ぼくのかんがえたさいきょうの主人公の戦闘会話 作:サクラ革命……
原作:ファイアーエムブレム風花雪月
タグ:オリ主 残酷な描写 アンチ・ヘイト 圧倒的強者 原作ネタバレ 原作キャラ死亡あり ほぼ会話のみ 金鹿ルートの帝国側オリ主(闇に蠢くもの) 原作プレイ済み推奨
主人公のイメージは特にありませんが、作者はキングダムの麃公が好きです。
BGMは当然「The Apex of the World」です。
――グロンダーズ平原――
ドロテア
「○○君。もう争うのは止めましょう? 同じ学級の生徒だったのよ。また、みんなで仲良くしましょうよ」
「ドロテア……お前、何しに戦場に来たんだよ。まあ、いい。この場に立ったんだ。覚悟を決めろよ」
「待って! あなたなんでしょ!? あの日、貴族に遊び半分で斬られた私を助けてくれたのは! マヌエラ先輩に気になる孤児がいるって教えてくれたのは!」
「マヌエラか……あの女もつまらないことを言う。もういい、消えろ……」
「待って!」
「○○様。片付けましょうか?」
「いい。戦う気がない、迷いを持った、貴族でもない女だ。捨て置け。それよりも先を急ぐぞ」
「はっ!」
フェルディナント
「エーデルガルトの最強の矛として、鬼将と呼ばれた君を討てば、彼女を打ち倒すのに一歩近づくことだろう!」
「……」
「元級友であり、同郷の身だが、恨んでくれるなよ」
「……」
「何か言うことはないのかね?」
「別に。級友だったこと以外にお前に何も感じない。別に嫌いじゃなかったぞ。お前のことは」
「君を倒し、必ずや父の無念を晴らしてみせる!」
「これまでか……父上、申し訳ありません……」
カスパル
「○○! 久しぶりだな!」
「ああ、久しいな。ベルグリーズ伯爵が怒り狂ってたぞ……って、知ってるか」
「まあな。親父にはぜってー会いたくない」
「そうもいかんだろ。お前はここで俺に敗れて、ベルグリーズ伯爵の元に突き出されることになってるんだ」
「負けねえぞ!」
「まあ、頑張ってくれ。手加減はしてやるからさ」
ベルナデッタ
「○○さん!? どうしてここにいい!?」
「どうして? お前、この場所がどういう場所かわかってるのか?」
「ここ? ここは戦場……ってことは、殺し合うんですかああ!?」
「当たり前だろ。もっと言うなら、お前は俺にやられる寸前だな。安心しろ。カスパルも生かしたまま捕虜にしてある。なあに、運が良ければヴァーリ伯爵がお前の助命に動いてくれるさ」
「なんでカスパルさんが? そ、そんなことより、降参、降参しますううう!」
「は?」
「○○さんとは戦えませんんんん! それに、こんなところで死にたくないですうううう!」
「お、おう……え、お前、なんで同盟に付いたんだ? 仲間を放って降伏していいのか?」
「だって、誰も誘ってくれなかったじゃないですかあああ! ベルが1人で自領に帰れると思ってるんですかあああ!?」
「……誰か、こいつを連れてってやれ」
ローレンツ
「すまないね。グロスタール家は帝国とは相容れぬようだ」
「構わない。元からお前らが裏切るのを待ってたんだ。逆に、俺のほうが謝らないといけないくらいだ」
「待っていた? 初めからグロスタール家が裏切るとわかっていたのか?」
「わからないわけないだろ。同盟で内紛が起きてるのに、それを放ったまま帝国に勝負を挑めば、一瞬で同盟が崩壊することくらい、クロードはわかってるだろ。だったら、クロードが事を起こすときは、必ず同盟内を掌握してからだ」
「我々がガルグ・マクやミルディン大橋を取り返したのも想定の範囲だとでも言うのか」
「さあな。ランドルフとラディスラヴァには敵戦力を確認しつつ、被害を最小限にして退けと伝えていたっけかな。同盟領の奥深くで卓上をいじってたクロードをおびき寄せるには丁度よかっただろ? ついでにコソコソ逃げまわってたディミトリも簡単に釣れた」
「……これも、お前の手の平の上だったということか」
「この程度でそんな大袈裟なことを言うほど、俺は目立ちたがりじゃない。むしろ、帝国がお前らの行動を読んでることくらい理解してなかったのか? クロード頼りとはいえ、いくらなんでもクロードが可哀想だな」
「私を侮辱するのか!?」
「好きに取れ。ここで死に行くお前に語る言葉はもうない」
「父上……申し訳ありません……このままでは、グロスタール家は……!」
ラファエル
「ラファエル。お前、妹さんのことはいいのか?」
「いいのかって、どういうことだ?」
「ここでお前が死んで、妹さんは生活していけるのかってことだ」
「そんなのわかんねえよ。でも、みんなと戦うって決めたんだ。ここで逃げるわけにはいかねえよ」
「そうか。お前の妹さんは救えないかもしれないが、その後の世界はきっといいものになるはずだ。安心して逝ってくれ」
「オデだって負けねえぞ!」
「ごめんなあ……マーヤ……兄ちゃん、もう……お前のことを守れ……な……」
イグナーツ
「○○君」
「イグナーツ。なんで商人に戻らなかった?」
「いろいろあってね。この戦争で勝てば、一気に騎士に近づくから実家からも応援されてるし」
「そうか……」
「でも、一番の理由はクロード君が作る未来を一緒に見たいと思ったからだよ。他の人じゃない。自分で決めた道だよ」
「それならよかった。なら、ここで散るのも覚悟の上だな?」
「覚悟はできてる。でも、そう簡単に散る気はないよ!」
「見たかったな……クロード君が思い描いた景色を……」
レオニー
「お前たち、なんで師匠を殺したんだ!」
「それに関しちゃあ、死んだクロニエしか知らないな。少なくとも、ジェラルトをあの場で仕留める理由は俺にはない」
「お前は関係ないってことかよ!」
「無関係とは言わないけどな。でもまあ、戦争が始まった後なら、俺だってジェラルトは優先して狙ってただろうよ。あんなにカリスマ性がある人が敵にいたら、生かしておけない」
「! やっぱり帝国は敵だ!」
「当たり前だろ。お前、もしかして俺たちが敵じゃないかも、なんて思ってたのか? だったら大きな誤解だ。俺らは敵だよ。ジェラルトの件に絡んでなくても、2、3分後にはお前の命を刈り取ってる敵だ」
「師匠の敵! 行くぞ!!」
「こい」
「強すぎる……先生、逃げて……このままじゃあ、みんな殺されちゃう……」
ヒルダ
「○○君! 久しぶりー!! ……今日はお願い、聞いてくれなさそうだね?」
「……ああ。ついでに言えば、もうお前のお願いは聞くことはない」
「うっわ、物騒なこと言ってる! こっちは、か弱い女の子なんだよー!」
「知ってる。でも、戦場に出てきただろ? 貴族として。英雄の遺産を担いで。だったら帝国の将として、ここでお前を逃がすことはできない」
「そっか。残念だなー。また2人で一緒に美味しいお菓子でも食べたかったのになー」
「ああ。お前と一緒に過ごした時間は楽しかったよ。覚えておく。ヒルダって女の子が生きてたってことは」
「……本当に、残念だよ」
「俺も残念だ。安心しろ、痛みも感じないくらい、一瞬で逝かせてやる」
「あなたがくれた中で、一番、味気のないプレゼントだね」
「はは……こんな結末、嫌なのに……また2人でデートしたかったな……」
リシテア
「○○……」
「お前も難儀だな。ようやく先が見えてきたと思ったら、こうして戦場に出ることになるなんてな」
「……あんたがもし同盟側に来てくれるなら、わたしは全力であんたを守る。それこそ、クロード達との関係が悪化したって守り切る。だから……お願いだから、こっちに来て!」
「王国は残った希望の全てをこの戦いで燃やすことになって、同盟はまんまとおびき寄せられて危機的状況。帝国の勝ちは揺るぎない。どうしたら俺が下ると思うんだよ。それより、リシテアこそ、こっちに来たらどうだ?」
「あんたが帝国で戦ってるように、わたしにも守らないといけないものがある。だから……」
「だったら仕方ない。ここで散ってもらうぞ」
「くっ……!」
「あんたに恩返しできなかったね……少しだけど、長く生きられて嬉しかったよ……」
ディミトリ
「来たか。エーデルガルトの狗めっ!」
「……」
「どうした。何も言わないのか? 狗になり、遂には言葉も忘れたのか?」
「哀れんでいた」
「……俺をかっ!」
「違う。そんなお前に付いてきた騎士たちをだ。お前なんて遅かれ早かれ、こういう結末になることは決まっていた。でも、お前の騎士には俺が親しかった奴もいる。そいつらがお前のために死んでいくのかと考えると、可哀想だと思っただけだ」
「ふんっ。なんとでも言え、今更、狗の言葉に動じる俺じゃない。……かかってこい」
「いや、お前を倒すのは俺の役目じゃない。王国の歴史に終止符を打つのは……新しい時代の始まりを告げる戦果を上げるのは俺じゃない」
「逃げるのか?」
「どうとでも取れ。じゃあな、妄執の王」
ドゥドゥー
「悪いなドゥドゥー。お前は通すわけには行かないんだ」
「構わない。その間、お前が殿下に何もできないと思えば、これ以上の助力はない」
「そっか。いくぞ」
「こい」
「申し訳ありません、殿下……どうか願いを叶えてください……」
フェリクス
「正直、哀れんでるんだ」
「なに?」
「お前らが命をかける主君が、あの王だろ。死んでいった兵たちの中には、やるせない思いのまま散っていったヤツらも多くいただろうに」
「お前が言うのか!」
「俺が言わなきゃ誰が言うんだよ。お前らの中で、あの王を諌めるヤツがいたのか? いや、止められるヤツがいたのか?」
「……」
「お前らはあの王の幼馴染だからいいだろうよ。でも、王子だったころの、あいつを知らない兵は、王を守るって理由で戦いに挑んで、散ってるんだぞ。同情したくもなるさ」
「……覚悟の上だ」
「ああ、そうだな。きっとみんな覚悟の上だよな。そう思うことにするさ」
「結局、手も足もでない……か……くそ……未練なんて、ないはずなのに……」
シルヴァン
「よう、○○。怖え仮面付けてるな。それじゃあ女の子が寄ってこないぞ」
「よう、シルヴァン。酷い顔だな。そんなんじゃ近づいてきた女の子が逃げてくぞ」
「ああ、最近デートとかできないんだよ。こんな状況だしさ」
「まあ、そうだろうな」
「これが終わったら、また気ままに女の子に声をかける生活を送りたいって思ってるんだけどな」
「……共に学園時代に口うるさく言われた身だが、容赦はしないぞ。お前も万が一にかけて全力でこい」
「あの鬼将に勝てるとは思ってねえよ。覚悟はしてるさ。……でもよ、イングリッドだけは見逃してくれねえか?」
「なに?」
「わかってんだろ? イングリッドは本当はお前のところに行きたがってた。でもガラテアのことがある。それに、騎士が主君を裏切るわけにはいかないって決心できなかったんだよ」
「……」
「本当に頑固だからな、あいつ。だからさ、俺らは仕方ねえけど、あいつだけは見逃してくれよ。な? お前だって、あいつのこと好きだったろ?」
「できんな。世の趨勢はもう決まった。あとはエーデルガルト陛下が如何に戦後のフォドラをまとめあげるかだ。そんな状況で、ずっと反抗してきたガラテアを許す? そんなことをすれば、戦後も反乱の芽を残すだけだ。今現在、帝国に付いてない貴族は滅んでもらう。何をするにもそこからだ」
「だよな……。それだけが心残りだったんだが、仕方ない。あの世でグレンに詫びるか」
「そうしろ」
「最後に聞かせてくれ。なんでイングリッドに近づいたんだ? 戦争になるって知ってたから王国の内部情報を得るためか? それとも純粋に女の子として気に入ったからか?」
「……」
「頼む。せめて、それだけ聞かせてくれ」
「……陛下が教会に宣戦布告をしたとき、イングリッドとアネットを無理やりにでも連れて行かなかったのは今でも悔やんでる」
「ははっ、アネットもかよ。この節操なしめ。でも、わかった。ありがとな。……じゃあ、始めるか」
「ああ。次があるから、一瞬で終わらせてもらうぞ」
「ははっ……やっぱり、こうなったか……戻りたいな……士官学校の頃に……」
アネット
「なんでお前がここにいるんだ……!!」
「わからないよ……あたしはただ、父さんともう離れたくなかっただけ……この戦いで父さんが知らないところに行っちゃうのが嫌だっただけ……」
「今すぐ、その武器を置いて逃げろ。後は絶対に追わせない。これが最後のチャンスだぞ!」
「できないよ……ここには父さんだって、メーチェだって、ディミトリだって、士官学校の仲間だっているんだよ。あたしだけ逃げるわけにはいかないよ……」
「なんでだよ! 死ぬ覚悟なんてないだろ、アン!」
「うん……みんなを捨てる覚悟も、絶対に生き延びるって覚悟も、○○の側にいる覚悟もできなかった。だから、あたしはここにいるんだよ。ただ、なんとかなるといいなって、いつか皆であの頃に戻れるようにって祈ってただけ……。譲れないものなんてないの。だから気にしないで。最後に○○に会えてよかった。あなたに斬られるなら、いいよ」
「! ……一瞬だ。痛みは感じさせない」
「うん。ありがとう」
「好きなだけ恨んでくれ」
「○○にこんなことをさせたのは、あたしのせいだよ。じゃあね、○○。ずっと大好きだったよ」
「ああ。俺も好きだったよ、アン」
「次があるなら……今度こそ2人で……一緒に……」
ギルベルト
「娘を殺したのか?」
「ああ」
「なぜだ! お前なら、殺さない方法はいくらでもあっただろう!」
「ああ」
「娘はお前を好いていたんだ! それくらい、わかっていただろう!」
「ああ」
「たとえどんな形でも、娘とお前なら上手くやっていけたはずだ! なんで守ってやらなかったんだ!」
「ああ」
「娘に、アネットに詫びる言葉もないのか!」
「何を言っても変わらない。俺はこの先、ずっと今日を悔やんで生きていく。それだけだ……今はそれだけでいい」
「! ……娘の仇、取らせてもらう」
「やってみろ。せめて傷の一つでも付けてくれ。それを見るたび、あの子を思い出すような、跡に残る傷をな……」
「傷の一つも付けられなかった、か……どこまでも報われない……アネット……せめて、お前だけは幸せになってほしか……た……」
メルセデス
「ねえ、別の道はなかったのかしら? エーデルガルトとディミトリが話し合って、クロードがそれに乗ってくる。そんな未来は選べなかったの?」
「……俺にはできなかった。どうやろうともディミトリが腹を割ることが必要だ。だが、士官学校時代からあいつの本心は帝国を滅ぼすことしかなかった。たとえ表面上は笑顔でもな」
「ディミトリが悪いの?」
「ディミトリも悪い、だ。誰が悪いか言い始めたら、あいつの心を溶かせなかった皆が悪い。戦争を始めるしかなかった帝国が悪い。一つの答えなんて出ないだろ」
「戦争であなたが求めていたものが手に入るの? それはアンや、アンのお父様、他の皆を犠牲にしてまで欲しいものなの?」
「戦争が個人の価値観で完結するものでない以上、その問いは無意味だ。……悪いが、もう時間がない」
「あら、私はいいの?」
「お前の相手は俺じゃない。わかってるだろ?」
「……姉弟で戦わせるつもり? だったら趣味が悪いわ」
「そうか? 親しい人が自分の見えないところで死んでいくほうが後悔すると思うけどな」
「私が説得して、帝国から大きな戦力が失われるかもしれないわよ」
「それならいいじゃないか。立場を捨ててまで、姉弟愛を取ったんだろ。あいつにはたくさん頑張ってもらったから、そのまま戦場から消えるなら手出しはしないさ。そう言っておいてくれ」
「……あなたはいつもそう。本当に……ずるい人」
イングリット
「……ねえ、騎士ってなにかしら?」
「……お前と俺の理想とする騎士は違いすぎる」
「そうよね。……私は騎士になれたのかしら?」
「なれてるよ。お前の理想とした騎士そのものだ」
「ええ。きっとグレンも私と同じ行動をしたわよね。私はあの人の様な騎士になれた。なのに何故かしら。迷いばかりで覚悟が全然できないのよ」
「槍を構えろ、イングリット」
「!」
「もはや、ここに至って、その答えは求めるな。お前は理想とした騎士の有り様を体現し続けろ。それで、あの世で婚約者に褒めてもらえ。……それが一番、今のお前が未練を残さずに逝ける方法だ」
「……! ……そうよね。小さい頃から憧れ続けた騎士になれたんだもの。これでよかったのよね?」
「ああ。立派な騎士として、俺はお前を覚えておく」
「ええ……ありがとう、○○」
「寒い……心ばかり冷えていく……。これでよかったのよね、○○……」
マヌエラ
「あら、懐かしい顔ね。あたくしを殺しに来たの?」
「少し邪魔なんでね」
「恐いわあ、そんな理由で物騒すぎる武器で乙女を脅すのね」
「脅しではなく、斬りに来た。辞世の句を残すなら手早くしろ」
「ほんと、つれないわね。あなたに殺されるのは百歩譲って納得するけど、せめて、その恐い仮面は外してほしいわ。あたくしを殺す男の顔を目に焼き付けることくらい、些細なお願いでしょ? 出会いだけで言えば、10数年来の付き合いじゃない。ね?」
「聞けないな。それじゃあ行くぞ……」
「っんもう! ここが舞台なら、そんな言動はブーイングものよ! これだから余裕のない男は!」
「あなたが敵になった時に、こうなることは予想できたのに……ダメね……捨てられないものが増えすぎたわ……」
ハンネマン
「○○君か。こんな場所で君と敵同士で会うとは、5年前は想像もつかなかったな」
「お久しぶりです、ハンネマン先生。今日はお願いがあります」
「我輩にかね? 我々は敵同士だと思うのだが……一応、聞こうじゃないか」
「この戦争が終われば、これまでの紋章上位の世界が崩れます。これまであった、紋章があるからこそ貴族という価値観がなくなります」
「ふむ。エーデルガルト君が掲げる思想だったな。それで?」
「ハンネマン先生には紋章の本質について、広くフォドラに正しい知識を広めていただきたい。神聖な紋章ではなく、学問としての紋章を」
「それを敵である我輩に頼むのかね。いくら元教え子だと言っても、虫がよすぎるのではないか?」
「恥知らずは承知の上です。それでも、女神の眷属が作り上げた偽りの価値観を壊し、真実の価値観を得るためにも、正しく、偏った思想のない知識人が必要な世になります。「知る者」としての正しい貴族の在り方を、ハンネマン先生には示していただきたい。帝国があなたから多くのものを奪ったのは事実です。ですが、その後に生きる人々を導く者の1人となっていただきたい」
「……ずるいことを言う。貴族の在り方を言われたら、断れないではないか」
「では……!」
「そちらに下ろう。だが、吾輩はこの戦争には一切、加担しないぞ。あくまでも吾輩はその後の役割のために下る。それでいいな?」
「文句なんて一つもありません。ありがとうございます。ハンネマン先生」
フレン
「○○さん、久しぶりですわね。またお会いできて嬉しく思いますわ。そしてまだ、そちら側にいらっしゃるのね。わたくしはどうしたらいいのかしら……先生と同じく、命の恩人である〇〇さんと戦うことなんて、できませんわ……」
「また、聖者キッホルと2人で隠れて暮らせないか? 聖者セスリーン」
「……何を言っていらっしゃるの?」
「この戦争が終わって、100年も経つころには、今度こそお前たちを狙う組織は消えてるはずだ。そこからまた始めてくれないか?」
「……でも、その頃には皆さんはいらっしゃらないでしょう? 学園の皆さんも、あなただって……」
「俺も含めるのか……まあ、いい。普通の人は100年も生きない。俺なんか、あと10年生き延びられるかもわからん。だが、それが人だろ。逆に言えば、それだけ時間が経てば、状況も変わるんだ。次はお前たちが生きやすい時代になるはずだ」
「だから、逃げろとおっしゃるの?」
「ああ」
「あなたは女神の眷属が憎いのではなくて? だからレア様に襲いかかったのでしょう?」
「女神の眷属が敷く、女神主義の体勢が嫌いなだけだ。女神には感謝してるし、眷属がフォドラを主導しようとしなければ、別に何をしようと興味がない」
「レア様はきっと諦めませんわよ」
「だから彼女は生かしておけないんだ。人を哀れんだ女神が救った世界を、女神のための世界に作り変えようとしてる。でも、お前たちは違うだろ?」
「わかりませんわ。わたくしには、どうすればいいのか……」
「だったら、今は退け。聖者キッホルと話し合ってくれ。いつか落ち着いたこの世界で、女神の行いを正しく伝える役目が眷属にはあるんじゃないかって」
「役目……わかりましたわ。ここは退かせてもらいます。さようなら、○○さん。あのとき、助けてくれて本当にありがとうございました」
「こちらこそ、ありがとう。セイロス達がネメシスを倒したからこそ、今の世の中があると思ってる。良くも悪くも、そうじゃなかった未来はゾッとする」
「本当にわからない方ですわね。先生の学級でなく、あなたがいる学級に行けば、今はこうじゃなかったのかしら?」
「さあな」
セテス
「○○か……!」
「セテス先生、いや聖者キッホルと呼んだ方がいいですか?」
「! やはり気づいていたか……」
「大司教レアの正体を考えれば、想像はできるでしょ。キッホル、セスリーン、セイロス、そして……コアが付いてない天帝の剣を使える先生。女神ソティスの心臓はどこにあるんでしょうね? ……正直、俺の想像どおりでないことを祈ってますよ」
「貴様、どうしてそんなことまで……いや、そうか、貴様は闇に蠢くものか!?」
「ここは退いた方がいいですよ。愛しの聖者セスリーンの元に早く行かないと」
「む、娘に何をした!?」
「何もしてないですよ。ただ伝言を伝えて、この戦場から退かせただけです」
「伝言だと?」
「でも、1人で戦場から離れようとしてるヤツがいたら味方はどう思いますかね?」
「貴様、謀ったな!」
「謀ってません。俺だって、そんな終わり方は本意じゃない。だから早く迎えに行けって言ってるんです。娘とそれ以外、どっちの方が大切なんですか?」
「くっ……すまない、レア、ベレス」
ドガラッ
愛馬が大きな足音を立てて、ヤツらとの距離を一気に詰めていく。必死の形相で襲い掛かってくる同盟の兵を、槍の一振りでまとめて薙ぎ払う。
盟主の近衛ともなれば雑兵とは桁違いの力を持つが、それでも屠ってきた士官学校時代の知り合いほどの力はない。数が多くても、流れは俺たちにある。時間稼ぎにすらならない。
「よう、○○」
間を隔てる兵がほとんどいなくなった所で、目標から声をかけられた。ゆっくりと速度を落とす。
「よう、クロード。それにベレス先生も」
予定通り部下に展開するよう命じながら、2人から目をそらさずに様子を伺う。
おちゃらけた風貌のクロードは5年でとても静観な顔つきに変わった。同盟の盟主となった責任感からか、それとも道化の役割を捨てたせいかは、わからない。帝国の将として、かつての友人を尽く斬り捨ててきた俺に向けられる視線は憎悪に満ちあふれている。
その隣には金鹿の学級の担任をしていたベレス先生がいる。容姿端麗、スタイル抜群、性格良好の彼女は士官学校時代はほとんどの男子生徒を虜にしていた。
そして、教会の言うところの闇に蠢くもの、と呼ばれる俺の家系にとっては、彼女にはそれ以上に因縁がある。
大司教レアのお気に入り。コアと呼ばれる女神らの心臓がないと使えないはずの英雄の遺産を、なぜか使いこなしている。その報告を受けた大司教レアが驚く様子が全くなく、むしろ、そのことを当然と思うかのような余裕があったこと。新しい年を迎えた頃、同じ側のソロンとクロニエが先生に倒されるのと時を同じくして、先生の髪の色が大司教レアや聖者キッホルと思われるセテス、同じく聖者セスリーンと思われるフレンらと同じ髪の色となった。
どう考えても女神関係だ。しかもソロンは禁呪を使って、先生を闇に閉じ込めたはずだ。たとえ女神の眷属といえども、抜け出すことはできない程の強力な術を使った。
しかし、それすらも抜け出してくる。つまりは眷属以上の力を秘めているということ。その外見も5年前と全く変わっていない。
本当に頭が痛くなる。
俺たちの先祖も女神や、その眷属の遺体を好き勝手いじり回したり、影でこそこそ陰気なことをしまくっていたけど、教会側も大概だ。どいつもこいつも人体実験が好きらしい。
エーデルガルトがフォドラを統一した暁には、そんな馬鹿なことをする奴らは等しく滅び去るべきだ。女神の眷属、そして俺たちも……。
「嫌な同窓会だな。この数時間で士官学校時代の仲間がどれだけ死んだんだ? ……なあ、お前はどれだけ殺し回ってきたんだ?」
「さあな。道を塞ぐヤツらなら、そこら中に溢れていたから覚えてない」
「あなた……!」
「怒らないでくださいよ、ベレス先生。俺だって大切な仲間が何人も命を落としているんですよ。それこそ5年も苦楽を共にしてきた仲間たちが消えていきました。士官学校時代の1年弱とは比べ物にならないくらい、長い付き合いのあった仲間がです」
「お前たちが、帝国がしかけてきた戦争だろ!」
「それを言われると耳が痛いな。でもまあ、きっとフォドラは良い方向に進めると思うからさ。貴族だったらフォドラがこれから幸せになっていくことを喜んでくれよ」
「これが本当にフォドラのためになるって言うのかよ! 戦争なんて起こさなくても、お前たちなら他にもやりようがあっただろ!? 同盟だって、話し次第じゃあ協力できたはずだ!」
「買いかぶり過ぎだ。たしかに陛下や俺、ヒューベルト、リーンハルトがいれば力は十分にあった。でも、それはヤツらがいない場合の話だ」
「ヤツらだと?」
「……俺らが事を起こさなくても、いずれは同じように戦争が起きてたさ。だが、そのときの帝国の旗手は陛下じゃない。教会を潰すことは一緒だが、その後の未来はフォドラにとって苦しみの始まりになる」
「お前、何を言ってるんだ? 何があるんだよ、お前たちの裏には!」
「意外と時間がないんだよ。リシテアのことを考えれば、同じ境遇の彼女はどうなる? ただ紋章を消しただけじゃあ、その後は不安が残る。長期化は不安要素が多すぎるんだよ。そもそも、いくらエーギル家が頭の悪いクズだったとしても、王族を切り捨てるなんて正気じゃない。まるで、跡継ぎがいなくなっても問題ないと言わんばかりの蛮行だ。それで王族を皆殺しにしたあと、後釜に座るのは誰だ? 公爵はあくまでも同じ組織の人間で、俺はその指揮下で戦いたいわけじゃないんだよ」
「殺すことに夢中になって会話の仕方も忘れたのか? できれば俺たちと話してくれると嬉しいんだが?」
「……どうでもいいだろ。お前たちはここで終わるんだ。後のことは俺らに任せてくれ」
「悪いが、俺も夢があるんだ。返り討ちにさせてもらうぞ、○○!」
「きょうだい……せめて、あんただけでも逃げろ……」
「ごめんなさい……皆を……導けなかった……」
この後、女神の眷属からの解放で目的達成だよね派(主人公)と、帝国を乗っ取って俺らの時代を築きたいよね派(タレス)で闇に蠢くものが内部分裂した。内情を知り、帝国の全面的なバックアップのある主人公が裏を完全掌握しました。
めでたしめでたし。
マリアンヌと幸せに暮らしましたエンド
エガちゃんは父親知らずの子を何人もこさえましたとさ(マリアンヌ公認)