ありふレコード ー いつかありふれていた魔王と異世界×魔法少女みたま☆マギカ   作:十二の子

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 ありふレコード、前回の3つの出来事!

 1つ、いろはたちが「ひとりぼっちの最果て」へ!

 2つ、ハジメたちとマミたちがグリューエン大迷宮へ!

 そして3つ、名無し人工知能のウワサ「アイ」は、友達の魔法少女二葉さなをいろはに託し、訪問者たちに空間魔法を授け、フリード・バグアーに自爆特攻した!


16 「神様もダメ、キュゥべえもダメ…もう何も信じられない!」

―*―

 

 「みたまちゃん、何とかならない?」「パパに、会えないの?」「妾も、正直心配じゃ。」「私たちも、マミさんやほむらちゃんが心配です。」「早く再会できるといいんだけど…」

 

 「わかったわ。でも私にはできないから…

 

 ちょうどタイミングよく、明日の朝登校前の時間にあいみちゃんが来るわぁ。そうしたら彼女の『行動予測』の魔法で調べてもらうことにするわねぇ~。」

 

 「な、なんでそんなに落ち着いてるの?ハジメくんのこと心配じゃないの?やっぱり好きじゃないから?」

 

 「香織ちゃん…

 

 …調整屋さんはいつだって、待つ側聞く側見送る側よぉ。」

 

―*―

 

 結局、待ちきれない思いを、彼女たちは抑えきれなかった。それに静因石の到着でアンカジの問題は解決したので、もう用はない。

 

 江利あいみが「マグマの流れを伝って海底火山から吐き出されて、ミュウの生まれ故郷エリセンにたどり着く」という予測をした瞬間には、ティオが龍化して香織がその背に飛び乗っていた(あいみは「恋する力だね」と言いみたまに「あなたとおなじねぇ~」とからかわれた)。

 

 そして、ミュウに至っては「パパに早く会いたいの!」とエリセン上空でフリーダイビングを決める始末ー高所墜落死の死因はたいてい恐怖による心臓麻痺なのだが、それを考えるとミュウはさすがハジメの娘を名乗るだけの度胸がある。

 

 もちろんのこと、予測通りドンピシャのタイミングで埠頭にいたハジメが、ミュウをキャッチしたが。

 

 ミュウのシングルマザーである海人族レミアの足を香織が治療、みたまが調整で消耗を回復させ、数日の滞在ののち、一同はまとめて、近隣にある「メルジーネ海底遺跡」へ挑戦することにした。

 

 本当は保澄雫の「行きたいところへ旅する」固有魔法で海底遺跡に転移する手だってあったが、風情がない。ハジメたちと見滝原組はおとなしく、潜水艦で該当海域を捜索し、ひとりぼっちの最果てにデータオブジェクトとして存在していた攻略の証に頼ることにした(ハジメは「よく考えたらこのアーティファクト、『サーバーに一本しかない伝説の』ってやつなのか」と何やら感慨にふけっていた)。

 

 月の光を浴びたアーティファクトは、女性が掲げるランタンの意匠に光をため、やがてその光で海底を指し示したかと思うと、海底の岩戸が開いて大迷宮の入り口となった。

 

―*―

 

 「んー…そろそろかにゃー?」

 

 あっ、爆発音…ってことはクリオネモドキの、足止めくらいはできたみたい。

 

 「というわけでスイッチオン☆彡」

 

 これで、ランダムに幻覚世界にいざなう仕掛けに、介入できたはずだにゃー!

 

 ウワサにも頑張ってもらうし。

 

 「くふっ、出番だよっ。」

 

ーアラもう聞いた?誰から聞いた?

 

 記憶スタッフのそのウワサ

 

 幻影に映る実体を、扉を開いて覗いてしまうと、記憶スタッフの仕事がハジマル!

 

 タイプアームで頭を叩かれ、記憶をカタカタ、書き換えられチャウ!

 

 もしも記憶が溢れてしまって、自分の記憶が漏れ出しちゃうと、可愛いリップで記憶を吸われちゃうって、メルジーネ海底遺跡の中ではもっぱらのウワサ

 

 カタカタカタチーン!ー

 

―*―

 

 ハジメと香織は、沈没船の上にいた。

 

 船の墓場。そこでは、神に踊らされた狂信者たちが殺し合い、そして襲い掛かってくる。困ったことに微妙に実体ではないらしくて、魔法攻撃しか通用しない。

 

 香織の光魔法が冴えわたる中、それは現れた。

 

 タイプアームの羽根が生え、先端に唇が付いたキースイッチ。なぜか、ハジメと香織にキスしようと迫ってくる。

 

 「ハジメくんの唇は渡さないよ!」「香織のもだ!」「きゃっ♪」

 

 何とか2人は、ウワサの猛攻をしのいだ。

 

 同じようなことは、迷宮の仕掛けで似たような幻影空間に飛ばされたそれぞれが体験していた。

 

 狂気に染まった狂信者たちが、各々の転送先で神のためにと屍山血河を築く光景で、どこからともなくウワサが湧き出し。

 

 ショッキングピンクの唇に気を取られている間に、ウワサのタイプアームが、頭を叩いていた。

 

 うっとうしいな、と誰もが思ったが、ウワサは記憶を読み取り、相互に共有して構築していく。その仕事は「記憶から挑戦者が怖がる幻影を造り出すこと」と、「記憶に干渉すること」。

 

 そして。

 

 「…ユエ?」

 

 「ハジメ、待ってた。」

 

 沈船の山をかき分けて生首やら口裂け女やら人面犬やらクトゥルー神モドキやら這いよる混沌やらを倒していった先に、ユエが震えていた。

 

 「…怖かったか?」

 

 「ん…うん。

 

 だから香織、しばらくハジメと2人にさせて。」

 

 「えっ…でも…」

 

 「ハジメに最初に告白したのは、私。つい最近ついてきたばかりのあなたは下がって。」

 

 「は?」

 

 話の筋が読めず、ハジメが首をかしげる。

 

 「ハジメは私だけのもの。だって、2人でヒュドラと戦って、生き延びた。ハジメはたった一人で私を救ってくれた。だから…

 

 ハジメ、どいて。そいつ殺せない。」

 

 「ハ、ハジメくん…」

 

 香織が、ユエの頭の後ろを指さすー記憶スタッフのウワサがとりついてタイプアームでカタカタやっている。

 

 「なあ、ユエ。

 

 『ウワサ』って知ってるか?」

 

 「『ウワサ』?知らない。とにかくハジメは私のもの。今から2人で甘い時間。だから香織は、香織は…」

 

 ユエが手のひらに炎の弾を浮かべ、香織に放とうとして、顔をしかめた。

 

 「『ウワサ』『香織』…あれ?あれ…?違う…」

 

 ウワサは、「もしウワサに出会わなかったら」と、ユエの記憶に干渉している。そしてユエが、必死にあらがっている…

 

 その時、ハジメはユエにとびかかった。

 

 「おい、見えてるぞ、『ウワサ』。勝手に、俺のユエにくっつきやがって。ああ?」

 

 銃口を突き付ける。その隣で、腕のない人型実体ー「ウワサさん」が呟いた。

 

 ー本気カナ?ウワサを消したら、ユエの記憶も消えちゃウヨ?ー

 

 「うるせえ。そうしたらてめえらは地獄送りだ。」

 

 「ハジメくんと私からユエを奪うとか、万死に値するかな?かな?」

 

 香織に首を締めあげられたウワサさんが、本来の姿なのだろう亡霊の姿となり、もがく。

 

 ーこのオンナがどうなってもいいのカナ?消滅しちゃってもー

 

 「アホなこと言ってないでとっとと消えやがれ。ご主人様ごと消してやろうか?」

 

 「少し、黙ろっか。」

 

 ーひいー

 

 ウワサの行動原理「うわさを現実にしようとする」を、ただの魔力のかたまりに過ぎないそのウワサは恐怖のあまり拒否してしまった。

 

 ユエから離れようとするウワサを、ハジメがむんずとつかむ。

 

 「おい、いつ逃げていいって言った?」

 

 「反省のお時間だよ?」

 

 「ん。香織も私には大事。後悔させる。」

 

 ーアラもうウワサもうあらカラチャウ誰それアレもうキイター!ー

 

―*―

 

 「まさかバグっちゃうとは思わなかったにゃー。

 

 でも、時間稼ぎはできたし♪」

 

 「わざわざ僕を呼びつけるだなんて、灯花もずいぶんと偉くなったね。

 

 ん?」

 

 「ねむ、この子のウワサって作れるかにゃ?」

 

 「ああ、なるほど。

 

 灯花、魂魄魔法をお願いするよ。こうも僕の命を一つまた一つと消されるのはキツいものがあるね。」

 

 「…もしかして、さっきの南雲ハジメの怒気」

 

 「僕にもかなりダメージだったよ。」

 

 「むー、後でお仕置き!」

 

 「それも含めて、だろう?

 

 さて、想定外の魔法少女、見滝原の、巴マミ、だったかな?」

 

―*―

 

 そんな…

 

 …だってあの白い翼が生えたシスター、王様を洗脳して…

 

 「こうして和平条約を結び終え、一年経って思うのだ…実に、愚かだったと。そう、実に愚かだった。獣風情と杯を交わすことも異教徒共と未来を語ることも…愚かの極みだった。わかるかね、諸君。そう、君たちのことだ!」「死ねええええ!」「全ては神の御為にぃ!」「エヒト様ぁ 万歳ぃ!」「異教徒めぇ!我が神の為に死ねぇ!」「我が魂は…エヒト様と共に有りいい!!」

 

 エヒトを倒さないと…エヒトは、どんな魔女よりも、魔女じゃない…

 

 私は正義の魔法少女巴マミ、だから、エヒトを…

 

 これは、解放者の記憶?

 

 なんで、そんな、あのシスターが数百体も…

 

 え、そんな、言葉だけで行動できなくするだなんて…

 

 そんなんじゃ私、勝てな…

 

 そもそも、私は、この世界で…

 

 …鹿目さんや美樹さんや暁美さんに人殺しをさせないといけないかもしれない…

 

 …これは、何?

 

 魔女…?

 

 魔法少女が、向かって行って…

 

 …あっ、ソウルジェムが、割れて…

 

 なんで、なんで動かないの!?

 

 死んでる!?

 

 じゃあもしかして、私たちの魂は…

 

 私は鹿目さんと美樹さんになんてことを…

 

 今度は、何?

 

 ソウルジェムが、真っ黒になって…浄化しないと魔法が使えなくなるんだったかしら?

 

 …えっ

 

 ソウルジェムが、グリーフシードに、なって…

 

 そ、そんな、そんなのって…

 

 魔法少女が魔女になるだなんて…

 

 「認めない、認めないわ!」

 

 「残念ながらそれが真実だよ巴マミ。」

 

 「そう…

 

 あなたが、この幻影の主なのね!あなたを倒して」

 

 「違うよ。この幻影は、神浜のある魔法少女の記憶と、それからこの迷宮の主の記憶を読み取った映像に過ぎないからね。

 

 でも。

 

 僕たちマギウスの計画に付き合ってくれるなら、エヒトを倒し、魔法少女を運命から解放することができる。そうすれば、キミの罪は償われるんじゃないかな?」

 

 「…」

 

 でも、マギウスはウワサで迷惑をかけている怪しい組織で…でも、鹿目さんと美樹さんを魔法少女に導いたことは…

 

 そうか、だったら、せめて、多くの人を傷つける前に…

 

 「神様を倒せないし魔法少女は魔女になるなら、みんな死ぬしかないじゃない!」

 

 「おっと!」

 

 「おイタはダメだにゃー!

 

 ねむ!『変換』!」

 

 「ありがとう灯花、感謝するよ。

 

 さて、巴マミ、キミに救いと贖罪の路を与えよう。

 

 『具現』。」

 

 ーアラもう聞いた?誰から聞いた?

 

 トータス聖女のそのウワサ

 

 シャイニーなセイントがトータスに、アルヴヘイト様の光と共に大降臨!!

 

 ハートが傷ついた少女は、救いの手を差し伸べられただけで、もーメロメロ

 

 解放に導く聖女様に取り込まれて、手になり足になり頑張っちゃうって

 

 巴マミの間ではもっぱらのウワサ

 

 スクイタマヘー!ー




 ※ありふれ原作では亡霊やら何やらが出現しますが、マギウスの改造により「記憶スタッフが挑戦者の記憶から読み取った『もっとも挑戦者が怖がる霊的実体』を再現する」よりクリティカルを狙うように作り変えられております。…でも、ハジメが怖がりそうなサブカル的なモノって、再現するだけでソレになりかねないモノが混じってるんじゃ…ハジメがSCPー444-JPを知らなかったことは幸運でしょう。

 そして、ハジメたちが再生魔法をゲットするウラで、マギウスは…
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