魔王織田信長とアインズ様の異世界転移 作:アルトリア・ブラック(Main)
ノッブの性格が日に日にカルマ値マイナスに振り切り始めてる…まぁ、【怨霊】かつ【殺戮者・織田信長】であるのをお忘れなく。
ーリ・エスティーゼ王国・宮殿ー
王国にて帝国から送られてきた宣戦布告の内容を読む者の言葉を玉座に座る王・ランポッサ三世とその近くで不動の姿勢を保つガセフは黙って聞いていた。
そして、集まった多くの貴族の中に六大貴族の姿を見つけ、軽く目を見開く
(…全員が揃うとは珍しい…)
王に次ぐ領土を持つ六家の当主達は、軍事力、財力などの分野の中で一つぐらいは王の力を超えるだけのものを持っている。
そのために王の招集に対してなんのかんのと言い訳をしては欠席する者が多かった。
「『バハルス帝国は大魔法詠唱者アインズ・ウール・ゴウン魔導王率いるナザリックなる組織を国として認め、国家としての同盟を結んだ。故にエ・ランテル近郊はアインズ・ウール・ゴウン魔導王の占領していた土地であり、リ・エスティーゼ王国は不当に占拠している。帝国はアインズ・ウール・ゴウン魔導王に協力し、王国に侵攻を開始し、魔導王の領土を奪還する。これは正義の行いであり、不当な支配から解放するものである』」
読み上げられた内容はあまりにも異論で、これに従えなど狂気の沙汰としか言いようがない。
「言いがかりというレベルですらない狂人の戯言を吹っかけてきましたな」
吠えるような嘲笑うような声が響く
「時期はかなり後ろにずれ込んでおりますな、これは毎年の帝国の侵攻ではないのですかな?毎回、様々にこじつけた理由を持ち出してきております。今回はネタに困ってその魔法詠唱者の名前を持ち出したのでは?」
リットン伯爵の言葉に軽い笑い声が上がった。
「魔導王などと名乗る狂人の名前はどこかで聞いた覚えがありますな、違いましたかな?ストロノーフ戦士長殿」
「……私がエ・ランテル近郊に赴いた際に、助けてくださった魔法詠唱者殿で間違い無いでしょう」
くすりと嫌味な笑い方でリットン伯爵は冷たく言い放つ
「なるほど、自分の民と勘違いして助けてくれたわけだ」
含み笑いがあちらこちらの貴族達から聞こえた。
それをたしなめる声はない。
平民出身のガセフは貴族派閥の貴族達の大半から嫌われているためだ。
「そんな狂人のことなどはどうでもよい!我々が決めるべきは、偽帝の宣言にどう応えるかですな陛下?」
「ボウロロープ候の言う通りだ。我々が決断しなくてはいけないのは王国としての答えだ」
貴族達が口々に口を開く
「発言をお許しください」
すっと前に出たのはペスペア候だ
「かの皇帝の宣言を受け入れるのは困難。故に戦争しかありますまい」
並ぶ貴族達から熱気が上がる。
「おぉ!今度は奴らを撃退し、そのままの足で帝国に攻め込む番でしょう!」
「全くですな、いい加減、帝国の侵攻を撃退するのは飽き飽きしてきました」
「帝国の愚か者どもに、我らの恐ろしさを知らしめるときが来たというわけですな」
笑い声混じりの貴族達の声、毎度毎度、一語一句たがわぬセリフにガセフはうんざりした。
ーナザリック地下大墳墓、信長の自室ー
王国の宮廷会議が行われているのを信長は最終形態で足を組んで眺めていた。
影の悪魔達が宮殿に忍び込み、魔法で防衛されていないのを確認し、映像として映していた。
(…こうも阿呆なのは少し笑えるなぁ…帝国と王国にこんなに差があるなんて)
いやまぁ、モモンガを間近で見たガセフが危険視するのは分かるが、他の貴族達は見てはいないとしても不安に思ってもよいとは思ったのだが、彼らの様子を見ていたらおかしくて堪らなくなった。
そして何より王国の王はどっちつかずの対応を取っているせいで下が纏まっていない。
どっちにも声をかけず、中間の位置にいる。
(…派閥が分かれる大きな要因はこれか…)
彼ら王国は悪い例として参考になる。
モモンガと自分がこうならないためにも必要な教材になるだろう。
帝国は逆に良い例であり、上が下をよく監視・調整しているため派閥などない。
まぁ、フールーダーの裏切りは相当堪えたようだが、フールーダーの裏切りで早々瓦解しないのが凄いのだ。
映像が終わり、部屋が明るくなる。
「以上が王国の動向にございます。何か問題点等ございましたでしょうか?信長様」
アルベドの言葉に信長は椅子に深く腰掛けると
「問題点も今のところ無いのぅ、この調子だとあっさり勝てそうじゃな」
今回の戦争で恐らくは多くの死傷者が出るだろう。
「24万の大軍で来るそうじゃ、それら全てを鏖殺することはしなくとも18万くらいは殺したいのぉ」
それくらい殺せば王国に打撃を与えられるし、なおかつ、王国は勝手に自滅してくれるだろう。
「流石でありんす」
そう言ってくるシャルティアに微笑みかける。
「楽しみじゃなぁ」
それぐらいの大量殺戮はユグドラシルではあまりなかった。
そんなことをすれば運営から消される可能性が高かったからだ。
だが今、ここはリアルだ。自分の好きに出来る。
ーリ・エスティーゼ王国・宮殿ー
帝国の宣言から2ヶ月が経過し、冬が近づいてきていた。
今日のエ・ランテルは熱気がこもるような、そんな雰囲気がある。
熱気の発生源はエ・ランテルの三重の城壁のうち、最も外周部の城壁内。
そこには無数の人があり、ほとんどがパッとしない格好をした者達ばかりで、大半が平民なのだろう。
その数、おそらくは25万ほどいるのだろう。
これから始まることを理解している者達は死神を凝視するような眼差しで空を見つめていた。
食料の大規模輸送。それは、帝国との戦争の始まりが近いことを知らしめていた。
貴賓館にて、ランポッサ三世と大貴族を中心とする男達の姿があった。
部屋の真ん中にある大きな机を貴族達が囲み、そこに広げられた大きな地図を睨みつけていた。地図には幾つもの駒が置かれ、その周りに指揮官の名簿、偵察部隊からの報告、過去の戦闘の記録など無数の紙が散乱している。
「皆さまお疲れ様でした。これでとりあえずは期日までに準備は終わりました。これより帝国との戦争に向けて計画を進行させます」
レエブン候は全員を見渡すと、羊皮紙をその場の人間に見えるように持ち上げる。
「このように、数日前に帝国から合戦の場所を記載した宣言書が届きました」
戦場の指定というのは、戦場跡がアンデットの出没する呪われた地域になるという現象が時折見受けられることから、同種族同士で時折行われる協定だ。
「それで戦場は…」
「もったいぶるな、レエブン候。いつもの場所であろう?」
「そうです。ボウロロープ候がおっしゃる通り、例年の場所、呪われた霧のかかる地・カッツェ平野、その北西部すぐです」
「…同じ場所を指定してくるとは、帝国の侵攻も例年通りということかな?」
「残念ですがブルムラシュー候、そうはいかないでしょう。帝国は今回、かなりの兵力を動員してきたという報告が上がっております。私の配下の元オリハルコン級冒険者チームに調べさせましたが、兵力は不明なれど、紋章は計六軍団分あったとのこと」
「六つも?!」
ざわめきが場を支配する。
帝国騎士団は総数で八軍団まであるが、今までの争いにおいて参戦したのは最高で四軍団だ。
「本気…か?」
不安げな顔で貴族の一人が口にする。
「分かりませんが、今までのようなひと当たりという軽いものでは終わらないことも考えるべきですね」
レエブン候は王を見て
「今回、兵を増やして正解でした」
それが結果として戦費がかさんだのは頭が痛い問題だったが
「それで陛下、一つ提案があるのですがよろしいでしょうか?王子に一つお任せしたいことがあるのです」
この場にいる王子は一人だけであり、全員の視線がバルブロに集まった。
「かのアインズ・ウール・ゴウンはカルネ村なる村を救いに現れたという。何らかの戦略的意図があったのかも知れません。軍を送り、村人達から詳しい話を聞き出すべきでしょう。その指揮官を王子にお任せしたい」
「候!」
バルブロが鋭い視線でボウロロープ候を睨む。
「静かにせよ、それは悪くない考えだ。我が子よ、お前に命じる。カルネ村に向かい、村人達から話を聞いてまいれ」
「……王命であるならば従うほかありません。しかし、私としては望む仕事ではないと知っておいてほしいのです」
不快感を隠そうとしないながらもバルブロは頭を下げた。
「村に向かう王子の軍に私の精鋭兵団からある程度お貸ししよう。それと王子と共に向かう貴族を募らせて頂きたい。五千というところですな」
「それほどの兵が必要と思わないが、候の提案だ。その辺りは一任しよう」
「感謝いたします陛下。それと陛下、もう一つ質問が」
わざとらしく大きく深呼吸をする。
「誰がこの戦争の全軍指揮を?私であれば問題ありませんが?」
場の空気が変わる。これは不穏な発言だ
そこにあるのは全軍の指揮権を寄越せという目に見えない圧力をかけている。
「レエブン候」
「はっ!」
「候に任せる。全軍を無事、カッツェ平野まで進軍させよ」
「畏まりました」
レエブン候が王命を受けて頭を下げる
ボウロロープ候は欲しかった地位が横から奪われた形になるな、レエブン候では文句を言う訳にはいかない。
「レエブン候、私の軍も任せるぞ、何かあったら言ってくれ」
ーカッツェ平野・帝国陣営ー
駐屯基地の外れ、騎士に先導されながら二台の見事な馬車が静かに進んでくる。
鱗の生えた馬のような魔獣が進んでくる
「最敬礼でお願いします」
その言葉と共に馬車の扉が開く
中から出て来たのはダークエルフの少女ともう一つの馬車から出て来たのは腰当たりから翼の生えた絶世の美女が降り立つ
「アインズ様、信長様、到着したみたいです」
「そうか、ありがとう、マーレ、アルベド」
「ようこそいらっしゃいました。アインズ・ウール・ゴウン魔導王閣下、織田信長宰相閣下」
ニンブルは頭を下げる。
「各員!」
大声でカーベインが吠えた。
「魔導王閣下及び宰相閣下に対し!最敬礼!!」
「はっ!」
騎士達の幾多の声が重なり、一斉に最敬礼を取る。
「歓迎感謝する。帝国が誇る騎士の諸君」
やけに普通な声なのが逆に恐ろしい。
宰相も眉ひとつ動かさず、前を見ていた。
「頭を上げてくれたまえ」
「ここより野営していただく場所まで、私、ニンブル・アーク・デイル・アノックがご案内させていただきます」
「そうか、いろいろ迷惑をかけると思うがよろしく頼む」
「今回の戦争で、私の魔法を開幕の一撃にするという手筈だが、この際、私の軍も一部参陣させえもらおうと思ってな、構わないかね?」
「それはこちらとしてと願っても無いこと…しかし、早ければ明後日には戦端が開かれますが…」
「問題ない。聞こえるかシャルティア、私のいる場所に《転移門》を開け、そして兵をこちらに送るのだ」
言葉が終わると同時にアインズと信長の背後に黒い半球のようなものが浮かび上がったのだ。
全てが静まり返る。
「これが我が軍だ」
絶句した騎士達にアインズは楽しげに紹介した。