなる。一応、一軍に数人同級生がいたらしいが……どこの三兄弟だろう。

 そのせいか、電話番号交換するほどではなかったということだ。

 

「まあ、どっかで会ったら伝えるんだぞ」

 

「ああ、そのつもりだ」

 

 サッカー部部室に連れていったあと、染岡とストライカーの座をかけて対決することになるのだが、それは別の話。

 

 

 

 ちなみに俺の怪我が治る頃には、二人とも仲良くなってたし、染岡はファイアトルネードを覚えていた。

 マジか




正直難産だった。豪炎寺の苦悩は原作に比べると大分和らいでます。夕香ちゃん、笑顔で過ごしてるし。

染岡さんがファイアトルネードを覚えたのは本編で言った通り体験版ネタです。製品版と結構違いがあって面白いです
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