東方旅人形   作:犬上高一

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遅くなりました。東方旅人形最新話です。

今回は東方に住む東方厨さんからのリクエストです。


第5話 上海と化け猫

ふよりふよりと上海は飛んでいく。そうしてついた先は小さな集落だった。

古ぼけた家々からは人の気配は無く、代わりに一匹の化け猫がいた。化け猫と言っても頭に耳と2本の尻尾を生やした猫又の少女である。

 

「にゃぁ~ん」

 

それは家の縁側で気持ち良さそうに日向ぼっこをしている化け猫だった。お持ち帰りしたいくらいの可愛い娘である。

 

その化け猫の上を上海は飛んでいく。ちょうど化け猫の真上に差し掛かった時、カッっと化け猫が目を見開いて腕を振り上げてきた。上海はそれをすんでの所で避ける。

 

「にゃん!」

 

化け猫の届かないちょっと高い所まで飛ぶと、化け猫はにゃんにゃんと言いながら手を伸ばしてくる。

上海はちょっと降りて化け猫の手の届きそうで届かない所に行く。そして伸びて来た手を避ける。

 

傍から見ると猫じゃらしでじゃれる猫の図である。

 

「にゃっつ!にゃっつ!!」

 

大きくジャンプして上海を捕まえようとする化け猫。爪が上海の服をかすめた。

これはたまらんと上海はその化け猫から逃げ出すが、化け猫も簡単には逃がしてくれない。上海の事をもはや遊び道具にしか思っていないようで夢中で追いかけてくる。

こうして上海と化け猫の追いかけっこは始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「にゃあああああああああああ!」

 

突如放たれた爪が、上海が隠れていた箱を切り裂く。

そこから飛び出して上海は、逃げ出した。化け猫は野生に戻ったか四つん這いで上海を追いかける。

それに対して上海は必死に飛んで逃げる。だが、化け猫は床を蹴って飛翔すると突如弾幕を放ち始めた。弾幕を放てない上海は弾幕を躱して逃げるしかない。放たれた鮮やかな弾幕の隙間に滑り込んで弾幕を躱す。元々体が小さい為、弾幕の隙間を縫うのは困難な事ではない。

だが上海は弾幕を躱すのに必死で、飛びかかって来た化け猫に気付くのが遅れた。そして気づいた時にはすでに化け猫の口に咥えられてしまった。

食べられると思い思わず目を閉じた時、急に体に掛かっていた圧力が無くなり地面に落ちる。

 

「ふにゃぁ~・・・・」

 

見ると化け猫はゴロンゴロンと寝返りをうちながら上海に頬ずりしてきた。まるで猫好きの人間が猫を抱きながら布団の上をごろごろするように。

 

くんくんと匂いを嗅ぐ度に化け猫は「にゃ~ん」と鳴く。次第に上海はこの猫に対して先程まで感じていた恐怖という物を感じなくなっていた。

 

 

 

で、どうしてこうなったかというとそれは上海がこの屋敷に入る少し前に遡る。

 

上海がふよふよと飛んでいると、地面に何か落ちているのを見つけたのだ。それはこの幻想郷には無い、外の世界の物だった。

ビニールに包まれたそれを上海が開けてみる。だが、中々開けられないので力を込めると袋がビリッと勢いよく破け、中に入っていた粉末が飛び出した。それを上海はもろに浴びてしまったのである。

その粉末はの中身は、唯のまたたびである。

 

 

 

要するに化け猫は上海に付いていたまたたびに反応したのだった。

 

「にゃぁあああぁあ~ん」

 

笑顔で上海に抱き付いてまたたびを嗅いでは鳴き、またたびを嗅いでは鳴くの繰り返しである。しばらく上海は化け猫に抱き付かれたままであった。

 

 

 

 

 

 

 

「ちぇ~ん~♪ただいま~♪」

 

日も暮れて来た頃、導士服の様な服を着て狐の尻尾を9本も生やした女性が家の中に入ってきた。

 

「あれ?橙?」

 

言いながら女性は、家の奥へと入って行く。すると、縁側に上海と抱き付いたまま笑顔で寝ている化け猫の姿を見つけた。

 

「・・・・・・可愛い寝顔だわぁ~///」

 

そう言うと女性は、傍に座って化け猫が起きるのを待つことにした。でれでれとした顔の女性に見守られながら、上海と化け猫は気持ち良さそうに眠っていた。

 

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