なんか週に一、二匹くらいやってくるなんかよくわからない生物をあしらう、
少年少女の日常のお話。

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ポッと思い付いたので書きました。


対生物災害異能研究区という名のただの町

 

ポーン。

 

『G-5エリアからE-1エリアまでの隔壁閉鎖完了しました。以後隔壁の操作は戦闘態勢または警戒態勢が解かれるまで原則禁止となります。』

 

 

「ええええええええ!!!」

 

 

ガラガラガラガラ

 

 

「あー、ゲートしまっちゃったねー。」

 

「ま、お姉ちゃんの脚があれば大丈夫でしょ。」

 

「お腹すいたー。」

 

 

「何でいつもそんなにマイペースなの!?」

 

 

「このショッピングカートも狭くなってきたなー。」

 

「そりゃあわたしたち成長期なので。」

 

「お姉ちゃんご飯ー。」

 

 

「地味に君たち重くなってくるから避難が大変なんだよ!あとご飯は避難できたらね!」

 

 

「そろそろカタパルト台だよー。」

 

「さて、お姉ちゃん選手、今週はどのくらい記録を伸ばせるでしょうか。」

 

「気分はさながら"時駆け"。いつもお空が綺麗だ。」

 

 

「呑気!余裕ありげ!」

 

 

 

突如、すぐ隣のG-3エリア__アーケード街__が弾け飛び、

 

巨大な芋虫が彼女の激走している道路に雪崩れ込んできます。

 

 

「ああああああああああああああっ!?!?」

 

 

「あ、すまーん!そっちに弾き飛ばしちまった。後で惣菜奢るから許してー!」

 

 

「い つ も の」

 

「親の顔より見た光景」

 

「お母さん、元気かなー。」

 

 

「いやァァァァァあああああああっ!!!」

 

 

 

巨大な目をくりくり動かして、

 

彼女+ショッピングカートin弟妹sを追いかけてくる芋虫怪物。

 

 

彼女は大粒の涙を煌めかせながら、斜めに倒れている高層ビルを駆け昇ります。

 

ぐんぐんスピードが上がっていく。

 

人が出せないであろうコンクリートが砕ける足音を響かせて。

 

 

彼女らは、追ってきた芋虫怪物と共に、空へと旅立ちます。

 

 

「ていく、おふ!」

 

「踏み切るテンポには気をつけろー。」

 

「眠くなってきちゃった...」

 

 

「ああもう本当に何でいつもこうなるのかな~っ!!??」

 

 

 

G-4エリア、過密住宅地で暮らす、四人家族のお姉ちゃんは、

 

いつも不憫で、いつも不運で、いつもちょっと天然で、

 

とっても優しくて可愛いお姉ちゃんは、

 

この町で暮らす人々にこう呼ばれていました。

 

 

"万能脚"を持つアイドル。カノちゃん。

 

 

そう、今まさに、芋虫怪物と共に高度300mをぶっ飛ぶ彼女のことなのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、」

 

 

「へ?」

 

 

「いや、着地はお姉ちゃんの脚でなんとかなるけど、後ろの芋虫はどうすんの。」

 

「なんかついてきちゃったねー。着地したときぺしゃんこ?」

 

「Zzzzzzz...(#˘ω˘#)」

 

 

 

「え"」

 

 

なりふり構っていられません。

ぶっちゃけ彼女ならなんとかなりそうですがそんな気力は残っていません。

故に、最後の気力を振り絞って、大声で友人に助けを乞うのです。

 

 

「リツくーんっ、助けてぇっ!」

 

 

 

空中で迫り来る芋虫怪物。

 

離陸したスピードも重さも芋虫の方が大きいので当たり前でした。

 

大口をあける芋虫。

 

プルプルと弟妹sが乗るショッピングカートにへばりつくお姉ちゃん。

 

 

 

 

 

 

「はあ....」

 

 

その時、彼女らと芋虫は、F-1を越え、E-1を越え、

 

D-4エリアに差し掛かるそんな瞬間でした。

 

突如D-3エリアにそびえ立つ高層ビルから飛び立つ影!

 

小柄!ヒト!男の子!片手にナイフ!

 

 

「カノさん、自分の脚じゃなくて助走ビルに"カタパルト(射出)"かけたでしょう。それやられるとカノさんを追ってくるやつらまでもこっち飛んでくるからやめてくれませんか?」

 

 

正論!カノちゃんの心にナイフが刺さる!

 

 

「ご、ごめんなさい。これから気をつけます!」

 

 

「...ま、カノさんに言ってもどうしようもないんだろうけど。」

 

 

「え"」

 

 

「デスヨネー」

 

「お姉ちゃんまじでお姉ちゃん。」

 

「山のようなプリン...(#˘ω˘#)Zzzz」

 

 

心に刺さったナイフはそのまま貫通していきました。

 

 

「うぅ"...」

 

 

カートに腕を載せ、器用に空中でふて寝をするお姉ちゃん。

 

もう現実を直視できないようです。

 

因みにこのミスは三回目。チェンジを要求します。

 

 

その様子に苦笑するリツ君。

 

お姉ちゃんたちと共に放物線を描きながら、

D-2エリア辺りに墜落するであろう巨大芋虫へと向き直ります。

 

 

「さて、もう三回目だ。不運な巨大生物にも慣れた。」

 

 

「今回は、一刀の下に両断といこう。」

 

 

ギラリと光るナイフ。消えるリツ君の姿。

弾け飛ぶスパークリング!シュワッと緑体液!

酸っぱいジェル状謎物質!芋虫の体内のナニカ!

 

悲鳴は無く、芋虫怪物の最後はスムージーと化した。

 

それを落下中、つまり芋虫のちょい下にいた彼女にぶっかかる!

 

 

 

 

「.......。」

 

 

「.......。」

 

 

「.....あー、お兄さん、これは援護できないかな?」

 

 

「.....お姉ちゃん、()()女の子でアイドルだし...ね。」

 

 

「むにゃ(#˘ω˘#)むにゃもーおなかいっぱい」

 

 

「グスッ.....」

 

 

「「あっ」」

 

 

 

 

涙ボロボロの緑お姉ちゃんに謝り倒す、リツ君の姿がそこにはあった。

 

 

 

 

 

「何が"一刀両断"ですか!切り刻み過ぎてほぼジェルジェルになっちゃってるじゃないですか!リツのバカ!アホー!おたんこなす!」

 

 

「悪かった!悪かったって!後でケーキ奢るから!奢るから許して!このままじゃ町のみんなに殺される!」

 

 

「よろしい、約束です!ケーキ食べれたら許してあげます。」

 

 

 

(((いくらなんでもちょろすぎないか?)))

 

 

 

「んー?あ、もう着地したのー?寝てて気づかなかったー。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数秒後のお天気は、緑ジェルのち晴れでした。

 

 

 

 

 

 

 



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