ありふレコード ー いつかありふれていた魔王と異世界×魔法少女みたま☆マギカ 作:十二の子
1つ、神浜とトータスを結ぶウワサの結界で、魔法少女と被召喚者が共闘!
2つ、環いろは、妹の存在を思い出す!
3つ、ウワサをしかけたマギウスが動く!
―*―
神浜市。
環いろはは、七海やちよに、説明した。
ー自分には、妹の「環うい」がいた。自分は妹の病気を治すため魔法少女になった。
ーなぜか今まで、ういと、ういの親友の「里見灯花」「柊ねむ」の存在を忘れていた。
ーういに関わる手がかりだと確信できる「小さなキュゥべえ」は自分と一緒に絶交階段のウワサの結界に飛び込んで、トータス側へ消えたと。
ウワサにまつわるトラブルを解決するのみならず、ういへたどりつく手がかりを得るため。
いろはとやちよは、次なるウワサを捜し始める。
現状、「異世界トータス」に関わりそうなうわさは2つ。
1つ目はその名の通り「異世界トータスのうわさ」。
ーアラもう聞いた?誰から聞いた?
異世界トータスのそのウワサ!
勇者を求めるその世界は、実は神様のゲーム盤!
鏡屋敷ミラーズからいつでも鏡の向こうの異世界へ行けるけど、行ったら神様の手駒にされちゃう!
だけどもだけども見つからないヒトや人形遣いを求めるには鏡を行き来するしかないって、解放者たちの間ではもっぱらのウワサ!
ドコイクノー!?ー
しかし、「手駒にされる」とは穏やかではないし、「いつでも」とあるから、こちらは後回しである。そもそもこのうわさを広める「ウワサさん」と言われる両手のない人型実体はおらず、神浜ミレナ座のみたまの仮眠ベッドにメモが貼ってあっただけなのだし。
2つ目のうわさは「マチビト馬のウワサ」。
ーアラもう聞いた?誰から聞いた?
マチビト馬のそのウワサ
神社を奈落の底から支えるその神は、ファンシーでナイスなジェントル馬ン!
皆の願いを叶えるために、会いたい人に合わせてくれる粋なヤツ!
だけど残念、それは幻覚。気づいて否定しちゃったら、スバラシイ世界がナナクビに変わっちゃうって、オルクス大迷宮の人の間ではもっぱらのウワサ!
カッテスギー!ー
オルクス迷宮が、みたまと出会った所。そしてそこの奈落と言えば、1人の少年が落下し、小さなキュゥべえを引き受けるだろうみたまの友達が彼を救おうとしている。…行くしかない!
―*―
一方、小さなキュゥべえのことなど知らぬ、トータスでは。
王宮の隅で、3人の黒髪の少女が、1人の銀髪の少女に詰め寄っていた。
「なにかしらぁ?」
「お願い、みたまちゃん」
「私と香織を、あの65層の下へ連れて行って。」
「あたしも!」
白崎香織、八重樫雫、そして、園部優花。3人がそれぞれに武器を携え、今にも勝手に行ってしまいそうである。
「優花ちゃんはどうしてかしらぁ?」
「あたし、南雲に、助けてもらった…だから、いてもたってもいられない!
ねえ、『調整』っていうので、すごい力引き出せるんでしょ!?
天乃河はいろいろ言ってるけど、もう1週間!あたし、これ以上待てない!」
「そうねぇ…
…いいわぁ。でも、条件が1つあるのよぉ~」
「南雲くんを助けるためなら、何だってするよ!」
「そぉ?
あのね、調整屋さんは中立なの。
でも、大輔君たちも、勇者も、調整したくないし心の中を見たくないのよぉ。
だから、みたまも連れて行ってくれなぁい?」
「…へ?」
「いない相手に中立も何もないでしょぉ~?でも、お姉さん戦えないのよねぇ。」
「わかったわ。私と香織と優花で、みたまを守る。」
「契約成立ね♪」
みたまは、変身して、魔力をしみこませた薄布を順番に3人の頭に被せる。
「す、すごいリラックスした感じがする…」
「すごいわよ。ステータスが5倍くらいになってるわ。それに『魔力操作』なんてついてくるし。」
「これならベヒモスも大したことないねっ!」
ーその晩、4人の少女が、失踪した。
1人は勇者パーティー唯一の実戦経験者、3人はそれぞれに中核メンバーで、教会関係者と王国騎士団は慌てて探し回ったが、ホルアドの町での目撃談、そしてオルクス迷宮の冒険者からの聞き込みを総合するに、無謀にも65階層に再び向かったものと思われ、その回収は困難と考えられた。
天乃河光輝、坂上龍太郎、谷口鈴、中村恵理を中心としたメンバーは収拾を図ったが、1人が死に4人が消えたとなっては、士気の低下は隠しようもなかった。
教会は隠蔽のため、技能を生かして農耕発展のため地方巡行している愛子先生に護衛として生徒数人を送り込み、生徒全員の所在が分かりにくいようにした。
ー*―
迷宮の底で。
ハジメは、うなり続けていた。
幸運にも数百メートルの落下を助かったが、しかし、いきなり出現した「狼の頭を蹴りで粉砕するウサギ」に心を砕かれ、その上そのウサギを容易く捕食する巨大熊に片腕を喰われ、被食者に堕ちて。
錬成で造った洞窟の中で奇跡のような治癒能力を誇る「神水」を湧出する「神結晶」に出会ったから生きているが、空腹と絶望感にさいなまれるなら死んだほうが良かったかもしれない。
孤独と幻肢痛に1週間以上むしばまれ、もし彼にソウルジェムがあるのならばそれはブラックホールよりなお暗黒だろう。
そして、魔法少女が魔女となるように。
優しかった彼の心は、変貌を遂げた。
「邪魔をする敵は全て…殺す!」
そして彼は、錬成で敵を倒す方法を考え始めー
「やっと見つけたわぁ。」
「南雲くん!」「南雲君!」「南雲っち!」
「…え?」
ーその魔力は、みたまのソウルジェムに探知されたのである。
「ずっと、ずっと、生きててって思ってた!
もう、絶対、ぜったい、離さないからっ!」
「香織…良かったわね…グスッ」
「あ、ありがとう…お礼を言いに来たの。
…生きててくれて、ありがとうっ!」
駆け寄ってきた香織に抱き着かれ、すっかりすさんでいたハジメの心に、明かりがさした。
「お姉さんは空気を読んで退散するわぁ。」
「あ、私も。香織、いいわね?」
「え、あたしは…?」
優花がおろおろする間に、みたまと雫は、身体を精一杯にかがめ、洞窟の外へ。
「南雲くん…好きです!
ずっと、好きでした!
優しいハジメくんが、ずっと、ずっと!
付き合ってください!」
一方の香織は、顔を真っ赤に染めた。
「…白崎さん。
俺は、ここで、変わっちまった。」
が、何やらハジメの様子がおかしい。
「白崎さんのことも忘れて、日本に帰るために、敵はすべて殺す。そんなふうに。
それでもか?」
「うん。
だって…ハジメくんは、何も変わらないよ。」
「…は?いや、聞いてなかったのか?」
「聞いてたよ。
あのね、魔法少女が魔女になっても、性質は残るんだって。
お菓子が好きな魔女は、お菓子だらけの結界、委員長だった魔女は、学校っぽい結界って。
だから。
どんなに心が壊れても、大切なものは、変わらない。
私がハジメくんの大切になって、ハジメくんから欠けちゃったものを、ハジメくんへの想いで補うから。」
「…負けたよ。
こんな俺で良ければ。」
「甘いわねぇ…」
「え、あたし、どうすればいいの?」
「香織、本当に、良かったっ…グスッ…」
前作といい、アンタどれだけ追いかけ展開好きなんだ?
でも実際、手段があれば、香織と雫は悠長にレベリングせずにすぐ奈落へ突っ込むと思います。