東方旅人形   作:犬上高一

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今回のこの話結構大事です。


第4話 上海と紅い館(後)

廊下と同じく真っ赤な部屋で金色の髪をした女の子が居た。

それだけなら普通の人間に見えただろう。だが背中から生えている羽―――骨に綺麗な宝石がぶら下がっているような物―――が彼女が人外であるという事を教えていた。

 

「貴女達はだぁれ?」

 

女の子はもう一度聞く。

 

「あ、えっとですね。私はその~、決して怪しいものでは無くてですね。」

 

もう、そのセリフを使う時点で怪しい奴確定だが。

ともあれ羽の生えた少女は何とか侵入者という事を誤魔化したようだ。

 

「ふぅ~ん、じゃああなたは?」

 

そう言って女の子が指差す先には少女の頭の上に居る上海。

上海は首を傾げるが、少女の頭から降りると女の子の前に来た。

 

「そう、アナタ上海って言うの。」

「!?」

 

女の子の言葉に少女は驚く。それもそのはず、少女には上海の名前も知らないし上海が喋る声は聞こえていない。それなのに女の子は上海の名前を言った。まるで上海自身がしゃべって教えたように。

 

「貴女この娘の声が聞こえるの!?」

 

慌てて少女は尋ねるが、女の子は首を振る。

 

「ううん。上海の目を見ているとね、自然と頭に浮かんでくるの。」

 

そう言って女の子は上海の体を掴むとそっと抱き寄せる。

 

「あ、この娘温かい。」

「え?」

 

―――人形であるはずの上海が温かい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

―――喋っていないのに声が聞こえる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

幻想郷に置いて“常識”とはほぼ無いようなものだがさすがにこればかりは“幻想郷の常識”からも外れたものだった。

 

――これではまるで人形に生命が宿っているようじゃないか――

 

そしてその人形に対して少女が取った行動とは―――

 

「しゅ・・・取材させてください!!」

 

そう言うと突然女の子から人形をひったくりあれやこれやと質問をする少女。

少女のマシンガンのような質問攻めに文字通り目がぐるぐる回転している上海。

そして突然人形を奪い取られ涙目になって唸っている女の子。

 

そして女の子が取った行動は

 

「ふ・・・フランの人形返してぇぇぇええええええええええ!!!!!」

 

叫びながら女の子が手に持つのは燃え盛る剣「レーヴァテイン」。それを少女めがけ振り下ろす。

 

「!?」

 

とっさに反応した少女は体を捻ってレーヴァテインを躱す。その際若干服が焦げた。

 

「あぁーーー!!私の一張羅がぁぁぁあああああああああ!!!」

 

叫んでも焦げた服は元に戻らない。焦げて穴だらけになった服からはいろいろと見えている。

癇癪を起した子供のように女の子はブンブンレーヴァテインを振り回す。その炎は部屋の装飾品を燃やし上海のメイド服のスカート、さらには部屋そのものにまで燃え移り始めた。

 

「やばっ!」

 

そう言って部屋の中から逃げ出す少女。その後を追いかける女の子。上海は少女の頭の上に乗りながら自身のスカートについた火を消していた。

 

「人形返してぇえええええ!!!」

「燃やさないでぇええええ!!!」

 

叫ぶ二人が走った後は燃え盛る炎で埋め尽くされておりのちに紅魔館火災異変とかなずけられるのだが今はそんな事はどうでもよい。

 

大体館の約3分の1ぐらいが燃えた辺りだろうか?妖精メイドたちがバケツを持ってアタフタしたりしている中を二人は駆け抜けていく。偶に巻き込まれて一回休みになる妖精メイドも居るが・・・。

 

その二人の目の前に一本の槍が突き立てられた。

 

「お、お姉様・・・。」

「フラン・・・。彼方は何をやって居るのかしら?」

 

槍を突き刺したのは背中に蝙蝠の羽を生やした女の子―――吸血鬼の女の子だった。頭に上海を乗っけた少女は二人が何やら只ならぬ空気を出して止まっているのをいいことにこの場から逃げようとしたが

 

「どこへ行くのかしら?」

「あ、あやややや・・・・。」

 

突如首筋に現れた銀色のナイフによって阻まれた。

 

「ちょっと度が過ぎた様ね。」

「いや、これは不幸な事故でしてね?」

「妹様の大切な人形を取り上げて置いて何を言っているのかしら?」

「いや、この娘はあの娘の人形じゃな

「言い訳無用よ。」

 

そう言って銀色のナイフの持ち主はひょいと上海をつまみ上げる。

 

「あぁ~・・・私のネタ。」

 

羽の生えた少女は上海を惜しむように手を伸ばす。無論半分演技である。

 

「とりあえずフラン。貴女、館内を出歩くのは勝手だけど燃やすのは感心できないわね。」

「・・・・・・・・ご、ごめんなさい・・・。」

「とりあえず、罰として今日から一週間。おやつのプリンはおあじゅけよ。」

 

その瞬間空気が凍りついた。

ある者は自身が言葉の途中で噛んだことを恥ずかしがり

またある者は呆れて

またある者はカメラを構えようとしたが自身の足元に突如突き刺さったナイフによって阻まれた。

 

「・・・兎に角!!フランは1週間おやつ抜き!!いいわね!!////」

 

顔を真っ赤にして去って行く吸血鬼の女の子。

 

「それでは妹様。こちらはお返ししますので。」

 

そう言ってメイド長は女の子に上海を渡す。渡した瞬間メイド長はふっとその場から消え去ってしまった。一緒に羽の生えた少女も消えていた。どこかへ飛び去ってしまったのかそれとも・・・・・・・・・。

 

この場に居るのは女の子と上海のみ。

 

「・・・お部屋に戻ろっか。」

 

上海を抱きかかえながら女の子は部屋へと戻って行く。

 

―――そして廊下には誰もいなくなった―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のだが、その廊下を歩くものが居た。先程の女の子だった。無論上海も一緒である。

戻って来た理由は部屋が燃えて使い物にならなかった為である。

 

後に紅魔館炎上異変などと何処かの新聞に書かれるのだがそれはまた別のお話。

 

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