乙女ゲー世界はモブの中のモブにこそ、非常に厳しい世界です   作:N2

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木村長門守重成様、誤字報告ありがとうございました。

お馬鹿な回になってしまったけど、楽しかったです。
ちゃんと少しずつは進んでます。

9,000字超えたんですが、キリもいいので分割せずに載せちゃいました。

そういえば、なろうは人気ある作品でも1話が2,000字程度の物も多いのに、ハーメルンは皆さま結構文字数が多い作品が目立つなと思いました。

拙作の平均5,500字くらいかな。それが普通かもしくは少ないほうに感じます。
読みごたえも含めて4,000字は欲しいなぁと個人的には思います。

いつもお読み頂き本当にありがとうございます。



第48話 武運のお守り?

 修学旅行での目的地である浮島に到着した学園生達は、思い思いに過ごし出す。

 南方にあるこの浮島は王国本土よりも暑く、希望者は浴衣を借りて浮島内のお祭りを楽しんでいた。

 ここで修学という言葉に突っ込んではいけない。遊ぶ事もまた、学びなのである。

 

 男子も浴衣を借りられるという事なので、俺も浴衣に着替えて女性陣を待っていた。

 

 「しかし、まんま日本のお祭りだな。提灯に出店。石灯籠が参道に並んでいる。感動だな…… 確かにリオンの浮島の温泉で旅館の浴衣のような物が用意されたから、日本的な何かがあるのかも知れないとは思ったが、まさかここまで日本と同じだとは……」

 

 寂寞とした望郷に浸っていると女性達が声を掛けてきた。

 

 「エーリッヒ様、ボーッとなさってどうしたのですか?」

 

 「リック君はお祭りに当てられちゃったのかしら?」

 

 「ほら! リックさんどうですか? この浴衣!」

 

 「ねぇ、イーゼ、私達の浴衣ちょっと大胆じゃない?」

 

 浴衣の女性達が呆けていた俺をさらに惚けさせる。

 

 「ティナもクラリスも綺麗で色っぽいよ。イーゼちゃんとニアも可愛いね。でも2人のはまた凄いセクシーだな……」

 

 マルティーナもクラリス先輩もオーソドックスな浴衣で、マルティーナは赤が鮮やかな彩りで綺麗系のマルティーナに良く似合っている。クラリス先輩は清楚系なのに紫でグッと大人の色気を醸し出している。

 イーゼちゃんとニアはまさかのミニ浴衣で太腿を曝け出している。鼻血が出そうだ。

 イーゼちゃんは黄色の華やかな可愛らしい浴衣だ。正しミニ!

 ニアはピンクの可愛さと色気で勝負の逸品だ。しかもミニだ!

 しかも4人とも髪をアップにして飾り付けている。

 うなじもほっそりとしており、浴衣との色気の融合に俺の脳を溶かしそうな勢いだ。

 今日、俺はこの中の誰かを襲ってしまうかもしれない。

 

 昔、女性ブランドからミニ浴衣が出たけどあの時も興奮したなぁ。流行りの年ぐらいで以降は無くなったけど。その後は飲み屋の衣装でしか見なくなったが…… 

 たぶんハイエ〇スが大活躍したからだろうか?

 

 「まったく2人は、はしたないですよ」

 

 「あら、リック君の目が釘付けね。失敗したかしら?」

 

 我が妹様はヘロイーゼちゃんとナルニアのハイ〇ースされそうな姿に眉を潜めており、クラリス先輩は嫉妬だろうか?

 顔を見れば、そんなイライラすぐに忘れるよ!

 

 「何言ってるんだいクラリス。着こなしは流石だね、綺麗だよ。ティナ、お前のスタイルの良さには驚かされるよ。ほらこっちに来てよく見せてくれ」

 

 「は、はい。えへへ」

 

 実際に素敵な女性達だから俺は護衛代わりだな。皆、修学旅行という普段と違う環境と祭りでかなり羽目を外しだしている。

 

 「ほら! この浴衣にして正解でしょ! リックさんの目も釘付けだったし!」

 

 「確かにご主人様はそうだったけど。他の男子の目が鬱陶しくない?」

 

 今もチラチラと俺は見てしまっているが、両脇をマルティーナとクラリス先輩に固められてしまい思いの外よく見ることが出来ない。くっ、もっと見たいのに!!

 

 「ほら、イーゼちゃんもニアも離れないようにね」

 

 「は~い!」

 

 「は、はい。帯、お借りしますね」

 

 ヘロイーゼちゃんとナルニアは俺の帯を優しく手を掛けるように掴む。歩くスピードを落とさないと。

 しかし、囚われた珍獣みたいな立場だな俺は。

 私は人身御供か?

 

 

 

 

 「何か狩りで捕らえられた獲物みたいな格好だな」

 

 「あ、あはは。間違ってないのかも知れませんね」

 

 取り巻きから逃れてきたアンジェリカは、オリヴィアと合流することが出来たため2人で屋台を巡っていると、まるで捕獲されたような格好のエーリッヒを見つけてしまい、アンジェリカから先程の感想が漏れていた。

 

 「でもエーリッヒさんも出世とかしたのにあまり女性はアプローチしてないんですね。ヘロイーゼさんは2学期始まって何時の間にかでしたし、ナルニアさんはちょっと特殊というか……」

 

 オリヴィアもナルニアの経緯は知ってはいるが、エーリッヒの取り巻きなのか、それともマルティーナかはたまたクラリスのなのかはよくわかっていない。

 

 「やはりティナとクラリスの存在が大きいな。女子共は2人を怖がったり遠慮したりで迂闊に手が出せん。ナルニアはエーリッヒの寄子になる娘だから、今後も傍にいるだろう。わからないのはイーゼだ…… エーリッヒのお気に入りだから、ティナもクラリスも排除など出来んのだろう。下手したらそのままイーゼに持っていかれる恐れがある」

 

 「ヘロイーゼさんって凄いんですねぇ」

 

 オリヴィアはアンジェリカの考察に素直に驚いている。

 

 「ただしエーリッヒもその辺の機微も恍けている様で把握しているだろうさ。当初はティナを王都の有力な貴族家に嫁がせたかったようだが、それもティナの意向がエーリッヒの傍だから無理だろう。クラリスは王宮貴族の重鎮の娘だ。無下には出来ん。エーリッヒも好ましいと思っているだろうからな」

 

 アンジェリカの言葉にオリヴィアは考えだす。アンジェリカとてユリウスとの間柄をマリエに引っ掻き回されて壊されたが、女としての見方と貴族としての見方は心得ている。今もとある人物に惹かれているのだ。両方の視点の機微は上手く機能している。

 機能しているからこそ、とある人物に関して身分も含めてモヤモヤとしてしまうのだが。

 オリヴィアは貴族の視点が乏しいというか、ほぼ皆無なため思い切ってアンジェリカに聞いてみた。

 

 「仮にエーリッヒさん達が上手くいく形ってあるもの何ですか?」

 

 「ふむ、エーリッヒの奴は今後子爵になるからな。しかも恐らく子爵家としては財務面でも武力面でもかなり有力な家になるだろう。しかも血縁が乏しい。だからこそ正妻にクラリスで王宮と伝手を作る。そして側室にティナだな。これでヘルツォークの本家とでもいうべきか、そこと互助関係になるのにも筋が通る。リュネヴィル家はフィールド辺境伯家が近いが、別にあそこの寄子ではない。リュネヴィルとしてはイーゼを愛人としてでもエーリッヒの元に送りたいだろう。あそこは公国戦では必ず参陣させられるからな…… ナルニアはまだよくわからん。ドレスデン男爵は今後エーリッヒの寄子になるから、わざわざ娘を送る必要までは無いが…… 後は当人達やクラリス達次第だな」

 

 (しかし軍備は王宮から制限が掛かるかもな。あんな場所で本家ヘルツォークのように飛行船を五十隻、鎧を仮に500機など揃えられたら、王国本土はいつ強襲されるか気が気ではない。精々が十隻、厳しければ五隻だな。気づいたら王国内の子爵家筆頭を争うのが、本家ヘルツォークとエーリッヒのヘルツォーク家になりそうなのが皮肉だな。これは王国の政策の歪みを表しているのが笑えない…… あの二家が手を携えるのは目に見えている。強大な伯爵家、セバーグやローズブレイドですら食われかねんな)

 

 アンジェリカには、クラリスとバーナード大臣がほくそ笑む様がありありと思い浮かんだ。

 アンジェリカがエーリッヒの今後における軍備などを考察していると、そんなことはわからないオリヴィアは、アンジェリカの考え深さを素直に驚く。

 

 「そんな方法あるんですね。でもクラリス先輩やマルティーナさん、それにヘロイーゼさんはそんな形でいいのかなぁ? あ、でもマルティーナさんは問わないのかも……」

 

 オリヴィアはあの学園祭で、最終日に自身がベンチで黄昏ていた時に慰めてくれた後、ふと呟いていたマルティーナを思い出す。

 

 (確か…… 私は愛玩動物でも構わないって…… 形は問わずにただエーリッヒさんの傍にいたいんだ)

 

 「リビアは何か知ってるのか?」

 

 「い、いえ、マルティーナさんはエーリッヒさんの傍にいられればいいんだろうなって」

 

 「ティナは教育も教養も高く、古い貴族女性の物を受けているから大丈夫だろう…… ちょっとエーリッヒへの想いが強過ぎるようだがな。クラリスも側室云々は問題ないと思うぞ。エーリッヒは高位ではないが、高位貴族へ嫁ぐための教育を受けている。後はエーリッヒの器量次第だな」

 

 「エーリッヒさんも大変そうですね……」

 

 オリヴィアは先程のエーリッヒの姿を思い出す。そのイメージ像は既に木の棒に手足を縛られて吊るされた豚か猪だ。

 この後、4人に美味しく頂かれてしまうのかと顔が真っ赤になってしまう。

 

 「顔が赤いぞ、祭りの熱気にでもやられたのか? 少しあちらで休もう。それにしてもリオンの奴は何処に行ったのだ。まったく……」

 

 出店などのメイン通りから外れたベンチに移動すると、言い争うような声が聞こえてくる。ついアンジェリカとオリヴィアは耳を澄ましてしまった。

 

 「離してください! いくら貴族様だからって!」

 

 「金ならあるんだ! ほら、いくら欲しいのか言ってみろ!」

 

 リオンの声だ。しかも誰かを脅しているような物騒な気配がしている。

 アンジェリカとオリヴィアは、まさか地元民とのトラブルだろうかと思い声のするほうに駆け出して行った。

 

 「お前は何をしている!?」

 

 「リオンさん!?」

 

 リオンは2人が出てきたことにより慌てだしていた。

 

 「こ、これは、そのぅ」

 

 地元民のひょっとこのお面をつけた男性がアンジェリカとオリヴィアに助けを求めだしてきた。

 

 「助けてください! この貴族様が持っている物を全てよこせと言ってきて!」

 

 まるでその物言いは、無理矢理民から毟り取る悪い貴族の見本のようであった。2人はジト目でリオンを糾弾するように見据える。

 

 「ち、違うんだ! 俺は全部買うから渡せって言ったんだ! 金ならあるんだ!」

 

 お面の男性は首を横に振る。

 

 「これを楽しみにしてくれる人達がいるんです! いくらお金があっても皆の楽しみは奪わせませんよ!」

 

 男性が持っている物を見れば、白い袋に包まれた小さい何かであった。これを箱に並べ入れて売り歩くのであろう。アンジェリカとオリヴィアは、これだけリオンが騒いでいる物なので、興味を惹かれてお面の男に尋ねる。

 

 「これは一体?」

 

 お面男は興味を持たれて嬉しいのか上機嫌で説明を始めた。

 

 「うちの婆ちゃんが作ったお守りです。御利益があるって人気でしてね。中身が見えないのは種類が違うからです。何が当たるかは運次第ですよ」

 

 リオンは札束を持ってお面男に迫る。

 

 「だから売れよ。全部買うから…… わかった。十倍の値段で買い取ってやる」

 

 大金を用意するリオンにお面男は逆に怯えだしてしまう。

 

 「な、何ですか! お金で解決する問題じゃないんです。これは皆の笑顔を見るためにやっているんです!」

 

 お祭りを楽しむ人達にお守りを売って喜んで貰いたいのだ。お面男にとっては商売は二の次である。

 リオンは懐から金貨の入った袋を取り出してお面男に迫る。

 

 「ほら、これでどうだ? 金貨だ。二十枚は入っている。これもつけようじゃないか!」

 

 男性が、うっ、と一瞬考えるような素振りを見せたが、誘惑を振り切るように首を横に振る。

 

 「婆ちゃんが皆に喜んで貰うためにこのお守りを丹精込めて作ったんだ! 絶対に屈しはしない!」

 

 お面男の不屈の闘志に対抗するようにリオンも笑う。

 

 「くくく、いい度胸じゃないかっ! 気に入ったぞ! 実はな、白金貨も用意している!! さぁ! これならばいいだろう? ふはははははははっ!!」

 

 「……くっ!? いや、駄目です!!」

 

 金額をどんどんとつり上げていくリオンに対し、それに屈しないように抵抗するお面男。

 アンジェリカとオリヴィアは、その様式美のような茶番劇に呆れ返ってしまっていた。

 アンジェリカはリオンの耳を掴んで引き離していく。

 

 「い、痛い! 痛いよアンジェ!」

 

 「いいかげんにしろ。ほら、今のうちに行くんだ。ここは私達が引き受ける。すまなかったな」

 

 オリヴィアもお面男に頭を下げている。お面男は大事な商品を抱えて2人にお礼を言い、祭り会場の人混みに消えていくのであった。リオンが耳を掴まれながら手を伸ばして嘆いている。

 

 「待って! 俺のアイテムゥゥゥウウウウ!!」

 

 アンジェリカもオリヴィアもそんなリオンに呆れてしまい、何て声を掛ければいいかわからなくなってしまった。

 

 

 

 

 お祭り会場の少し離れた所にある休憩スペースが空いており、そこで俺と4人は皆が思い思いに屋台で買ってきた品を広げて、お喋りに興じながら食べていると、リオンの叫び声が聞こえてきたような気がした。

 

 「お米という穀物から作ったお酒だそうですよ。ご主人様も如何ですか?」

 

 当然成人している俺達は軽くお酒も用意している。まんま日本酒だな。

 しかし歌舞伎町系の派手めのニアがミニ浴衣でお酌か…… イケそうな気がする! あると思います!

 

 「ありがとうニア。ニアもどうだい?」

 

 「あ、じゃあ、お言葉に甘えて頂きます」

 

 従順だ。学園女子が従順だと!? 何だこれはっ! ときめく! これはときめくぞぉ!!

 

 「あら、私も頂こうかしら。少し肩を貸してね。うふふ」

 

 肩にしな垂れかかるクラリス先輩。エッッッッロ!!!

 

 「もちろん一緒に飲もうクラリス。ティナはあまり強くないんだから少しにしなさい。イーゼちゃんも飲もうか!」

 

 「は~い!」 

 

 ヘロイーゼちゃんがいい返事をすぐさましてくれる。おぉ、従順だ!! お祭りの魔法か? しかも勢いよく手を上げて返事をしてくれるから、胸元がチラッと、短い裾がチラッと誘惑をしてくる。くそっ、Dと腿の隙間が誘惑してくる!!

 今日はイケるな!! 間違いない。

 

 「不思議な香りですが、いいですね。これ」

 

 コクコクと飲みだす我が妹様。ちょっと可愛いがワインとほぼ同じ度数だぞ!

 隣を見るとニアの谷間が見下ろせる。何だと!? Cぐらいなのにムチっとちゃんと盛れている!! 膝頭を足に付けてきた…… お尻と腿がムチっとしている、しっかりとあの吸い込まれそうな隙間が空いており、視線が吸い寄せられる。こいつぅ従順なふりをした美尻の小悪魔めっ!!

 まったく、若者の下半身をあまりいじめないで頂きたい。

 

 そんな事に思いをはせながらお酒をぐびっと飲んでいると、天狗お面を付けた地元民が近づいてきた。

 判断が遅すぎたとでもいうのか!?

 

 「あ、こんな所にも貴族様達がいたんですね。祭りのお土産にどうですか? このお守り、御利益があって人気なんですよ。もしかしたら、中には特製のお守りもまだ残っているかもしれませんよ」

 

 「そういえばリオンがそんなことをぶつくさと独り言で言っていたような……」

 

 あれはリオンが涙を流しながら、プールでおっぱいを見ていた時だっただろうか?

 

 「いいんじゃない。ほら、修学旅行の思い出にね」

 

 クラリス先輩は乗り気だ。俺もこういうのは好きだ。前世でもキーホルダーをついつい買ってしまった記憶がある。大人になってもサービスエリアとかでつい買ってしまうのだ。

 

 「何が入っているかは運次第ですよ。お嬢様方からどうぞ」

 

 良い気分の所を天狗男に邪魔されたが、お嬢様方は上機嫌でお守りが入っているであろう白い袋を取り出した。俺はお金を天狗男に払って、最後だったのであろう、わざわざ天狗男から直接手渡される。

 

 「入っているのは、幸運のお守りと武運のお守り、それに色付いたものは属性の加護といってその属性にあった魔法がちょっと得意になるっていう物なんですよ。人気なのでこれでお終いになってしまいました。では、祭りを最後まで楽しんでください」

 

 そう言って、柄やどういう物かを伝えた後は天狗男はサッと行ってしまった。

 お祭りのスパイスとしてはこういうのも面白いな。中に入っているのは、紐が括られたビー玉程度の大きさだというから邪魔にならないのもありがたい。

 

 「じゃあ開けますか! えい、あっ私は幸運のお守り! えへ、狙ってたんだぁ。良かった」

 

 「なら私も、良し! 幸運のお守りだ。私も狙ってたから…… やった」

 

 ヘロイーゼちゃんもナルニアも幸運のお守りだ。2人とも戦いは得意ではないから幸運のお守りが良かったそうだ。ぶっちゃけあまり運が良くない俺も欲しいかも。

 2人とも本当に嬉しそうにしている。キャッと言って2人で手を取り合って喜んでいる。え、何あの2人、尊いんだけど。

 

 「あ、わたくしは緑の色付きですねぇ。風、雷とかの属性の加護でしょうかぁ?」

 

 おぉ、マルティーナは属性の加護かだな。緑は風っぽいなぁ。確か雷も気流から生じる電位差とかだったか? ならば炎や雷の魔法が得意なマルティーナには役に立つだろう。

 どっかのロリコンみたいに取り敢えず圧縮しておけばいいのだ。我が妹様は人間を圧縮しそうで身震いしてしまった。

 それにしても酔ったのか、ふにゃるマルティーナは少し幼い感じに戻り、妙な背徳感が生まれてしまうな。

 だがそれがいいと今日の俺は言える。

 

 「あら、私は白ね。治療魔法かしら? 実用レベルでは使えないから、少しでも威力が上がれば助かるわね」

 

 クラリス先輩は白の属性の加護か。クラリス先輩は治療魔法師になれるほど実力は無いが、適正はあって少々使えるらしい。止血や擦り傷が治せる程度のレベルでも私的には重宝できるな。

 まったく腫れ上がった俺の大リックを治して貰うしかないな。

 

 さて、最後は手ずから渡された俺だな。

 災いから守るようにと(まじな)いでもかけていてくれたのかもしれないな。

 

 「お、武運の守りだな。おぉ、何かカッコいい」

 

 二本の死神のような鎌が交差しており、うっすらと髑髏のような模様が透かしで浮かび上がっている。

 え、なにこれ! めっちゃ格好いいな。

 グレーのジャケットと髑髏のシルバーリングで出かけたい年頃だ。

 

 「リックさんもそんな風に喜ぶんですね! うふ、可愛い!」

 

 お酒のせいか少し頬を染めているへロイーゼちゃん。君の方が可愛いよ。

 

 「でも、少し禍々しい感じがして怖いですね」

 

 眉を八の字にして怯えたナルニアには嗜虐心が生じてしまう。え、何だろう、無性に虐めたくなるな。

 

 「でも、フらィターりゅとオフりーを滅ぼしたお兄様にはぴったりですねぇ。にゅふふふ」

 

 「う~ん、でも強そうだけどリック君大丈夫? 変な感じとかしない」

 

 ぶっちゃけさっきから、滅茶苦茶変な気分になってますが何か? 酒もこの後を考えて、嗜む程度に控えてますが何か?

 ふにゃる我が妹様は、浴衣がはだけて太腿や胸の谷間を惜し気もなく晒している。ベンチに深く腰掛けてもたれ掛かっているのにその深い谷間は凄いな。

 我が妹様のダメ押しで変な気分が加速していくぞ!

 

 「大丈夫だよ。心配してくれてありがとうクラリス」

 

 お守りであれやこれやと楽しんでいると、境内側からリオンとアンジェリカさん、それにオリヴィアさんが出てきてこちらに気付き、お互いに手を上げて挨拶をする。

 

 「リオン達はどこにいたんだ? しかもリオンは妙に疲れたような、でもさっぱりしたような表情だな」

 

 ん、まさか境内の裏側とかでイタしたのか!? DQN系にクラスチェンジしたのか!? いや、アンジェリカさんとオリヴィアさんは普通だな。

 

 「ほれ、3人でお守りを買ったりしてたんだよ。え、浴衣の女の子侍らせてお酒とか羨ましいんだけど」

 

 リオンが見せてくるが、剣が3本交差している。格好いいな、何のお守りだろう?

 

 「あぁ、僕達もお面の人からお守り買ったよ。いいだろ。おい、あまりイーゼちゃんとニアの足を見るんじゃない」

 

 ほら、アンジェリカさんに耳を引っ張られているじゃないか。ヘロイーゼちゃんとナルニアのミニ浴衣の裾を引っ張って下げる姿にドキリとしてしまう。しかも少し屈むから胸とブラジャーが見える。

 サッと2人の前に立ってリオンから隠すと悔しがっている。

 

 「リオン君も大概ね。あまりアンジェリカを悲しませないようにね」

 

 「え、いえ、俺は大丈夫ですよ。もっとリックのほうを注意してやってください」

 

 「うふふ、ちゃんと見ておくわ」

 

 俺に話を振るんじゃない。今日の夜はクラリス先輩によく見てもらうしかないな。

 

 「で、リックはどんなお守りが出たんだ」

 

 「武運のお守りだそうだ。しかも特製らしい。そんなのも残ってるかもとか言ってた」

 

 俺の武運のお守りを見るとリオンがギョッとする。

 

 「え!? 何これ? 怖っ!」

 

 失礼な。確かに不気味かも知れないが、DQN系のごついシルバーアクセみたいで格好いいじゃないか!

 

 「え、こんなのあったっけ? でも俺のも何か特製っぽいから…… いやでも不吉だろ……」

 

 リオンがぶつぶつ言いだし、オリヴィアさんが心配そうに覗いている。

 まぁ、確かに少し不吉に見えるかもしれないが、何ともないしね。寧ろ少しずつ身体が火照ってきた気がする。

 ふふふ、今日のこれからには相応しいじゃないか。

 

 「そろそろお祭りも終わりそうですし、帰りましょうか」

 

 オリヴィアさんが言う通り、そろそろ祭りもお開きの感じだ。

 毎年学園の生徒がここの浮島に修学旅行にくるので、旅館もしっかり完備されている。

 俺やリオン、クリスや他の伯爵家以上の子息は個室だ。大部屋でワイワイふざけて遊ぶのも楽しいんだが、俺の部屋でこの4人で集まって騒ぐ予定だが、二次会みたいな感じになりそうだな。

 マルティーナは潰れるだろう。ヘロイーゼちゃんとナルニアもそれなりに酔っているな。

 まさか!?

 

 「うふふ、楽しみね」

 

 クラリス先輩! ちょいちょいヘロイーゼちゃんとナルニアにお酒を継ぎ足していたのはそういうことか!! 

 

 「大丈夫かい? 今日は長くなりそうだよ」

 

 「えぇ! 素敵ね」

 

 意味深な俺とクラリス先輩間で交わされた2人の会話を、ぽやっとしたヘロイーゼちゃんが聞いている。

 

 「いいなぁ、私も楽しみたいでしゅ」

 

 「ほら、また旅館でお話ししながら呑むだろ?」

 

 「その後でしゅよ…… いいなぁクラリシュ先輩」

 

 おぉ、嫌みにならない可愛い後輩っぽい感じでクラリス先輩に纏わり付いている。

 

 「うふふ、何の話かしら。イーゼちゃんも一緒に吞みましょうね」

 

 「クラリシュ先輩お強いから…… リックしゃんのエッチ」

 

 俺のほうに回ってボソッと付け加えた言葉がホント可愛いな。肩を抱いて頭を撫でると頬を染めてぷくっとしていた唇が、にへらっと緩むのもエロ可愛い。

 皆が思い思いに旅館に戻るが、リオンが最後まで顔を顰めているのが、何故か非常に気にかかった。

 

 

 

 

 宿に戻って二次会が始まり、マルティーナがぐっすりと眠り、ナルニアは宿に戻るころからマルティーナを支えたり甲斐甲斐しく世話を見てくれていたが、疲れと酔いで今は眠っている。

 ヘロイーゼちゃんはまだ頑張って起きているが、頭が時計の振り子のように揺られている。

 クラリス先輩は俺の隣でワインを飲んでいる。俺もボーっとする頭で浴衣にワインも中々似合うなと思いながら、身体の異様な怠さと戦っていた。

 

 「リック君? 凄い汗よ。ねぇ、大丈夫?」

 

 う~んこれはあれだな。

 そういえばこの世界では初めてだが、前世で慣れ親しんだな。

 慣れ親しみ過ぎて、あるラインだと怠くて、更にある一定を超えるとテンションが上がり、そこから最後のラインを超えるとグラグラでトイレに行くのも大変になるのだ。大丈夫、大丈夫と言いながら歩けないのだ。

 これギリギリのラインだな。

 

 「クラリス…… ふぅ……」

 火照って更に目付きの厳しさが増した俺が迫るのに対し、ドキリと身構えたのだろうクラリスが、決意するような表情をし出した。

 あぁ、惜しいな。

 

 「頭痛い…… 節々が痛い」

 

 クラリス先輩に耐えきれずにはだけた豊満な胸元にダイブした。

 ふわっふわのFかなぁ。着痩せ凄いね。

 

 「ちょっとリック君! って熱いわよ。これ熱が物凄くあるわ!!」

 

 高熱を出して倒れこんだ。これ多分40℃前後の奴だ……

 武運のお守りよりも幸運のお守りを俺にくれ!!

 チクショー!!




メェェルトォ…… エーリッヒの思考はアホだな(笑) 
今日の俺は格好いいんだ! とか思ったんだろう。脳が溶けていやがる。
JASRAC、死ねばいいのに!(メルト繋がりでw)
あ~あ、せっかくヤル気になったのに……

≪エーリッヒの器量次第だな≫
お前ほどの男が、何て器量の小さい!!
ミレーヌ様は私の母になってくれるかもしれなかった女性だ!!

そういえば原作様のリオンもミレーヌ様が母親、やばい! いいかもって言っていたな気がする(笑)

う~ん、ニアが歌舞伎町系でイーゼちゃんが渋谷系、クラリス先輩が銀座系でティナが六本木系かな。私は一体何を言っているのだろう(笑)
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