ありふレコード ー いつかありふれていた魔王と異世界×魔法少女みたま☆マギカ   作:十二の子

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 ※この投稿は先行投稿です。ありふれ2次創作第一弾「ありふれていなければならない物理法則で世界最強」の投稿終了次第、本編を開始いたします。


幕間1:アラもう聞いた?ダレから聞いた?異世界トータスのそのウワサ

―*―

 

 ここは異世界「トータス」。

 

 亜人族を奴隷とみなすヘルシャー帝国の兵隊たちから逃げてきたウサ耳の集団は、魔物が巣くう修羅場「ライセン大渓谷」に迷い込んでいた。

 

 「シア、本当に、助けは来るのか…?」

 

 「はい…ですが、間に合わないかも…お父様たちだけでも!」

 

 「シア、お前を置いては生きて行けんよ…」

 

 ウサ耳の少女シア・ハウリアとおっさんカム・ハウリアが、抱き合っている。

 

 「うーんとっても見苦しい光景だにゃー。」

 

 「灯花、僕たちの世界では兎人族なんて見られないんだから、とても想像力を掻き立てられる光景だと言うべきだと思うよ?」

 

 そこへ、余裕を感じられるゆったりした話し声が、響いてきた。

 

 「だ、誰だ?」

 

 兎人族を餌にしようと取り巻く魔物たちのことを、2人の少女は気に掛ける様子すらない。

 

 「シア、この人たち、か?」

 

 「違います、眼帯の少年と、ちっちゃい赤目の女の子、銀髪の少女4人ですぅ…」

 

 茶髪の少女ーというか女子2人。似ても似つかない。

 

 そこへ、プテラノドンのような飛行型の魔物が急降下をしかけた。

 

 「すごい運動エネルギーだにゃー…えいっ。」

 

 リボンの少女が、手に持つ開いた傘を上へ突き上げた。虹色の火炎が傘先から放たれて、魔物を胴体から射貫き、燃やし尽くす。

 

 「意外に柔らかかったのかな?むふっ」

 

 「し、死んでます…そんな、ハイベリアが一撃なんて…」

 

 笑う、三つ編みの少女とは裏腹に、兎人族たちはただただ絶句した。

 

 「それで、助けてほしいのかにゃー?」

 

 シア・ハウリアはうなずく。

 

 「は、はい!帝国兵から助けてください!」

 

 「その代わりに、樹海を案内してほしい。

 

 僕たちは樹海に伝承される『大樹』を捜しているんだ。」

 

 「な、なるほど…助けていただくお礼に、ですか…

 

 わかりました。

 

 私は兎人族ハウリアの族長、カム・ハウリアと申します。失礼ながらお名前をお教え願えませんかな?」

 

 「なんでー?」

 

 「灯花、袖すりあうも他生の縁、だよ。

 

 僕はマギウス、柊ねむだよ。」

 

 「わたくしはマギウス、里見灯花だよーっ♪」

 

―*―

 

 「帝国兵はまだいるでしょうか?」

 

 「いるだろうね。」

 

 「そ、その、もし、まだ帝国兵がいたら…ねむさん、灯花さん、どうするのですか…?」

 

 「どうする?ねむ」

 

 「僕は奴隷制度を認めたつもりはないからね。この世界でのドッペルの使用もまだじゃないかな?先ず隗より始めよ、だよ。」

 

 「くふふっ、実験だね♪」

 

 「…今まで倒した魔物と違って、相手は帝国兵…人間族です。お二人と同じ。…敵対できますか?」

 

 「? 未来が見えているんじゃないのかにゃー?」

 

 「それが、お二人については見えないんです…」

 

 「そっかー。魔法少女だから因果の予測が成り立たないのかにゃー?」

 

 「僕たち魔法少女もまたキュゥべえの奴隷のような存在だからね。これもマギウスの『解放』だよ。」

 

 「ふむ、分かりませんな…」

 

―*―

 

 「おいおい、マジかよ。生き残ってやがったのか。隊長の命令だから仕方なく残ってただけなんだがなぁ~こりゃあ、いい土産ができそうだ。」

 

 渓谷を階段を上り脱出した先では、やはりと言うべきか30人ほどの帝国兵がたむろしていた。

 

 帝国兵たちは品定めする目で、下世話なことを言いながらハウリアたちを眺めまわす。

 

 「すとーっぷ!」

 

 「あぁ?お前誰だ?兎人族…じゃあねぇよな?」

 

 声をかけられ、人間の少女2人に気づいた帝国兵たち。

 

 「うん。

 

 わたくしは人間だよ。遺伝子も前頭葉もホモ・サピエンス♪」

 

 「はぁ~?なんで人間が兎人族と一緒にいるんだ?しかも峡谷から。さては罪人か…?まあいい。いいようにしてやるからついてきな。」

 

 「むぅー!子ども扱い!そんなこと言う人にはウサ耳ちゃんたちは一人も渡してあげませーん!」

 

 「は?何言ってんだ?アホなこと言ってないで」

 

 「僕たちは本気だよ。キミたちにわたる奴隷は1人もいない。」

 

 「…小娘共、口の利き方には気をつけろ。俺達が誰かわからないほど育ちが悪いのか?」

 

 「むふっ、子供だと思うなら大人げないと思うけどね。」

 

 「あぁ~なるほど、よぉ~くわかった。てめぇが唯の世間知らずの尻叩かなきゃわからない糞ガキだってことがな。ちょいと世の中の厳しさってヤツを教えてやる。」

 

 「いーーや!」

 

 灯花の振る舞いが、駄々をこねる子供のように見えたのだろう。

 

 だから帝国兵は、しょせんガキと一斉に素手でとびかかりー

 

 ーその瞬間、2人のソウルジェムはついに真っ黒になった。

 

 二人の髪の毛が持ち上がり、そして、灯花とねむの頭上には巨大な鳥形が現出した。

 

 灯花の穢れの塊ー「白昼夢のドッペル」ーそれは自らの羽根であるマッチ棒を擦ることであらゆる「もしも」を叶える。

 

 ねむの穢れの塊ー「遺言のドッペル」ーそれは両手の虫頭で物語を食べ、その物語をこの世に具現させると非常に馬鹿げた規模の力を発揮する。

 

 本来は2人の命を消費するこのドッペルを、しかしトータスにおいてはためらわず使用できたー2人の少女は、神代魔法の1つ「魂魄魔法」を、すでに習得していたからである。

 

 そして寸秒後に。

 

 帝国兵は、何が何だかもわからないうちに、ブタの群れに変えられていた。

 

 「3匹の子ブタは、狼から身を守ることができた。

 

 30匹の大ブタは、魔物と帝国兵から身を守ることができるかな?むふっ」

 

 ハウリア一同、改めて震え上がったーコイツら、普通の人間族ではない。

 

 樹海まで、ハウリアとマギウスの間に、会話はなかった。

 

―*―

 

 樹海の入り口にて亜人族の門番に阻まれた一行。

 

 しかし、灯花の傘から出る虹色の火炎はどうしようもないし、ただの少女だ、と、ひとまず亜人族首都フェアベルゲンの長老を呼んだ。何より「ここの魔物は『解放者』の迷宮にしては弱すぎるにゃー」というつぶやきはどうしようもない。

 

 「ふむ、お前さんが問題の人間族かね?名は何という?」

 

 「マギウスの、わたくしが里見灯花、こっちが柊ねむだよーっ」

 

 「私は、アルフレリック・ハイピスト。フェアベルゲンの長老の座を一つ預からせてもらっている。さて、お前さんの要求は聞いているのだが…その前に聞かせてもらいたい。『解放者』とは何処で知った?」

 

 「神山の迷宮だよ。他にもいくつか迷宮を回ったけど。僕たちは最深部まで到達したんだ。証拠はこの写真だよ。」

 

 アルフレリックは、ねむが渡したいくつかの大迷宮の最深部の写真を見て、そこに映るいくつかの紋章を確認し、うなずいた。

 

 「…よし、分かった。お前さんたちは確かにいくつもの大迷宮を攻略したようだな。とりあえずフェアベルゲンに来るが良い。私の権限で滞在を許可する。勿論ハウリアたちもな。この決定に逆らう者は処刑するぞ」

 

 「ダメだよー大樹以外に用はないんだからーっ」

 

 「そうは言ってもだな。大樹の周囲は特に霧が濃くてな、亜人族でも方角を見失う。一定周期で、霧が弱まるから、大樹の下へ行くにはその時でなければならん。次に行けるようになるのは十日後だ」

 

 「そっかー…あれ?」

 

 「大樹に案内するとは約束したけどすぐにとはしていない。ハウリアが嘘をついたわけではないよ。」

 

 ふう、と、お仕置きされると思ったハウリアたちはほっと溜息をついた。

 

―*―

 

 うーん、あんまり神様についての話にも動じてないみたい。好奇心が足りないのかにゃー?

 

 「なるほど…狂った神か。それで、どうしたいんだ?」

 

 「わたくしたちマギウスの目的は、神様やキュゥべえみたいな連中から、世界を解放すること。そのために、トータスまで来て頑張ってるんだよっ。

 

 あなたたちも、わたくしたちの仲間にならない?」

 

 「いや、我々亜人は今を生きていくのに精一杯だ。辞退させてもらおう。

 

 それでも、我々フェアベルゲンの者は解放者の証を持った者が現れたなら敵対するなと伝えられている。実際に現れたのは初めてだがな」

 

 「何が言い伝えだ!そんなもの眉唾物ではないか!フェアベルゲン建国以来一度も実行されたことなどないではないか!」

 

 くまさん、仲間割れかにゃー?

 

 「ジン、落ち着け。今回が最初になれば良いだろう」

 

 「正気か?!こんな人間族の小娘が資格者だとでも言うのか!敵対してはならない強者だと!」

 

 「そうだ」

 

 ちょっと違うよー。

 

 「…ならば、この場で試してやる!」

 

 ドン!

 

 「いったあーっ、これは肝臓も肺もダメになっちゃったかにゃー…」

 

 「灯花、盛大に血を吐くね。大丈夫かい?」

 

 「大丈夫に見えるのー?」

 

 それにそろそろくまさんへお仕置きしなきゃ―。

 

 ーアラもう聞いた?誰から聞いた?

 

 万年桜のそのウワサ

 

 4人の女の子がいつか元気になる力を得て再開した時にみんなで走り回れるようにってずっと健気に守ってる!

 

 だけどもだけどもその4人が傷つけられちゃうとアラタイヘン!

 

 激怒のあまりに何もかも傷つけてでもうわさの内容を守ろうとしちゃう!

 

 女の子たちを攻撃することは誰にも許されないって、神浜市とトータスではもっぱらのウワサ!

 

 ゼッタイフカシンー!ー

 

 |灯花を、傷つけた。誰?|

 

 「ど、どこから現れた!?魔物か!?」

 

 |私はウワサとして、内容を守らなくてはいけない。いつか4人が集うために。

 

 だから、4人をケガさせるのは許さない。|

 

 「な、なんだ小娘!うわっすごい怪力ぐあっ!」

 

 「ジ、ジン!?意識を失っている…っあ!?なぜ私まで」

 

 |灯花とねむを傷つける亜人族は許さない。|

 

 あーアルフレリックにまで手を出しちゃうかにゃ…

 

 「万年桜のウワサ、そこまでだ。

 

 亜人族全てが敵じゃないよ。」

 

 |じゃあ、誰が灯花とねむの敵?|

 

 「敵は戦闘不能だ。アルフレリックまで傷つけたら泥沼だよ。」

 

 |そう。じゃあ消える|

 

 「…ジンの左腕を粉々にするとは…さすが、資格者だな…効いたぞ…」

 

 「あ、ウワサさんまだ消えちゃダメだよーっ。」

 

 |なんで?|

 

 「この後、大樹に行くんだ。」

 

 |私の、いつく場所。再生と絆の樹。|

 

 「ついでに、ハウリアを守ってほしい。」

 

 「わたくしたち、本来ハウリアが助けを求めるはずだった『勇者』たちからハウリアとの出会いを奪っちゃいそうだからにゃー。…こんなお人よしじゃないと、樹海を案内してくれにゃいから大樹にたどり着けないし…」

 

 |わかった。ハウリアを傷つけたら、お仕置き。

 

 私が大樹に行ったら、灯花とねむは?|

 

 「いつでもミラーズに逃げれるし、羽根たちもいるからいいよーっ♪」

 

 |気を付けて。

 

 ずっと、待ってるから。|

 

―*―

 

 ーアラもう聞いた?誰から聞いた?

 

 異世界トータスのそのウワサ!

 

 勇者を求めるその世界は、実は神様のゲーム盤!

 

 鏡屋敷ミラーズからいつでも鏡の向こうの異世界へ行けるけど、行ったら神様の手駒にされちゃう!

 

 だけどもだけども見つからないヒトや人形遣いを求めるには鏡を行き来するしかないって、解放者たちの間ではもっぱらのウワサ!

 

 ドコイクノー!?ー




 い き な り

 すみませんでした。2次創作者、大暴走です。両原作の主人公からなるべく話を遠ざけた「ウラの出来事」が幕間シリーズです(ありふれ:勇者VS皇帝、マギレコ:見滝原のまどマギキャラの動き、とか?)。こんなものを深夜に先行投稿するとはどうかしています。よほどドイツ語の必修単位を落としたのがショックだったのでしょう…
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