乙女ゲー世界はモブの中のモブにこそ、非常に厳しい世界です   作:N2

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滑り込みで本日投稿が叶いました。
お久しぶりです。

後書きに西瓜ペシャン公様より頂戴しましたイメージ画像が載せてあります。


第93話 謁見の間 ―失脚と暴露―

 リオンが投げ放った書状を前にしたフランプトン侯爵は、目を大きく見開きガタガタと震えだしている。

 

 「偽造書類…… しかも現実的な製作時間をほぼ無視しているぞ」

 

 理解不能な状況に人は思考を停止するというが、そんなのは普通の範疇の人物達だけ。王宮貴族になるような奴等がそう甘くは無いだろう。

 この世界の常識で頭をこねくり回すように考える。結果としてその思考が合っていようが間違っていようが、リオンを脅威だと判断するフランプトン侯爵派閥以外の貴族も出てくるだろう。

 つい口に出してしまったが、リオンとフランプトン侯爵に注目が集まっているため、俺の呟きは謁見の間にいる貴族達の静かな騒めきの中に消えていった。

 

 「こ、この書状!? 何故だ! た、確かに燃やしたはず…… いや、今のは……」

 

 「あぁ、それからヘルトルーデ殿下から伝言だ。「案外役に立たないのね」だってさ。お前らとどんなやり取りがあったのか、ペラペラと喋ってくれたよ」

 

 フランプトン侯爵とリオンのやり取りを聞き流しながらも考えに耽っていく。

 一先ず先程の王宮貴族云々は置いておくとして、パルトナーとアロガンツは現在拘束状態から解放されているが、保管されているのはターミナルかフランプトン侯爵が所有する施設の何処かだろう。本日牢屋から解放されてこの状況まで根回しに奔走したリオンが、パルトナー自体に出入りする暇は無かった筈。

 実質的な問題として、偽造書類の準備は何処で行った? 

 映像は球体のルクシオン先生でも出来るのだろう。だが、書類の偽造には、材質が各種同等の物を揃える必要がある。

 

 「あ、あの小娘が……」

 

 顔を真っ赤にして怒りに震えているフランプトン侯爵を視界の端に収めながらも、俺は更に思考の海へと潜っていった。 

 ……いる、というかあるな。最低でも、もう一つ何かがリオンには。

 リオンは適当に喋っているように見えて、パルトナーとルクシオン先生を言葉で使い分けている。

 ルクシオン先生はパルトナーの子機のような物だと思っていたが、超大型の足止めはパルトナー、ルクシオン先生は超大型には勝てない。リオンは確かにそう言っていた。

 この二点は似ているようで、それぞれの使用状況における意味合いが全然異なる。

 バーナード大臣が送ったリオンの駆るエアバイクは完璧に元のそれとは別物だった。この世界のスペックじゃない。ボディの元のデザインにすら大幅な変更が加えられていた。

 俺はパルトナーにも乗艦しているが、既存品で賄える修繕や整備程度ならパルトナーの格納庫内で、あの戦闘にも出てきた作業ロボット達が行えるだろう。

 しかし、あのような改造を超えた開発まで、あのパルトナーで出来るのだろうか?

 鋼材加工から資材の製作は? 型は? 製作に関わる製造機器類は?

 しかも今回は、パルトナーが使用出来ずに偽造書類まで用意している。ルクシオン先生が材質含めてスキャンしたとはいえ、何処であれを用意出来る?

 リオンは発見した浮島で、鎧や飛行船の整備工場を建設して既に稼働済み。要はあの浮島自体か、その内部機構がルクシオン先生本体かとも思ったが、それだと戦争には参戦出来ない。

 俺自身の調査や本家ヘルツォーク領の調査は、ルクシオン先生との会話でのあの口ぶりから当然にしている筈だ。

 先程までパルトナーとアロガンツは、フランプトン侯爵派閥に押さえられていた状況だった。現状も保管場所からは動かせていないだろう。

 その状況下でのルクシオン先生による、今回のファンオース公国本国とファンオース公国侵攻軍本隊航路の監視に偽造書類の用意……

 

 〈ボディの透過具合も調整できるなんて凄いね〉

 

 パルトナーはファンオース公国不意遭遇戦でさえ、光学迷彩なんかは使用せず、戦闘空域に姿を晒したまま現れて攻撃を開始した。光学迷彩が備わっていれば、そのまま迷彩を施しつつ奇襲がベスト。

 なるほど、パルトナーがダミーで本命は、光学迷彩で隠蔽したロストアイテムの飛行船かそれに準ずるような何か…… 

 パルトナーが妙にガワだけこの世界の飛行船に溶け込んでいるのも納得だな。パルトナーの中身がまんまロストアイテム級の飛行船だから、パルトナーがロストアイテムの本命だと勘違いもしてしまう。

 王宮にも最初から所々を考慮して隠す程のロストアイテム。だがリオンは、そんな物ですらあの超大型には勝てないと言った。

 超大型を足止めするパルトナーを潰そうが、リオンは悠々自適に快適な空の旅で逃げる算段、ルクシオン先生の本体があるという事だ。リオン個人の力の使い途はリオン自身が決める。それはいい。

 だが、衆目にそれらを曝した場合は、もう王国内にお前の居場所は無くなってしまうぞ……

 リオンを取り込もうとする者や恭順する者はまだいいが、絶対に危険すぎる、既得権益が奪われると考えてしまう悲観的な勢力が現れて、最悪王国内で内戦になってしまう。

 王家を象徴する攻防一体の守護神として、今後は王家に忠実に振舞うのであればそれも良いだろう。だがそこで、そんな立場になったリオンが嫌気でも差して王国外に逃亡でもされたら、結局その後はヘルツォークの未来も危うくなる可能性が高くなる。

 それらを防ぐには、レッドグレイブ公爵家が王家と結託してあの偽造書面を用意、バーナード大臣の証言もそこに加えれば、王宮貴族はリオンの仕業では無いと納得してくれるだろうかといった所かね。

 お義父さんに今回の件の釘でも刺しておくしかないか。

 

 『どいつもこいつも解っていない! 誰が一番危険で意味不明なのか分からないのか!? 聖女やヘルツォークなども厄介とはいえどうにでもなる。聖女個人では何も出来んし才覚も無い。ヘルツォークは結局の所、我々とそう価値観に相違は無いのだ――』

 

 視線を感じた方、壇上を見るとローランドがフイっと顔を背けた所だった。

 おい、チラチラと見てただろ!

 

 『――だが、あいつだけは駄目だ! あいつ個人でいったいどれだけの艦隊と同じ働きが出来る? 1人の人員すら必要としないロストアイテムの飛行船一隻と鎧擬きのような無人機で、数十隻の艦隊に完勝できる意味が解っているのか!』

 

 『しかし、今は早急に対処しなければならないのは公国です。ここはレッドグレイブ公爵派閥とも協力して――』

 

 『ならば、バルトファルトを公国にぶつけて互いに潰し合いをさせろ! 家族を人質に取るなり手段を選ぶな! いいか、奴を公爵家の番犬程度だと思うな。あの個人で圧倒的な力を持つ奴こそが王国、ひいては我々の脅威なのだ!』

 

 リオンと親しくない貴族達の総意に近い意見だな。

 あいつは意外と上の立場の人間を怖がるが、リオンのその態度ですら、腹に一物抱えているのではと貴族達は邪推してしまう。

 

 「さて、理解できたかな? お前らのせいで王国は危機的状況だ。公国と手を組むなんて反逆罪でも仕方がないと思わないか?」

 

 ここに集まった貴族達に言い聞かせるようにリオンは周囲を見渡しながら言い、そして最後にフランプトン侯爵を見据えた。

 フランプトン侯爵のお陰で、こちらとしてはファンオース公国を潰せる機会を得たわけだが、依然として未だに王国と公国の二つが同時に潰れる可能性も高い。フランプトン侯爵がラーシャル神聖王国の回し者だとしたら、歴史に残る素晴らしいレベルでの策士だな。

 ラーシェルかぁ…… ヘルツォークも選択肢は多い方が良い。やはり、ラーシェルとのパイプは欲しいとも言える。

 リオンの視線を真っ向から受け止めて、フランプトン侯爵は激昂しながら反論を始めた。

 

 「そ、それがどうしたっ! 全ては国のためにやったことだ。この国をいったい誰が支えてきたと思っている。私だ…… 私が支えてきてやったのだ! お前のような小僧にいったい何が理解できる!? 国を維持していくためには必要な事だった!」

 

 「その結果が今だろ? お前は対応を間違えた。俺ではなく公国にしっかり対応していれば問題なかったんだよ」

 

 「ふざけるな! お前は自分がどれだけの力を持っているか理解しているのか? その程度の子供だから危険だと判断したのだ。いずれ王国はお前のために滅ぶ! 皆、目を覚ませ! この小僧こそが国に災いを運んでくるのだ!」

 

 「そもそも俺じゃなくて公国に滅ぼされそうになっているからね。俺が滅ぼす前に公国に滅ぼされる原因を作ったのはお前じゃん。失敗したなお爺ちゃん。いや、こういうのは老害っていうのかな? ったく、無害な俺を過剰に警戒して、公国を軽視し過ぎてこのざまかよ」

 

 「老害だと小僧がっ! 口を慎めっ! お前が死ねば全て丸く収まったというのに…… どれだけこの私が国のために身を粉にして働いてきたと思っている! 道理も政治も分からぬ小僧に、私の判断をとやかく言われる筋合いなどない! 陛下や王妃が呑気に椅子に座っていられるのも、この私の献身が偏にこの国を支えてきたからだ! お前のようなガキに否定などさせるものかぁぁぁあああ!!」

 

 「何か勘違いをしているようだな。俺は貴方を認めていますよ侯爵。今まで立派に王国を支えてきたのでしょう。うん、よく頑張った! 尊敬しよう! あんた最高だ! けど――」

 

 リオンの身振り手振りを交えた称賛に、周囲の貴族達に騎士や兵士までもが唖然としている。大袈裟に振り回していた手を下ろしたかと思えば、再び銃口をフランプトン侯爵に向けた。

 

 「――失敗したら責任は取らないとな」

 

 リオンの低く威圧的な声色にフランプトン侯爵はたぢろいでしまった。

 

 「し、失敗だと!? 口を慎めっ! 先程から侯爵の私に向かって――」

 

 「責任を取るには立派で十分な爵位だね。この状況がお前らのやってきたことの結果だ。失敗以外の何物でもないじゃないか。分るよな? お前らが王国を危機に陥れたんだ。あぁ、安心していいよ。お前達の尻拭いは俺がしてやるから。よかったな、俺のような後進がいて。お前らの失敗は俺が綺麗に処理してやるよ」

 

 リオンは侯爵の言葉を遮って、自身の言葉を被せながら嘲り笑っている。

 

 「お前に一体何が出来るのだ小僧! 政治も何もわかっていない身ででかい口を――」

 

 「お爺ちゃんは負けたことが理解できていないのかな? そこんとこ分かってる? 負けたお前達は国のため、今度はお前達が犠牲になる番だ。俺を犠牲にして権力を手に入れようとしたよな? 俺は別にそのことは怒っちゃいない。ただ、責任を取って欲しいだけだ」

 

 「な、何故私が――」

 

 「権力争いに敗れ、王国を危機に陥れた…… 今まで散々俺のような弱者を切り捨ててきたんだろ? 自身の出世のために潰してきた連中がいるんだろ?」

 

 「それがどうした? 必要な犠牲ではないか! それのどこが悪いというのか? だからお前のような小僧は駄目なのだ。政治をまったく理解していないではないかっ!」

 

 「あはははははは! 実に清々しいじゃないか! 大のために小を切り捨てる。弱者は強者の糧となれって事か。貴族的だな、俺はあんたを否定しないし何だったらその考えには賛成だ。弱者は切り捨てるべき…… じゃぁ、弱者であるあんたには犠牲になってもらおうか。だから、わかってくれるよね?」

 

 リオンの物言いにざわついたアンジェリカとオリヴィアさんを手で制しておく。

 

 「二人とも、茶々をいれるなよ」

 

 リオンはフランプトン侯爵が言葉を述べるために開いた口に銃口を突っ込み、見下ろしながら言葉の刃をさらに煌めかせた。

 

 「あぁ、もう十分だ侯爵…… いや、弱者君、喋らなくていいぞ。君達は切り捨てられるべき弱者の敗北者なんだから受け入れてくれるよね? 大を活かすために小を犠牲にするのを理解してくれるね? 快く犠牲になってくれるよな? まさか嫌だ何て言わないよな――」

 

 銃口が邪魔をして言葉を発することが出来ないフランプトン侯爵は、口元から涎を地面に滴れ落とすことしか出来なかった。

 

 「――散々必要だからと大勢を犠牲にしてきたんだ。今更駄目なんて言わないよな? 国のためと好き勝手にしてきたなら、負けたお前らは今度は国のために、犠牲になれ!」

 

 言葉を吐き捨てると同時にリオンは拳をフランプトン侯爵の鼻頭に叩き込んだ。鼻血を吹き出しながら倒れこんだフランプトン侯爵にリオンは命令を下す。

 

 「俺に喧嘩を売ったことは今の一発で許してやるよ。後は自分の罪を償え。連れていけ」

 

 リオンの命令に先程謁見の間に入室してきた騎士達が、フランプトン侯爵直属の派閥を連れ出していく。周囲の貴族達は唖然としながらも。それらの光景を眺めている事しか出来ていなかった。

 

 「エーリッヒ、リオンの物言いはその…… 煽るためであって決して本心では……」

 

 俺の裾を掴みながらアンジェリカは、弱者のヘルツォークを気遣うように言葉をかけてきた。

 

 「気にしていないよアンジェリカ。そもそも僕もあの考えには賛成だ。ヘルツォークが弱者なのも理解している……」

 

 ただ、俺がヘルツォークを弱者だと認めていないだけだよ。

 

 「それに、弱者と言える平民達の社会は平和そのものだ。こんな貴族同士の争いなんて知る由もないだろう。そうだろう? オリヴィアさん」

 

 「はい。私の実家がある浮島も特には…… 裕福とは言えませんが理不尽な重税もありませんし。貴族様の社会は雲の上過ぎて……」

 

 そう、結局平民達に不満が無いから革命も起こらない。支配者が誰かもそこまでは気にしないだろう。自分達の関わる余地が無い偉い人達が、理解不能な争いをしているという認識なだけだ。

 しかし、平民が支配者の好悪を表面化させ始めた場合は、一体どうなるのだろうね。

 

 「平民に矛先を向けず、王国全体の男爵家から子爵家を適度に虐めておけば、高位貴族の権益も自尊心も守られる。それなりに出来たシステムだな。アンジェリカ…… 自領の平民から搾取を行わない男爵家から子爵家が高潔だからこそ可能なシステムというわけだ。もう少し、ラファにはその辺りを分かって欲しいものだね」

 

 王国本土の各所領はまた別かもしれないが、浮島という閉鎖社会において圧倒的下位者の平民に対して、滅茶苦茶な統治が行われていない現状が摩訶不思議な世界だ。

 上級クラスの男爵家と子爵家のグループを見渡しても平民達に強い関心は寄せないが、搾取虐待をしようというメンバーは皆無だ。

 生かさず殺さずという、絶妙な匙加減を統治として施している浮島貴族が稀にいる程度である。寧ろ優秀で見習いたいぐらいだ。これが平民にとって最悪というレベルだが、数字という概念の平民を存分に考慮された良心的過ぎる統治とも思ってしまうよ。

 

 「……しかし、浮島の領主達を抑えるのに上手くいっているのだ。平民も、王国本土も……」

 

 「アンジェ、私はアンジェが公正で優しいのは知っていますよ。リオンさんだって分かっているはずです」

 

 「リビア、ありがとう」

 

 オリヴィアさんはアンジェリカに寄り添いながらも軽く睨んできたので、俺は肩を竦める事しか出来なかった。

 俺達3人以外の謁見の間に残った貴族や軍人達はリオンを注視している。

 

 「さて、俺が冤罪で捕らえられていたことを知った諸君。ここではっきりさせておくことがいくつかある。一つ目、俺はお前らが嫌いだ。この国が嫌いだ。理由? お前らが間抜けなせいで俺が働くことになったからだよ。ちゃんと仕事をしろ!」

 

 リオンに視線が突き刺さっている。

 ここまで堂々と王宮批判出来る場はこの瞬間しかないだろう。ここぞとばかりにリオンは言い切っている。

 

 「耳が痛いね、アンジェリカ」

 

 「くぅぅぅ」

 

 顔を真っ赤にしながら睨んでくるが、迫力があって怖い、可愛くない。

 

 「学生のアンジェにはまだ関係ない筈です! エーリッヒさん、めっ!」

 

 怖っ!? 揶揄い過ぎて嫌われてしまったかな。

 

 「二つ目、お前らが俺を信用していないのは理解している。俺もお前らなんて信用していない。三つ目はもっと簡単だ。自分ならこの状況を覆して王国を勝利に導けると思う奴がいれば前に出ろ。いつでも立場を代わってやる」

 

 つい反射的に騎士や軍人達と共に俺もリオンから視線を逸らしてしまった。

 俺の視線の先に回り込むように、アンジェリカとオリヴィアさんから睨まれてしまった。

 

 「最後は非常にシンプルだ。俺の命令に従えば勝たせてやる。従わないならさっさと逃げろ。疑問を持つな、口答えをするな、お前らに許されるのは俺の命令に従う事だけだ。どうだ、分かったか? 俺のために戦って死ね。代わりにこの国を救ってやる」

 

 リオンの響く声に謁見の間のざわつきが止まらなかった。

 二転三転するような謁見の間での出来事に思考がまだ追いついていないのだろう。不安そうな顔や納得の出来ていない顔が多数見受けられる。

 そこにあろうことか、よく通る陛下の声が謁見の間に降りてきたのだった。

 

 「皆が戸惑う気持ちはよくわかる。余はバルトファルト子爵を信頼してはいるが、ここに残った皆はそう素直に受け入れられないだろうこともわかる。しかし安心して欲しい。総司令官はもちろん余が信頼しているバルトファルト子爵であるが、やはり王宮と王都の最後の守りには、信頼と実績のあるラファを司令官に充てようと考えている」

 

 一瞬謁見の間が静まったかと思うと、先程よりもざわつきが大きくなった。

 おい、まさかユリウス殿下か糞陛下の親類の御守りを俺にさせるんじゃないだろうな?

 リオンを見ると俺の視線に気付いたのか首を横に振りだした。バーナード大臣やレッドグレイブ公爵も糞陛下の言葉を訝しんでいる。

 

 「へ、陛下。既に王宮直上防衛艦隊の司令官はリックく…… んぅ、ヘルツォーク子爵に一任されています。任命に際する裁可も陛下がサインしていると言ったではないですか? 現場を混乱させてしまいます。そもそも誰を充てるのですか?」

 

 ミレーヌ様が、ここに集まった皆の意見を代弁するかのように質問をした。

 俺としては御守りではなくて、代わってくれるのであれば誰でもいいけど。陛下もここに集まった貴族や軍人達の戸惑いや不安を感じ取って、これではいかんな、と考えを改めたのだろう。

 俺はロストアイテムを持っていないからね。仕方ないね。

 

 「エーリッヒは何故笑顔なんだ?」

 

 「いや、なんか代わってもらえそうな流れじゃない? 僕はロストアイテムは持っていないし、もう既に戦っているし働きすぎでしょ。ほら、王国本土端防衛戦では公国軍に負けてるしね。陛下もここにいる貴族達の不安そうな表情を見て、僕じゃ駄目だと考えを改めたんじゃないかな」

 

 まったく、冴えているじゃないかローランドめ。そういう朝令暮改は嫌いじゃないぞ。

 

 「あ!?」

 

 オリヴィアさんが何かに気付いたように、じぃっと俺を見つめてくる。

 何でしょう? 怖カワうぃぃね。

 アンジェリカはそんなオリヴィアさんに首を傾げている。

 

 「おぉ!? 何と! そうであったなミレーヌ。何とも都合が良いではないか! 神の采配というやつだな。これは」

 

 「は?」

 

 ミレーヌ様がポカンとお口を開けた顔が可愛い。

 というよりも謎の小芝居を始めた陛下に対して、謁見の間に集まった皆がポカンとしている。

 「何を今さら言っているのだろう、この馬鹿は?」といった感じだろう。

 

 「既にラファが司令官に付いているとは何という僥倖! この国難に王家の権威も保たれるというものだ。ラファだというのに不遇な境遇から己の力と才覚のみで頭角を現した者――」

 

 おい、お前は阿呆か!?

 謁見の間の貴族達がギョッとしたように一斉に俺の方を見てきたので、糞陛下の言葉を遮ってでも口を閉ざそうと慌てて俺は喋り出した。

 

 「へ、陛下! お戯れを。リオン、バルトファルト卿を総司令官として一丸となるときに悪い御冗談は止めて頂きたいものです。陛下の御親類を司令官に据えるにしても現場は混乱してしまいます」

 

 糞っ! 俺を替えるんじゃなくて、暴露して据える気かよ!?

 

 「余の話を遮る無礼を許そうではないか。独力で子爵にまで駆け上がり、ホルファート王国勇猛騎士列伝にまで記載されたお前だ。もう隠さずとも良い。今後はラファを名乗り、王宮そして王都の防衛に注力して貰いたい。皆もここにいるヘルツォーク卿は、故有って隠されていたが立派なラファである。実績も十分だ。安心して公国軍本体を迎撃している間も王宮で職務に励んでくれたまえ。以上だ」

 

 暫しの間静まり返った謁見の間を激震が走り抜けた。

 

 「「はぁぁぁぁぁぁああああああぁあぁぁあああ!?」」




西瓜ペシャン公様より頂戴しました、水着バージョンのイメージ画像を載せさせて頂きます。
熱い今の時期にピッタリのイメージ画像に心が躍ってしまいました。

■マルティーナ


【挿絵表示】

ティナがエロ可愛っ!
潮里先生のイラストで、ビールのCMポスターみたいなクラリス先輩とミレーヌ様の水着イラストがあったので、ティナはこのぐらい攻めたほうがいいですね!

■ヘロイーゼ


【挿絵表示】

ヘロイーゼちゃんのバカンスモードは、かなりハマってますね! 健康的だし一緒に遊びたい系女子No.1
やっぱりこの子は可愛いなぁ。

■ナルニア


【挿絵表示】

ナルニアの透けているパレオが、エロくて良いですね!ティナのもそうですが、個人的にパレオ好きなんですよね。
地味に好みを把握したり西瓜まで用意する、気遣い上手のナルニアは、居てくれないと困るレベルにランクアップ!
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