ありふレコード ー いつかありふれていた魔王と異世界×魔法少女みたま☆マギカ   作:十二の子

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 ありふレコード 前回の3つの出来事!

 1つ、魔人族の神アルヴヘイトと手を組む魔法少女解放組織マギウスは、キュゥべえの目的、そしてエヒトを魔女イヴの餌にして世界と魔法少女を解放しようとしていることを語った!

 2つ、ユエの叔父ディンリードの姿を借りていたアルヴヘイトだが、いろはのソウルジェムをウワサ2体に取り返され、さらにハジメに看破され砲撃された!

 そして3つ、ユエがアルヴにとどめを刺そうとしたその時…!


25 「エヒト、わたくしたちもずいぶんやり方を選ばなかったけど」「せっかくの依り代に逆らうなんて万死に値するよ」

―*―

 

 光の柱が、消え去った。

 

 うつむいたままのユエは、駆け寄ってきたハジメの腹に、いきなり貫手を見舞う。

 

 「な、に…」

 

 「ハハハハハハハハ!

 

 見よアルヴ!みな、我に騙されておる!」

 

 「その通りですな我が主。」

 

 「騙されている…?貴様…エヒト…」

 

 「そう、我こそが創世神『エヒト』だ、その矮小な脳に刻んでおくが良い。

 

 まったく、面白い見世物だったよ。我にアルヴが対立していると愚直に信じ込み叶いもしない解放を唱えるマギウスに、我の現界するための神子の天職を持つ者をわざわざ我が手届かぬ大迷宮の底から運び出してくれるイレギュラー…誰もみな掌の上で踊っておるわ!」

 

 誰もが悔しそうな表情をし、そして、背中まで貫通している手を引き抜かれたハジメが血にまみれふらつく。そんな中で、ユエにとりつくエヒトのみが、哄笑を続けていた。

 

 「…では、エヒトの名において命ずる――『動くな』」

 

 そのたった一言で、ハジメたち召喚勢も、魔法少女も、そしてウワサですら、金縛りにあったように動けなくなった。

 

 「ククク、実に哀れだな。何も知らず何もわからず、道化のように振舞い騙されそして何もできずに死ぬ。まさにすべては我を楽しませるためだけにやってきた存在だな。」

 

 「それ…は…お前…だ」

 

 「そうかそうか、負け犬の遠吠えとは何とも無様よなぁ。」

 

 そして、エヒトは、ハジメの顔を片手でつかみ上げて地面にたたきつけようと振りかぶったー

 

 ーそして、そこで、動けなくなった。

 

 「な、に…?」

 

 玉座のあったあたり。

 

 その下から、白い、毛でおおわれた腕が伸びて、エヒトをつかんでいる。

 

 「…エヒトの名において命ずるー『離せ』」「無駄だよエヒト。」

 

 冷酷に、ねむが告げた。

 

 大広間の床が抜け、玉座が、祭壇が、階下へ落下していった。

 

―*―

 

 魔王城の外壁が、崩れ始める。

 

 「七海…」

 

 今も羽根たちと対峙を続けていた十七夜は呟いた。

 

 「崩れる!?逃げるぞレナ、かえで!」

 

 ももこの叫びで誰もがはっとして、敵味方関係なく算を乱して逃げ出し。

 

 粉塵が舞い。

 

 パレス・フェントホープは、跡形もなくなっていた。

 

 ただ、数十本の柱によって、大広間とテラスだけが支えられ。

 

 そして、上半身だけを出すカタチで、結界もなしに巨大な魔女が存在していた。

 

 その姿はカイコガの成虫のよう。全身に宝石をちりばめている。

 

 後ろには十字架があるが、そのてっぺんは砕け散っているーそう、魔女を縛り付ける十字架のてっぺんが玉座であり、それが破壊されることによって魔女が自由になるようになっていたのだ。

 

 「うそだよね、レナちゃん…」

 

 「私だって、あんな、ビルみたいにでかい魔女の存在、認めたくないわよ…」

 

―*―

 

 ー幸福な魔女。その性質は、受難。

 

 被膜に包まれたもう一つの宇宙の中で、魔法少女が魔女化する時の穢れや人々が放つ感情を栄養源にして静かに成長を続けている“半魔女"。

 

 自身が持つ捻れた力を安定させるため、成長と共に宝石を体に散らしている。

 

 いずれ殻を破って成熟した時、鎖から解かれた魔女はあらゆるエネルギーを根こそぎ吸い尽くし、星を呑み込めば自身が宇宙の塊になるまで食事を止めることはないだろう。ー

 

 「エヒト、君が楽しんできた、人間と魔人の戦争や亜人への差別。それら数万年の穢れから育てた魔女は身から出た錆だ。逃れれられない宿命だよ。」

 

 「離せ、エヒトルジュエの名において命ずる、『離せ』!」

 

 「さあエンブリオ・イヴ!今こそ、悲願の時だよ!」

 

 「わたくしたち、ずーっと、待ったもんね!」

 

 「アルヴに騙されてるフリをするのも大変だったワケ。でも、アルヴを誰かが倒さないとエヒトは出て来てくれそうになかったし。」

 

 「だから、アルヴを倒してエヒトが『宿りたい』と思う存在を育て、招き、そして降臨したエヒトをイヴの餌にする…苦労したよここまで。」

 

 「ゆーしゃくんも安心していーよ!宿主の方はペッてしてくれるから!」

 

 「離せ、離せと…うわっ、我を咥えるな!我は創世神エヒトであるぞ!うわあ!」

 

―*―

 

 すべてが、順調に行きつつあった。

 

 にもかかわらず。

 

 いろはと、万年桜のウワサ。

 

 その2名だけが、さえない顔をしていた。

 

 いろはの手に握られているのは、ハルツィナ樹海の大樹ーつまり、万年桜のウワサ宿りし樹の枝。それに、桜の花が咲いている。

 

 「うそ…4人が一緒にならなければ、咲かないはずなのに…」

 

 |考えられるのはただ一つ。

 

 この花は、イヴがエヒトを捕まえた時に咲いた。でも、ういはエヒトじゃない。|

 

 「ってことは…

 

 うい、なの…?」

 

 いろはの目が、エヒト(が憑りついたユエ)を頭まで咥える魔女イヴを見つめた。

 

 どこからか現れたツバメ型使い魔が飛んできて鳴く「ホベーミャン」「ニャッニョミャエミャメ!」と。

 

 「そんな…そんなことって…」

 

 ーだとしたら、イヴを魔女にすることは、取り返しがつかない結果を招く。

 

 「灯花ちゃんねむちゃん、ダメっ!」

 

 そして、みたまも、事情を察していた。

 

 ー誰かを救う力を許されてこなかった、そしてイヴを育てる手伝いをし続けてきた私に、今できることがあるとすれば。そう、みたまは考えた。

 

 そんな中、ついに、ユエの身体が、イヴの口の中に消えた。

 

 エヒトの力が隔絶され、「神言」で束縛されていたすべての人間がふらつき自由に動けるようになる。

 

 その瞬間。

 

 灯花とねむが、頭を押さえて崩れ落ちた。

 

―*―

 

 これは、わたくしの、記憶、かにゃ…?

 

 そうだ…「環うい」は、環いろはの妄想の妹なんかじゃなくて…

 

 「私が『回収』」「わたくしが『変換』」「僕が『具現』」

 

 わたくしたちは、宇宙を知るためじゃなく、ただ、環いろは…お姉さまを魔法少女の運命から解放したくて、ういやねむと…

 

 「「「お願い、キュゥべえ!あなたの持つ機能が欲しい!!!」」」

 

 それで…

 

 「うっ…ぐぅ…」

 

 ういの『回収』が、あまりにも早く穢れを集め過ぎて…

 

 「アリナが、被膜で遮断してみ…

 

 …!?」

 

 「アリナ、どうしたの!?」

 

 「別の被膜?別の世界?

 

 つながっちゃってるワケ!」

 

 「それじゃあ穢れの回収を遮断できない!」

 

 「…僕の魔法で、ういの魂を移す。そうすれば、ういは魔女にならない!

 

 『誰かが、ういの体に触れるまで、魂に刻まれたういは、空っぽになったキュゥべえの中で眠り続ける!』」

 

 ねむの物語が具現化して、ういの因果が途切れて…

 

 「やあ、お客さんかな?」

 

 …ういがいなくなったことになってすべての記憶が再構成されたちょうどその時に。

 

 「アナタ、誰なワケ?」

 

 「我が名はアルヴヘイト。まあ、神様だよ。」

 

 「わたくしはマギウス」「お話を聞かせてくれるかな?ちょうど、『魔法少女の解放』の」「実験が終わったところなんだにゃー。」

 

―*―

 

 記憶が戻ってきた灯花、ねむは、取り返しのつかない失敗をしていたことを悟った。

 

 「ダメ!イヴ…うい、それ以上エヒトを消化したら戻ってこれなくなる!」

 

 灯花が叫ぶが、意に介した様子はなく。

 

 くぐもった声でイヴの中からエヒトの叫び声が聞こえるが、それもだんだん小さくなっていく。アルヴヘイトがその足元でおろおろしていた。

 

 「誰か、我を、我を助け」

 

 「そうだね。

 

 ボクと契約したら、願いを叶えてあげようか?」

 

 「「「「「なっ」」」」」

 

 宙に浮かぶ白い毛玉。

 

 「キュゥべえ…」

 

 「エヒト、キミがこの魔女の被膜の中に入ってこの星を包む被膜を作る力が遮断されたおかげで、はじめて、キミと話せるね。

 

 キミが全知全能の存在になって以来、かな?」




 まさかのキュゥべえ登場!
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