ありふレコード ー いつかありふれていた魔王と異世界×魔法少女みたま☆マギカ   作:十二の子

32 / 38
 ありふレコード 前回の3つの出来事!

 1つ、神エヒトが、ユエの身体に降臨!

 2つ、魔女「エンブリオ・イヴ」が、エヒトの捕食を開始!それに伴いトータスの被膜が消滅し、また万年桜の開花で、「イヴ=環うい」であると発覚!

 そして3つ、キュゥべえが、トータスに出現した!


26 「どうして全知全能の魔法の神様を名乗っているのに、僕にかなわないんだい?わけがわからないよ」

―*―

 

 「なんでもいい!

 

 エヒトルジュエの名において命ずるー『我に力を』!」

 

 「キミの願いは、エントロピーを凌駕した!」

 

 キュゥべえはかつて「感情エネルギーを集めるには第二次性徴期の少女が最適だから魔法『少女』を作る」のだと語った。ならば、自らの言葉によって事象を発生させられるほどの力、エネルギーの受け皿であるエヒトルジュエは、魔法少女の条件に当てはまらなくとも、契約の対象として十分すぎるほどのエネルギー効率を持っている…

 

 イヴの身体の中に呑まれていたユエに宿るエヒトの魂が、ソウルジェムになる。

 

 ユエのほうには興味がないイヴは、ペッとユエを吐き出した。香織に回復させてもらっていたハジメがスライディングキャッチ。

 

 「ハジメ…

 

 …あの中に、まだ一人、女の子がいる。」

 

 「みたいだな…」

 

 「力が、我に力が溢れるぞぉ!」

 

 「シット!中から食い破られちゃたまらないヨネ!」

 

 アリナが、ミラーズコインを投げた。

 

 イヴに衝突したコインを通じて、神浜全域を覆っていた被膜が世界の壁を超えてトータスで収縮し、イヴを包む。

 

 「灯花ちゃん、ねむちゃん、記憶がもどったんだよね!?」

 

 「ごめんなさい、お姉さま…」「お姉さん、本当に…

 

 …ういの『存在』は、小さなキュゥべえの中にある!」

 

 ねむが、いろはが抱えるかわいらしい小さなキュゥべえを指さした。

 

 一方で、イヴはガタガタと震えている。中で抵抗するエヒトを消化しようと戦っているのだ。容易に近づけそうにない。しかも、イヴの魔力的中心である赤い宝石は、羽で隠されて近づけないのだ。下手にダメージを与えて羽を開かせようものなら、逆にエヒトがイヴを取り込んでしまう危険もある。

 

 みたまが、口を開いた。

 

 「香織ちゃん、力を貸してちょうだい。」

 

 「でも、みたまちゃんがやらなくても、私がやったほうが…」

 

 「これは、私なりの、けじめよぉ。」

 

 「わかった。雫ちゃん、優花ちゃん、シア、ティオ…みたまちゃんに、力を貸すよ!」「ええ」「うん」「はい」「承知」

 

 ただでさえみたまの魔力は「呪い」のせいでまともに使えず調整の触媒にしかならないが、魔法少女の魔力はトータスの魔法を使うには極めて効率が悪い。その理由が「魔法少女の固有魔法が概念魔法であり、本来は究極の意思を必要とする魔法を魂を代価に可能とする代わりに、それ以外の神代魔法に魂のリソースをまったく割けなくなったから」だとみたまは気づいていたが、魂がきしむような無理をしても、自分でやりたかった。

 

 「『界穿』ガッ…!」

 

 大量の血を吐いて、みたまが倒れる。

 

 その代わりに、イヴの正面中央、畳んだ羽で隠された胸元の宝石へとつながる空間ゲートが開かれた。

 

 いろはと灯花とねむが、小さなキュゥべえ抱え飛び込む。

 

 もふもふの毛の中で、小さなキュゥべえ、いろは、灯花、ねむ、エンブリオ・イヴが触れ合いー

 

 ー因果は、結びなおされた。

 

 あるべき因果は、あるべき位置へ。

 

 「『解魂』『調整』ッウワァ!」

 

 倒れたままのみたまは、イヴのコアである赤い宝石を魔法で砕くと同時に、両目両耳から血を流して気を失った。

 

 「おねえちゃん…」

 

 イヴの腕と胴体のスキマをすり抜け、4人が、落下していく。

 

 いろはは、彼女を抱きしめた。

 

 「おかえり…」

 

 着地して、思い切りすりよせ

 

 「うい!」

 

―*―

 

 エネルギーを安定させるために魔力の流れの軸として全身に散らしていた宝石を司る、胸元の赤い宝石。

 

 魔女としての軸である魂を持つ環うい。

 

 両方を失ったイヴは、アリナの被膜に包まれることでかろうじて安定していた。

 

 水が低きに流れるように、イヴはより安定するほうへ向かうー

 

 ー内部に取り込んだ、膨大な魔力を操ることができる魂。それを核にするほうへ。

 

 「なんだ!?この、この大量の呪い、穢れは…!?」

 

 イヴに集められた穢れは、人間族亜人族魔人族の対立の中で生み出されたネガティブの気持ち。恨み哀しみ憎しみ。

 

 突き詰めれば、それらの因果は、諸悪の根源であるエヒトルジュエに収束する。

 

 「こんな、こんなはずでは!?なぜ、我がこのような呪いを引き受けなければならん!?

 

 おいキュゥべえ!どうにかしろ!」

 

 「無理だよ。願いは一つだけ。それによってキミに集まったのは、因果の力だったようだね。

 

 キミが欲した力は、キミがトータス中にばらまいた因果だったということだよ。」

 

 キュゥべえは、もはや抜け殻でしかない同胞ー小さなキュゥべえには目もくれることもなく、事務的に言った。

 

 「神様なのだから、どうして、自分が創世した世界のためにエネルギーを生み出せる存在になることを、素直に喜べないんだい?わけがわからないよ。」

 

 「納得できるわけがないだろう!なんだ、なんだこれは!?魂が作り変えられてしまいそうだ!」

 

 「それもそうだろうね。イヴに取り込まれるのが速いか、イヴ並みの魔女になるのが速いのか、ボクにも興味深いよ。」

 

 「どっちにしろ、我は死んでしまうではないか!

 

 聞いてないぞこんなこと!」

 

 「聞かれなかったからね。

 

 どうして全知全能の神様を名乗っているのに、これしきのことをどうにもできないんだい?ほんとうに…

 

 …  わ  け  が  わ  か  ら  な  い  よ  。」

 

 イヴの中のエヒトのソウルジェムが、下から徐々に黒にーグリーフシードに変わりゆく。

 

 イヴがエヒトの魔女の魔力を取り込み、魔女へと孵化しようと暴れる。

 

 魔王城の中で唯一残っていた大広間とテラスが激しく揺れ、支える柱が次々と折れていく。

 

 数分で、魔王城は灰燼に帰した。

 

 召喚された者も、自ら望んできた者も、帰れなくなっていた者も、等しく、5本の指持つ腕をかかげ巨大な羽を広げてまんまるな胴体を宙へ浮かべホバリングするそれを、ガレキの山の上で見上げる。

 

 ー幸福の魔神。その性質は、授難。

 

 収縮した被膜と創世神の力によって、自身のエネルギーを安定させた"半魔神“。

 

 愉しい遊びを邪魔されてからは、激しい怒りを顕すために見境なく大地を揺るがしている。

 

 恐らく、ひとつの世界が犠牲になるまで、その暴走は止まることを知らないだろう。

 

 また、肉体を維持させる被膜を失えば、邪悪な意思は混ざり合いを起こす。

 

 その結果どんな世界が出来上がるかは、誰も知りえない。ー




 エヒトも、キュゥべえはどうしようもない。どうせ神言使われたら新しい端末出すだけだし。

 次回、さらなる展開、そして驚愕の真相!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。