解釈違いとかが怖いので続きを書く予定はありません。
『女性』アイドルとしてデビューして、紆余曲折あって男性アイドルとして一時代を風靡した。
そんな彼も子供を庇ってトラックに轢かれる、という彼らしいことでこの世を去ることになる……はずだった。
しかし彼は目を覚ます。最初彼は自分が天国に居る物だと一瞬だけ思ったが、自分の姿を見てそれを撤回する。
「これって、『あの空に自由を』のリオナ・フォン・ローベンベルクじゃないですか!」
リオナ・フォン・ローベンベルク、ドリィ・フォン・クラウスナーの妨害者……所謂『悪役令嬢』という奴である。
涼も『女性』アイドルとして乙女ゲーにそれなりの造詣があったのだ。
「ローベンベルク家は『第二の王家』といわれるほどの貴族……迂闊なことはできないよね」
涼は自分に言い聞かせる。事実リオナがドリィに突っかかった最大の理由はそれ故の当たりの強さだったのだが……
しかし彼女はドリィに突っかかったばかりに悲惨な運命を迎える。
断っておくが『あの空に自由を』のシナリオは『令和のソネット』といわれるほど良質な物だ。
では何故リオナはどんなルートでも悲惨な目に合うのか?答えは割と簡単である。
「僕はあるルートでドリィを巡る政争に巻き込まれた上で彼女に自業自得として突き放され」
「そしてあるルートではドリィの起こした革命によって民衆からリンチされ……」
そう、リオナはドリィが自分の道を突き進む際、彼女を妨害したことが裏目に出て悉く破滅するのだ。
『因果応報』といってしまえばそれまでだが、彼はそうならなかった人物を知っている。
「まるで変われなかった場合の夢子ちゃんみたいだな」
そう、夢子は涼と切磋琢磨して変わることができた。だがリオナはそうならなかった。
今は自分がリオナなのだから、ひょっとしたら何かを変えることができるかもしれない。
「何よりも自由を尊ぶ、それがドリィ。自由を夢見る、という名が体を表すのが彼女だ」
「だから『リオナ』とは相容れなかったんだろうし、僕も今はリオナである以上迂闊な真似はできない」
『あの空に自由を』というタイトル通り、ドリィは貴族社会にありながら自由を求める。
他者に自由を与えるために自らの自由を投げうって王家を継ぐこともあれば、
自由を得るために貴族でありながら革命の主導者となったり。
涼は『空気など読むな』を信念にしているのだが、どちらかというと秩序を重んじる節がある。
「女の子としての着替え、慣れてるようでやっぱドレスだと……」
そう思った一瞬、ドレスの着替え方が頭に浮かぶ。どうやらリオナとしての知識は必要な時に引き出せるようだ。
「それなら、これから頑張らないとね」
涼は決意を胸に抱き、扉を開くのだった。