両チームが一列に並ぶ。俺たちが校舎側、帝国イレブンが校門側だ。
「両キャプテン、コイントスを」
審判にどちらがキックオフをするか、を決めるコイントスを促される。しかし、鬼道はそれを無視。自身のポジションへと向かう。
「必要ない。好きに始めろ」
鬼道のコイントス拒否により雷門ボールでスタートすることが決まった。
「これは挑戦です!我が雷門に対する挑戦です!」
声が響く。その方向を見れば、角刈りでメガネをかけた少年がいた。
「な、なんですか、あなた?」
「はい!私、将棋部の角馬圭太!角馬、角馬と覚えて下さい!今日はこの角馬が実況・解説をさせていただきます!」
実況なのに将棋部なのが不思議である。せめて放送部であればよかったものを。
雷門中のフォーメーションは2-5-3。風丸がMFであるため、3バックとなり防御力が増している。
対する帝国はF-デスゾーンという3-5-2のフォーメーションをしている。鬼道という司令塔がいる帝国にはピッタリなフォーメーションだろう。
豪炎寺がボールを染岡に渡し、プレーが開始される。染岡目掛けて佐久間と寺門がスライディングをするが、それをジャンプで躱す。そして、そのままパスを繋ぎつつ、フィールドを上がる。
「決めろ!染岡!」
「おう!」
染岡がシュートのポーズに入ると同時に後ろに青い龍が現れる。
「『ドラゴンクラッシュ』!!」
足を振り抜くと同時にボールが龍と共に突き進む。対する帝国GK源田は慌てず片手に力を溜め飛び上がる。
「『パワーシールドV2』!」
地面に拳を叩きつけ衝撃波を展開。染岡のシュートを防いだ。
パワーシールドに弾かれたボールはそのまま帝国DFの五条へ。そして、鬼道の元までボールを繋ぐ。
「行かせない!」
ボールを奪おうと半田が前へと出るが、鬼道は鮮やかなドリブルで避ける。さらに、半田の後ろからきた少林に対しては
「『イリュージョンボール改』!」
必殺技で対処する。ボールを佐久間にパス。受け取った佐久間は流れるように最前線の寺門へと繋ぐ。
「『百烈ショットV2』!」
そのまま寺門はボールを浮かし、目にも止まらぬスピードでキックを叩き込む。数えきれないほどの蹴りの力が内包されたシュートが放たれた。
「『真熱血パンチ』!」
俺はそれを焦らず弾き飛ばす。そのボールを栗松が拾う。ボールを奪おうと、帝国MFの咲山が迫りくる。
「よーし、俺もやってやるでヤンス!『ダッシュアクセル』!」
「なっ」
栗松は一直線に加速し咲山を抜き去る。しかし、
「『キラースライド改』!」
ボールは成神が連続キックのスライディングで奪い取る。栗松はキラースライドの影響で身体を空中へと投げ出された。
「栗松、大丈夫か!」
「だ、大丈夫でヤンス……」
地面に叩きつけられたが、足のふらつきがなくすぐ起き上がれたところを見る限り大丈夫だろう。
ボールを奪い取った成神はそのまま上がっていく。
「行かせない」
「ッ!鬼道さん!」
いきなり前に飛び出てきた影野に足が止まるが、すぐさま立て直し鬼道へとパス。
「よし、行くぞ。デスゾーン、開始」
手薄になったゴールを見て、鬼道は合図を飛ばし、ボールを蹴り上げる。合図を受けた佐久間、寺門、洞面が順に飛び上がる。佐久間たちは両手を広げ回転しながらボールを中心に三角形を形成し、ボールへ闇色のエネルギーを注入する。
「「「『デスゾーン』!!」」」
エネルギーが充填されたと同時に三人がボールへ寄り踏みつけるようにシュートした。
「『ゴッドハンド改』!」
俺が生み出した黄金の手がシュートを阻んだ。
自分たちの最強とも言える必殺技であるデスゾーンが破られたことに帝国イレブンは動揺する。ただ、一人の男を除いては。
「反撃、来るぞ!」
帝国学園キャプテンの鬼道だ。彼はデスゾーンが止められるかもしれない可能性を考えていた。そのおかげで止められたことに対する驚きは少ない。
鬼道が叫ぶと同時に俺はボールを投げていた。
ボールを受け取ったのは半田だった。
「『キラース──」
「『ジグザグスパーク』!」
動揺のせいか、辺見はワンテンポ遅れてしまう。
その隙を半田は見逃さなかった。ジグザグに動き青い電流を発生させ、辺見に喰らわせ突破する。
「マックス!」
マックスは持ち前の器用さで帝国イレブンを躱しながら上がっていく。
「行かせるか!」
「『イリュージョンボール』!」
マックスは足でボールを挟み、縦に回転。ボールが地面にぶつかると同時にボールが増える。
「イリュージョンボール、だと!?」
驚くのも無理がない。先程鬼道が使ったことから分かるように、イリュージョンボールは帝国の必殺技だ。帝国学園と関わりがないマックスが覚えているのは予想がつくはずがない。
「よし」
マックスからボールを受け取った豪炎寺はヒールリフトでボールを浮かす。そして、炎を纏い回転しながら跳躍。
「『ファイアトルネード改』!」
左足でボールを打ち抜いた。
源田は止めようと飛び込むが、間に合わない。
「ゴォール!雷門イレブン、帝国学園から一点をもぎ取りましたぁ!」
幾ばくかの静寂の後、爆発的な歓声が上がった。
イナイレ二次、帝国戦で雷門先制しがち