アンジュカトリーナの妄想トーナメントif

注意、作者はにじさんじについては無知であり、
本作は「にじさんじ妄想トーナメント×琥珀の体」だけを見て作った何かです。
ですので、実在するライバーも出てきますが基本オリ主か何かだと思ってください。

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ゆっくりしていってね


バカなアンジュ

「そっか、私死んだのか、そっかー。」

 

受け止め難い、されど確かな現実をゆっくり咀嚼(そしゃく)するように、反芻(はんすう)する。

 

私、アンジュカトリーナは鈴原るるに心臓を貫かれその生涯に幕を引いた。

 

事の発端は2c3cの決戦兵器鈴原るるの脱走からだった。

 

鈴原るるは2c3cによる非人道的な度重なる実験、自身の命の恩人夕陽リリの銃殺、2c3cの施設で得た唯一無二の親友デビデビデビルが廃棄処分された経験から、心が人間の道徳から決定的に乖離した存在となった。

そもそも戦争の兵器として開発されていたからか、その歪んだ心はより強い者と戦うことこそを快楽とし、身体ともにはや人とも思えぬ化け物へと堕ちていた。

 

そして2c3cの施設を破壊し、鈴原るるが初めてたどり着いた先はヘルエスタ王国であった。

 

そうアンジュカトリーナの親友、リゼ・ヘルエスタ第二皇女が王族として治める地であった。

 

鈴原るるが最初に行ったのは、ヘルエスタ城の乗り込みであった。

城になら王族を警護するため強者(つわもの)がいるだろうと考えたためである。

 

しかし、城は呆気(あっけ)なく蹂躙され、レッドカーペットが城内には(くま)なく敷かれた。

兵士の血と脳漿で。

 

無論、リゼヘルエスタも勇敢にその暴虐に、勇敢に立ち向かった。その足は酷く震えていたというのに。

 

しかし、相手は狂気の殺戮者鈴原るるである。

 

リゼが最後に聞いたのは、

「こんるるー」という柔らかな挨拶と、同時に首が断ち切られ血を噴き上げる音であった。

 

それはリゼの勇気が所詮ただの蛮勇でしかなかった事の証左でもあった。

 

アンジュカトリーナは激怒した。邪智暴虐、殺戮行脚、屍山血河の鈴原るる必ず打ち倒し、その仇をとらければと決意した。

 

アンジュには戦闘のイロハさえわからぬ。

アンジュは田舎の一錬金術師であった。

愉快にスローライフを楽しみ、気ままに研究を進め、界隈では名の知れた存在となった。

しかし、こと友情に関しては人一倍(あつ)い女であった。

 

故にこそ『鈴原るるエルエスタ王族全員弑殺(しいさつ)』知らせに悲しみ、怒り狂った。

 

感情のままに三日三晩走り続け、泥まみれになるのも厭わず、途中立てなくなっても赤子のように這いずりながらヘルエスタを目指した。

 

しかし、アンジュはもう二度とリゼヘルエスタの姿を見る事はできなかった。

彼女の遺体は既に焼かれ、その遺骨は立派な大理石のお墓に埋められていた。僅かに残った灰だけを小袋に入れ大事そうにしまった。

アンジュはそのお墓に大勢の人が縋るように集まり涙を流す事を、「リゼって皆んなから愛されていたんだな」と何処か他人事のよう考えた。

 

そして、死人のように体を引きずりながら家に引き返し、ようやく湧いてきた親友の死の実感がじわじわとアンジュの体を犯し、気づけばアンジュは三日三晩泣く事を辞められなかった。

 

全てを出しつしたアンジュカトリーナの(うち)には、復讐の炎だけが残った。

 

アンジュカトリーナには、リゼ以外にも竹馬の友があった。

戌亥とこである。

 

親しき人には、リゼヘルエスタ、アンジュカトリーナ、戌亥とこの3人合わせて『三馬鹿』などと呼ばれていた。

 

アンジュも、親しみを込めてリゼ、とこちゃんとあだ名で彼女らと呼び合った。

 

しかし、アンジュは残った三馬鹿の片割れ、戌亥にその悲しみも嘆きも苦しみも怒りも怨みも一切合切漏らす事は無かった。

 

なぜならアンジュは戌亥は結構ドライに見えて、それ以上に優しい事を知っていたからだ。

 

本当は何もかもぶちまけてしまいたかった。

でも、そしたら戌亥まで復讐に巻き込んでしまう。

その事がアンジュには容易(たやす)く想像されたからだ。

優しい戌亥にこんな血と呪いに(まみ)れた復讐に付き合わせたくなかったからだ。

 

アンジュは寂れた和風喫茶でメイド姿でコロコロ笑う戌亥が一番大好きだった。

 

こうしてアンジュは修羅の道へと一人堕ちていった。

 

寝る間も惜しみ、ひたすら禁書と呼ばれる魔術書を読み漁り、触媒を揃え、武器の腕を磨いた。 

 

慣れない武器の扱いはアンジュの柔肌をボロボロにしたが、アンジュは着実に『殺し』のスキルを身につけていった。

 

アンジュは殺しを極める傍ら、鈴原るるの追跡も行っていた。

鈴原るるの足取りを追う事は簡単だった。鈴原るるが通った街では大抵血の雨が降るからだ。

鈴原るるは自身の持つ美学からか、弱い人間を殺さなかった。

しかして彼女が強いと判断した人間、殺そうとしてきた人間には例え子供であろうと山賊であろうと、子を守らんと手にしていたフライパンを構える母親だろうと一切の容赦が無かった。

 

そしてそれは鈴原るるへ復讐を(たぎ)らせる人々を増やす事へと繋がっていた。

そして彼らは皆分かっていた。一人ではあの鈴原るるを殺すには足りない事を。

 

かくして、アンジュは仲間を得た。血生臭い絆で結ばれた友たちだ。

 

そしてその時はやってきた。

 

 

鈴原るるは笑っていた。

人をこんなにも殺した後だというのに。

 

鈴原るるは笑っていた。

その手は真っ赤に染まっているとえのに

 

鈴原るるは笑っていた。

これから殺し合いをするというのに。

 

 

「こんるるー」

 

 

それが全ての引き金となった。

鈴原るるは笑っていた。

 

弟子を失い、金の煌めきをも失った英雄(エクス・アルビオ)

 

最強という頂を目指すJK(樋口楓)

 

何よりも大切な少女を奪われた(葛葉)

 

理不尽な殺戮に喘いだ弱者達(武器をとった名も無き勇者)

 

何よりも唯一無二の親友を殺された錬金術師(アンジュカトリーナ)

 

必殺の武技を持って、その腕を、足を、頭を、鳩尾を、内臓を、

斬りつけ、殴り飛ばし、蹴り入れ、刺し穿ち、解体した。

 

それでも鈴原るるは笑っていた。それはそれは凄惨に、凄絶に、酷虐に。

 

戦いは熾烈を極めた。

鈴原るるを殺しに来た勇士たちも、一人一人と倒れ伏し今や立っているのは両手で事足りる程になっていた。よしんば戦えても、もう満身創痍だった。アンジュカトリーナにも、限界は近い。

 

しかし流石の鈴原るるも肩で息をしていた。傷を負いすぎたせいなのか、体の再生も鈍くなっているよだった。

 

「ふふ、楽しい!!こんなに強くなって帰ってくるなんて!!放生したかいがあったね!!」

 

鈴原るるはどこまでもこの殺し合いを楽しんでいるようだった。

気色満面狂気を浮かべ、鈴原るるは笑っている。

 

「もっと!もっともっともっと!」

 

「もっと私に見せてよ!!」

 

鈴原るるの目がクワリと狂気的に見開かれる。

刹那踏み込もとして、鈴原るるはふらついた。

身体の傷は再生しても、疲労までは癒せなのかもしれない。

 

アンジュは半ば反射で飛び出した。獲物のシャベルを突き出し突貫した。今しかないと思った。今を逃せばきっと先に自分がたおれる、そう予感した。

 

故にこその全力。残る力を振り絞った全身全霊乾坤一擲の一撃。心臓を抉り取る必殺の一撃。

 

「アハっ」

 

しかしそれは無情にも体勢を建て直し、体を(よじ)った鈴原るるの体を浅く傷つけただけだった。

 

そのままカウンターのように鈴原るるの悪魔の狂爪が、ざくりとアンジュカトリーナを貫いた。どう見ても助からぬ致命の一撃。

 

「ねぇ、痛い?」無邪気にそんな問いを発する鈴原るる。

鈴原るるはまだ笑っている。

 

「あっ、あ、ぁぁぁぁあああぁ!」

 

心臓をぶっ潰されてなを業火を思わせる気炎と共に、アンジュカトリーナな再び手に持つシャベルで鈴原るるに攻撃を仕掛けた。

 

優雅に回避しようとする鈴原るる。

鈴原るるの笑みが深まる。

 

腕がアンジュから抜けないのだ。

見れば、服の内ポケットからアンジュの血で真紅に色ずいた何かの灰が細いたおやかな(てのひら)となって鈴原るるの腕を掴んでいた。アンジュの本職は錬金術師。故にこその咄嗟のこの一手。

 

動揺は須臾(しゅゆ)、隙は一瞬にも満たない。

それでも、やっと引き寄せた黄金の時。絶好の機会。

 

「ぁぁぁぁあああぁぁ!!!」

 

言葉にもならない無窮の想いを込めて、アンジュカトリーナの突き出した最後の一閃が、鈴原るるの喉を穿(つらぬ)いた。

 

「アハッ!」

 

それでもなお、鈴原るるは笑っていた。

そしてアンジュの意識は暗転した。鈴原るるが自身の腕を引き抜き、内臓をぶちまけられる激痛とともに。

 

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アンジュカトリーナが再び目を覚ました時。

そこは真っ白な純白な空間で眼前には重厚な彫刻を施された漆黒の門が鎮座していた。

アンジュはすぐにそれを地獄の門と認めた。門上部から、考える人こと『詩人』が見下ろしていたからだ。

 

「そっか、私死んだのか、そっかー。」

 

受け止め難い、されど確かな現実をゆっくり咀嚼(そしゃく)するように、反芻(はんすう)する。

 

最私は鈴原るるの首を脊髄をへし折るぐらいスコップで切り裂いた。

でも、たとえ鈴原るるは首を跳ね飛ばしてたとしても死なないだろう。その程度でくたばるならとっくに駆逐されている。

私のやった事は無茶だった。無理だった。無謀だった。

でも無駄じゃないと思えた。なぜなら私はあの瞬間、どうせすぐに元通りになるとはいえ、確かに一矢報いたのだ。リゼの無念を晴らしたのだ。私の怒りが届いたのだ。その身に刻んだのだ。それで充分だと思った。

 

やり残したら事ばっかりだけど、ここはもうあの世。あとは野となれ山となれ。

 

そして私、アンジュカトリーナは地獄門に手をかけ---

 

 

「ンジュの大バカ!」

 

それよりめ先に扉があき、飛び出してきた何者かによって盛大に殴り飛ばされ無様に地を転がった。

 

「えっ…」

 

人は混乱すると、言葉が出てこなくなるらしい。

アンジュの前にいたのは、両目に涙をいっぱいにため、はぁはぁと肩で息をしている現世の友、戌亥とこ出会った。

 

アンジュカトリーナは今更ながらに思い出した。戌亥とこは、地獄の番犬、ケロベロスであるという事を。

 

「ンジュのバカ!アホ!ポンコツ!イケズ!」

彼女の激情はまだまだ収まっていなかった。

 

「何で言ってくれはんかったん!あたしそんなに頼りなかったん!信頼できんかったん!」

 

戌亥の拳が唸り続ける。言葉の弾丸と共に、アンジュカトリーナの頬に炸裂する。

 

「もっと教えてよ!素直になんでも!ンジュの思ってること全部!!

思うだけじゃ分からない、言葉にしてくれないと分からないよ!!」

 

「あたしら、友達やろ…」

 

戌亥の涙で潤んだ目がアンジュの視線と一直線にかち合う。

 

「ねぇ、ンジュ知ってる?初めてリゼとアンジュとあたしで遊んだととき、泣いたんだよ。解散したあと、こんなにも1人は寂しいのかって実感して。アンジュは酷いよ、あたしがこんな風になったのはアンジュ達のせいだよ。」

 

そして、戌亥はアンジュに泣き崩れる様に覆いかぶさり厚く、それは厚く抱擁した。

 

「ごめん、ごめんね戌亥。1人にして。」

 

目頭が自然と熱くなり、あえなく決壊する。

アンジュもひしと戌亥を抱きしめた。

それはもうあつく。

 

「でもね、戌亥。私もう行くよ。永遠にこのままじゃいられない。進まなくちゃ、その先が地獄でも。」

 

後から後から、ポロリポロリと零れる涙を必死に抑えながら戌亥が言葉を紡ぐ。

 

「うん、わかってる。...わかってる。」

 

涙を今一度拭い、しっかりと息を吸う。そこにはいつ通り戌亥がいた。

 

「ほな、ちゃんとしてきいや!」

 

優しくアンジュの背中をおす。

 

「うん、戌亥ありがとい。また今度。」

 

「うん、行ってらっしゃい。」

 

そして、アンジュカトリーナは地獄の門を潜る。

勢いよく閉じた扉。

刹那、「ああリゼそんな…」という言葉だけをポツリと門が拾い落として言った。

 

そして、輪廻は廻る。

 

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この街には、噂の喫茶店がある。

なんでもとっても可愛い犬耳メイドさんが一人で経営しているんだとか。

 

香取杏樹(かとり アンジュ)はどんだけ属性過多なんだよと内心ツッコミながら、偶然見つけたその幻の喫茶店に入るか入らないかでかれこれ10分以上店の前でソワソワしていた。

 

「オタクが一人で初見の店に突っ込んで行くのはキツイ!」

 

紛れもない杏樹の本音であった。

 

「あの」

 

「ッ!!(ビクッ)あっ、はい、なんでしょう、あの別に決して怪しいものでは無いんですただ単純にこの店に入っていいのか悩んでいるだけで」

 

 

「えっ、ぇぇえ。(ビクッ!)待っ、待って落ち着いてそんな事言ってないし思ってもいないし…」

 

沈黙。お互いに少し恥ずかしくなってしまって下を向いた。

 

「あっ、あのどうせなら一緒に入りませんか?あっ、ほら赤信号も皆で渡れば怖くないとか言いますし、あっ私香取杏樹って言います。」

 

「そっ、それは是非。私は静岡莉世(しずおか りぜ)。よろしく」

 

「あの、こちらこそ。」

 

沈黙。またお互い下をむく。相手をちらりと見ると、相手もこちらをチラリとみていた。目と目があった。それがなんか恥ずかしくなってお互い下を向く。それがおかしくて、なんだか2人とも自然に笑った。

 

幻の和風喫茶『カフェ三馬鹿』に足を踏み入れる。

本当に犬耳としっぽをつけた美人なメイドがカウンターで微笑んでいた。私たちは何故か自然と頬が緩んだ。

私たちを見て、少し驚いたようだったがこう一言。

 

「いらっしゃい、ゆっくりしていってね。」

 

心底安心するような優しい声だった。




リゼとアンジュが先に死んで、
「なんであたしを置いていくのっ!!」って地獄で泣きやがら説教する戌亥と泣いて謝るリゼアンが見たかっただけなんや!なんでこうなった。

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