麦わらの一味殲滅RTA〜夢を閉ざす者〜 作:敗北者
うまぴょいから逃げるな。
拳を交えればわかりあえるRTA、はぁじまぁるよー
前回、シアパイセンという新たな仲間を加え入れたホモちゃん。
これから、半年後までひたすら学校で勉強と訓練に勤しみ、パイセンと一緒に強くなっていく予定です。
というわけで……キングクリムゾン!!
はい、半年経ちましたね。
この半年間でホモちゃんとパイセンは二人とも【幼女】の段階で成長できる限界値、成長限界まで到達しました。
それに加えていくつかのスキルを獲得し、弱冠7歳で独自の流派すら生み出してみせたホモちゃんは海軍学校始まって以来の天才ともてはやされています。しかし、真面目でストイックなホモちゃんはそんな周囲の評価などなんのその。自惚れることは一切なく、今日までひたすらに体を鍛え、剣を研いできました。
決してコミュ障だから、もてはやされてもどうしていいかわからず、トレーニングに逃げているわけではありません。いいね?
ホモちゃんと一緒にトレーニングに励むパイセンの方の育成も順調で、その恵まれた素質値を遺憾なく発揮しかなり強くなっています。今ではホモちゃんと揃って、海兵として将来を嘱望される期待株の二人組として大いに注目されています。
どれくらい注目されているのかというと、海軍元帥であるセンゴクが海軍学校に視察に来るほどです。もっともそれは建前で、親友であり戦友であるガープの孫娘を一目見たかったというのが一番の理由だと思いますが。
パイセンは突如現れた海軍のトップにらしくもなくテンパっていましたが、コミュ障陰キャなくせに謎に肝が座っているホモちゃんは、いっそ無礼なほどにいつも通りの無口と素っ気なさでした。(海軍元帥にそれは)まずいですよ!
そんな二人組は今ではとても仲良くなっており、シアパイセンに対する関係は【シア・ユーリア/親友/好】になりました。
無口でコミュ障で陰の者なホモちゃんがたった半年でここまで仲良くなれたのは、ひとえにパイセンの人柄ですね。
すげぇよ、シアは。
「ホムラ、シア。しばらく帰ってはこれないが、準備は大丈夫か?」
「……ん」
「はーい!」
ホモちゃんはガープの休暇に合わせて、半年ぶりにフーシャ村に帰郷することになりました。パイセンもどうやら付いて来るようです。パイセンは境遇としてはホモちゃんと似ていて、海軍本部将校の父親に憧れて故郷を離れてマリンフォードに勉強に来ているらしいです。この歳で偉いですね。
「よし、それじゃあ行くぞ」
しゅっこ〜! ヨーソロー!
さて、フーシャ村に着くまで倍速で飛ばしている間に、なぜフーシャ村に帰るのかの理由を説明しておきましょう。
それは今回の帰郷で、とある目的を果たすためです。
覚えていますでしょうか。記念すべき私の最初のガバ。
まだ何も悪いことをしていなかったのに、ゲーム開始と同時に背負わされた†咎†。
ルフィと兄妹になってしまうというガバです。
しばし遅れをとりましたが、今や巻き返しの時です。
うすうす察している方もいらっしゃるかと思いますが、この後コルボ山でエースとついでにサボに会う予定です。
ガバのリカバリーのために、エースと良好な関係を築く必要があるのです。なぜそういう話になるのかというのは、おいおい語るとして、まずはどうやってエースと仲良くなればいいのかというのが問題です。
なぜなら、ホモちゃんは無口のコミュ障。フーシャ村での滞在期間はせいぜい10日もあれば良いという程度。この短期間でコミュニケーション能力に永続デバフを受けているホモちゃんが、全く知らない人間と仲良くなれるわけがありません。
その上、この時期のエースはまるで狂犬のように誰彼構わず噛み付き、なかなか他人を信用することのないめんどくさい困ったちゃんです。
誰とでも仲良くなれるルフィですら、仲良くなるのにあれだけ苦労したのです。いくら義兄弟の盃を交わしたルフィの妹とはいえ、正攻法で挑んでホモちゃんが仲良くなれる可能性は万に一つもありません。それに加えて、ホモちゃんは海兵志望。万に一つどころか、億に一つです。
ですが、走者には策があります。問題ありません。
「ホムラ! おかえり!」
「……! ただいま……!
フーシャ村に着くと、マキノ姉貴が満面の笑みでホモちゃんを抱きしめてくれます。
でかい! 説明不要ッ!
ホモちゃんもぴったりとマキノ姉貴ひっついて、とても嬉しそうにしています。
その後、パイセンの紹介をしつつ少し話をして、今夜帰って来てマキノ姉貴の家に泊まるのを約束してから、ルフィに会いにコルボ山に行くというガープに着いていきます。
なぜか山賊をやっている聖人ことダダン姉貴……姉貴? おば……
おばさんだと!? ふざけんじゃねぇよお前! お姉さんだろぉ!?
「ホムラ! 久しぶりだな!」
ニコニコ笑顔で迎えてくれるルフィ。そして、ダダンの家の隅から警戒するようにこちらを伺うのがクソガキどもこと、エースとサボですね。
ガープとダダンが話している間に、ルフィは「義兄弟を紹介するよ!」とホモちゃんと自己紹介を済ませたシアパイセンを引き連れてエース達の下に案内してくれます。
「義兄弟って、何?」
「一緒に盃を交わすんだ! そしたら、血は繋がってなくても義兄弟になれるんだよ!」
「なるほど……?」
「仲良しなんだね! いいなー!」
「ししし! だろ!」
「シアたちもその〝さかずき〟……? とかいうのやろうよ! ホムラちゃんと義兄弟になりたい!」
「……わたしとシアなら、義兄弟じゃなくて義姉妹だと思う」
「やろー! やろー!」
「……まぁ、いいけど」
「やったー!!」
「なら、あとでダダンの酒
「ありがと! ルフィくん!」
ルフィに義兄弟の契りのことを聞いて、ホモちゃんとそれをしたくて仕方なくなってきたシアパイセンと、頬を染めて照れながらも素っ気なく許可を出すホモちゃん。微笑ましいですね。
ところで、ルフィ。その発言を聞いたダダンがものすごい形相で睨んできてるが、ええんか?
それにしても、パイセン。出会って数秒でルフィとめっちゃ仲良くなってますね。これが陽キャか。ルフィも陽の者なので、陽と陽で引かれあっているのでしょうね。
陽キャはスタンド使いか何かかな?
そんな風に和やかに話している三人ですが、エースたちは全く警戒を解く様子はありませんね。ルフィと仲良くしている様子を見せれば多少は警戒を解くかと思いましたが、手強い相手です。
ですが、ご安心を。走者の策は無敵です。走者の華麗なるクソガキ懐柔策。それをとくとご覧に入れてやりましょう!
おらぁ! 見たけりゃ見せてやるよ!
「……ん」
「あ? なんだこれは?」
「……お煎餅」
意外! それは餌付け!
食い意地の張ったこの歳のガキなどこれでイチコロやで!
「ちっ……いらねぇ」
パシッ(エースがホモちゃんの渡そうとした煎餅の袋をはじく音)
「……」
……あったまきた……(冷静) さてはお前、死にたいらしいな?
ホモちゃんがお前と仲良くしたいと思って、少ないお小遣い握りしめながら買ってきた煎餅(特盛り・1000ベリー)やぞ! この犯罪者予備軍がよぉ……!
ドゴォ! (腹パンの音)
「ぐあっ!!」
「「エースッ!!!!」」
この手に限る。
ホモちゃんに殴られたエースが冗談みたいに吹っ飛んで壁に激突しました。それを追って駆け寄るルフィとサボ。パイセンは「あちゃー」みたいな顔してます。
せっかくコミュ障陰キャのホモちゃんが、ガープの孫(義)だからってことで頑張って自分から進んで歩み寄ってやったってのに……このクソガキがよお。
ですが、ご安心ください。もちろん計画通りです。
まず、お菓子をあげることで懐柔する買収策。それが叶えばヨシ。もし叶わなかったら実力行使するのでヨシ。元々二重の策です。
古来より、殴り合いは友情を育むものとして代表的な手段の一つです(走者調べ)。
喧嘩友達とか、喧嘩ップルとか、古事記にもそう書いてありますし、なんなら日本書紀にも書いてあります。聖書はどうでしたかね。でもきっと書いてあるでしょう(適当)。
これが走者の策の全てです。あまりにも完璧で我ながら惚れ惚れしますね。
やはり暴力はすべてを解決する。(至言)
「いってェ……」
よろよろと起き上がるエース。
「……ふっ」
挑発するように鼻で笑うホモちゃん。普段大人びたホモちゃんがこれは、相当おかんむりですね。なけなしのお小遣いは子どもにとって安くないんや!
「ッ! テメェ……!!」
エースが飛びかかってきますが、ホモちゃんは軽くいなします。【少年】である上に素質値もバカ高いエースには【幼女】のホモちゃんでは、膂力では敵いません。しかし、戦闘技術に関しては【技10】で且つ学校できちんと学んできたホモちゃんと、そこら辺のゴロツキと大差ないエースでは雲泥の差。
エースの攻撃を軽々と避け、いなし、隙を見つけては的確に殴り返していきます。エースの態度にムカついて思わず殴っちゃったホモちゃんですが、それでも〈
貴様……命拾いしたな……
ちなみに、ホモちゃんの煎餅は巻き込まれないようにシアパイセンがちゃっかり回収していました。えらい。
「がぁっ!」
再び吹き飛ぶエース。
「エースッ! この!」
「サボまで! やめろお前ら!」
ボコボコにされるエースを見て、乱入するサボ。
ちょうどいい。エースだけじゃモノ足りねえと思ってたんだ。まとめてかかってきやがれ。相手になってやる。
ルフィはさすがに妹と殴り合いなんかしたくないようで、必死に止めようとしています。
パイセンは困った顔をしながらも完全に観戦モード。ついでにガープとダダンと愉快な仲間たちも観戦モード。ガープなんて煎餅を食べながら「やれ!」だの「そこだ!」だの囃し立て始めました。お前、一応ホモちゃんとエースの祖父(養祖父)だけどええんか……?
「シア、ダダン、お前らも食うか?」
終いにはなんか煎餅を勧め出しました。それ、ホモちゃんのなんだけど……
1対2になって、さすがにホモちゃんも苦戦しています。自分より身体能力がかなり高い相手が二人。いくらホモちゃんの戦闘技術が高くとも、力も体力も速さも劣るホモちゃんではなかなか厳しい戦いです。
しかし、多少苦戦するからなんだ。
退かぬ!! 媚びぬ!! 省みぬ!!
ホモちゃんに敗北も逃走もないのだ!!
その後、なんやかんやあって決着。結局勝ったのはホモちゃんですが、体力を切らして立ちながら肩で息をしていますし、何発かもらったのか痛そうにしています。
なお、エースとサボは無様に転がっています。戦場では勝者は常に一人……!!
ともあれ、ヨシ! これでホモちゃんとエースは仲良しだな!
ん? あれ……? 【ポートガス・D・エース/敵/嫌】……?
……
…………
………………
ガバったーー!!!!
やべーやべー! どうしよう!
殴り合いで友情が芽生えるんじゃねえのかよ!
古事記も日本書紀もデタラメ書きやがって……!!
まともに考えれば喧嘩で友情が生まれるわけねーんだよ! アホかお前はさぁ!!
これから、意中の相手や仲良くなりたいクラスメイトに、仲良くなる手段として喧嘩を吹っかけようとしている兄貴姉貴たちは気をつけてください。今回得た教訓は、喧嘩じゃ友情は生まれないということです。これでまたかしこくなりましたね。
あー……にしても、どうするかなぁ……これ。
またチャート組み直しかよ。はあ……つっかえ。
まじくそー(コントローラー投げ捨てる)もう二度とやらんわこんなクソゲー。
……
…………
………………
ッス(コントローラー構える音)
まぁ、起きちゃったもんはしょうがない。切り替えていけ。
まだ諦めるような段階ではありませんし、ここから巻き返しを……?
……ん? 【ポートガス・D・エース/友達/良】……? 【サボ/友達/良】……?
ファッ!? コントローラー投げ捨ててる間に何が起きた!?
えっと、ログを見た感じ、シアパイセンが喧嘩をした三人を取り成したみたいですね。それから会話を回して、上手いこと三人の間に入る形で話題を提供しつつ潤滑剤のように働いたみたいです。
シアパイセンの手のひらの上で踊ってるとも知らず、三人はお互いにいろいろと話します。ホモちゃんが二人を強かったと褒めると、エースたちはホモちゃんの卓越した戦闘技術を褒めて、と。
そんなことをしていたら友達になっていたみたいです。
…………シアパイセン……人間の鑑か……? おそろしい
すげえよ、シアは。(本日二度目)
やっぱり持つべきものは、古事記や日本書紀じゃなくて優秀な仲間やで!
ガバれども リカバリすれば ガバあらず(詠み人知らず)
ガバはなかった。いいね?
まぁなんやかんやありましたが、そんな感じで目標を無事達成したので、ヨシ!(現場猫)
この後、パイセンに捧げる感謝の正拳突きをしに逝ってきます。
アリーヴェデルチ! (さよならだ)