乙女ゲー世界はモブの中のモブにこそ、非常に厳しい世界です   作:N2

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第82話 エーリッヒ案改訂

 時間と気力を潰された俺は、ヘルトラウダ殿下とお茶をする余裕が無くなり、エルンストとベアテを引き取って、王都の浮島ターミナルに向かっていた。

 

 「殿下とどんな話をしていたんだ?」

 

 「ヘルツォークの事ですね。彼女、結構ヘルツォークの事を知っていたんですよ。父上や兄上が仰る、王国ではヘルツォークは嫌われて避けられていると言った感じが無かったんですよね。まぁ、ずっとヘルツォークとも争っているんで、こちらに対して憎たらしいような雰囲気は感じましたけどね。それは仕方がないかなと」

 

 ヘルトルーデ殿下と貴賓室で話した時も感じたけど、公国の上の貴族達は、ヘルツォークがファンオース公家の分家だと知っている。毎回両国の大きな戦争に出てくるヘルツォークは忌々しいが、憎まれているという感じは確かにしなかった。

 その辺りはファンオース公国独特の感覚なんだろう。

 

 「彼女も若いし、ヘルトルーデ殿下も王国憎しではあったけど、凝り固まっているわけではなさそうだから、仲良くするのはいい事だろう」

 

 あの作戦を発動したらヘルツォーク憎しになるかも知れないが、その時はその時だろう。

 

 「しかし、兄上が王国軍の名誉准将ですか…… 軍事クーデターでも起こすんですか?」

 

 やだ!? エトが過激!

 

 「お義父さんも乗り気だからねぇ。ヘルツォークのイメージ回復になればいいさ」

 

 俺がしみじみと言うと、釣られたようにベアテがしんみりと学園での様子を話し始めた。

 

 「私は学園に入って2年間はかなり針の筵でした。私自身、身長も高いですし明確な苛めはありませんでしたが、本家ヘルツォークの寄子という事で、男子にも女子にも明確に避けられていましたね。3年生になって、ヘルツォークに対する忌避感は和らいだように思えますが、それでも普通クラス内で避けられているのは相変わらずです」

 

 ベアテからは諦観の様子が伺える。

 普通クラスは女子の方が結婚は難しく、ヘルツォーク関連は相手の親に反対もされるだろう。

 そもそもベアテは、俺がヘルツォークの嫡子だった場合の妾の有力候補だった。廃嫡されてラーファンの血で普通クラスに入学する予定となった時も、俺は経歴が複雑すぎて結婚相手が見つからないだろうから、ベアテが有力な結婚相手だった。そのまま本家ヘルツォークの陪臣の末席に加わる予定まで、密かに親父と打ち合わせしてたしなぁ。

 ベアテが学園入学前は、折々寄子のカミラちゃんと共にエルンストも接していたし、だからなのかマルティーナとベアテはあまり仲が良くない。というかはっきりと言って悪い。

 カミラちゃんはエトの妾最有力候補だから、ティナとも仲は悪くはないんだよね。

 ベアテはクールビューティーで高身長だから、話しかけづらいだけかもしれないけど、俺とエトの間ぐらいの身長だ。男からするとスレンダーとはいえ、とても近寄り難い迫力がある。

 

 「もう卒業は問題ないだろうが、本家ヘルツォークの上層部からは、ヘルツォークの鎧搭乗者は駄目だと言われているだろう。どうするんだ?」

 

 「もう一度話をして駄目だったら、王国軍に仕官しようかと……」

 

 かなり落ち込ん表情だが、王国軍に仕官しても女性という事で、後方勤務のデスクワークが主になるのがわかっているからだろう。

 

 「はぁ…… 今から新ヘルツォークに行くから付いて来い。軍関係の人手が足りないからな。鎧にも本家ヘルツォークの新人訓練規定を合格したら乗せてやる」

 

 「や、やった! ありがとうございますエーリッヒ様」

 

 「輸送船でも思ったが畏まるな。昔通りリックでいい」

 

 「はい! リック様、ご指導宜しくお願い致します」

 

 そんなに鎧乗りになりたいならせめてチャンスぐらいやるか。実際、本家ヘルツォーク新人訓練規定を合格出来たら使い物になる。

 

 「あぁ、姉上の機嫌が悪くなる……」

 

 大丈夫、ティナは暫く本家ヘルツォーク領だから、ほとぼりが冷めるまで内緒にしよう。

 内心びくつきながら、ターミナルで本家ヘルツォークからの小型艇から、完成したダビデを受領した。

 小型艇を待っている間に起草した作戦発令書を小型艇の乗組員に渡す。

 

 「決行ですか兄上」

 

 「ファンオース公国の侵攻が想像以上に遅いからな。本来ならもう少し後でも構わないんだが、このタイミングであれば余裕を持って航行、時期も見計らえる。父上ならば欠伸が出るほどだろうな」

 

 軽く笑いながら言うとエトは不満をぶつけてきた。

 

 「ペーターとルドルフ、ランディも本家ヘルツォークに戻りましたし、私もそっちに参加したかったんですが」

 

 エルンストはヘルツォークの次代だ。未来を見据えるとあの作戦には関わらせたくない。

 仮に何かが将来あった時には、エルンストが対処する事になる。だからこそエルンストは関わらせないと親父と決めた。

 場合によってはエルンストは、作戦に反対の立場であったとでっち上げたって良い。

 

 「お前は本家ヘルツォークを代表できる立場だからな。王都防衛も志願して参加する事で、本家ヘルツォークの王国内や王家での評判も上がる。お前にはそっちに父上も僕も期待しているんだよ」

 

 「密約以上の貢献を見せるという事ですか…… まぁ、それなら仕方ないですね」

 

 起草者、作戦立案者、作戦責任者、発令者、全て俺の王宮正式書状。発令者は准将名義の俺の名前を使用した。これで軍令にもなる。

 これで全責任は全て俺に被さってくる。本家ヘルツォークに責任はない俺の独断専行。

 全て終わった後、准将位を剥奪されないかな。糞陛下の胸三寸でもっと重い罰もありそうだけど、何となくあの糞陛下の感じだと、処刑まではされそうにないと確信してる。

 あいつは嫌がらせを楽しむタイプだと、去り際に理解したからな。

 

 「あぁ、俺の訓練機もそのまま新ヘルツォーク領に持っていくぞ。ベアテはそれで訓練だ。俺のダビデの慣熟訓練に付き合ってもらう」

 

 「はい!」

 

 「えぇ!? ベアテは暫くご飯が食べられないかも……」

 

 エルンストの物言いにベアテは首を傾げているが、胃がシェイクされまくる中でも、しっかり飯が食べられるようになるのも訓練の内だからな。

 やばい、笑いがこみ上げてきそうだ。

 

 

 

 

 駆逐型高速輸送船で新ヘルツォーク領に到着すると、クラリスとヘロイーゼちゃんに迎えられた。

 

 「おかえりなさい貴方。エト君もいらっしゃい」

 

 「お疲れ様です旦那様。エトさんも冬の長期休暇以来ですね」

 

 あぁ、落ち着くな。このまま新ヘルツォーク領に引きこもりたい。

 屋敷自体の大きさは本家ヘルツォーク領の半分ぐらいだが、新しいので割と洗練されているし便利でもある。あの本家ヘルツォークの重厚感ある城としての佇まいの方が俺は好きだけど。

 しかし、新ヘルツォーク領でクラリスに迎えられるのが変な感じがする。何となくクラリスは王都で、新ヘルツォーク領はマルティーナという勝手なイメージが出来ていたなぁ。

 ヘロイーゼちゃんはいつもいてくれるイメージだ。ニアもなんか気づけば後ろにいるイメージだな。

 

 「ニアはどうしている? リュネヴィル領の避難人員は?」

 

 「ニアさんはドレスデンよ。リュネヴィルの避難人員は戻ったわ。貴方の予想通り、ファンオースの進路からリュネヴィル男爵領は外れたから、2日だけ様子見で女性と子供と老人を預かって、今は既に避難解除して送り届けたわ」

 

 第二都市の防衛用港湾都市から出発していたら、フィールド辺境伯の防衛ラインを越えてリュネヴィルも蹂躙されていたが、こちらにとっては不幸中の幸いだ。

 

 「そういえばフィールド辺境伯領は?」

 

 「自領の防備を固めて難を逃れたみたいね。フィールド辺境伯の哨戒がモンスターを掠めて落とされたぐらいだそうよ」

 

 すっかりフィールド辺境伯領を忘れていたが、被害らしい被害が無いと言ってもいいな。

 フィールド辺境伯にとっては本土防衛に打って出るか、出ないで王国軍に任せて援軍要請を待つかの微妙なラインだったからな。結果としてこちらは、フィールド辺境伯に援軍要請を出す前に蹴散らされて終了。

 王宮や王国軍はフィールド辺境伯に文句の一つも言いたいだろうが、戦力温存しているなら一働きしてもらおうか。

 

 「イーゼ、すまないけどリュネヴィル男爵に、明日手紙と書状を渡したいから持って行ってくれないか? もちろん護衛は付ける。お義父さんはフィールド辺境伯ともそこそこ懇意だろう? ちょっと使者になってもらいたいんだよ。フィールド辺境伯領に向かうのは1週間後でいいだろう」 

 

 「いいですよ。結果的に無事だったとはいえ、避難費用もヘルツォークが持ってくれたので、凄く安心してましたし。お父さんに首を縦に振らせてきます!」

 

 避難が無駄になるのはそれこそ願ったり叶ったりだ。リュネヴィル男爵領は無事だし、俺も多少は恩が売れたとも言えるだろう。

 フィールド辺境伯がどう動くかは運任せ。最悪こちらの要請を無視してくれても構わない。今思いついただけの案だしな。

 

 「忙しそうね。御父様から連絡は貰ってるわ。防衛戦大変だったそうじゃない。少しとはいえ、お休みを頂いていると聞いたわよ。あら? その階級章……」

 

 そういえば、俺もエトも略式騎士服のままだったな。

 ヘロイーゼちゃんもさっきから、ふわぁ、ふわぁ、と目を輝かせているのが可愛い。

 学生なのに戦争して次の戦いまでの間にお休みとか、これ如何に?

 

 「名誉准将に任官されてね。新ヘルツォーク領で軍備を揃えると伝えてあるから、招集されるまではこっちに滞在するよ」

 

 「あら! 遂に軍のトップを狙う気になったの?」

 

 嫁が過激!? いい笑顔だな、おい!

 

 「まさか、体のいい小間使いだよ。新ヘルツォーク領は王都防衛に正式召集されるから、ついでに王国軍の一部を面倒見させる腹積もりだろう。一応お義父さんには、王都最終防衛ラインの配置希望を出した。たぶん配置希望はそのまま通るだろう」

 

 あの場で退出前に、新ヘルツォーク領軍が超大型と対峙した事による士気低下を懸念、などとでっち上げて王宮付近の上空配置を希望した。シュライヒ中将、コルテン大将も承諾はしてくれた。

 そこに配備される王国軍の艦隊を任されるだろうが、こちらは准将だ。精々多くても三十隻ぐらいだろう。1個師団か2個師団弱の鎧の指揮も含まれる。

 懐かしのフライタールを髣髴とされるが、王国のためにあの大混戦をやるのは嫌だなぁ。

 

 「迎撃の最前線でなければまだいいけど…… 貴方、いざとなったら」

 

 「わかっている。撤退、上手く逃げるさ。そうだ、フュルスト、パウル・フュルストを呼んできてくれ。話がしたい」

 

 あの公国のモンスター群、武装解除なんか受け付けずに蹴散らされて終わりだろう。リオンが言うオリヴィアさんが失敗したら、いよいよ逃げるしかない。

 

 「もう夜よ。明日にした方がいいのではないかしら?」

 

 そういえばもう外は真っ暗だった。

 

 「そうしようか」

 

 「エト君も、それにベアテさんだったかしら、夕飯の用意が出来ているわ。休んでいってね」

 

 「ありがとうございます。クラリス義姉さん。イーゼ義姉さんも」

 

 クラリスは女中に目配せをすると、女中達は礼をして準備に下がっていった。アトリー邸の女中で中にはクラリスとの夜の一幕後を朝、確認した年配の女中がいるので俺は気まずい。

 

 「すいません奥様方、お世話になります」

 

 エトの義姉さん呼びとベアテの奥様呼びに、クラリスとヘロイーゼちゃんは大層ご満悦だった。

 実質エルンストの義理の姉というわけではないんだけど、もう誰もそこに疑問を抱くものはいなかった。

 

 

 

 

 翌日、パウル・フュルストを呼んで、屋敷でエルンストを交えた3人で打ち合わせを行うために集まった。

 

 「撤退は見事だったよ。流石だな」

 

 新ヘルツォーク軍五隻を率いて突貫した二十隻の脱出艇回収後、王国軍含めた撤退の旗頭を取ったのは素晴らしい仕事だった。

 

 「エーリッヒ様も若様もよくあんな修羅場に飛び込んで、敵のお姫さんを奪いましたよね。若様の女にするんですか?」

 

 まだ22歳で若いのに、パウルは発想がおっさん臭い。

 

 「若様は止めてくださいよ。それにヘルトラウダ殿下は王宮預かりですよ」

 

 エルンストはフライタール戦経験者には敬意を持って丁寧な言葉遣いをしている。次期当主がそれだと少し困るが、おいおい当主らしい言葉遣いになるだろう。

 エルンストも既にヘルツォーク領内では、次期当主を抜きにしても、立派に認められているのだから。

 

 「エーリッヒ様も昔は若と呼ばれてましたからいいじゃないですか。それにしても親父達や爺さん達は羨ましいですよね。あっちの作戦参加、二十代と三十代前半は駄目だって言うんですよ。俺や兄貴も参加したかったんですけどね」

 

 パウルが兄貴と呼んだアドルフは、25歳のフュルスト家の長男だ。艦長も鎧搭乗も可能な逸材中の逸材。アドルフとパウルは将来のエルンストの右腕と左腕の有力候補だが、フュルスト家だけで固めると他の家から文句が出そうだな。

 

 「アドルフは、今回国境防衛の要になるからな…… ちょっと待て、爺さん達って何だ?」

 

 「え、あの作戦原案ってエーリッヒ様ですよね。引退した人達が喜び勇んで参加してますよ。一度本家ヘルツォークの実家にこの前、新ヘルツォーク領との絡みで一日だけ戻ったんですよ。その時に親父が読んでた作戦原案、あれ? 改訂版ってなってたような…… 取り敢えず読んだんですよ。熟読してしまいましたがね。ほら、例の陽動艦隊、あれ、六十代以上で構成されてますよ」

 

 は? 俺は引退した人員なんか作戦構成人員に含めていないぞ。本家ヘルツォークも慢性的な人員不足とはいえ、そこまで困っていない。十代は訓練はするが、ヘルツォーク当主家以外は十代を戦争参加などさせてはいないし、ましてや苦労して生き残って引退した英傑達など。

 

 「どういうことだパウル、僕は高齢の人員など作戦に含めていない。覚えている限りでいいから教えてくれ」

 

 「は、はぁ、いいですよ。では」

 

 改訂された作戦案を聞いて、俺もエルンストも愕然とした。

 

 「あの年代の頭のおかしさを見誤ったか……」

 

 「しかし兄上、あの方達の体力とか持つんですかね?」

 

 引退して二十年は経っている年代がざらにいる。

 

 「いえ、御当主様と親父達が希望者の試験というか、訓練はしたみたいです。六千人以上集まって、四千人以上合格したんですよ。しかも中には、ヘルツォーク12家の七十代後半や八十代の御老公が合格者にいたんで、親父も御当主様も唖然としたみたいですね。兄貴から聞きました。そもそもあの御老公達が、12家会議の後に参加させろと言ってきたそうです」

 

 陽動艦隊に使用する鹵獲したファンオース公国軍籍十隻の構成員が、賄えてしまっているじゃないか。

 先代と先々代の時代を生き残っている人物は、平和を噛みしめて余生を過ごすことが出来ないのか!

 

 「だったら国境防衛にでも回せばいいだろう。その陽動艦隊は本命も兼ね備えた片道切符じゃないか!?」

 

 当初案の陽動艦隊はあくまで陽動で、厳しく見積もっても三分の二は生き残るであろう計算だったんだぞ!

 

 「しかし凄いですね。当初案本命と改定案本命の重ね掛けですか…… これって兄上、当初案の本命が理想通りの効果を発揮できますよ」

 

 わかっている。エルンストの言うとおりだ。マルティーナや親父の安全度も上がる。

 親父、悪魔を嘲笑うような作戦に仕上げたのか。

 

 「兄貴が親父と爺さん達と話したみたいですが、孫や曾孫の世話をするのは飽きた。ヘルツォークの鎮魂の火に()べられて父祖達の下に行く方が幸せ。だそうです」

 

 黙って畳の上で死ぬという概念が無いのか? 

 まぁ、畳なんてものはヘルツォーク領には無いが。

 

 「流石に鎧には乗れんだろう。その特攻陽動案に付き合う鎧乗り達の年代は?」

 

 壮年の年代を失うのは痛い。親父だってそこは分かっているはずだ。

 

 「それが、3個大隊、全員六十代後半以上です。意味不明ですよ、志願者にうちの新人訓練規定をやらせたら、全員一発合格なんですよ。この陽動艦隊の鎧乗りは、短期決戦に近いのでそこまで体力を必要としませんが、何か薬でもキメてるんですかね? 俺、鎧苦手であれを合格するのに1年掛かったんですけど…… うちの爺さんが合格したそうなんですが、俺の立場が無くなりそうですよ」

 

 パウルは本家ヘルツォークの小隊の構成メンバーぐらいにはなれる腕だが、それよりも飛行船を指揮する方が向いているので、基本的に鎧には搭乗させていない。

 爺共、隠れて余暇で鎧で遊んでいたんだろうか? あぁ、時折新人の教育は見て貰っている人員はいるだろうが、108機…… 先代と先々代の時代の生き残りは、老いさらばえても戦争狂(ウォーモンガー)のまま何だな。

 

 「志願するという事は概要は知っているんだよな? 納得済みなのか?」

 

 「もちろんですよ。皆、嬉々として参加しているそうです。ヘルツォークに安息をってね。少しだけ気持ちはわかりますよ。俺の兄貴に子供が2人いますが、甥っ子と姪っ子死なせるぐらいなら、俺だって自分が死にたいですからね」

 

 糞が、ヘルツォークの年寄りはもっと我が儘でいいのに、何で死にたがるほうに我が儘なんだよ。

 

 「兄上、父上だって苦悩したはずですよ。だって父上が教えを乞うた方達なんですから」

 

 狂っていても、子供を特攻させるよりはまだ正常か。

 

 「どちらにせよ。発令書は出してしまった…… 死に花を咲かして貰うしかないな……」

 

 結局その後、八つ当たり気味にベアテを訓練して、吐かせては食わせてを繰り返したが、素直に訓練にその身を投じる姿は、何らかの素質はあるのかもしれない。

 ベアテに対して申し訳なさはあったが、生き残らせる為でもあるので、エルンストもベアテに容赦はしなかったのであった。




ティナ:来た!来たわお兄様からの発令書! あぁ、しかもお兄様の匂いがする! この作戦成功後はお兄様の寵愛独り占め間違いなしっ! にょーほっほっほっほっほ! クラリス先輩をギャフンと言わせてやるわ!

メグ:ベットでギャフンと言わされてるのはティナ姉様だけどね

ベルタ:もうほっときなさい

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