乙女ゲー世界はモブの中のモブにこそ、非常に厳しい世界です   作:N2

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本日の投稿は61話からになります。

見物人様、誤字報告ありがとうございます。

リオンの煽りを超マシマシにしてみた!


第63話 最初の個人的な因縁

 マルティーナが攻撃した二隻からは炎が吹き上がっており、それを呆れた目でリオンは見ていた。

 

 「え、容赦なくない!? もう制圧後なのに……」

 

 『白旗があがってませんでしたからね。それに英断かもしれませんよ。何やらあの永久脱毛した貴族が、不穏な物を使用するつもりでしたから』

 

 リオンはパルトナーに向かうマルティーナをドン引きしながら見ているが、ルクシオンはマルティーナの行動を肯定してくる。

 

 「まぁ、お前がそう言うのなら正しかったのかな? さて、じゃあお前らは国に帰ったら精々負けっぷりでも自慢するんだな」

 

 リオンが嘲るような笑みで黒騎士に言い渡した。

 

 「馬鹿な!? 俺の首を取らないつもりか! 虚仮にしやがって!」

 

 怒りを剝き出しにして黒騎士は叫ぶ。

 

 「は? 気持ち悪っ! お前の首なんかいるかよ。だけどお前の大剣は貰っていくぞ。持たせておくと何するかわからないからな」

 

 リオンは黒騎士の大剣のとてつもない威力のせいで焦ってしまった。そもそもこんな大剣が無ければ、操縦技術に関係なく、アロガンツの装甲が破られることは無い。

 当たってもどうということは無く、じっくり捕まえれば済むだけなのだ。

 

 「この外道騎士が! 貴様のその甘さがいつか命取りになるぞ! お前が命を奪わなかった兵士達が、いつかお前やその関係者を殺すっ! 必ずだっ!!」

 

 憤慨している黒騎士をリオンは見下ろしている。

 

 「あっは! 俺の優しさに救われたくせに、随分と偉そうに吠えるじゃないか爺さん。どうやらわかっていないらしいな。お前らはもう終わってんだよ」

 

 黒騎士は理解できないという表情を顔に浮かべている。そんな黒騎士の顔を面白そうに覗き込んだリオンが懇切丁寧に説明しだした。

 

 「お前らが負けた相手は、武装していたけどしょせんは民間船。おまけに乗っていたのは学生だ。ヘルツォークに至っては、一番活躍していたのはまだ学生ですらないんだぞ。あーはっはっは。子供だよ子供! 成人しているとは言っても所詮俺達はまだ子供! そんな相手に人質まで取って返り討ちに合うとかどんだけ雑魚なんだよお前らっ! あはははははははははははは!」

 

 黒騎士は苦渋を舐めたような表情で憤る。

 

 「こ、この! 悪趣味にもほどがある!」

 

 「大の大人が、子供相手に本気どころか卑怯千万な手を使っても負けたんだよ! いくら俺やヘルツォークが強かろうが凄かろうが関係ない。お前らは侮っていた王国貴族の、くくく、しかも子供にコテンパンにされたわけだ。そんなお前らに次があると本当に思ってるの? 俺は殺さないよ! 精々自国の人間に屈辱に塗れながら殺されれば! 俺も心痛まないし超ラッキーだよ。お前らみたいな無能は、自分達が守るべき民達に憎悪の視線を浴びせかけられながら殺されろよ。ご苦労さん。上手く生き残れたら引退だね。死ぬまで牢屋かな? あーはっはっはっはっは!」

 

 黒騎士はリオンの無慈悲な煽りに愕然としてしまった。

 リオンの言う事実は、容赦なく敵を葬るヘルツォークよりもえげつないだろう。しかも個人的に殺したくないという理由でそれを行うリオンが、黒騎士には化け物に見えてくる。

 

 「貴様は鬼か! この外道!! 騎士として戦場で死なせる優しさもないのか。外道騎士め!!」

 

 敵に対する殺す優しさなど、リオンには少しも理解できない価値観である。

 自分の見ていないところで、今回自分達に無茶苦茶やったこいつらが死ぬのであれば、それはそれで構わないという事だろう。

 リオンは自分で殺すのと、戦争に関係ない一般市民が死ぬのが嫌なだけだ。

 ヘルツォークの殺す優しさは、自らが守る人々に対してのものだ。彼等も敵に対する優しさで殺しているわけではない。リオンにとってはヘルツォークのほうがまだ理解できる。

 

 「何が優しさだ! お前らは随分身勝手なんだな。それに敗者は勝者に従うものだろ? 自国民の憎悪に塗れて殺されるか、恥辱に塗れて余生を過ごせ。俺は人としては優しいが、騎士としては外道や卑劣漢と呼ばれても構わないと思っている」

 

 黒騎士はリオンに対する憎悪で赤黒い表情に染まっていた。

 

 「重傷者はいるか? 命に係わる奴は?」

 

 リオンは黒騎士とこれ以上話すことなど無く、ルクシオンへ話を切り替えた。

 

 『エーリッヒが不味い状態です。クリスがエーリッヒを支えてパルトナーの甲板に降り立ってます』

 

 「俺達も行くぞ! 治療できるのか?」

 

 リオンはエーリッヒが怪我を負っているとは知らずに焦ってしまった。

 

 『パルトナーに設備がありますが、腹部の不味いところを金属片が貫通しています。その金属片が止血代わりになっていますが、抜くと一気に血が噴き出すでしょう。そもそも体力の低下が著しく、加えて他からも出血しています。治療魔法で止血しなければ危ないと言えるでしょう』

 

 リオンは思いのほか酷い重症に驚き、黒騎士を拘束したまま急いでパルトナーに戻った。

 

 

 

 

 クリスに運ばれた俺は、鎧に搭乗したまま甲板に横たえられ、クリスの鎧にハッチを強引に抉じ開けられた。

 

 「リック君!!」

 

 ハッチを覗き込むクラリスの顔が見えた。

 

 「お兄様!!」

 

 「兄上!!」

 

 遅れてマルティーナと魔力切れだろう顔を青褪めさせたエルンストにも覗き込まれた。

 

 「血、血塗れ!? は、早く引き上げないとっ! エト!!」

 

 マルティーナは慌ててエルンストに指示を出すが、エルンストは俺の様子がおかしいことに気付いて躊躇している。

 俺は肯定するように手を少し動かして制した。

 

 「少し姉上は下がってください。兄上、もしかして何処かに何か大きな傷でも?」

 

 俺はエトに微笑んで、右腹部の個所を指でトントンと叩くように指示した。

 

 「だ、だれか治療魔法が使える人は!? 背中から腹部内におそらく被弾した際に金属片が刺さっています! 引き上げて抜いた瞬間に治療魔法を使わないと失血死する!」

 

 エトの勘の良さには助かるが、抉れた鎧本体からの金属片だ。俺の身を引き摺り出した瞬間に出血が酷くなるだろう。

 

 「そ、そうだ! オリヴィアさんは? 彼女、治療魔法の凄い使い手よ。この戦いでも何度も見たわ」

 

 クラリスが叫んでいる。

 俺もオリヴィアさんが治療魔法を使用できるのは知っているが、この戦いの最中、ずっと使用していたのであれば、もう魔力切れで回復はまだだろう。

 

 「お兄様! お兄様! 意識をしっかり!」

 

 手を伸ばしてきたマルティーナを安心させるようにその手を掴もうと手を伸ばすが――

 

 「ごほっ! ぐぅ……」

 

 マルティーナの手に血を掛けてしまった。

 

 「い、いや、お兄様!? いやぁぁああ!!」

 

 視線をエルンストに向けると、即座に意を汲んで発狂しそうなマルティーナを取り押さえてくれた。

 

 「リ、リビアちゃんはまだ回復してません! 他の治療魔法が使える人もいましたが、疲労困憊で倒れてます!」

 

 おぉ、ヘロイーゼちゃんの声だ。癒されるなぁ、天に召されそうだ。

 

 「リ、リック君、私、ほんの少しだけ治療魔法が使えるの……」

 

 覚悟を決めたようなクラリスに気負うなと微笑む。

 

 「そ、それでね。止血したり、擦り傷ぐらいしか治せないの……」

 

 クラリスの瞳から涙が零れ落ちた。

 

 「し、私生活では有用だ…… 卑下する必要は、な、いよ……」

 

 何を悲しんでいるのか理解してしまい、気にする必要は無いと声を振り絞った。

 

 「リック! ルクシオン、容体は?」

 

 リオンが駆け込んでくる音が聞こえた。

 

 『肺も金属片で傷つけています。吐血はそのせいでしょう。そちらは後からでも何とかなりますが、やはり太い動脈を傷つけている金属片が問題です。本体を使用しますか? もしくは最悪輸血という手もありますが』

 

 「この世界で輸血って…… 特に貴族では忌避されていたような……」

 

 顔は見えないが、リオンとルクシオンの毒づく声が聞こえる。ルクシオン先生は何でも知っているな。

 

 「ねぇリオン君、傷は塞げなくても血さえ止めれば何とかなるの?」

 

 「え、ええ、縫合や薬、予後の治療体制は整っています。明日になれば、リビアに治療魔法で何とかしてもらえる筈です。後はまぁ、忌避されますが応急処置の方法もあるにはありますし……」

 

 クラリスは涙を堪える様に再度決意を固める表情をし出した。

 俺の覚悟は大分昔に決まっている。

 

 「クラリス、頼んだよ…… エト、クリス、引き上げてくれ」

 

 俺はクラリス達に声を掛けて歯を食いしばった。

 

 「え!? ちょ、おい。ルクシオン、最悪任せるぞ」

 

 『問題ありません』

 

 エトも悲愴な決意を秘めた表情で、俺の背と肩に手を回す。こんな時はクリスの不愛想な表情が助かる。

 リオンは慌てているな。

 

 「行くぞ」

 

 「はい、タイミング合わせて!」

 

 「「いっせーのっ、はいっ!」」

 

 ずるりと腹の中を撫でられる激痛に声を漏らしそうになるが、マルティーナやクラリスを不安にさせたくないため何とか堪えることが出来た。

 しかし身体から流れ出る血のせいで、妙な吐き気と視界が白っぽく広がっていった。

 

 「もうこんな出来損ないの治療魔法なんか使えなくなってもいい! 何が擦り傷や裂傷が治せるよ!? この時だけでいいからっ! 私の大事な人の血を止めてよぉぉぉおおお!!」

 

 クラリスの絶叫が響き渡り、何かが光っているようだが、うつ伏せにされた俺からは見えなかった。

 

 「ク、クラリス先輩!?」

 

 マルティーナの叫び声と共に何かが、ピキリと割れる音を聞いた気がした。

 

 「止まった! 早く作業ロボットに医務室に運ばせろ! 縫合だ!」

 

 『了解です。マスター』

 

 ぼんやりとそれらの声を聴きながら、意識が離れていくのを止めることは出来なかった。

 

 

 

 

 幾分年の頃が若い金髪碧眼の凛々しい少年が、鍛えられた体躯をしているこげ茶色のパーマがかった男性と話をしていた。

 その男性は顔に皺を刻みだす年齢であるが、精悍であり男らしい顔つきだ。口ひげが渋さを増しており、年上好みの婦女子を大いに誘惑しそうな風貌をしている。

 

 「バランスを崩すというのかね?」

 

 低く深い声色が探るように聞いてくる。

 

 「はい、結局のところ王国が切り取られるような事態になれば、()()も存続出来ているか怪しいところです。ファンオース公国やラーシェル神聖王国はもちろん、王国からは遠い砂漠と荒野の国や、対ラーシェルのためにレパルド連合王国すらも王国を切り取るために攻め込むかもしれません。あの引きこもりの共和国でさえ、出てこないとは限りません。そうなったとき、ラーシェル神聖王国とファンオース公国は、()()を良い機会とばかりに潰すでしょう」

 

 「むぅ、然もありなん…… か」

 

 元々王国に頼らない独自生存の道を残した、絶妙なバランスの上で統治を行っていたが、それを崩そうという少年の提案に初老と呼べる男は、理解は示しているが少々腰は重い。

 

 「はい。ならばこそ、こちらは王国とさらに密となり、力を蓄えるのです。来るべき日のために」

 

 少年の決意を男は汲み取る。

 

 「滅ぼす、若しくはそれに準ずる結果をこの手で掴むか?」

 

 生半可な決意では、男もこの20年掛けているバランスを崩すことに賛同は出来ない。

 

 「はい、以ってこの呪いは解かれることになるでしょう。我々の王国に対する感情を払うのには、その後も時間は掛かるでしょうがね」

 

 最後はおどけた様な言葉を加えるが、目の光に湛えられた決死の覚悟は、男の目と何ら変わることは無かった。

 この少年は全て熟知している。男の決意と辛酸も、いや、過去からの艱難辛苦でさえもだろう。

 それは少々過分な、当時の少年に対する評価ではあったが、結論としては男にとって変わらなかったのかもしれない。

 

 「お前の好きにせよ。ただし、このバランスを王国側に傾けたならば、戻すことは容易ではない。領内は潤い、領民達も利便性には慣れていく」

 

 「だからですよ父上、王妃がレパルド出身が好機となるのです。ヘルツォークの未来は、より良い物になりますよ。だから、僕は天秤を傾けます。そして、呪いの原因を取り除くことに注力しましょう」

 

 あぁ、そうだ。これは11歳の時に書庫で見つけた先々代の手記を読んだ後だったな。

 ヘルツォークの成り立ちとファンオース公国との因縁は知らなかったが、ファンオースとの戦いへの参陣における愚痴を大いに書き殴ってあった物を見た後に、領の力を蓄えようと考え、親父に王国本土との輸出入を行う許可を取ろうとした時だ。

 あの時の俺は、ファンオース公国が無くなるか王国に併呑されれば参陣しなくて済むのだろうという、割と安易な一心だった。

 恰好を付けて呪いとか何とか言ったが、本当に呪いのような何かだったとはその時は思いもしなかったものだ。

 この物言いをしたせいで、親父も既に俺が知っているもんだと言う体をその後も崩さず、13歳の時にヘルツォーク領成立の話を聞いたときは、内心の憤慨を表に出さないように気取った態度を貫くのが大変だったものだ。

 ふとそこで目が覚めた。

 

 「夢かよ。ファンオースが俺の中で不倶戴天になった瞬間だったな。何ともまぁ、懐かしく感じる」

 

 おっさんにしてみれば、5年など若い者の5ヶ月ぐらいの感覚で過ぎ去っていく。ついこの前という認識でもおかしくない時間の経過が、懐かしいと感じるという事は、若い肉体に引きずられているのだろうか?

 少々しゃがれた声だな。

 血を沢山流した後は、そういえば喉が異様に乾いたな。

 1リットルぐらいバイク事故で流した時は、縫合後に帰るまでの40分間で500㎖のペットボトルを3本飲んだ。輸血しろよと毒づいた記憶がある。

 などと考えながらもぞりと起きて、何か飲み物を探していると――

 

 「め、目覚めたんですね! ご主人様!!」

 

 ナルニアが大声を上げた。起きた直後に知っている顔があるのは安心する。

 

 「ニア、水を貰えるかな。結構な量が欲しい」

 

 「あ、はい! こちらに水差しがありますのでどうぞ」

 

 病人用なのか、注ぎ口が窄められており飲みやすい。

 

 「う、う~ん……」

 

 「お、お兄様!?」

 

 「リックさん! 起きた! よ、良かったぁ~」

 

 水を流し込みながら、クラリスの呻き声とマルティーナとヘロイーゼちゃんが飛び起きる声と振動を感じ取った。

 窓を見ると外は真っ暗だ。星が見えるので夜なのだろう。交代で今まで診てくれていたのだろうか。

 

 「心配かけたね。ティナ、イーゼちゃんにニアも。クラリスは疲れてるんだろう。ベットで寝かさなくていいのか?」

 

 水差しから口を離して挨拶をした。

 喉と舌が潤ったおかげで声も一先ずは元通りだが、どうも熱もまだ残っており、血も流したせいか気持ちが悪い。それに胸と腹部が異様に痛い。

 

 「クラリス様が治療魔法でご主人様の出血を止めてくださった後、バルトファルト男爵がこの船の医務室に運んで、針やナイフ? のようなもので、足のないゴーレム達がご主人様の身体を切り刻むから、ティナ姐さんとクラリス様が発狂して大変だったんですよ。イーゼはショックで気を失っちゃうし…… ご主人様の弟君とペーター殿が抑えてくれなきゃ大変でした」

 

 あの2人なら、戦場の傷の応急処置などでナイフを使用して切って破片を取り出したり、雑だろうが糸で縫合したりは経験済みだろう。治療魔法師に預けるまでの応急処置の一環だと直ぐに認識した筈だ。

 後は、俺を診るのに冷静なナルニアがいてくれて安心だったというわけだな。

 

 「は、発狂なんかしてません! 心配だっただけです!」

 

 「い、痛い、痛い! 抱きつくのは今は勘弁してくれ」

 

 「ご、ごめんなさい」

 

 ベッドに身を乗り出して、腕に抱きついてきたが、傷が引っ張られるような痛みが身体に響いてきた。

 

 「じゃ、じゃぁ、リックさん。私は手を握ってますね。えへ、えへへ」

 

 左側に回って椅子に座ったヘロイーゼちゃんが左手を握ってくれる。

 

 「ぐぬぬ、じゃあ、わたくしはお兄様の右手…… あぁ!?」

 

 俺の右手はクラリスの頬の下敷きとなっている。物凄いプニプニしてて気持ちいい。

 クラリスは慣れない治療魔法の反動で魔力が空になってしまったのだろう。それなりに騒がしいのに呻くだけで起きる気配はなかった。

 いじけるティナは可愛いが、この可愛い妹が、殺すわ鎧に乗るわ、更には飛行船焼くわの大活躍をしているのだから恐ろしい。

 全部俺が命じたことだから、余計に申し訳なくもなる。

 

 「ティナ、お前はもう学園で結婚相手は見つけられないね」

 

 つい呟きがそのまま漏れてしまった。

 

 「何を馬鹿なことを! お兄様以外有り得ませんので、そもそもそんな相手要らないんですけど!」

 

 胸を張って宣言する我が妹様。こうも堂々と宣言されるとさすがに俺が面倒見るしかないかと心が決まる。

 正直嬉しくて頬が緩むのは仕方ない。中身も外見も俺の好みなんだ、喜びもするさ。

 

 「その件も含めて、今回の件が落ち着いたらゆっくり話そう。なぁに、そう悪い話じゃないさ」

 

 ティナの表情が見る見る気色ばんでいく。そう単純な反応をされると梯子を外して苛めたくなるじゃないか。

 

 「は、はい! うふ、うふふふふ」

 

 「ずる~い。いいもん! 私もその話し合い参加するもん」

 

 ヘロイーゼちゃんは可愛いことを言う。少し力を入れて手を握ると優しく握り返してくれる反応にホッコリしてしまった。

 そういえば、甲板上ではヘロイーゼちゃんの声で、天に召されるような錯覚になったんだよなぁとぼんやり思いながら、ナルニアが渡してくれた水差しをもう一口飲んでから、再度眠りに就くのであった。




ヘロイーゼちゃんマジ天使!

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