ありふレコード ー いつかありふれていた魔王と異世界×魔法少女みたま☆マギカ 作:十二の子
1つ、ハジメたちは記憶スタッフのウワサを撃退しメルジーネ海底遺跡を攻略、再生魔法を手に入れた!
2つ、巴マミは、解放者の記憶と梓みふゆの記憶を見せられ絶望した!
そして3つ、柊ねむは「トータス聖女のウワサ」を創造した!
―*―
ふーん、灯花とねむはそこまでやったワケ?
ウワサと魔法少女の融合、か。面白そうだヨネ。アリナも、ベストアートワークのためのアリナのウワサとか欲しいワケ。
でも、今はそれより先にすべきことがあるヨネ。
「中村恵理?いよいよ今日が出番なワケ。きっちり働いて、アリナの五感を満足させてヨネ☆」
「僕の脚本で良ければ、ね。」
「死と狂気!誰もがそれを望んでいるワケ。充分過ぎるヨネ!アハッ!
だカラアリナはここに、エリリン劇場の開演を宣言するワケ!
みんな、思う存分その美しさに勝手に酔いしれるといいヨネ!アリナも鼻が高いカラ!」
「第一幕、『王都大防御結界の崩壊』だね。」
パリン。
―*―
「アリナも動き始めたねー。」
「僕は先に帰らせてもらうよ。長時間イヴを放置することの危険性は無視できないからね。」
「りょーかい。ついでに巴マミの力も高めておかないとだしねー。
わたくし、そろそろ勇者君たちやベテランさんたちに顔合わせしておきたかったしにゃー。」
「気を付けるんだよ。
僕たちの予想を超えるペースで、勇者たちは成長している。すでに僕たちを超えてしまったかもしれない。」
「わかってるにゃー。コルチゾール出まくりかもだにゃー。
でも、それでも、わたくしたちは」
「うん。
エヒトに勝って、全ての世界を解放する。そこから僕たちは始められるんだ。」
―*―
「環いろはさん、由比鶴乃さん、深月フェリシアさん、二葉さなさん、良く来られましたね。」
「みふゆさん…」
「本当は、やっちゃんにも来てほしかった…
…あなたがたも、きっと、真実を知れば、ワタシたちマギウスの解放の意味を知れば、協力してくれると思います。
だから、ワタシたちマギウスのこと、魔法少女のことをもっと知ってもらうために。記憶ミュージアムにご招待します。」
「記憶、ミュージアム?って、どこにあるんだ?」
「ここはただの、壊れた博物館、ですよね…?」
「この奥は、トータスの神山迷宮とつながっているんです。」
「みふゆさんそれって」
ーアラもう聞いた?誰から聞いた?
記憶キュレーターのそのウワサ
書庫にいっぱい並んだ禁書を、ヒトリで全部刷り上げた、記憶を熟知する専門家!
今もどこかでひっそり、記憶を印刷しているけれど、
記憶を見たのに、行動を変えてくれない者は、おうちに絶対帰してくれない!
あまりの記憶に人生が狂っちゃうかもって、王宮の人の間ではもっぱらのウワサ
ココカラダシテー!ー
―*―
悲しみの中で。
暁美ほむら、鹿目まどか、美樹さやかは、南雲ハジメらに便乗して王都へ向かっていた。
ハジメですら相当な実力者だと認めている巴マミは、結局戻ってこない。戻ってこないのだが、迷宮攻略の証が持ち去られていたことをを鑑みれば、ハジメと鉢合わせたくない理由があって先に去ったのだろうと推測できる。その場合メッセージを何か残すだろうと考えると、たどり着く答えはただ一つーマミは何者か、おそらくはマギウスに連れ去られたのだ。
泣いても焦っても仕方がないと、ひとまず、エリセンで一休みし、心を落ち着かせてからハジメたちについて行き、アンカジを経由して神山迷宮を再訪することにしたーというのもほむら、まどか、さやかがマミとともに神山迷宮に挑戦した時ウワサがいなかったので、ウワサが新しく発生し新しい情報が得られる可能性があったからである。結局「記憶スタッフのウワサ」は結界を持たない手下クラスのウワサであり親玉がいなかったことから、親玉になるウワサがどこかに見つからなければおかしく、そうした意味では信仰を問うてくる神山迷宮も「記憶に関係する迷宮」という意味でかなり怪しかった。
そんな中。
襲われている隊商を見つけて、香織、雫、優花がハジメに停車を頼み。
ほむらは、すでに車から飛び降りて閃光手榴弾を取り出し、クロックアップばりの速度で走っていた。
「…まったく、みたまも、また、殺すなって言うんだろ?はあ…『威圧』」
ハジメの放つそれにより、視覚と聴覚を奪われたばかりの襲撃者たちが卒倒する。その間にほむらが全員を縛り上げ、香織が治癒を始めた。
「あん?あたし一人でもなんとかなったのによ。」
だが、隊商を護衛していたらしい魔法少女はちょっと不満らしい。
「心配しなくても報酬を奪ったりしないから、佐倉杏子。」
「それならいいや…ってお前、何であたしの名前」
「…巴マミから話を聞いてたのよ。」
「そっか、それなら話ははええ。マミがどこいるか知らねえか?」
「行方不明なのよ。」
「マミのやつ何やってんだ…
ああそうそう、王女様、こいつら、ってか同行者たちに用があんだろ?って始めてるし。」
ほむらは、いくらなんでも不敬では?と思った。
その視線の先では。
「リリィ! やっぱり、リリィなのね?あの結界、見覚えが有ると思ったの。」「こんなところですれ違うはずないし、半信半疑だったんだけど…」
目深にフードをかぶり、危うく白羽根と間違えそうになるその人物ーリリアーナ王女は、香織、雫、優花と抱き合っていた。
「私も、こんなところで香織に会えるとは思いませんでした。…僥倖です。私の運もまだまだ尽きてはいないようですね」
「リリィ?それはどういう…」
下りてきたみたまが、調整を施す。
「…いけない!
話は車の中で聞いたほうがいいわぁ!」
「どういうことだみたま?」
ハジメまでも下りてきて聞く。
「ウワサ、それも記憶スタッフのウワサの魔力!
お願い、王都で何があったの?教えてちょうだい!」
「…愛子さんが、攫われたんです。」
それからリリアーナが語ったことは、みたまにとって、終局の予告ですらあった。
銀髪のシスターに突如攫われた愛子。
熱に浮かされたようにエヒト様や聖教教会をあがめる王国中枢、とりわけ国王。
増えていく、妙に覇気がない、もっと言えば生気のない騎士や兵士達。
そして、それらを裏打ちするかのように城下に広がる、「行動を変えるまで禁じられた記憶を見せ続ける『記憶キュレーターのウワサ』」。
記憶スタッフによってユエが香織を攻撃しようとした前歴からすれば、その主っぽい名前の記憶キュレーターも、記憶を捏造して行動を変容させる可能性が高い。そしてそう推測した場合、今の王都は明らかに、手遅れ。
ハジメたちは、装甲車を爆走させ、王都を目指し。
そして彼ら彼女らが到着しようとしたその目前で、王都を包む大結界が砕け散り、空間魔法のゲートが上空に出現した。
―*―
魔物たちが、王都にあふれていく。その様子をアリナは王宮の窓から見て、ご満悦だった。
「これから、王都は最期を迎えるワケ。それってとっても美しいモノだとアリナは信じてる!」
そこへ、生気のない虚ろな目の騎士たちが、天乃河ら勇者たちを引き連れてやってくる。
「来るのが遅いケド、まだ決定的に遅れてはいないワケ。
今、王都が魔人族に襲われて、魔物が暴れまわっているのは?」
「知ってる。だから俺たちは王都の人たちを守らなきゃいけない!」
「そう、勇者君、これは戦いの始まり、あの煙は最期であるとともに始まりののろしでもあるワケ!」
かかげられたアリナの手先に生徒たち全員が注目した瞬間、そこに握られる緑のキューブから、閃光がはぜる。
その直後に響き渡る肉を裂く異様な音と痛みによるくぐもった声ー虚ろの騎士たちによって奇襲され次々と倒れ伏していくクラスメイト達。誰一人として防ぐことができないー
「やっぱりね。
香織も雫も、早く来ないと、みんな死んじゃうよ?」
ーケタケタとにやついた表情で笑うただ一人、中村恵理を除いては。
「なんで!?エリリン、何!?助けて!」
谷口鈴がもがく。天乃河は、何が起こったのかわからないと言わんばかりの啞然顔。
「ふふ、まーだわかんないんだ。
ねぇ、鈴?ありがとね?日本でもこっちでも、光輝くんの傍にいるのに君はとっても便利だったよ?でも、もうそれもおしまい。」
「えっ…
…嘘だよ!ぅ…エリリンが、恵里が…っ…こんなことするわけない!…きっと…何か…そう…操られているだけなんだよ!っ…目を覚まして恵里!」
「ざーんねーん。これが本当の僕だよ。」
恵理はと言えば、一人称までも、変わってしまっている。
「なんで、なんで…」
「そうだね、どうせ後々殺すんだし言っちゃおうか。僕はね鈴、光輝君がほしかったのさ。」
「お、俺、が…?」
「ソー!
そこの少女は、ヒーロー君が好きで好きでたまらないから、独占するためにすべてを操り人形にしてみることにしたワケ!
アンダースタン?
笑っちゃうヨネ!」
「操り人形って…おい、じゃあ、この人たちは…」
「魔人族とマギウスは、騎士団や君たちを殺してくれれば光輝君を手に入れるのに協力してくれるって言ってね。それで邪魔な君たちを殺して僕の降霊術で傀儡にしようと思ったんだ。そこにいる騎士たちの様にね。」
「だからこの騎士たちはアリナの輝かしいアート!死体なワケ!アッハハハハハ!」
完全に狂っているアリナと恵理。誰もが、歯ぎしりする。
「なんで、なんでこんなことをしたんだ!恵理!それにアリナ、お前最初からスパイだったのか!?」
「なぜって、ねえ…知りたい?」
「…スパイ?仮にもトップ3人のうち1人なんだからそんな呼び方は酷いヨネ。せっかくだから、アリナから教えてあげようと思うワケ。」
アリナが、ベルを鳴らす。
ーアラもう聞いた?誰から聞いた?
記憶キュレーターのそのウワサ
書庫にいっぱい並んだ禁書を、ヒトリで全部刷り上げた、記憶を熟知する専門家!
今もどこかでひっそり、記憶を印刷しているけれど、
記憶を見たのに、行動を変えてくれない者は、おうちに絶対帰してくれない!
あまりの記憶に人生が狂っちゃうかもって、王宮の人の間ではもっぱらのウワサ
ココカラダシテー!ー
―*―
愛子が攫われた神山へやってきた、ティオとハジメ、それにほむら、まどか、さやか。
眼下の王都では、ユエとシアと杏子が暴れまわっているのがわかる。みたまもきっと、無事な王国兵の底上げに徹していることだろう。
ハジメが愛子を助け出した直後、ほむらが第六感に従って時間を止める。
銀色の翼からこれも銀色の光を放とうとしたままフリーズする、銀髪碧眼の無表情天使。
ほむらが危なそうだとRPGー7を発射する。そして時間停止解除。
ーしかし、爆発から抜け出してきたソイツには、傷一つついていなかった。
「南雲君、アレ、対戦車ロケットが効かない!」「なんだと!?」
「お返しです。」
銀色の光の筋が、とっさに避けたハジメの隣をすり抜け、向こうの建物を雲散霧消させる。
「『分解』ってか…?」
「そうですイレギュラー。
『神の使徒』ノイント、主の盤上から不要な手駒を排除いたします。」
再びの銀色の光の筋ー
「『変換』」
ーそれは、途中で消滅した。
「もー!不要じゃなくて必要な手駒だってわかってるんだかわかってないんだか…
仕方にゃい、この『マギウス』里見灯花が、アルヴヘイト様の名のもとに、必要な手駒を必要なところへ案内するのにゃー!」
傘にぶら下がりぷかぷか浮かぶその少女。「マギウス」を名乗る彼女を、一斉にハジメ、ティオ、ほむら、まどか、さやかがにらむ。
「はい、5名様、大迷宮にごあんなーい!」
灯花は、片手に握る傘から虹色のビームを放ってノイントをいなしつつ、もう片手でベルを鳴らした。
ーアラもう聞いた?誰から聞いた?
記憶キュレーターのそのウワサ
書庫にいっぱい並んだ禁書を、ヒトリで全部刷り上げた、記憶を熟知する専門家!
今もどこかでひっそり、記憶を印刷しているけれど、
記憶を見たのに、行動を変えてくれない者は、おうちに絶対帰してくれない!
あまりの記憶に人生が狂っちゃうかもって、王宮の人の間ではもっぱらのウワサ
ココカラダシテー!ー
―*―
神山の奥に広がるその空間はもともと、大迷宮として、神の御利益を説き、不信心者の末路を脳内に説き、それでも神と戦うことに畏れを抱かない者にだけ神代魔法「魂魄魔法」を授けるモノであったートータス人にはつらいものであるし、もともと、エヒト側の勢力が神代魔法を手に入れないようにするセーフティーネット迷宮なのだ。
しかし、その性質すなわち記憶を教えて行動の変革を迫る点をマギウスは利用し、記憶キュレーターのウワサの結界「記憶ミュージアム」としていた。
結界に取り込まれたのは、3勢力ー神浜市のいろは、鶴乃、フェリシア、さな、王都の天乃河たち一同、そして神山のハジメ、ティオ、愛子、ほむら、まどか、さやか。
その結界の中では、キュレーターのフードが、それぞれに対して、適切な記憶を適切な配役で見せていく。
大多数の人々にはまずメルジーネ海底遺跡の記憶で心の支えであるエヒトへの気持ちを破壊する挙に出たウワサだが、一方で魔法少女たちを中心に、見せる記憶をすり替えていた。
―*―
この記憶は…みふゆの記憶?ししょーも見えるし…
昔の、ししょーとみふゆの仲間?
えっ、ソウルジェムが、割れて…
そんな、じゃあ…ししょーとみふゆが私に過去のことを語りたがらないのは…
魔法少女の本体って、もしかして、ソウル、ジェ、ム…
今度は、私とももこと、メル…
この日は確か、私が店の用事で行けなくて、メルが死んじゃったってししょーが言ってた日…
また、ソウルジェムが割れるのかな…
…え?
メルが、魔女に…
でも、ししょーはそんなこと、「魔法少女が魔女になる」なんてこと…
「わかりましたか?
鶴乃さん、あなたはやっちゃんに、ずっと守られてきたんです。」
「私、私…」
「でも、鶴乃さんも、うすうす察してはいたんですよね…?」
「うん…」
「だから、私たちを元気づけようとしてくれた。」
「うん…」
ししょーとみふゆが私から離れて行って…
まだ記憶が…
みふゆのソウルジェムも黒く…魔女になっちゃう!?
…何、アレ…
「これが、ドッペル。
マギウスはこのころ、神浜とトータスに救いをもたらす、魔法少女が安心して暮らせるようにするシステムを作り上げていました。」
安心して…
「鶴乃さん、あなたも、私たちの仲間になりませんか?」
「そうしたら、私も、安心して…気を張らないで…我慢しないで…強がらないで…」
「もう、いいんですよ。」
そっか…なら、私…
―*―
これは、恵理の記憶…?
あっ、危ない!轢かれ…
…お父さん、死んでたのか…でもそんなこと…
ああ、再婚してたからか…
えっ…
だって、実の母親なのに、恵理を傷つけるなんて…
…
…
酷い
…
だから、この時、橋から飛び降りようと…
で、でも、俺が助けた!だからきっと全部うまく行く!
うまく行くはず!
「なんであんたみたいなのが生き残ってるのよ!あんたなんか死んじゃえばよかったのよ!」
…ウソだ…
どうして、この俺が解決したはずなのに、何も変わってない…
ーあそこで死ねてたら、楽になれたのに…ー
ーもう一度、光輝くんのところに行ったら、助けてもらえるかな…ー
そんな、じゃあ、俺がしたことは…
ー光輝くん、助けてよ…ー
ーあっ、光輝くんだ!ー
ー相手してくれない…なんで?前は僕を助けてくれたのに…ー
ーそうか、あの、周りの女たちが光輝くんをたぶらかしてるからか…ー
これじゃ、まるで、俺が全部悪いみたいな…
ーやっと、やっとだ!
僕は何年も何年も待った!
やっと、僕と光輝くんだけの、誰にも邪魔されない世界を創れるんだ!ー
「アナタ、あのエセヒーロクンが欲しいんだヨネ?見返りに、あげちゃうワケ。その代わりに、アリナたちの目指す『解放』に協力してほしいワケ。」
あは、あははは!
そうか、そうか!
俺が、全部、悪いのかよ!
―*―
王宮の騒ぎをどうにかしようとやってきた香織、雫、優花、リリアーナは、王宮の中がすっぽりウワサの結界になっていることに驚きつつも、その先へ入っていった。
ウワサをまず倒すべきなのだろうが、その前にウワサの力が作用し、神山迷宮の試練が行われる。
エヒトへの信仰心などかけらも持ち合わせない香織たちはすぐに結界の中で目を覚ましたが、リリアーナはなかなか目を覚まさない。どうしようかと悩んでいた時に、ハジメとティオと愛子が吹っ飛ばされてきた。
「「「ハジメ(くん/君/っち)!?」」」
「アレは、ヤバいな…いてて…」「妾もう戦えん…先生殿を守ることにするのじゃ…」
その先にそびえるのは。
「ほむらちゃん…」「転校生…その、ごめん…」
「…記憶を読まれてしまったのは不覚だったわ…」
巨大な黒いマントを背にした、砂時計。そして、頭には魔女らしく、黒い三角帽子。それが、ほむらと対峙している。
「何、アレ…」
「まどか、さやか、私の記憶を、見たのよね…それなら、わかるはずよ。」
「砂時計、黒…もしかして、ほむらちゃんの魔女?…」
「そうであると言えるしそうでないとも言えるわ。
私は過去に、まどかから生まれた、地球のすべてを滅ぼすほど強大な魔女を飽きるほど見てきた。
ウワサはその記憶をまどかやさやかに見せようとして、でも、ウワサのポテンシャルでは見せられず、逆にウワサを私の記憶が呑んで、ウワサの穢れが私が魔女になったときの姿に変貌してしまったのよ。」
ー此岸の魔女の幻影、その性質は業因。
この魔女の主は無数の世界を渡り歩き一人の少女を救おうとしてきた。しかしそれはいつも失敗に終わり、はたから見れば少女は世界を破壊して回っているに等しい。
つむぎ続かれた因果を無謀にも受けとめようとしたモノによって、この幻影は万世の業因を和らげるために現れ、主の破壊を以て、世界が融合していくことで最後に生まれた世界を守ろうとするだろう。ー
幻影の後ろにいる使い魔(?)の少女14体のうち3体の姿が消え。
雫と香織と優花が吹っ飛ばされる。
「ほむらちゃんの、時間停止…
…そうだよね、ほむらちゃん、こんなになっちゃうかもしれなくなるまで、私のために頑張ってくれたんだよね。
私も、ほむらちゃんのために、できることをする。」
「あたしも、魔女になってばっかじゃね。」
「ちょっと、まどか、さやか、それがどれだけ危険なことかわかって」「わかってるから、私も、戦うの。」
ほむらは、黙り込んだ。
そこへ、魔女が砂時計胴体から取り出した砂がかたまってできたミサイルが飛んでくる。
ドンッ!
「俺たちのことを忘れてもらったら困るな魔女!」
ハジメが、ミサイルをグーで殴り飛ばしながら叫んだ。
「反撃だ!行くぞ香織、雫、優花!」
「うん!」「ええ!」「もちろん!」
魔女の幻影は、無表情で、背後に隠す暁美ほむら型の使い魔を繰り出した。
ハジメたちとまどかたちの時間が止まり。
身動きが取れるはずもない、時間から隔絶された相手へ、使い魔が時間の影を手にして、地面を滑っていった。
絶体絶命、使い魔たちが迫るー
「環さん、やめなさい!」
ー魔女の背後にピンクの弓矢が突き刺さり、時間停止が解除された。ハジメたちとほむらたちが重力魔法で使い魔を結界の床に押し付ける。
「やちよさん、私、やめません。
私は、やちよさんの言っていることは認めません。
だから…
見ていてください!私の、想い!」
―*―
すっかり、忘れていた…
…かなえが死んだ時、メルが死んだ時。
私の契約した時の願い、「リーダーで有り続けるため生き残りたい」のせいだって気づいたことを。
このまま環さんと、鶴乃と、フェリシアと、さなと一緒にいたら、私はまた、仲間に守られて、仲間を死なせてしまうことを。
私は一人でいなければならない…
なのに…
「やめて環さん!こんな超弩級の魔女と戦ったら、環さんまでも死んでしまうわ!」
「そんなことはないです!
私は、この魔女を倒して、『私が犠牲になる』なんていう想像は打ち砕いてみせます!
やちよさん、初めて会った時、私を試しましたよね?
だから、私は、もう一度、試されて、この試練に勝って、やちよさんのリーダーになります!」
確かに、私がリーダーでなければ、環さんがリーダーなら、私の固有魔法は働かない…だけど…
「だから、みんなでみかづき荘に帰りましょう!」
「おい七海やちよ!ぼさっとしてないで俺たちに加勢しろ!」
「七海やちよ!私が言うのも心苦しいけど手伝いなさい!」
私は、私は…
私は、どうすれば…
―*―
七海やちよの片足から、それは出現した。
やちよの後ろにサソリの尻尾のように伸びて、その先には切符ばさみがランタンをぶら下げている。
ー「モギリのドッペル」。それは、やがて今まで見送った友を追って旅に出ることを夢想する感情の映し身。様々な幻影を呼び出し、尾のはさみで過去との決別をし未来へ進むための切符を切る。
「いろはは、私に希望をくれた。
いろはが独りでリーダーとして頑張っているのなら、私は、いろはの頑張りと想いを、無碍には出来ない。」
此岸の魔女の幻影は、そのドッペルの出現を脅威に感じ、自分以外の時間をすべて止めるーしかし、ドッペルが周囲に湧き出させていた水もまたドッペルの一部。水を通じて魔女と接触するドッペルは、止まらずに、やちよを4足歩行させて此岸の魔女の幻影に迫る。
カチン!
切符ばさみの音が、確かに響いた。
時間停止が解除される。
ドッペルを失い崩れ落ちたやちよを、いろはが抱え起こした。
「いろは…」
「やちよさん、わかってくれましたか?」
「ええ…」
―*―
モギリのドッペルは、因果の糸を断ち切った。
記憶キュレーターのウワサが、此岸の魔女の幻影から分離される。
「やちよさん、後は、私が…
…届け、この想い!
ストラーダ・フトゥーーーーロ!!」
「ほむらちゃん、私もこれからは、少しでもほむらちゃんにお返しできたら、そうしたら、すてきだなって。
だから…」「あんまり、抱え込まないでよほむら。あたしも悪かったからさ。
いくよまどか!」「うん、さやかちゃん!」
ハジメたちも、それぞれに幻影の使い魔を撃退していく。
記憶キュレーターのウワサと、因果を断ち切られて弱体化した此岸の魔女の幻影は、ついに、いろはとまどかとさやかによって討伐された。
結界が、崩れていく…
―*―
もう、光輝が恵理に言うことは決まっていた。
「恵理。
俺は、お前のモノになる。
それで…それで、みんなを、赦してくれ。
俺が、すべて、悪かった。」
「うん?光輝くんは悪くないよ?
だよね?
全部、光輝くんをたぶらかした2人が悪いんだよ。」
そう言いながら、結界の中に入っていなかった恵理は、結界から解放されてあらわになっていく香織と雫の背中に、騎士剣を突き立てた。
優花とリリアーナは、すでに完全に縛り上げられている。
「雫?香織?じゃあね?君たちとの友達ごっこは反吐が出そうだったよ?」
虚ろな瞳で2人の顔を見下ろし、恵理は剣を振り上げた。
「なんで、なんでだ、恵理…!」
「あっはは、光輝くん、あのね。
ただ殺すだけじゃ満足できないんだ。
僕はね、ただ死ぬだけじゃなくて、この売女たちが死後も辱められて初めて満足なの。
だからね、うん。
君たちは、お人形にしてあげる。
ほら檜山、自分でやりたいんでしょ?」
「ああもちろんだぜ。
やっと、やっと、香織が、俺のモノに…」
刺されていたフリをしていた檜山大輔が立ち上がり、香織の心臓のあたりに、ゆっくりと、うめき声を楽しむように剣を刺していく。
心臓まで、3ミリ、2ミリ…
「ハジメ、くん…」「ハジメ君、ごめんなさい…」
グサッ。
やけに生々しく、その音は響いた。
2人は、崩れ落ちた。
―*―
「そういや、途中だったな、ノイントに、マギウス。」
「解放されるの早すぎにゃー!まだイシュタルと馬鹿司祭たちしか始末できてないのに!
勇者になんか勝てるわけない!わたくし退散!えいっ!」
「…だそうだ。お前も逃げるか?」
「いえ、逃げません、主からの使命を完遂するまでは。」
「そうか、じゃあ、敵だな。」「敵じゃな。」「敵ですね。」「敵よ。」「敵だよね。」「敵だね。」
ハジメ、ティオ、愛子、ほむら、まどか、さやか。
6人だと厳しい戦いかとノイントは双大剣を構えなおし。
カチリ。
ハジメが作り出しノイントに突き付けた筒に愛子が発酵ガスを詰め、まどかとさやかが魔力を注ぎ込み、ティオがブレスを筒の中へ充填して爆発を発射する。
カチリ。
時間停止が解除されたとき、ノイントは既に地に落ち、その心臓を打ち砕かれていた。
―*―
「アッハッハッハ!」
アリナ・グレイの哄笑が響く。
「血に染まる王宮!王都!これほど『最期』を体現するアートもなかなかないヨネ!」
「ア、アリナ…何を…」
崩れ伏したまま身体を貫く剣で床に縫い留められた恵理が、血を吐きながら見上げるその先で、アリナは剣の柄を踏みつけた。
「知らないワケ?悪い少女は、悪いオオカミの格好の餌なんだヨネ!
アリナはちゃんと言ったワケ!
『アリナのアートのテーマは生と死!生の絶頂にある人間が死ぬまでの命の輝き、美しさ!だからこそ、最も輝いてる人の死の美しさを見てみたいワケ!帰る方法、未来への希望、そして愛する人!すべてを手に入れた者をアートワークにできたらと、考えるだけでもゾクゾクしちゃうヨネ!』って!
マギウスと言う帰る場所、未来への希望、そして愛する人を手に入れたと確信したアナタたちの死に様!コレ全部、アリナが作り出したワケ!
アア、ゾクゾクするぅ…!」
「そんな、僕は、ずっと踊らされ…」
「やっと気づいたワケ?
すべてはアリナの脚本!
誰もが死に向かって死を望んでいるワケ!だってそうじゃないと誰も戦争なんて起こさないヨネ!」
「なんで、アリナ、なんで…お前には人の心がないのか!?」
「ノンノン、ヒーロー君?まったく逆だヨネ!
3つの世界のどこでも、人々はたがいに殺しあう、戦争を辞められないワケ!それってつまり、世界と人間を作った神様が、世界と人間を終わらせたがってることの暗喩だヨネ!ヒーロー君の深層心理だって戦争に参加するくらいだからより多くの終末を望んでいたハズ!
だから、死と最期を目標にするのが人間であり人類なワケ!だからみんな、死に惹きつけられる!死に向かわずにはいられない!生きるコトって死に向かうコト死を目指すことだカラ!
だカラアリナは死を最期を目標を終着点を終局をプロデュースしてアリナのアートワークにしてみたワケ!」
ぐったり動かない檜山を貫く剣の柄の上で、アリナは立っている。
そこへ。
「おい、これはどういうことだ?
説明してみろよ。」
「主役は遅れて登場するものなワケ?」
ハジメ、ティオ、愛子、ほむら、まどか、さやかが、姿を現した。
アリナは、気味悪く笑っていた。
アリナ、ヤバい。
そしてまさかの此岸の魔女のゲスト出演。なお説明は意図的に少しディケイドに似せました。ライダー的には「いずれ滅びをもたらす者:まどかージオウ」、「滅びを防ぐため世界を巡り破壊する者:ほむらーディケイド」なのかもしれない。だってほむらがまどかを救おうとしなければクリームヒルトはそこまで強大にならなかったわけで「おのれほむら!また地球が滅んでしまった!」さらにいろははほんのちょっとクウガに寄せましたーなぜだ。
そしてまた、トータスの秘密と魔法少女の秘密とほむらの秘密、ウワサによって強制ネタバレです。