乙女ゲー世界はモブの中のモブにこそ、非常に厳しい世界です   作:N2

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第69話 包囲網と辛口男性チェック

 さて、エーリッヒ・フォウ・ヘルツォークは、クラリス・フィア・アトリーと婚約する運びになる次第だが、結婚式はどちらかの卒業時にしようという事になった。

 少し王宮や国内の情勢を見てからという考えだとバーナード大臣も言っていた。

 実は少々感覚的に戸惑うのが、結婚式は両家の利害関係者への政治的アピール色も強いため、長ければ数年単位で時間が掛かることもあるとのこと。特にそれは大貴族間では顕著らしい。それについてはすんなり理解できるのだが、結婚式までに子供が生まれているというケースもそれなりにあるらしい。そこが不思議に思う感覚だった。

 男爵家から子爵家、それに素行不良の一部伯爵家なら、あの女子達を見ると「出来ちゃった! テヘペロ!」というのもわかるが、貴族家の大家がそんなことでいいのだろうかと疑問に思ってしまったのだ。

 浮島の男爵家や子爵家などは、そもそも政治色の結婚式などそれほど関係が無いので、さくっと終わらせてしまうらしいが。

 何となく大貴族家の女子は、結婚前に身体の関係を結ぶのを忌避するのかと思えば、婚約さえ正式に結んでしまえば、特にそんなことはないらしい。「じゃぁ、ジルクとも関係あったんだ」などと、あまり女性の経験人数を気にしない俺がポソリと呟いたら、「あるわけないでしょ!」と叩かれてしまった。

 子供が出来るのは、そんな世間体よりも大歓迎らしい。え!? 貴族は世間体でしょ! などと思ってしまうが、子供に関しては異なるらしい。マジ意味不明。

 

 もう一つ驚くことがあり、実は学園には託児施設もあるのだ。

 そういう生徒の数が多いわけではないが、早ければ2年生時、そして3年生時に出産する女生徒もいるらしい。今年はいないみたいだが、1年生時に出産する猛者もいるとか。

 そして、何年も子供が出来ずに浮島と王都を往復するのは、とてもとても面倒くさい浮島の跡取り達は、寧ろ結婚相手を見つけたら、在学中にさっさと子供ができる方が助かるとか。そして正妻を王都に放置して、子供が男子だったらそのまま浮島に連れて行き、以後は仕送りはするが、正妻とは顔すら合わす事も無くなる家もあるとの事。

 ルクル先輩が「僕もそうしたかったねぇ」としみじみ言っていたのを聞いたときは、学園男子も闇が深いなと思ってしまった。

 

 「――だってさ。女子はそもそも酷いけど、男子も大概じゃない?」

 

 「え、俺だって出来るならそうしたいぞ」

 

 「僕やダニエルは結婚相手がまだ見つかってないからね。2年で結婚相手が見つかったら、出来れば在学中に産んで欲しいぐらいだよ」

 

 ダニエルとレイモンドが酷い。

 結局まだマルティーナに説明する機会がなく、たまたま学園に顔を出したら、昨日ダンジョンに潜ったから今日は潜らないという、ダニエルとレイモンド、それにリオンとお茶をしている。

 女子を誘わずに何故男子だけかというと、久しぶりに学園に顔を出した俺のために互いの近況報告会の流れになったのだ。

 

 「ていうか、クラリス先輩を選んだのかぁ。マルティーナさんはどうするの?」

 

 リオンが当然の質問をしてきた。

 

 「ティ、ティナは側室かなぁ、あは!」

 

 テヘペロ! もちろん本人にはまだ説明はしていない。

 

 「マジで!? いや、まぁ、あの子はリック以外、結局無理そうだからかぁ」

 

 リオンが顔を顰めながら唸っている。

 

 「こ、この男!? 僕の恨みの炎で焼き尽くしてやりたい!」

 

 レイモンドは基本的に俺の事が嫌いなのだろうか?

 

 「お前さぁ、多分女子に刺されるんじゃなくて、学園の男子に四方から刺されるぞ。その中にはレイモンドがいそうだ…… あいつを友人殺しの犯人にしないでやってくれ」

 

 俺の肩に手を置きながら、優しいのか酷いのかわからない忠告をダニエルはしてくれた。

 

 「学園の男子ぐらいならいつでも返り討ちにしてやるさ。それよりも相談がある」

 

 真剣な表情をしながらテーブルに肘を置いて顎の前で手を組む。俺の真剣な様子に誰かがゴクリと唾を飲み込む音が聞こえた。そちらを見ると、平然と何食わぬ顔でリオンがお茶を飲む音だった。

 酷い。

 

 「ティナを説得する妙案が欲しい!」

 

 僕はキメ顔と某司令官スタイルでそう言った。

 

 「「「死んでこいっ!!!」」」

 

 

 

 

 3人に罵声を浴びせかけられて、追い立てられるように逃げてきたが、今日はマルティーナが学園寮の俺の自室に寄る日だ。週に1回必ず泊っていく日である。その他の日はちょこちょこと来て、夜には女子寮に帰って行くが、今日は泊まる日なので、話をするには持ってこいではあるのだが。

 

 「取り敢えず、花やお茶菓子でも買ってから帰るか」

 

 少しでもマルティーナの機嫌を良くしようと考え、王都の有名店に並んで買った後に寮の自室に戻ったら、既にマルティーナは部屋に上がり込んでいた。

 これも仕事帰りの時もよくあるので、ある種見慣れた光景だ。

 

 「おかえりなさいませ。お兄様! 今日は学園にいらしたそうですね。これは?」

 

 「お土産だよ。ほら、この部屋って花瓶があったけど使ってなかったからね。花束とお茶菓子」

 

 花束とお茶菓子をティナに渡して上着を脱ごうとすると――

 

 「あ、ではそちらは預かります」

 

 「あ、ありがとう…… ってニア! いたのか!」

 

 ニアがスッと手を差し出して上着を受け取ってくれたが、存在に気付かなかった。余程俺は緊張しているのだろうか?

 

 「はい、イーゼと一緒にティナ姐さんに勉強を見てもらってましたが。不味かったですか?」

 

 「いや、そんなことはないよ。驚いちゃっただけで」

 

 変なご主人様ですねと言いながら、上着をハンガーコートに一先ず掛けてくれる。あれ? ていう事は――

 

 「イーゼさん。お兄様がお茶菓子を買ってきてくれたので、そろそろ終わりにしますよ」

 

 「わーい! お菓子大好きです! ありがとうございますリックさん」

 

 「そんな、お礼なんていいんだよ」

 

 ヘロイーゼちゃんの笑顔に癒されるが、今日に限って何故こんな勢ぞろいなのだろうか。 いや、クラリスはいないとはいえ解せないが、今日は説明は無しだなと早々に諦めてティナのお茶に舌鼓を打っていた。

 

 「しかし、お花は珍しいですね。というよりもこの部屋で見るのは初めてですか……」

 

 ニアが至極当然な疑問をお茶を飲みながら口にした。

 

 「お兄様ったら、枯れたら処分も面倒だからいいよと仰ってたんですよ。なのに不思議ですね。うふふ」

 

 ティナは機嫌は良さそうだが、よく覚えていたな。

 

 「いや、まぁ、気分だよ。ここの所忙しかったからね」

 

 結局この一週間も王都で動き回って、学校に顔を出したのも先週のルクシオン先生との会話ぶりだ。忙しかったのは間違っていないのだ。

 

 「あれぇ、でもぉ、男の人が普段しないプレゼント、お花とか買ってくる時ってぇ、何か疚しい事があるって聞きますよね!」

 

 キャハ! あれれ、おかしいぞぉ。どっかの見た目はクソガキ、中身はオッサンみたいなことをヘロイーゼちゃんが言い出した!

 

 「そういえば、女子の間では割と聞きますね」

 

 ニアが自然にイーゼちゃんの意見を肯定している。

 

 「しかもこれ、王都の有名店! リックさん態々並んで買ってくれたんですね! 美味しいです!」

 

 イーゼちゃんはお菓子を堪能してくれているが、何だろう? いつもより圧が強い気がする。

 

 「ほら、僕はもうお茶会を学園では開かないからね。皆に楽しんで貰えれば嬉しいよ」

 

 完璧な受け答えだ。世のお父さん達に真似して欲しいぐらいだな。

 

 「でも今日って、お兄様の予定では、わたくししかこの部屋にはいない予定だった筈では? これ、日持ちしないやつですよね。量もお兄様が食べないから、何とか3人で頂けているだけですし……」

 

 世のお父さん達はやっぱり真似しない方がいいのかもしれない。

 

 「あれぇ? じゃぁ、ティナちゃんに疚しい事でもあるんですかぁ?」

 

 何故だ!? イーゼちゃんは癒し枠なのにプレッシャーが半端ない。

 壁になる奴がいる!

 

 「へぇ、聞きたいですね。一体お兄様は、わたくしに対して、何を疚しいことを抱えているのでしょうか?」

 

 来たなプレッシャー!

 え!? ここで言うの? 別の機会にしたいが、しかし長引かせるのも嫌だし。

 えぇい、もう覚悟を決めてやる。

 

 「ティナ、僕はお前を愛しているって言ったのは本当だ。信じて欲しい」

 

 「はい! わたくしも愛しています! にゅふ、にゅふふふふふ」

 

 ティナが蕩けた。ここだ! ここが勝負だ!

 

 「ティナちゃんずる~い…… いいなぁ」

 

 「こら、イーゼ。少し黙ってなさい」

 

 不貞腐れるヘロイーゼちゃんをナルニアが叱咤してくれる。ありがたい。

 しかし、イーゼちゃんも愛している! が、今は少し置いておこう。

 

 「だが、僕はクラリスと結婚する。お前はそうしたら立場的に側室だ。すまないと思っている」

 

 張り手か? アイアンクローか!? カチ、コチという時計の音がやけに響いて聞こえてくる。

 数瞬の間が、やけに長く感じるのは、心苦しく思う俺の感情のせいだろう。

 

 「……何だ、そんなことですか。前振りとわたくしの機嫌を伺うのが必死過ぎたので、てっきりどこかで誰かを妊娠させてきたのかと思いましたが…… わたくしは以前お兄様に言いましたよね。側室でも愛人でも構わないと。ふん!」

 

 え、そんなこと? 我が妹様はちょびっとだけ不機嫌だが、余裕で認めてくれたという事か。

 

 「第一、クラリス先輩が、お兄様の事が好き過ぎて頭がおかしくなっていることぐらい、わたくしにだってわかります!」

 

 「それティナ姐さんじゃ――」

 

 キッと一睨みでニアを黙らせるティナが怖い。

 

 「お兄様がクラリス先輩を好きな事もわかっています。お兄様の将来、ヘルツォークの事を考えると、クラリス先輩との結婚に反対できるわけないじゃないですか! わたくしにだってそんな事ぐらいわかりますよ。わたくしは、お兄様からのご寵愛を頂けるだけで満足なんですから!」

 

 出来過ぎた女で俺には勿体ないぐらいだ。

 

 「ありがとうティナ。お前に甘えさせてもらうよ」

 

 「ご存分に、わたくしに甘えてください。ふふふ」

 

 一段落すると喉が渇いてしまい、お茶が進んでしまった。待てよ? ではどこかで妊娠させてきてもティナは許したのだろうか? 流石にそれはないか。などとアホな事を考えていると、イーゼちゃんがどっかのCMの子犬よりも100倍潤んだ目をしながら袖を引っ張ってきた。

 

 「じゃ、じゃぁ、私は、リックさんに捨てられちゃうんですかぁ…… ひぐっ、えぐっ、ぅぅぅ」

 

 その瞬間、俺の脳天から脊髄にかけて雷光が走り抜けた。

 

 「何を馬鹿なことを言っているんだ! イーゼは僕が死ぬまで面倒を見るに決まっているじゃないかっ!」

 

 ぐわしっとイーゼちゃんの両手を握りしめて答えるのだった。

 

 「え!? それって、プ、プロポ――」

 

 イーゼちゃんも感極まっているようだ。俺も思考を吹っ飛ばして反射的に答えてしまった。

 そう! それは正しく俺の生の感情だ!

 

 「お、おおおおおおお兄様っ! 何でいつもイーゼさんにはそう甘いのですか!? ダダ甘ですっ! ペットじゃないんですよ! 捨ててきなさい!」

 

 こら! 動物愛護家さんに怒られるぞ! 拾ったら死が2人を分かつまで面倒を見なくちゃいけないのだ! 嫌だ嫌だ! 俺が面倒見るんだ!

 

 「ティ、ティナちゃん、ティナちゃん。ペットでもいいよ。だって凄い可愛がってくれそうだし。し、死ぬまで! えへ、えへへへ」

 

 「そう! 僕にはイーゼちゃんを死ぬまで面倒を見る義務がある!」

 

 「リックさん、リックさん。ちゃんは無しにイーゼって呼んで下さい! さっきの胸キュンでした!」

 

 「いいよ。イーゼ、これでどうだい?」

 

 「キュンキュンします! えへ、えへへへ」

 

 つい気が緩んでイチャイチャしてしまった。

 

 「ぐぬぬぬぬぬぬぬ……」

 

 パリンとティーカップが割れる音がする。あぁ、ティナが握りつぶした! 不味そうな気配が漂い出した。ちょうどその時呼び鈴が鳴り響いた。

 

 「……では、私が出てきますね」

 

 ニアがさっと退避するように玄関に足を運んだ。

 

 「任せるよ。ティナ、落ち着くんだ」

 

 「ティナちゃん、私、邪魔しないよ。一緒に可愛がって貰うだけだから」

 

 「ぐぅ、しかしイーゼさんは、何か危険な気が……」

 

 イーゼちゃんは危険なんかじゃないぞ! ちょっと俺の理性が飛びそうになるくらいだ!

 するとニアがクラリスを連れて入ってきた。

 

 「もうお話は終わったかしら?」

 

 ん? この話自体を知っていたのだろうか?

 

 「クラリス先輩聞いてください!? お兄様がイーゼさんを死ぬまで面倒見るって!」

 

 「あ、あらぁ、何でそんな事になっているのかしら? 嫉妬で病死させたくなっちゃうわね」

 

 怖っ!? 俺か? もしかしてイーゼちゃんか!?

 

 「私はお二人の邪魔はしないですよぉ」

 

 イーゼちゃんを守るように背中に隠した。イーゼちゃんはひょっこりとクラリス達を覗いている。

 

 「ふぅ、一先ず置いておくけど、貴方は例の話したの?」

 

 結婚の件だろう。

 

 「したよ。ティナは側室だ。クラリスにもすまないと思っている」

 

 ティナにしたようにクラリスにも謝罪した。

 

 「実はね。あの戦いが終わった後、ティナさんとは2人で話をしてたのよ。貴方は忙しくしていたからちょうど良かったの。私とティナさんでは納得済みの関係だわ」

 

 「そうだったのかぁ」

 

 2人に対する申し訳ないという気持ちが大きかったので、安堵できたのは嬉しい。

 

 「でもイーゼちゃん。貴女はリック君に拘らなくても結婚相手を容易に探せるでしょう? ニアは状況が状況だから難しいでしょうけど……」

 

 イーゼちゃんを正論で諭すつもりなのだろうか?

 

 「でも、この学園にそんな男の人いないですよぉ」

 

 「あの5人とかは? 殿下!」

 

 「王族じゃないですか。それに他も身分高いですし……」

 

 何故クラリスはあの5人をチョイスするのだろう?

 

 「じゃぁ、廃嫡を解かれたグレッグ」

 

 「筋肉だけじゃないですか」

 

 「同じくブラッド」

 

 「顔だけの弱男」

 

 「同じくクリス」

 

 「剣」

 

 ぶほっと俺は吹き出してしまった。周りを見るとティナもニアも笑いを堪えてプルプルしている。最近結構クリスの好感度は俺の中では高いんだが、ごめん。面白くて堪えられなかったよ。

 

 「じゃぁ、卒業後は男爵のジルク!」

 

 「え!? あれ一番最悪ですよね。リックさんを超バカにしてたじゃないですか! あの当時の私もちょっとアレでしたけど、絶対無いです! 大嫌いです!」

 

 ジルク可哀想。あいつだけ廃嫡解かれてないんだよね。

 まぁ、マーモリア家も今や王宮の片隅らしいが。

 建国期の古臭い家柄だから、何だかんだしぶとく残るのだろうが、力はかなり削がれているだろう。

 

 「私はリックさんが良いんです! だからお二人の邪魔はしませんからぁ。一緒に可愛がって貰いたいんです!」

 

 「「はぁ……」」

 

 クラリスとティナが溜息を吐き出した。

 

 「わたくし自身はここまでお兄様に好意を寄せられると、そんなに悪い気はしなくなってきてしまいました」

 

 ティナが降参するように言ってくる。

 

 「そうねぇ。リック君も色々と活動的だし、もういっそ監視する目が多いという事で割り切りましょうか。イーゼちゃんなら序列云々は守ってくれそうよね」

 

 監視!? 序列!? とてつもなく不自由な立場にこれから落とされていきそうな気がする。

 

 「ニアはどうするの?」

 

 クラリスの言葉によって、ナルニアの希望のような思いを初めて俺は耳にするのだった。

 

 「私は、ご主人様の仕事を手伝って、少し自立していきたい気持ちが出てきました。オフリーお嬢様の取り巻きだった騎士家の子も新ヘルツォーク領で従事しています。私は何も出来ませんから、仕事を覚えていきたいです。結婚も危ういですしね。あはは……」

 

 オフリー伯爵家の寄子の騎士家当主は処刑だが、他の家族は無事だ。新ヘルツォーク領に移住してもらって、今は試しに事務仕事をしている。学園に1学期間は通っていたぐらいだし、読み書きや四則演算は問題ない。魔法も多少は扱える。

 希望すれば飛行船の艦艇員にもなれるだろう。平民よりも余程使える人材だった。

 

 「ニアには今でもたまに書類整理とか手伝って貰っているしね。秘書扱いで僕の仕事に付いて来てもらおうか。でも学園の勉強はするんだよ。あれは結構有用だからね」

 

 「はい! 宜しくお願いします。ご主人様!」

 

 ナルニアは所謂キャリアウーマンでも目指すのだろうか。この子が一番意識が変わったのかもしれないな。

 普通クラスであれば、学園卒業後でも仕官せずに大手商会に就職する人間もいる。貴族の伝手も狙い目であるが、単純に教育水準が高いから商会は欲しがるという関係性がある。

 しかし、上級クラスの生徒では有り得ないので、ナルニアは異質になるだろう。まぁ、将来的には結婚の世話ぐらいはしてやるさ。

 

 「それにドレスデン男爵領との繋ぎにもなる。新ヘルツォーク領の農地改革は、同じ気候や土地質のドレスデン男爵領の助けがどうしても必要になる。ニアが僕の下にいてくれると助かるよ」

 

 旧オフリー領は麻薬原料の畑と工場がメインだったからな。鎧を作業従事に当ててもいるから、急ピッチで改革を進めている最中だ。

 

 「じゃぁ、仕事で出歩くときは、ニアに監視をお願いするわ。これ以上女の影をちらつかせないように。ニアも学業優先でたまにでしょうけど、貴方にはプレッシャーになるんじゃないかしら?」

 

 「クラリス、君達がいて他に現を抜かすわけがないだろう。でも、認めてくれて嬉しいよ。いつもありがとう。愛しているよ」

 

 クラリスはお礼を言われると思ってなかったのか、そっぽを向いてしまった。

 

 「ず、ずるいのよ。そんなタイミングで言われたら、認めるしかないじゃない。ふん!」

 

 反応がさっきのティナと一緒じゃないか。

 揉めはしたが、何とか取り敢えずの形に納まることが出来たので、皆でワインを飲んでしまい、結局皆が泊まって行く事になった。

 ベッドを女性陣に貸して、俺はソファで眠りに就く。

 そして、3学期が始まる頃には、学園男子から嫌われている男子1位を獲得するのだった。




まさしく愛だ!
けっこう愛を叫んでいる気がする。

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