乙女ゲー世界はモブの中のモブにこそ、非常に厳しい世界です   作:N2

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メカ三等兵様、誤字報告ありがとうございます。

リックは悪くないと思うんだ(キリッ)


第66話 義妹と寝よう(正式には義妹ですらない)

 学園に戻ってきたとはいえ、ここ最近は忙しくしている。正直学園自体も休みがちだ。

 卒業するだけなら、このまま学園なんぞ行かなくても、座学がかなり下の方になるが卒業できるだろう。そういう考えが脳内を支配してきている。

 奥歯に物が挟まったような、耳奥(じおう)が疼くような気持ち悪さが拭えない。

 バーナード大臣も忙しいようで面会がいまだ叶わないのも、不快感に拍車がかかる。

 

 「ふぅ」

 

 今は学園寮の自室に戻り、リッテル商会からの各種報告に目を通していた。

 

 「お兄様、最近は授業にお出になられないので、皆心配していますよ」

 

 マルティーナがお茶を用意してくれたのを受け取る。気分的にはぶどうの蒸留酒でもお茶に淹れたいぐらいだが。

 

 「ありがとうティナ。どうにもね…… 王宮の状況がわからないと落ち着かないものだな」

 

 パサリと書類を捲っていく。

 

 「だからといってお仕事ですか? 治療魔法をかけて貰い、熱も下がったとはいえあれだけ血を失ったのです。無茶ですよ…… ファンオース公国が、まだお兄様の胸中を乱すのですか?」

 

 マルティーナは心配してくれるが、あれから2週間も経っているので体調にはまったく問題は無かった。10月もそろそろ終わろうとしている。

 この学園は冬も長期休暇となっており、12月を少し過ぎた辺りから約1ヶ月間だ。春は10日程度なので、実家に戻らない生徒も多い。

 

 「例え待つ身でも準備は出来るからな。リッテル商会にも売却して構わないと伝えた飛行船の運送業者があるんだが、それにストップを掛けて貰った」

 

 「確か、飛行船も無くなって事業の体を成していない所だった筈では?」

 

 そう、マルティーナの言うようにペーパーカンパニーのような状態だ。残っていた人員の希望者は新ヘルツォーク領に移送する予定である。

 

 「少しな、使い道があるとも言える…… いや、使うんだがな……」

 

 登録されている事業体という所に使い道がある。オーナー名義もリッテル商会に頼んで俺に変えてきた。

 不思議な顔をしていたが、商売の為じゃない。

 

 「お兄様が何にご不安なのかは、わたくしにはわかりません。あのファンオース公国との戦い、リオンさんの力は凄まじいものでした。あのパルトナーとアロガンツには、誰も勝てないでしょう。しかしそれは万全な状態のお兄様も同様です」

 

 あの戦いで豪華客船に乗っていた当事者は、誰もがマルティーナのように思うだろう。

 バルトファルトがいれば大丈夫なんじゃないかと。

 

 「ティナ、お前も艦隊の指揮を執ったのだから多少はわかるはずだ。点では駄目なんだよ。戦争は線でもある…… リオンや僕は、例え艦を率いたとしても点だ。点でいくら頑張ろうが、他が崩されてしまえばどうしようもない。その点、僕は王国軍やフィールドなんか全く信用していない。フィールドなんかカナリアの役目を果たせるかどうかも心配だ――」

 

 まぁ、いっぺんに空域に集まってヨーイドン! などという馬鹿な会戦しかしないんだったら、別の意味で情けなくて涙が出るが。軍としての程度の低さに死にたくなる。

 まぁ、将官クラスじゃないと、戦線の推移なんかとてもじゃないけど把握出来ないか。

 

 「――特に公国との戦いは非常に狭い戦闘空域だった。フライタールとの戦いに旗艦に乗艦していたんだからわかるはずだ。前の公国戦のようなあんな圧倒的に狭い空域は異様だよ。あれじゃ、確かに戦争とは言えない。リオンが戦線の各方面に飛んでいって、タイムロス無しに対処出来れば問題ないがね。実際はそんなことは無理だ。リオンが拘束された分だけ他が死ぬ」

 

 仮に1人、素手で飛行船を殴り飛ばせる奴がいても、他で突破されれば終わりだ。

 リオンの力があれば多少は面で抑えられるだろうが、線を1人で防ぐなんて夢物語だ。

 ハマ○ン様っぽい殿下に薙ぎ払ってもらわなければ無理だろう。いや、あれでも精々が面だな。

 

 「しかし、徴兵すら知らない…… 何も知らない王国民や平和ボケしている王国兵が、いくら死のうがわたくし達には関係ないではありませんか? 王宮の馬鹿共が頭を抱えれば良い話です」

 

 マルティーナもヘルツォークだな。しかしその通りだ。

 徴兵制で領民一丸となって、ホルファート王国の壁となっているヘルツォーク領民の事など、王国本土、王都の平民は知らんだろう。何も知らずに漫然と平和を享受している。それを悪いとは言わないが、当事者としては腹立たしくもある。

 寧ろ多少焼かれて、意識改革でもすればいいと本気で思っている。

 

 「そこはティナの言う通りだ。僕ももちろんそう思っている。実はな、このまま戦争が立ち消えになって貰うのも困るという部分もあるんだよ…… そう、それはそれで困るのだ」

 

 一度書類をテーブルに置いてお茶を口に含んだ。やはり自分で淹れるよりも美味しい。

 

 「しかしファンオース公国との戦争になれば、ヘルツォークも参陣させられるとあの貴賓室で聞きました。我々にとっては負担の数としては大きいです。ラーシェル神聖王国とて、ファンオース公国と争うと必ず攻撃を仕掛けてくるではありませんか」

 

 「そしてヘルツォークは、永遠にそれを続けなければならない。馬鹿馬鹿しい…… ほら、まだ叩き台だけどな」

 

 いつのまにか隣に座っているマルティーナに書類を渡す。

 

 「これは?」

 

 「読んで見ろ。まだ概略だがな」

 

 マルティーナが書類に目を通す間にティーポットからお代わりを注ぐ。誰かに話すと少し心も和らぐものだな。

 

 「す、凄い、でもそんな…… どれだけ?」

 

 捲る音が速くなっていく。戻っては進み、戻っては進みを丁寧に繰り返して読んでくれる。

 まだ概略、しかも叩き台だ。流し読みでもいいのに律儀だな。

 

 「賭けで儲けた白金貨950枚がある。まぁ、取り敢えず動かせる金額は1,200枚くらいはあるだろう」

 

 一時的にスッカラカンになってしまうので背筋が冷えるが、まぁ、旧オフリーの事業の上がりが、毎月かなりの額になるので、実は問題もあまり無いとも言える。

 

 「ぜ、全部お兄様が出すんですか!? そんな大金…… しかもこれ、陽動に! だからこそ、あの事業ですか……」

 

 「ある意味、こんな無茶で馬鹿げた事に本家ヘルツォークの金なんか使えないさ。しかし、ファンオースが本気で戦争をやってくれたら、上手く行きさえすれば…… 僕達の代、いや、父上も僕もエトも、分家の各当主達やその息子、2代が現役の世代で終える事が出来る! 質と言う意味での人員は最高だ! ティナ、この数年の間がチャンスなんだ」

 

 人員の数は先々代の時代が、一番揃っていたかもしれないが、質は今が高い。当主と息子が死んだら目も当てられないかもしれないが、次男三男とそれなりに各家もいた筈だ。

 可能であれば俺が学生の内に決めたい。

 だからこそ、王国と公国の交渉の状況が知りたい。先遣隊と態々言っていた事も踏まえると、ファンオース公国は今すぐにでも本隊を動かしてもおかしくはない。

 今準備しておいても腐るような物でもないので、仮に結局戦争にならなくても、次のために取っておく事も可能だ。

 

 「うふ、うふふふふふ、お兄様ったら! 凄いわたくし好みですね。この作戦!」

 

 いや、お前の戦争の好みなんか知らないよ!?

 

 「仕上げたら父上の下に送るさ。長期休暇でヘルツォーク12家を集めて会議だな。その前にファンオース公国の本隊が攻めてきたら、この作戦はパスで次に持ち越しだ。その時にヘルツォーク領が、この作戦を遂行出来るレベルにあるかはわからないしな」

 

 「10年、20年後も現状開けてきているヘルツォーク領であれば、大丈夫のような気がしますが?」

 

 マルティーナの言うように領自体の財政や軍備は大丈夫だろう。

 

 「人の問題がある。指揮官クラスの人員だ。鎧よりも艦隊のほうだ。正直、将来は未知数だな」

 

 ランディすら引退する年代に入ると、その時代にならないともう予測は不可能だ。

 結局は訓練あるのみという話に帰結してしまう。

 ベストではないが、20年前とフライタール戦を経験している者が残る今がベターだ。

 どっかの大将閣下にヘルツォークに兵無しと言われてしまいそうだな。

 

 「でも、お兄様ほど真剣にファンオース公国との戦争を考えている者がどれほどいるのでしょう? それを考えると、得も言われぬ怒りが込み上げてきます」

 

 「そう言うな。僕達が知らないだけで、本当は王宮のどこそこの部署では、昼夜を問わずに頭を酷使しているのかもしれないぞ」

 

 王国本土の平民がヘルツォークを知らないように、俺達だって伏魔殿のような王宮内部を理解するには及ばない範疇だ。だからこそ、出来ることをするしかないだけだ。

 今すぐファンオース公国に攻められるのは困るが、攻めて来ないのも困る。

 

 「なるほど、この気持ち悪さはジレンマだな」

 

 「お兄様?」

 

 俺の答えを得た呟きに反応するティナが律儀だ。

 

 「いや、話をしてだいぶ楽になったよ。あぁ、そうだ、このぐらいで話題を終えて次の話だ。ティナ、誕生月だね。おめでとう。何か祝いをしないとな」

 

 この世界は誕生日ではなく、誕生月の都合の良い日に祝うことになっている。理由は不明だが、決定した日で固定されるよりも、俺自身は都合が付きやすいので助かるから気にしない。

 

 「お兄様! 覚えててくださったんですね!」

 

 ぱぁっとマルティーナの表情が綻ぶが、お前の誕生日そのものを忘れるわけがないだろう。

 

 「もちろんだよ。修学旅行中だったからそこで、とも考えたんだけど…… 改めて落ち着いてからで正解だったな――」

 

 周りに人も多かったのに加えて高熱からの戦争だ。とてもじゃないけど誕生祝なんて出来なかったな。

 

 「――しかし情けないことに、プレゼントを用意できていない…… 何をあげればいいのか考えが纏まらなくてな。申し訳ないが直接ティナに聞こうと思ったんだ……」

 

 普段から事あるごとに贈り物をしていると、大事な時に何をプレゼントしたらいいのかわからなくなってしまったという情けない理由だ。

 ドレスはまた学年別学期末パーティー用に見繕うとして、何を贈ればいいものか?

 別バーションの髪飾りかアクセサリーか、まさか下着というわけにもいくまい。普段着かなぁ。

 ん? ティナは落ち着かない様子でキョロキョロと辺りを窺っている。いや、寮の自室だから、今は他に誰かいるわけないだろう?

 

 「で、ではでは! お願いがあります!」

 

 えらく緊張をしている様子が俺にも伝わってきた。何でしょうか?

 

 「もちろんティナの願いだ。何でも言ってみなさい」

 

 キター! これで勝つる! などとティナが小躍りしている。

 止めなさい、はしたないでしょ!

 

 「あの時の続きを! ブリュンヒルデでの一夜の続きをお願いします!」

 

 これ女の子の方からお願いする内容じゃないんだけど。ティナが一人で勝手に絶好調になった夜の事だろう。

 

 「ティナ、いいかい。僕だってお前を愛してるんだ。本当に止められなくなるぞ?」

 

 「えぇ! ほ、本当ですか!? か、構いません! そもそもわたくしは、お兄様からの御寵愛を頂けるのであれば、側室だろうが妾だろうが、例え愛人でも構わないんです!!」

 

 我が妹様がとんでもないことをカミングアウトしてきた。

 側室も妾もこの世界、この時代じゃ意味合いは同じだが、愛人でも構わないとは…… 

 気合入り過ぎだが、ティナを愛人扱いにしたらヘルツォーク軍が総出で攻めてきそうで恐怖だな。

 

 「気持ちは嬉しいが、お前ほどの女を側室というのもなぁ……」

 

 「ふふ~ん! お兄様はわかっていませんね!」

 

 俺のボヤキを上機嫌に鼻で笑いながら諭してくる。

 何でこんなめっちゃ機嫌が良いの?

 

 「何がだ?」

 

 「浮島領主に嫁ぐ女性は、妾のほうが領主様に愛して貰えるのです! 常に一緒に居られるのです! ふふふ、ベルタ母様だってそうじゃありませんか! 他の各領だってそうです。リオンさんの所やイーゼさんだって。それにニアさんのお母様は正妻でドレスデン男爵からは放置されています! いいですか、女は妾の方が幸せになれるのです!! お兄様の正妻は、王都の屋敷にでも放置しちゃいましょう!」

 

 我が妹様は欲望ガン振りだが、実際は確かにそうなんだよなぁ。

 浮島領主の皆様方は、ほぼ100%に近い数がティナの言ったような状況だと言える。

 でも正妻達も王都で専属使用人に囲まれながら贅沢出来るから、相当に幸せを感じている者も多いだろう。幸、不幸は一概にどちらがいいかは言えないな。

 ティナは俺と一緒に居たいという事か。

 

 一番上手に丸く収めるのは、イーゼちゃんを俺が嫁に貰ってニアの結婚の世話をしつつ、本家ヘルツォーク子爵領も五位上に今後なることを考慮すると、エトが伯爵になる道筋を整えてクラリスを嫁がせる。

 ティナにはお金持ちをとっ捕まえて贅沢させるのが一番だと思ってたんだけどなぁ。

 

 「お前が望むなら、閣僚級の家やラファでさえ視野に入れられるぞ。僕が全力を尽くす」

 

 「不要です! 何故ヘルツォークを散々虚仮にしてきたような家に嫁がなくてはならないんですか!? ヘルツォークにそんな婚姻政策なぞ必要ないではないですか! 寧ろヘルツォークの女に対する侮辱です!」

 

 確かにそこのところが普通の貴族家と違うんだよなぁ。もしフレーザー侯爵家がお宅の娘さんを下さいとか言ってきたら、熨斗と共に鉛玉をぶち込むのがヘルツォークだ。

 散々こちらを舐めた扱いをしてきて、女まで取られる屈辱なんざ親父も許せないし、各分家も許さないだろう。

 結局は、貴族社会を無視してお互いの希望通りか。悪くない。

 

 「ティナ、愛しているのは本当だ。シャワーを浴びて来なさい」

 

 「は、はい! 今から入ってきます!」

 

 「それとも一緒に入るかい?」

 

 ティナがギョッとして振り向く。

 

 「な、ななななな!? 何でいきなりそんな大胆何ですか! は、恥ずかしいので入った後はベッドで待っていますからっ!」

 

 大急ぎで浴室に駆け込んでいくマルティーナを見て、声には出さないが笑ってしまった。

 はてさて、ティナを揶揄うのは楽しいが、今後は揶揄い方を変えなくてはいけないかもしれないな。そもそもティナに余裕が生まれてしまうと、揶揄う事すら出来なくなってしまうかもしれない。

 それはそれで楽しみと癒しが一つずつ減ってしまうなぁと感じながら、ティナが出た後に俺もシャワーを浴びに行くのだった。

 

 

 

 

 マルティーナは薄手のサテン生地、シルクの光沢の手触りが非常に滑らかなネグリジェでベッドに横たわっていた。透けているわけではないので上品さが際立ち、しかしとても色気が漂う逸品だ。

 理想のボディラインを妖し気に包み込んでいる。

 

 「暴力的な色気だな。気が狂いそうになるぞ」

 

 「わ、わたくしはもう、正常なのかどうかもわからないほどお兄様に狂わされています…… 14歳のあの時から……」

 

 俺の実子証明事件からか。

 済まないことをしたなと思いながらもティナの脇から腰、臀部にかけて優しくなでる様に手を滑らせていく。

 

 「く、ふわぁはわぁぁぁ…… お、お兄様ぁ」

 

 吐息が漏れ出したティナの口を軽くふさぐように唇を軽く重ねた。

 

 「あっ、んぅ、まだ…… もう、でもキスはあの時以来ですね。ふふふ、あっ、やぁぁ、ぅぅん」

 

 軽く啄んで離したのが不満そうだ。キスというのはあのフライタール辺境伯との会戦での出撃前の事だろう。俺の手は、ティナの臀部や張り出すような形の良い胸を楽しむように撫でる。

 薄暗い中でもわかるほどの蕩けて視線の定まらないティナの瞳が、狂おしいほど情欲を掻き立てていく。

 

 「愛しているよティナ」

 

 唇を啄むようにソフトなキスを重ねていき、覆いかぶさった俺の胸板には、ポツンとネグリジェを押し上げる様に二つの突起が擦り付けられていた。その度にティナの身体がピクンと痙攣し出している。

 

 「わ、わたくしだって! 愛しています。んはぁっ! ずっと、くふぅ、あはぁっ、前からっ! うむぅ…… ダメっ、ぅぅん…… ぁぁああん!」

 

 だいぶほぐれてきたティナの口の中へ舌を滑り込ませて、俺達は大人のキスへ移行した。

 

 「うむっ!? ぅぅん! んふっ、むぅぅんむっ…… しゅ、しゅご…… いぎぃ、ふはぁぅ」

 

 粘度の高い液体が激しく混ざり合うような淫靡な音を脳髄で楽しみながら、一方の手はティナの胸を強めに揉みしだき、もう一方の手はティナの内腿を優しく撫で、時には揉むように感触を味わう。

 

 「お兄様! お兄様! わたくし、もう…… もう!」

 

 「ティナ、大人のキスだ。甘美だろう」

 

 「はぃぃぃ、うむ、はむぅぅ…… んんぅぅ……」

 

 (ダメ、何これ!? お兄様に全身を弄られながら、お兄様の舌がわたくしの中に…… 暴れる! お兄様に蹂躙されている! もう、もうっ!)

 

 ティナの舌の動きと身体の動きが激しくなってきたな。そろそろ大丈夫か? 初めてだろうし念入りにやったほうがいいとは思うが。

 互いの口から艶めいた輝きを放つ橋が出来ており、ティナの顔に掛かった髪を優しく透きながらどけてやる。

 

 「はぁ、はぁ、わたくし、も…… ダメ…… んむ! ちょ!? んんっ、んはっ、むぅぅっぁ、ぁぁんぅぅ」

 

 そうしてもう一度貪るようにティナの口を少し乱暴に塞いだ。何か言っているが俺自身止まらなくなってしまっている。

 手の動きも止められなくなってしまい、キスで舌を存分に互いに味わいながら、ネグリジェを押し上げる胸から突起にかけて揉みしだき、そして優しく抓り上げてしまった。

 

 「ふむぅぅぅ!? ぅぅぁぁああん! ダメェェ、いぃ、きぃ、ちゃぁぁ、ぅぅううんん!!」

 

 ティナが背を思い切り反らして唇同士が離れてしまい、両足も伸びきってしまった。

 

 「も、ダメ…… きゅうぅぅぅぅ……」

 

 おい、もしかしてこれって!?

 

 「ティナ、ティナ!」

 

 ちょっと軽く揺さぶってみるが、ほへぇといった具合で気絶している。

 

 「マジかよ!? おいぃぃぃ、無反応の女の子に手を出す趣味は僕には無いぞ! ったく……」

 

 無反応は嫌だ。演技でも構わないから反応して欲しいタイプだ。寝ている女の子に悪戯するのは好きだが、もうこれ完全にノックアウト状態だろ。

 叩き起こすのは忍びなさ過ぎる!

 口を半開きにしながらピクピクとしているティナに溜息が漏れてしまうが、同時に何故か軽い笑みも浮かんでしまった。

 

 「はぁ、もうお前の場合は、即合体しないと駄目なのかもしれないね」

 

 額に掛かった髪を手で梳かしながら、そのまま頭を撫でる。

 

 「にゅふ、にゅふふふふふふ」

 

 お前だけいつも絶好調だな。

 安物のワインでもがぶ飲みして血流を全身に散らそう。

 俺は絶好調の我が妹様に布団を掛けて、リビングでワイン1本空けてから布団に潜り込むのだった。




ティナにはそろそろ誰か一人遊びから教えた方がいいかもしれない。

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