柱島泊地備忘録   作:まちた

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※ごちゃ混ぜになってしまいかねないので、あきつ丸の地の文での一人称は『私』となっております。


二十四話 作戦決行②【艦娘side・あきつ丸】

『ほ、ほら、部屋の前についたぞ! ここで合ってるよな? だよな?』

 

『は、い……ひっく……ぐすっ……』

 

『あー……今日はゆっくり寝て、明日もゆっくり過ごしてくれ。泣き疲れただろう』

 

『じっ自分は任務を遂行できる艦娘であります! 何卒、少佐殿のおそばにっ……!』

 

『無理に仕事をさせるつもりは無い。遠征も他の艦娘に頼んであるから、今は休んでく――』

 

『自分は……やはり、少佐殿のお役には立てないので、ありましょうか』

 

『えぇっ……!? そんな事は無い! お前がお前である限り、十分に私の役に立っているとも! ほ、ほら、講堂でも話しただろう。お前たち艦娘は私の心を支えてくれた唯一の存在であると』

 

 私は、少佐が大淀や長門を部屋に送った後の、最後の艦娘だった。

 自らを守るのに必死だった私が数年にわたって学んだ術は〝良い意味で〟ことごとく通じず、大淀の力で少佐の気持ちを知り、最後には心が折れた。

 

 否、正しくは――溶かされた。

 

『元帥殿の連絡先を渡さなかったからでありますか!? な、ならばこれを……っ』

 

 ポケットからメモの切れ端を取り出して渡そうとすると、少佐は手からメモを取って、私のポケットへ押し込んだ。

 

『いい、いいから! あきつ丸……私の配慮が足りなかった。本当にすまない。それはお前の心の支えだったのだろう? 少し考えたら分かることを、私は自分のことで必死になって、お前を傷つけてしまった。私が井之上さんに連絡を取りたくなったらお前を頼ればいいだけの話だ。井之上さんも何かあればあきつ丸を通すと良いと言っていた』

 

『そ、んな……自分は、やはり……お役に立てない、艦娘なので、ありましょうか……』

 

 私は少佐の手を煩わせるだけでなく、ただの我儘を通して少佐を動きづらくさせてしまったのに気づいた。

 元帥閣下の個人的な連絡先は軍事的に言えば最高機密だろう。それを知ろうとする行為は軍事的犯罪と断じられてもおかしくはない。

 

 だが、少佐は私に『お前から心の支えを奪い、傷つけようとしてしまった』と言う。犯罪だからでもなく、命令だからでもなく、私を慮って、私を想って。

 それに気づけたのは、やはり大淀と長門のやり取りがあったが故であるものの、私は浅慮ながら――齢を十と少し過ぎたばかりの身体の内に脈打つ心臓が、ぎゅうっと痛くなるほどに嬉しかった。

 

《陸軍から来た艦娘だと? まるゆのようなモグラでも送ってきたのか、陸の奴らは……。ここにお前の仕事は無い。自分の飯は自分で賄え役立たずめ》

《まっ、まるゆも自分も立派な艦娘であります! 自分は、よいですから……どうか、まるゆだけでもお役に立てていただきたい!》

《っち、無駄金を使わせる気か。しかし、いいだろう。まるゆは多少なりとも資材の運搬に役立ちそうだ。お前は別の鎮守府で別の仕事を探せ》

 

 仲間を守ったつもりになっていたあの頃の私が胸に抱いた安堵と、少佐の手がもたらした安堵は全くの別物で――

 

《お言葉ですが、元帥閣下。砲撃戦の能力も低く、戦闘用航空機の運用さえままならない……どうしてこのような艦が顕現したのかさっぱりです。現在の戦況を見ても、前線に置けど後方に置けど資材を食い潰すだけかと》

 

 どこからも必要とされなかった。

 

《しかしあきつ丸という艦娘は我が日本を守った栄誉ある艦だ。ワシが預かる》

 

 あのお方だけが、然る日の戦争から目覚めた私を傍に置くと言ってくれた。

 そうして、今の日本を教え、戦っている相手を教え、目覚めたのは国や人、自分のために意味があるのだと言ってくれた。だから、それに縋った。

 意味があるのならば、私に、存在する理由があるのならばと。

 

 私が存在する理由など、漠然としていて理解も出来ていないのに、元帥閣下が孫娘に握らせるかのようにして渡した連絡先にそれを見いだしたつもりになっていた。

 

《心配ごとは消えん。もう何十年と生きているワシが悩んでおるのだから、あきつ丸が悩まんはずがない。それでいい……だが、もしもその不安や悩みでどうしようもなくなった時、ワシの下へいつでも来い。人の汚いところばかりで嫌になっているかもしれんが、そんな人ばかりでは無いとも、知ってほしい》

 

 それから、元帥閣下のお力添えで陸軍に戻り、憲兵隊の一員として〝艦娘反対派〟とやらの調査に協力することとなった。

 だが私が見たのは結局、人と人が理由をつけて争っているところだけで、艦娘反対派というのも艦娘という存在の是非を問うように見せかけた権力争いだった。

 呉の山元大佐をはじめとした艦娘反対派は、艦娘の脅威を理由に街を取り込み、市民を従えてあらゆる権利を手にした。今や市長さえも逆らえない存在となっていることも知っているが、ならば降ろせとも言えない。そうすれば、街を、人を守れない。

 私はその現実を知り……絶望を知り、逃げ出した。

 

 元帥閣下は、少佐に似ている。

 艦娘反対派から街を守れないのならばと、過去の戦争で戦った艦娘を守ることを優先し、傷ついた艦娘たちを集めて柱島へと送った。滅びを待つだけとなるも、余生をほんの少しでも穏やかに過ごせるようにと。

 

 少佐は、元帥閣下に似ている。

 私はお前たちに支えられた。運命を変えようと前を向いて戦う姿は、勇気をくれた。お前たちがいたからこそ、自分はどん底にいても頑張れた。そう仰った少佐は戦うことを諦めているようで――諦めてはいない。春に芽吹くのを待つ桜のつぼみが如く、じっと耐え、堪え、咲きほこれる日を待っておられる。この国は、艦娘は、自分たちは、終わってなどいないのだと。

 

 それに、少佐は誰よりも軍人らしく、軍人らしくない。

 

 命の危機にさらされても眉をぴくりとも動かさないであろうと窺わせるどっしりとした構えに、やると決めればいかな年月がかかろうとも完遂するまで絶対にあきらめない不屈の精神。

 かと思えば、女っ気にとことん弱く、女子がぽろりと一粒の涙でも零そうものならば軍人らしい雰囲気はガラリと崩れ去り、清く初々しい仕草で慌てふためく。

 

 ああ、まさに、このお方は私がかの戦争で見た軍人たちの血筋だと確信する。

 

 故に、役に立てない自分がもどかしく、考えを持ってしまった身体が煩わしく、混乱してしまう。

 それを少佐は――

 

『役に立たないなど言うな! お前は自分をなんだと思っている!』

 

 ――思考の螺旋に陥った私の両肩を強く掴んだ少佐は、まっすぐに目を見た。

 

『特種船丙型揚陸艦……現代で言う強襲揚陸艦――お前がいれば一千人の兵を運ぶことが可能だったと記憶している』

 

『少佐、殿……?』

 

『一千人だぞ? 一千人。一個大隊だ! 一騎当千を体現する艦娘とは、素晴らしいじゃないか! 海で戦う事も出来て、上陸作戦においては先駆的な能力を持つお前が役に立たないなど笑止千万だ! プレイヤーならば……あー……私の同僚たちならば、きっと同じことを言う!』

 

 プレイヤーとは、競技者、などという意味だったか……?

 海軍は英語を良く学んでいたとうっすら記憶にあるが、やはり根っからの……と考えている間にも、少佐は私に熱く語った。

 

『カ号観測機はお前の装備だったろう? それを用いて、対潜哨戒や偵察をも行える。万能さを語ればどの艦娘とて有能も有能なのだ。比べて私を見てみろ。茶を入れるのに時間はかかるわ、井之上さんの連絡先を聞き忘れてしまうわ、仕事においても至るところでボロが出る。あきつ丸――お前は凄い艦娘なのだ。なにものにも代えがたい、唯一の存在なのだ。例え幾人ものあきつ丸が並んでいたとしても、私はお前を選ぶだろう。だから、決して自分を侮るな』

 

『……』

 

『お前が過去に所属していた陸軍船舶部隊……その秘匿名を、お前は覚えているか?』

 

 全身が粟立った。

 何故、少佐が知っているのですか?

 何故、私に向かってそれを今、言うのですか?

 

 あなたは――どうして、私を――必要とするのですか――?

 

『暁部隊……あきつ丸。お前は柱島鎮守府に絶対に必要な艦娘だ。大淀だって長門だって必要だ。我が鎮守府に不必要な艦娘など一人とて存在せん。お前も、暁部隊の名の通り、日の目に勝利を刻むためにここにいるのだ』

 

『その、名は…………ぁ、あ……少佐、どのっ……』

 

 私は自室の扉の前に崩れ落ち、抑圧に抑圧を重ねていた感情が爆ぜたのを感じた。

 人生……いや、艦生において初めて、大きな声を上げて泣いてしまったのである。

 

『アイェェッ!? あ、あきつ丸、い、いい今は夜だししし静かに! マテ! ごめん! いや本当にすまなかった! 説教するつもりなどほんっとうに無かったのだ! な、泣くな! あぁぁああマテ! 待て待て待て! あー!』

 

 少佐は軍服の袖で私の目元を何度も優しく拭い、涙を周りに見せないようにか、胸に抱きしめ、背をぽんぽん、と撫でてくれたのだった。

 誰も寮の部屋から出てこなかったのは、きっと……いや、それはいいだろう。野暮というものだ。ありがたく思っておくことにする。

 

 

 私が泣き止んだのは、それから十数分と経った頃だった。

 少佐は私に『仕事が無いのが嫌なのか?』と問うた。もちろん、艦娘として仕事が無いというのは不安になるが、嫌というほどじゃない。

 私が嫌なのは、あなたのお役に立てないことなのですと伝えると、少佐は困った顔で、黙り込んでしまう。

 

 じりじりと火で焙られるような不安の中、少佐は重々しく口を開いた。

 

『ならば、あきつ丸。お前に一つ任務を与える』

 

『……! 何なりと――』

 

『しっ。これは極秘の任務となる。本来ならば私が担うべきだが……お前がそこまで言うのだ。私はお前を信じたい』

 

 口を塞がれて驚いたが、極秘という言葉に表情を硬くした。

 

『明日の呉鎮守府訪問に際して、大淀と長門を連れて私は鎮守府を出る。その間、この鎮守府の指令系統は龍驤を中心に空母や重巡に任せるつもりだ。駆逐艦も多い故に、連携は極めて重要になるだろうからな。あきつ丸には、別動隊として任務を与えたい』

 

 秘匿名である暁部隊の話をした後に、 別動隊としての極秘任務――。

 瞬間的に、私の脳はトップギアとなって思考を巡らせた。

 

『一人で任務をこなすのが困難であると判断するなら、随伴艦を一人つけてもいい。そこはお前に裁量を与えるから、自由に選べ。いいな?』

 

『はっ……! それで、少佐殿、自分は何を……』

 

 具体的な指令を求めようとした私の前で、少佐は苦笑いしながら言った。

 

『明日は呉の提督に失態を責められるかもしれんから、私もいっぱいいっぱいになるだろう。そういう時、別にしっかりと動ける者がいれば安心も出来るというものだ』

 

 私の元々の所属を、少佐が知らないはずは無い。

 陸軍所属の憲兵隊であることを――

 

『あきつ丸のような者なら、私のこともしっかりと〝見てくれる〟だろうしな』

 

 海軍ならば〝海軍特別警察隊〟――通称、特警隊が憲兵隊と同じ役割を持っているはずだが、特警が活発に動いている様子は見受けられない。

 もしもきちんと機能しているのならば、私以外にも傷ついた艦娘がごまんといる状況を見逃すはずがない……――そういう、ことか……ッ!

 

 トップギアで回転していた思考が、限界を超えて加速する。

 少佐の一挙手一投足、全てのお言葉が線を引き、意味を持つ。

 

『……正式な、任務でありましょうか』

 

『えっ? あ、そー……うだな。うむ。書類などでまとめるようなものでは、無いが……』

 

 熱を持った目元を拭い、軍帽を被りなおす私は、ふ、と笑った。

 当たり前じゃないか。発足したと書類に残せば、それは弱みになる。だからこそ何もない状態でいい。

 その上で、鎮守府の頂点である少佐が正式な任務だと口になさったのだから、一切問題は無い。

 

『名称は、どのようになさいましょう』

 

 問えば、少佐はうーん、と唸りながら「名称!? ネーミングセンスが無いのでなぁ……」と言って「艦娘保全委員会……いや委員って、学生じゃあるまいしな……」などと洩らす。

 

 保全――保護し、安全を確保する事。そんな重要な任務に、私を……!

 

『では、僭越ながら自分が名称を考えておきます。後のことは自分に任せていただければ』

 

『……うむ。頼もしい限りだ。頼むぞ、あきつ丸』

 

 少佐は目元を真っ赤にした私を心配そうに見つめていたが、そう言って立ち上がり、足早に寮を去って行った。

 

 

* * *

 

 

 翌朝、マルゴーマルマル。

 鎮守府内のいたるところにあるスピーカーから鳴る起床ラッパの音に跳ね起きる。

 脱ぎ散らかした制服をさっと着て、さして色味の無い部屋をぐるりと見まわし、呟いた。

 

「……今日から本当の意味で、ここが、この場所こそが、帰る地でありますな」

 

 まだ、胸が熱い。

 目元に残る熱も冷めやらぬままに、私は部屋を出て〝随伴艦〟となりうる艦娘のいる部屋へと向かう。

 

 

 私がやってきたのは、軽巡寮――川内型軽巡洋艦の部屋の前である。

 元帥付の艦娘であった故、元陸軍所属とは言え軍の規律維持のために動いていた経歴を持つ私に知らぬ艦はいないと言っていい。

 この部屋の主である軽巡洋艦川内の過去も、知っている。

 

「……おはようございます。あきつ丸であります」

 

 扉を叩けば、中から「開いてる」と短い返答。

 そのまま開いて入室すると、既に制服をまとった川内が一人でベッドに腰かけ、腕を組んだまま顔をこちらに向けていた。

 

「おや、同室の方はいらっしゃらないのでありますか」

 

「先に食堂に行かせたよ。それで、あきつ丸は何をしにきたの?」

 

「少佐殿より任務を受けました。随伴艦を選定する裁量も」

 

「へぇ、それで?」

 

「少佐殿は本日、呉鎮守府へ訪問へ向かわれます。自分はその前に広島へ入港し、呉鎮守府が少佐を責める《失態》を探さねばなりません」

 

「……はい、ダメ。全然ダメ。何? あきつ丸はもしかして、私のことを信用して任務のことを話したの? がっかりだよ」

 

「えっ、あ、の……」

 

 川内は大きなため息を吐き出して腕を解き、私を見て数秒、首を横に振った。

 それから、自らの横を叩いて示し、座るよう顎をしゃくった。

 

「失礼、します」

 

「ごめん、ちょっと嫌な奴だったね」

 

「いえ、自分も突然、ペラペラと……」

 

「ううん。あと私、ちょっと嘘ついた。嬉しかったよ、あきつ丸があっさり話してくれたこと」

 

「と、言いますのは……――」

 

「昨日さ、寮で大泣きしてたでしょ」

 

「う゛っ……それは……!」

 

 顔に熱が集まるのを感じた私は、軍帽のつばを指に引っ掛け、深く下げる。

 

「っへへへ。いーのいーの。本当にたまたま、散歩してたら聞いちゃってさ。それに、大淀からの通信も聞いたし」

 

「大淀殿の通信……って、昨日の少佐殿と元帥閣下の――!」

 

「そ。だから、私もあきつ丸と一緒。信じてみようかなって」

 

「……」

 

 私が川内を知っているように、川内は私を知っている。陸軍だった私が知らないことも、川内ならばより多く知っているかもしれないという考えが濃くなった。

 その時、

 

「知ってるんでしょ。私が前の鎮守府で提督に使われて色んな所から〝抜いてた〟の」

 

 川内が笑いながら言った。

 彼女は――前の鎮守府の提督に、権力争いの道具として使われていた過去を持つ。

 あらゆる鎮守府の情報を握り、その全てが平和のために必要なのだと信じて前提督に提供していたらしい。しかし、現実は違った。

 

 前提督はそれをもとに周囲の軍事関係者に圧力をかけ、自らの地位を築いていったらしいのだ。それもかなりの数が取り込まれてしまい、その鎮守府が欠けてしまえば戦況が傾いてしまう程に大きくなってしまった。

 

 それこそが――艦娘反対派の前身である。

 

 海軍は現在、艦娘反対派と擁護派というものに二分されており、私を方々にたらいまわしにした陸軍の一部さえ反対派である。

 反対派の言い分は要約すると《平和とは自らが勝ち取るものであり、深海棲艦と似た存在である艦娘は人類にとって害悪であり、脅威でしかない》というもの。確かに私たち艦娘は戦艦などの魂が人の身体に宿ったという異形の部類であるかもしれないが、人類を害す気など無く、その逆だ。

 しかし反対派は頑なに艦娘を拒み、されど深海棲艦という存在に対抗しうる唯一の存在であるから捨ておくこともできず、歪みに歪んだ結果が、私利私欲の満たす道具としての使い道。

 

 言葉巧みに操られる艦娘は数多いとも聞く。

 川内は、そのうちの一人だったのだ。

 

「……提督なら、いいのかな」

 

 ぎし、とベッドを軋ませて私の横に身を投げ出す川内。

 

「自分は――」

 

 私は……私なら、どうだろうか。自問する。

 川内の情報を掴む技術を欲して随伴艦にしようと考えたことを口に出してはいなかったが、彼女はそれをすぐに見抜き……否、昨日の時点で何もかも察して、待っていたのかもしれない。私の答えを聞くために。

 

「――少佐殿になら、この身、この魂、捧げましょう」

 

 そういうと、川内は仰向けの状態で私に視線をやり、口角を上げた。

 

「それ、提督に直接言ったら?」

 

「なっ……! 川内殿、それは――!」

 

「っふふふふ、あはは! ごめんごめん、冗談! ふふ……でも、あきつ丸と一緒だよ、私も。でさ、でさ! 提督にご褒美は何をお願いする!?」

 

「せ、川内殿、落ち着いてください、少佐殿に褒美をねだるなど……っ」

 

「えー? いいじゃんべつにぃ……あっ、そうだ。夜戦演習を組んでもらうとかどう? 私さぁ、艦娘らしくドカーン! って夜戦で暴れたこと少なくてさぁ……他の鎮守府にいる私は、そういうの多いらしいけどさぁ」

 

「……っふ、ふふ……で、ありますか。では自分も、カ号観測機の開発でもお願いしてみましょうか」

 

「お、いいじゃーん! いいよねぇ、そういうの。私好きだなぁー!」

 

 艦娘らしい会話、とでも言えば良いのだろうか。

 とても心地よかった。

 

「では、少佐殿に褒美をもらえるように、随伴艦をお願いできますかな。川内殿」

 

「……ん。隠し事をしなかった正直なあきつ丸に免じて、この川内が力を貸してしんぜよう……なんてね」

 

「心強い限りであります。さて、目的は単純でありまして……」

 

「あー、呉鎮守府の摘発でしょ? いや、粗捜し……でも無いか。うーん……? 問題になるものを抜くにしても、物証がいるだろうし……」

 

「おや、川内殿。強気に出た割には遠慮がちでありますなぁ。海軍は妙なところで紳士淑女ぶる」

 

「な、なにをー!?」

 

「潜入に長けた川内殿に、自分がいれば問題無いでありますよ。必要ならば〝全部抜いてしまえばいい〟のであります」

 

「ぅおぉっ……あ、あきつ丸、本気……? それ、襲うようなもんじゃ……」

 

「っくく、なにも傷つけに行くわけではありません。それに、これでも自分

 

 

 

 

 ――強襲揚陸艦、でありますから」

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