憑依円堂列伝〜TS娘と時々未来人〜   作:花蕾

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お久しぶりです……遅れてしまい申し訳ないです……


エイリア襲来

「お久しぶりですね」

 

「……覚えていたのね」

 

 数年ぶりの再会に言葉を交わす。しかし、その言葉のトーンはどこか低い。

 

「あの子たちのことを忘れていてくれたら、なんて考えたものだけれども、そう理想通りにはいかないものね」

 

 そんな表情をする彼女を見るのは初めてだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やってない試合について問われるのはきつかったな……」

 

 カノンたちが帰った後、オーガがいた形跡はすっかり消えた。俺たちがオーガとしたはずの試合の生中継映像には世宇子中のメンバーの姿へと変わっていた。

 そのため、試合後のインタビューでは世宇子中についてのことを聞かれ苦労した。

 

「いや、おまえはがむしゃらにやってて覚えてない、でなんとかなっただろ。鬼道の方がよっぽど大変だったはずだろう」

 

「まあな」

 

 言う通り、俺は極限状態で覚えていない、で逃げ切ったものの、司令塔である鬼道はそうもいかなかった。写真撮影とインタビューの間の時間に試合映像を見返し応答していた。

 そして、その当人である鬼道はこの場にいない。フットボールフロンティア優勝を帝国学園の皆に報告しにいくということで、雷門中に戻っている俺たちと別行動をしている。また、豪炎寺は夕香ちゃんのところへ、一之瀬と土門、木野は西垣に報告するために木戸川清修中へと行っていて、アフロディは世宇子関連で再度鬼瓦さんについて行っている。

 

「もうそろそろつくわよ」

 

 そう夏未に言われ、バスの窓から外を見ると雷門中のシンボルであるイナズママークが視認できる位置まで辿り着いていた。

 優勝トロフィーではしゃいでいた者たちもその校舎の姿を確認し、その次の瞬間、雷門中校舎に何かが墜落した。

 

「なっ」

 

 驚愕の声をあげる間も無く、墜落地である雷門中を中心に激しい爆発が轟音と爆風と共に起こった。

 

 そう、きてしまったのだ、彼らが。

 俺はアレスルートの世界線である可能性も捨てきれていなかったが、こうなってしまった以上確定だろう。

『エイリア学園』の襲来である。

 

 

 エイリア学園──

 

 それは、異星エイリアから現れた星の使徒。

 力を示すため、全国各地にある中学校を襲い彼らが地球の秩序としたサッカーで勝負を挑んでくる。負ければ学校そのものを破壊して去っていく悪の宇宙人である。

 

 

 

 

 

 というのが、表向きの話である。実際には彼らは宇宙人ではない。というか、地球の秩序を決めるための勝負がサッカーってなんだよ……

 本当の正体はとある孤児院にいた子供たちであり、俺の古い友人たちだ。

 

 

【数年前 とある孤児院】

 

「おーい、ボールそっちいったぞ」

 

「まもれー!」

 

 当時俺は夏休み親戚の家を訪れていた。しかし、そこには俺と同年代の小学生や趣味が合うような人もいなかったため、親戚の家を抜け出し近くにあった孤児院の子供たちと遊んでいた。そこには、サッカーをしていた子供たちが一定数おり最初はその面子と遊んでいた。初めて見る俺の姿が珍しかったのか、他の孤児院のメンバーも徐々に参加していき、その結果……

 

「『グレネードショット』!」

 

「うおっ!すごいな、もう必殺技が使えるなんて」

 

「でも、ゴールに入らない」

 

「当たり前だ。そうそう安安と入れさせないぞ」

 

「次こそは入れる。もう一回……!」

 

「何回してんだ!次は俺の番だ!」

 

「いや、違う、私の番だ!」

 

 孤児院ではサッカーが一大ブームになっていた。孤児院内でやってないやつはいないというぐらいブームになっていた。

 いや、正直ここまでなるとは思ってなかった。せいぜいミニゲームができる程度の人数になればいいなぁぐらいだった。それが、今や小さな大会だったら開けるくらいの人数へとなっている。サッカーが好きな人が増えるのは嬉しいが、強敵として立ちはだかる可能性が高い彼らのパワーアップになっているのも事実であり形容し難い感情に襲われる。小学生だった俺は悩んだ挙句、未来の俺がなんとかするだろうの精神で問題を先送りにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先送りにしてどうにかなる問題ではない。過去を振り返った俺は頭を抱えた。

 記憶の中にあるエイリア学園との戦いで初勝利となる試合は、相手がサッカーの戦術をあまり知らないという穴をついて勝利する形だった。しかし、俺のせいでそれは実現不可能となった。控えめに言って馬鹿である。後悔先に立たずとはこういうことを言うのだろう。

 

「ついたぞ、円堂。考えごとしてないでいくぞ!」

 

「ん、おお、わ、わかった。すぐ行く!」

 

 気づいたら雷門中についており他のメンバーは既に降りていた。俺を待ってくれた風丸に軽い感謝を伝え雷門中に走り込む。

 そこで見たのは、崩れ落ちた校舎に体育館、真っ二つに折割かれたイナズママーク、そしてグランドに倒れ込んだ伝説のイナズマイレブン の面々だった。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「ひ、ひどい……」

 

 俺たちに気づいた彼らは、宇宙人が攻めてきたと話す。半田や栗松は震えた声で冗談だろ、というが、校舎が崩れ去っており会田さんたちがそんな嘘をつくような人物ではないということからそれ以上の反論の言葉がでてこない。

 そんな中、黒いボールが飛来してきた。それが一瞬光ると、三つの人影が現れていた。

 身に纏っている服は宇宙服を思わせるデザインであり、非現実的な登場の仕方も合わせ宇宙人ということに説得力が増す。

 それから先は知った流れであった。雷門中に降り立った彼らは自身の目的を話し、俺たちの部室を目の前で破壊していった。そのまま途方に暮れていると、俺と夏未の携帯から着信音が鳴る。発信元は、俺の方が秋、夏美は理事長からであった。

 

「木戸川清修の方もきたのか……ああ、こっちもだ」

 

 秋からの電話で伝えられたのは雷門同様木戸川清修にもエイリア学園が攻めてきたこと。武方たちが応戦したものの敗北し校舎が破壊されてしまったそうだ。

 

「今は傘美野中に?でも、なんでお父様がエイリア学園がいる場所が……」

 

 理事長から伝えられたのはエイリア学園の現在地。傘美野中は隣町の学校であり行くのはそう時間はかからない。雷門イレブンは学校を、そして部室を破壊された屈辱を晴らすため傘美野中に向かうこととなった。

 

 俺に何かを警告するかのようにずきりと痛みを感じた。それを気のせいだと思い込みバスへと乗り込む。そのため、俺は当然のことに気づかなかった。

 それは、雷門にとって、いや、俺にとっての()()()()()()()へ繋がることとなるのは遠くない未来の話だった。




イナイレ新作情報でてましたね。どんな風になるか楽しみです

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