魔王織田信長とアインズ様の異世界転移   作:アルトリア・ブラック(Main)

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魔導国建国あたりで止まると思いますが、それまでは頑張ります。

今回はカッツェ平野虐殺の後半戦(?)です。


カッツェ平野の大虐殺・下

ー王国軍ー

 

帝国軍に動きがあり、化け物達が道を開け、後方から現れたのは仮面を付けた魔法詠唱者とその右には黒髪に長身で衣装は、黒や紫を基調とした西洋の鎧を着ている男がいた。

 

(…あの御仁は…誰かに似ている…?誰にだ…)

 

ふと違和感を感じる、悪魔騒動の際に見た誰かに似ている気がしたが、それが分からない。

 

あの人物が恐らくは【アインズ・ウール・ゴウン】の右腕とも呼べる宰相なのだろう。左には帝国四騎士の一人がいた。

 

「ゴウン殿…」

 

これだけの距離があってもガセフは中央に立っている人物を間違えたりはしない。

 

「あれが、貴方が恐れるアインズ・ウール・ゴウンですか!我々は一体、何を相手にしているのですか!」

 

アインズが腕を一振りする。それに呼応するように突如としてアインズを中心に、10メートルにもなろうかという巨大なドーム状の魔法陣が展開された。

 

左右に並ぶ二人もその中に包まれているが、何か異常が起こっているようには見えない。

 

おそらくは仲間に害を与えるものではないのだろう。

 

右にいる男はそれが展開された際に少し周りを気にしているようなそんな感じがしたが、ガセフにはその男が気にしている何かを探ることは出来ない。

 

魔法陣は蒼白い光を放ち、半透明の文字とも記号ともいえるようなものを浮かべている。

 

それは目まぐるしく形を変え、一瞬たりとも同じ文字を浮かべていない。

 

王国から驚きの声が上がる。それは見事な見世物を見た時にあげるような、緊張感の全くないものだ。

 

だが、勘の鋭い者達が困惑したように周囲を見渡している。

 

「私は自軍に戻ります!最早、一当たりなどと考えている余裕はありません。アインズ・ウール・ゴウンの力は桁外れであり、矛を交えようとするのは問題でした!ガセフ殿は陛下の守りに!そしてすぐに撤退を!」

 

先程まで落ち着いていたレエブン候の面影はなかった。

 

「ああ!それと轡を並べての撤退ではなく」

 

「勿論です。脱兎のごとき撤退。いえ、敗走すべきです」

 

「ではレエブン候!無事を祈る!」

 

「貴方こそ、ガセフ殿!」

 

二人は慌てて動き出す。

 

 

 

 

 

 

ー帝国軍・アインズー

 

(…いないな)

 

アインズは魔法陣を展開しながらそう判断した。

 

隣にいる信長もいつでも剣を出せるよう腰の剣に手を当てていた。

 

王国軍の中にプレイヤーはいない。

 

ユグドラシルというゲームにおいて超位魔法は強大だ。

 

(超位魔法を発動しようとする者は先に潰される…それがないと言うことは王国軍にプレイヤーは存在しない…か)

 

隣の友を見ると軽く頷き返してくる。

 

「もはや、囮になる必要もなしか」

 

ユグドラシルのプレイヤーと遭遇しなかったことは喜びだ。

 

その反面、残念さもある。

 

シャルティアを洗脳し、友を傷つけたワールドアイテムを保有する存在に連なる相手を今回も発見できそうにない。

 

アインズが手を開く、そこには小さな砂時計が姿を見せた。

 

「黒き豊穣への貢!黒き豊穣への貢(イア・シュプニグラス)!」

 

超位魔法は即座に発動する。

 

黒い息吹が、先程ようやく陣形を変え終わった王国軍左翼の陣地を吹き抜けた。

 

そこにいた王国軍左翼七万。その命は即座に全て、奪われた

 

 

 

 

 

 

 

 

ー帝国軍・ニンブルー

 

一体、何が起こったのか、瞬時に理解できた者は誰一人としていなかった。

 

王国軍左翼を構成していた全ての生き物、人間のみならず馬までもが突然、糸が切れたように地面に転がったのだ。

 

それを見た瞬間、帝国騎士達の歯がぶつかり合う音が響く

 

家族が暮らす大切な我が帝国も、王国と同様に滅亡の瀬戸際にあると誰もが理解したがための恐怖。

 

アインズ・ウール・ゴウン及び彼らと敵対するということは、あの魔法が自分達に打ち出されるということを意味すると

 

ニンブルはその状況下で横を見ると…

 

顔を動かさずに隣に立つ化け物、アインズを横目でそっと窺えば、平然としていた。

 

その横にいる宰相も眉一つ動かさず事切れた遺体を見ていた。

 

(ありえない。あり得ない!こんな、何で平然としているんだ!?七万人の命を奪いながらも!?確かにここは戦場であり、人の命を奪う場所。弱き相手の命を奪うのは当然だ。それでも、あれだけの人間を殺したのであれば何かしらの思いを抱いて当然ではないのか!?)

 

ニンブルは彼らの行動、何動じないそのことに混乱していた。

 

後悔や罪悪感を抱くのが普通の感情だろう。

 

(この化け物にとっては見慣れた光景なのだ!人間のアリの群れを踏みつぶした際に起こる哀れみも、暗い喜びの感情すらもない。なんで…なんでこんな奴が人間の世界にいるんだよ…)

 

そう感じていると…

 

「我が友よ、七万人の命を奪ったが、これで戦いはどうなると思う?」

 

アインズが隣にいる宰相に問いかける。

 

そんなの、王国軍の敗北に決まっている。

 

七万人を殺した以上、王国軍は敗走しないといけない。

 

「王国軍の負けであろう、な」

 

宰相の判断は正しいが、何故、そんな退屈そうな表情を浮かべられるのか、まだ足りないとでも言うのだろうか?

 

「とは故、良い魔法、ぞ」

 

愉快そうに言う宰相の言葉に違和感を感じる。

 

【良い魔法だった】じゃない。

 

もしかして、まだ終わっていない…?

 

「どうした?ニンブル殿」

 

「ひぅ!」

 

問いかけに対し、思わず間の抜けた声を上げたニンブルは慌てて取り繕う。

 

「い、いえ、素晴らしい魔法でした。まさか七万人を一瞬で…」

 

言葉を発することが出来た己自身を褒めてやりたかった。

 

恐怖に押しつぶされそうになりながらも必死でニンブルは次の言葉を選ぼうとすると…

 

「ははは」

 

ニンブルの必死な賞賛に返って来たのはかすかな笑い声だ。

 

「な、何かご無礼を?」

 

「いやいや違う。ただ、私の魔法はまだ終わっていないぞ?これからが本番なんだ。黒き豊穣の母神への贈り物は、子羊達という返礼を持って帰る。可愛らしい子羊達を持ってな」

 

死の渦が王国の兵士たちの命を奪った後、おぞましい漆黒の球体が姿を見せた。

 

黒い球体は地面に触れると弾け、息絶えていた王国の兵士たちの姿が消えて行く

 

「絶望の、始まりだ!」

 

アインズの高らかな声と共に一本の木が生えた。

 

一本だったものはその数を増やしていく

 

『メェェェェェェェェェェェ!!!』

 

山羊の鳴き声のようなものが響き渡る。

 

それはあまりにも異質で異様すぎるものだった。

 

高さにして十メートルはあり、触手が生えていた。

 

おぞましい姿形の化け物が五体も出現する

 

そんな中、アインズは楽しげに笑う

 

「素晴らしい。すごいと思わないか?友よ、最高記録だ」

 

「五体も召喚したのはうぬが初だな」

 

「そうだろう!やはり、あれだけ死んでくれたのに感謝しなくてはならないな!」

 

まるで子供のように嬉しそうにするアインズ。

 

信長は召喚された山羊達を眺めて何か計算しているようだった。

 

「おめでとうございます!さすがはアインズ様!」

 

マーレからの賞賛を受け、アインズは仮面の下で笑顔を見せる。

 

「ありがとう。マーレ」

 

「お、おめでとうございます」

 

ニンブルは泣き笑いの顔で賞賛を口にした。

 

「ありがとう」

 

 

 

 

ー帝国軍・信長ー

 

モモンガの放った超位魔法《黒き豊穣への貢》は王国の兵士たち七万人を一瞬にして殺戮した。

 

(こうも、人間が死に絶えたことに悲しみやら憐憫を感じないのは異形になってしまったせいか…)

 

そのことについて恐怖やら悲しみは微塵も感じないが

 

横にいるモモンガはゲーム《ユグドラシル》で共に戦っていた時と同じだった。

 

興奮のあまり人間の宿す感情にまで目は向けられていない。

 

現に帝国の陣地からガチャガチャという鎧がされる音が響き始める。

 

兵士達の体が震えているのだ。

 

人間にしてみれば恐ろしすぎる召喚魔法を発動させたばかりのモモンガの、陽気な声を聞いて鳥肌が立たない者など誰一人としていない。

 

そして、彼らは思っているだろう。

 

【アインズ・ウール・ゴウンの力が自らの上に落ちてこないこと】を切に願っているのだろう。

 

(しかし、それが戦争というものだろうに、一気に殺していないだけ、年間の戦死者で数えたら七万人を軽く超えていそうだが…)

 

「あぁ、やってみようか、追撃の一手を開始せよ!可愛らしい子羊達!そうだ。三人…いや、四人程殺してはいけない相手がいる。それらは決して傷つけるな」

 

そう子羊達に命令をするモモンガ。

 

子羊達は逃げ惑う兵士たちを蹂躙していく、それと同時に聴こえてくるのは帝国軍の騎士達の噛み殺したような泣き声が聴こえてくる

 

恐怖と不安が限界突破した者達の声だ。

 

『逃げろ』とそう言う彼らの哀願の声。目の前に広がる凄惨な殺戮の光景に、王国軍のあまりほ惨劇に、敵である彼らが願っているのだ。

 

(…それも面白いがのぅ)

 

怨霊である自分には彼らの恐怖や悲しみは気持ち良い

 

「さて、そろそろかな」

 

モモンガの小さな声に全ての視線が集まった。

 

モモンガはゆっくりとその手を広げた。

 

「喝采せよ」

 

(…うん、完全に興奮しとるなぁ〜)

 

骸骨になっても分かりやすいモモンガに苦笑いが溢れそうになる。

 

「我が至高なる力に喝采せよ」

 

信長はスッと目を閉じる

 

(後で言おう、それはスベっていると…)

 

今この場で喝采を求めるのは少々、というか違う気がした。

 

最初に拍手を送ったのは少し後ろにいたマーレとアルベドであり、アルベドの拍手は少しやかましいくらいに聞こえた。

 

それらに揺れ起こったぱらぱらと始まった拍手。

 

(…引いてるよなぁ)

 

彼らは皆、本気で喝采を送っているわけではない。

 

黒い子羊の一匹がやってくるたびに彼らの喝采はやかましくなって行き、間近に迫った黒い子羊に恐怖を感じた騎士達は叫びながら逃げ出す。

 

「お前たち!!」

 

ニンブルが叫び、逃げる彼らを止めようとする。

 

モモンガはその黒い子羊に乗る

 

「友よ、私は少し用がある。帝国軍の事は任せても構わないか」

 

そう問いかけてくるモモンガに対しため息をつきたくなるが、モモンガは一度こうと言えば徹底的にやるタイプだ。

 

「良い、任せよ」

 

そう言ってどこかに向かっていくモモンガを見て盛大にため息をつく

 

(…帝国軍を任せたって言ってもなぁ…ほとんど将棋倒しで死んでるだろうしな)

 

そう言って後方を見ると騎士たちの遺体が積み重なっていた。

 

「アルベドよ」

 

「はい」

 

アルベドが頭を下げて歩いてくる

 

「彼奴ら帝国騎士たちの遺体を並べよ、蘇生魔法が働かん」

 

「かしこまりました」

 

そう言って背を向け、無数に重なる遺体の方に向かう

 

「蘇生、魔法…ですか、一度に行うと…」

 

ニンブルは疲れているのか、あるいは恐怖なのか、信長にそう問いかけてくる

 

「これくらいの数ならばなんとでも出来る、ぞ」

 

「魔法詠唱者なのですか、貴方も…」

 

もはや口調が崩れかけだが、そこは気にしないで前を見る

 

「あ、あの、信長様!並べ終わりました!」

 

マーレが笑顔で言ってくる

 

「うむ、ご苦労」

 

そう言って頭を撫でると目をキラキラさせて嬉しそうに撫でられた頭をさすっていた。

 

アルベドは…『羨ましい、信長様、私にも❤︎』と甘えた声で言ってくる

 

「うむ、愛い奴よ」

 

そう言って頭を撫で、遺体の方に進むと後ろの方でアルベドが『あぁん…』みたいな声を出してヘタリこむ

 

(…復活魔法をかけて、彼らを落ち着かせたらナザリックに帰還しよう)

 

そう考えながら蘇生魔法を使い、彼らを一気に蘇生させる

 

蘇生させた後、戦士職が無理に魔法を使った反動で妙に疲れたのでアルベドにその場を任せて、モモンガが向かった方角を眺める事にした。




次は魔導国建国かあるいは番外編みたいな感じのが入るかもしれませんので悪しからず!
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