現代日本で突然妹がレベルアップした件。   作:雨宮照

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全裸の少女。

「……えっと、回想してるところごめんなさいなんだけど……えっと、はじめまして」

「は、初めまして」

 だよねえ! 初めましてでいいんだよねえ!

 少女の挨拶によって、まずは関係性の確認ができた。

 別に俺が忘れてたとかそういうわけじゃない。

 もともと知り合ってなかったらしい。

「ええと……どこから話したらいいかな?」

「いや、どこからと言われても……そっちの手札に何があるか分からないから何も言えないよ?」

「そう……じゃあ、ちょっと待ってね」

 言うと、目の前のロリは機械のような動作で立ち上がる。

 そして自身の着ていたオーバーオールを脱ぎ、中に来ていたシャツを脱ぎ。

 さらにはその下の肌着にも手をかけ――

「いやちょっと待って! 何で脱ぎ出した! 俺を犯罪者にする気か!」

「うるさい。フカこそ少しはまてないの? 見せたほうが早いんだから」

 慌てる俺とは対照的に、落ち着き払ってストリップを続ける少女。

 高い位置で縛ったツインテールがピョコピョコと揺れ、かわいらしい。

「じゃあ、脱ぐね……?」

 ……ああ、神様。

 どうしてでしょう、すごく背徳感があります。

 俺が脱がせているわけでもなければ、脱いで欲しい状況でもないのに。

 なぜか、とっても悪いことをしている気になってきました……。

 手を合わせて、天に謝罪をする俺氏。

 しかし、そんな胸中を知ってか知らずか、少女は次々と服を脱いでいく。

「……はい、これで全部。フカ、よくわたしの胸を見て……」

「そんなこと……俺、ロリコンじゃないし」

「いいから、見て。見れば、だいたいのことはわかる」

 彼女が脱いでいる途中はさすがに目を覆っていたのだが、仕方ない。

 まずこの少女が何者なのかも知らないけれど、こうなったら穴が開くほど見てやろうじゃないか。決意すると、俺はゆっくりと指をずらし、少女の柔肌に視線を向けた。

「……………………えっ」

 しかし、開けてびっくり。

 そこに、あるべきものが存在しない。

 潤いのあるきめ細やかな少女の肌は存在するのだが、ただそれだけだ。

 へそや乳首など、人間の体の表面にあるべき部分が一つも存在していない。

 俺は、彼女の裸を見つめたまま固まった。

 傍から見たらすごく犯罪チックな絵になっているが、そんなことを気にしてる余裕はない。  

 ただ唖然として、その場から一歩も動けなくなってしまう。

 それから、どれだけの時間が経っただろうか。

 全裸の少女を見つめたまま、ずいぶんと時間が経った気がする。

 でも、何か考えようとしても頭がちっとも働かない。

 だって、俺が今見ているのは脳で処理できないほどの情報量。

 いや、むしろ情報は普通の裸より少ないわけだけど、それでも理解できない現象だ。

 そういった面では、レベルアップにも通ずるものがあるのかもしれない。

 なんて、またも頭を歌舞伎役者の肌みたいに真っ白にしていたときだった。

 

「……ごめんフカ。やっぱり、そんなに見られると恥ずかしい」

 

 ほんのり頬を赤く染めたロリが、俯きがちに呟いた。

「あっ、ご、ごめんっ!」

 咄嗟に謝って、視線を逸らす。

 頭の処理が追いつかなかったとはいえ、見過ぎだったかもしれない。

 ……まあ、見せてきたのはロリのほうなんだけど。

 


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