乙女ゲー世界はモブの中のモブにこそ、非常に厳しい世界です   作:N2

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あ~、あれだなぁ、バカテスだなぁ。そのせいだなぁ。

例のごとく、何かすみません。


閑話 モブせかのメンバーと王様ゲームをやってみた

 リオンとお茶会を合同でやるかという事になり、空き教室を借りて、準備をしているとアンジェリカさんが楽しそうな笑顔で入ってきた。

 

 「リオン、それにエーリッヒもか! ちょっとこれを見てくれ」

 

 ふむ、番号が書かれたお洒落なカードに…… 王冠のカード!? それに手を入れるために空けたのだろう丸く空いた箱…… リオンを見ると冷や汗をかいている。

 あ、うん、たぶんあれね。

 

 「実はな、これは王族に伝わるゲームでな。ラファを冠する当家にもあったのだ! その名を王様ゲームという!!」

 

 うん、知ってた! あの人生ゲームを昨日やったというのに、何て物をこの公爵令嬢様は持ってきてくれやがったのだろう。

 お陰で寝不足だし、まだ胃の調子が悪いのだ!

 

 「あ、あれ? 2人とも元気がないぞ? これはな、元々継承権を持つ王族達がやっていたんだが…… いつしか禁止された曰く付きのものなんだ。まぁ、ただのゲームとして、ここだけならいいだろう。さあやるぞっ!」

 

 いや、知ってるよ。たぶんめっちゃ殺伐としたんでしょ。継承権持ってる王族達の王様ゲームなら血が流れそうだからね。

 公爵令嬢様もわかって! そこを!!

 アンジェリカさんのゲーム魂に昨日で火を付けてしまったか。

 

 「いやぁ、でもアンジェ、人も集まってないし…… まぁ、また今度でいいんじゃないかな。ハハッ」

 

 リオンから、逃げの必殺、先送りが発動された。

 

 「クラリスに話したら是非やりたいと言って、もうすぐここにくるぞ! リビアもだ」

 

 しかし、アンジェリカさんからは逃げられない。仲間を呼ばれてしまった。リオンはあうあうとしている。

 ふ、仕方ないな。

 

 「じゃあリオン、僕は誰か他にも呼んでく……」

 

 「大丈夫だ、お前とのお茶会だ。間違いなくマルティーナさんは来る」

 

 ガシッとリオンに腕を掴まれてしまった。

 唯一の男子という仲間が裏切った! ○カポンはもう終わっているというのにか!?

 くそっ、こいつ巻き込む気だ! 昨日幸せだった奴が、俺をさらに胃痛に導くというのか!? 

 

 「あら、リック君もいるのね!」

 

 「エーリッヒ様のお茶会でもあるんですよ。それに王様ゲームですか。面白そうですね!」

 

 クラリス先輩と我が妹様が来てしまった! 

 しかも既にクラリス先輩から王様ゲームの事を聞いて知っている。

 

 「やっほーです。リックさん! オリヴィアちゃんに誘われて来ちゃいました! ってうぇえ!? アンジェリカ様にクラリス様!!」

 

 「ヘロイーゼさんがお茶会に参加するみたいなので話しちゃいました」

 

 てへ、と舌を出すオリヴィアさんにリオンがホッコリしている。俺はイーゼちゃんのワチャワチャしたテンションにホッコリした。

 

 「ん、あぁ、リュネヴィルの。別に様はいらんぞ」

 

 「私も別にいらないわ。それにヘロイーゼさんとは、仲良くしたかったの。うふふ」

 

 アンジェリカさんは相変わらず男前だな。クラリス先輩は相変わらず黒そうだ。そんなところは嫌いじゃない。寧ろ腹黒女子は好きだ。何かエロい。

 

 「あ、はい。ではアンジェリカさんにクラリス先輩とお呼びします。わたしの事はイーゼで構いません」

 

 「イーゼか。わかった」

 

 「イーゼちゃんと呼ぶわ」

 

 「せっかくなので、わたくしもイーゼさんと呼びますね」

 

 アンジェリカさんとクラリス先輩が答えたら、我が妹様も便乗してきた。

 

 「はい、宜しくです! じゃあわたしもティナちゃんと呼びますね」

 

 今はヘロイーゼちゃんも専属使用人がいないから、アンジェリカさんもそこそこ好意的だ。

 しかし、ティナとクラリス先輩は表面上笑顔だが、獲物を狙うような目でヘロイーゼちゃんを見ている。

 ヘロイーゼちゃんは、ビクビクしながら笑顔を保って俺の後ろに隠れ出した。

 はぁ、既に胃が痛い。

 リオンは、アンジェリカさんとオリヴィアさんがキャッキャうふふしているのを、後ろでそれを鼻の下を伸ばして見ている。

 はぁ、殴りたい。

 

 その時、ガラッと扉が開かれて直ぐ様ピシャッと扉が閉められた。

 あぁ、ダニエルとレイモンドが、扉を開いた瞬間に見えた面子で逃げやがった!

 

 「ん? 今誰か来たな」

 

 「間違いだったんでしょ。さぁ始めましょう」

 

 アンジェリカさんは気にしたが、クラリス先輩はたぶんわかってて流した。

 リオンと俺の顔が、サッと青ざめていく。

 

 (ねぇ、何で王様ゲームで男子の僕達のほうが嫌がるの?)

 

 (馬鹿っ! 面子を見てみろ。下手な事やったら、明日から女子に吊るし上げを食らうぞ! 女子のほうが百億倍立場が強いんだ!!)

 

 ふう、そうだった。ここは女子が正義の学園だからね。いつか王国にア○シズでも落ちないかな。

 俺、赤い機体で浮島を王宮に落としたい。

 

 「ふむ、参加者は7人だな。さあカードを引くんだ」

 

 アンジェリカさんが、ウキウキと催促してくる。あれ、男子に説明ないよ。知ってるけど。リオンも特に気にしない。逆らえないからね。仕方ないね。

 

 「王様だ~れだっ!」

 

 王様ゲーム、前世ではめっちゃ楽しかったしやりたいゲームの一つだったのに、物凄く嫌な予感しかしないゲームだ。女子のほうが多いのに。

 どうしてこうなった…… この地雷ばかりの面子で。

 

 

 

 

 「あ、やった! わたしです!」

 

 ヘロイーゼちゃんが王様カードを手にした。アンジェリカさんが、グヌヌとしている。

 他の女子はまだ静かだが、オリヴィアさんがワクワクしているな。

 ふふふ、気付いているぞリオン、貴様、ビクビクしているな! ははは、俺もだ。

 俺は3番だ。嫌だな、そうだ試しにヘロイーゼちゃんに向かって、パチパチパチっとウィンクで伝えてみた。

 気付いて! 3番はダメだから!

 ヘロイーゼちゃんは、おっ! と少し驚いたように目を見開き、そしてウィンクしてきた! キラッ!

 さすがだな。そういう仲になってしまったか。

 

 「じやぁ、3番が王様にチューで!」

 

 おーい!? お前に跨がって急降下するぞ!

 

 「え、え!? そういうのもいいんですか?」

 

 「王様の命令は絶対だ」

 

 オリヴィアさんは顔を赤くしてリオンのカードを覗こうとしている。アンジェリカさんは男前だ。というかもう女王様だな。

 

 「3番は誰何ですか?」

 

 我が妹様が探るように見てくる。

 

 「ふ、この僕だ!」

 

 初っぱなからやけくそになってしまった。

 ビキッと室内の空気が重くなる。リオンはビクッとしていた。

 

 「リックさん! さ、さぁどうぞ」

 

 手を広げて目を閉じて迎え入れる態勢だ。

 最近気付いたけど、この子けっこう気合い入っているよなぁ。この空気の中。

 我が妹様のティーカップの取っ手が握り潰されたのは、もう気にしない。クラリス先輩はとにかく俺をじぃっと見てくる。怖い。

 えい! チュッとおでこにキスをした。

 まぁ、どことは言われてないからね。お約束だね。

 

 「あ、でも、えへ、えへへ」

 

 おでこを抑えて赤くなって笑うヘロイーゼちゃんは可愛いなぁ。

 

 「「チッ!」」

 

 いや、もう誰が舌打ちしたかわかるからね!

 

 「ほら、次にいくぞ! 王様だ~れだ!」

 

 アンジェリカさんはテンション高いなぁ。

 

 「よし、私だ!」

 

 アンジェリカさんが王様を引き当てた。

 

 「アンジェリカは引きが強いわね」

 

 クラリス先輩も感心している。

 

 「じゃあリビアとリオンが私にハグだ!」

 

 番号を無視した!?

 

 「ちょ、アンジェ、番号言わないと。さすがに直接は駄目でしょ」

 

 おぉ、オリヴィアさんはやろうとしていたが、リオンはさすがに止めたか。

 

 「ふむ、では2番と5番が私にハグだ!」

 

 リオンとオリヴィアさんが驚いているが、アンジェリカさんは堂々としている。

 くそっ、ニュ○タイプはズルいぞ! ていうか名指しで2人が驚いた瞬間にカードを見たな。たぶんだけど。

 

 「「そ、その手が!?」」

 

 クラリス先輩と我が妹様が、アンジェリカさんのイカサマ手法に驚愕しているが、もう通じないぞ。

 アンジェリカさんが、リオンとオリヴィアさんにハグをされている。

 だからもうその3人はゴールしてるからっ!

 

 「「「チッ!!!」」」

 

 ん? 舌打ちが3人…… もう思考は放棄したのだ。

 

 「はいはい、次にいくわよ。王様だ~れだ!」

 

 クラリス先輩が手を叩いて先を促した。

 

 「やった! わたくしです!」

 

 おぉ、我が妹様が引き当てたか。ふふふ、震えてくるな。

 

 「じゃ、じゃぁお兄様がわたくしに……」

 

 「駄目よティナさん。番号を言わないと」

 

 グヌヌとクラリス先輩を見る妹様。リオン達は余韻に浸ってほんわかとしていた。

 いいなぁ。

 ん、サッとヘロイーゼちゃんが俺の手元を覗いた気がした。そして我が妹様にウィンクを2回している!? 

 ま、まさか……

 

 「じゃ、じゃあ2番が王様に可愛いよ。愛してると耳元で感情を込めて囁いてください!」

 

 そうか、ティナは気付いたか、あのヘロイーゼちゃんのウィンクに。

 

 「さ、さぁお兄様! カードをお見せください!」

 

 チラッとカードを表にした。

 

 「さ、3番!? では2番はっ?」

 

 「うふふ、私ね」

 

 クラリス先輩が妖しく微笑み出した。おぉ、ヘルツォーク領以来の2人のスキンシップだな。

 しかし、ヘロイーゼちゃんが仕掛けるとは。

 

 「こ、この、イーゼさんっ!!」

 

 「うふふ、さぁいくわよ」

 

 クラリス先輩がティナに寄り添い耳元に口を近づけていく。エロッ!

 

 「ふふ、ティナさんは可愛いわ。ふぅ、愛していますわよ。ふぅ、ふふふ」

 

 「ひぅっ!? んはぁ、い、息は耳に…… ダメェ…… くはぁ」

 

 エッッッロッ!!

 我が妹様がクラリス先輩の身体に崩れ落ちた。クラリス先輩もかなり悪ノリをしているな。

 アンジェリカさんとオリヴィアさんが白百合なら、クラリス先輩と我が妹様は、まるで黒百合だな。

 ものっそい不吉! あれ花言葉ヤバかったような……

 

 リオンがガン見してオリヴィアさんとアンジェリカさんに両耳を抓られていた。

 まぁ、あのティナの姿は、男には見せたくないよなぁ。2人とももっとやって!

 もう全員なにかしらに関わったからもう終わりたいなぁ。

 

 「じゃあいきますよ。王様だ~れだ!」

 

 リオンが耳を痛めながら、開催を宣言した。

 

 「お、俺だ」

 

 リオンが引いたか。俺はけっこう引きが弱いな。

 アンジェリカさんとオリヴィアさんがドキドキしながらリオンを見ている。

 クラリス先輩やヘロイーゼちゃんは次に期待してる感じだ。我が妹様はぐったり気味なので俺の肩を貸している。ちょっと幸せそうにしやがって。

 

 「では、王様含めて1番から6番まで、これで今回はゲームを終了します」

 

 おぉ、素晴らしいぞ!

 

 「リオン君そんなっ!」

 

 「もう終わるのか!?」

 

 クラリス先輩とアンジェリカさんが食い付く。

 

 「日が落ちるのが早くなってきましたからね。さぁ、王様の言う事は?」

 

 「「「「「「絶対!!!!!!」」」」」」

 

 解散となった。

 結局、昨日も今日もまともにお茶してないな。

 

 

 

 

 俺はティナに腕を組まれながら学生寮に向かっている。

 

 「ティナ、もう復活してるだろ。離れなさい」

 

 「いーやーでぇすぅ。王様ゲームもっとやりたかったですのに」

 

 さいでっか。まぁある意味いつもの事だからいいか。ティナの感触は心地好い。ティナもそれをわかっててやっているのがあざといな。

 

 「そうね。まだやり足りないわね」

 

 「もっと遊びましょー!」

 

 え!? クラリス先輩とヘロイーゼちゃんが待ち構えていた。

 

 「ど、道具は?」

 

 「あんなの紙とペンがあれば、できるでしょう?」

 

 仰有る通りです。

 

 「ティナさんは帰り道楽しんでいたみたいだから、参加しなくていいわよね?」

 

 「は? やりますけど」

 

 俺の腕を極めながらティナはクラリス先輩を睨み出す。クラリス先輩は優雅な瞳で、その睨みを迎え撃っている。

 

 「あ、リックさん胃薬ありますから大丈夫です!」

 

 いや、そもそも薬に頼る事態は駄目だよね。

 

 このあと滅茶苦茶王様した。

 字面だけ見ると幸せそうだな。




何とかに跨がっ○お前に急降下。
お前に跨がって急降下、ふふ、こっちのほうが、何かエロい。

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