魔王織田信長とアインズ様の異世界転移 作:アルトリア・ブラック(Main)
聖王国編に突入しています。魔王信長として進軍しているノッブとデミウルゴス目線の話や、ツアー達の反応などいろいろあります。
ノッブの弟が出てくるタイミングは考えてますが、まだそこ行けない…
あと、前回いうのを忘れましたが、このシリーズはノッブが至高の四十一人の一人なので残酷な描写が含まれます。
ー聖王国・王城ー
亜人達の連合軍、それも大軍が多数の兵を抱えた中央拠点を打ち破り、城壁を超えたという情報はすぐに聖王国全土へと広がっていった。
真っ赤な髪の化け物が単騎で大暴れし、兵士たちを殺戮しているという知らせも受けた。
亜人連合の総大将は魔王・第六天魔王と呼ばれる者。
そして、副将を務めているのはヤルダバオトと呼ばれる大悪魔。
王国で暴れた悪魔であり、第六天魔王を復活させ、世界を破滅に導こうとしている者。
亜人連合は全部で18の種族から成り立っており、推測される総兵力は十二万超
それら亜人の軍勢は城壁の破壊、そして、砦の破壊に腐心しており、侵攻は停滞中
それを受けた聖王国の頂点・聖王女は国家総動員令を発令。
「聖王女様!!ご報告に参りました!」
物見の兵達から状況を緊迫させる報告が入る。
「亜人連合軍、総兵力、そのまま西に侵攻!!」
「北部城塞都市、カリンシャ到達まであと数日内と推定されます!」
「…そうですか、それではやはり、ここが戦場になりますね」
口を開いたのは聖王女、カルカ・ベサーレス。
女でありながら聖王女になれたのは二つの資質により、王位につくことができた。
一つは外見の美しさだ。ローブルの至宝と賞賛される花の顔は愛らしさと凛々しさを兼ね備え、金糸のような長い髪は艶めいて鮮やかな光沢を湛えている。
まるで聖女のようだと表現する者も少なくない。
そして、もう一つが信仰系魔法詠唱者としての高い素質だ。
15歳にして第四位階魔法を行使する天才ぶりを発揮し、先代聖王神殿からこ後押しを受けて王位へと上った。
「カルカ様の悲しみも分かります。しかし民は、覚悟を持ってカリンシャに生きております。かつても…え、なんだったかの戦いにおいて、この都市が主戦力となったこともございます。そのため、どこよりも高く、強固な壁を持つのです」
慰めるように声を発したのは整った顔立ちをしているものの、鋭い瞳に宿る刃ごとき輝きが、冷たい雰囲気を醸し出している。
そして、その身を包むのは銀色のフルプレートに白色のサーコート。
彼女の名前はレメディオス・カストディオ
カルカの親しい友人であり、歴代最強と言われる聖騎士団団長として彼女の権力の武力的背景を支えてくれている。
「そうです。それに非戦闘員には逃げていただきましたし、被害は出ないですよ、戦いの後問題になるのは戦費の方じゃないですか?」
うっふっふっといやらしい笑い方をしたのもまた女性だ。
その顔はレメディオスによく似ている。
しかし、その僅かな差異が、与える印象をガラリと変えていた。
彼女の場合はレメディオスと違い、何か企んでいるような、悪く言えば腹黒という雰囲気なのだ。
彼女はレメディオスの二つ下の妹。ケラルト・カストディオ。
神殿の最高司祭であり、神官団団長という地位に就く
この二人こそがカストディオの天才姉妹と呼ばれる者たちであり、聖王女の両翼。
女性であるカルカが聖王に選ばれたのは、この姉妹が裏で手を回したからではと多くの貴族が疑っているため、悪評が流される時は三人揃ってということが多い。
「それを言われると頭が痛いです。勝っても得るものが何もないというのは本当に厄介ですね」
「ですが、今回の亜人たちはいい武具をその身に纏っているという情報がありました。それを売るなり何なりすればよろしいのではないですか?」
「その通り…って賛成出来ませんね、姉様、武具を売るとしても何処にですか?リ・エスティーゼ王国ですか?亜人たちの武具じゃ買い叩かれて終わるのがオチですよ、それに、壊された城壁を修復し終えるまでは、他国の武装を強化するような行為は避けたいです。特に魔導国なんかには流れて欲しくないです」
「あら?あなたは魔導国が嫌いだったの?宮廷ではそういった話は一切聞いたことが無かったけど」
「好きな神官はいませんよ、カルカ様は違うのですか?」
カルカは考え込む
聖職者として、聖王としてならどう答えるか、国主としてどう答えるか
「…王の職務は国を、民を慈しむこと。そして平和を与えるということ、それが出来ているのであれば構わないのではないですか?」
カルカの前で姉妹が顔を合わせた。
「慈しむ?あり得ませんね!アンデットにそんな想いが」
「姉様に同じです。アンデットにそのような、カルカ様がお持ちのような愛などがあるとは思えません」
「二人とも厳しいわね、でも会っていない方の悪口を言うことはいけませんよ?それに、魔導国宰相はアンデットではないと聞きました。あの御仁が民たちを見て判断して魔導王に伝えているのではありませんか?」
「…なら、なんでその宰相が王にならなかったのか気になる」
「人間らしい王の方が民はついてくるとは思うけれど…そこら辺は分からないは他国のことですし」
それからカルカ達はヤルダバオト達悪魔の力について話し始める。
「幕僚達はどんな話をしていたのかしら?」
カルカの言葉にケラルトは話し始める。
「はい。亜人たちがこの都市を包囲した場合と、通り過ぎた場合、そして、南方へと進路を変えた場合、兵力を二分、三分し、複数の目的を同時に遂げようとした場合などに関して討論しております」
「…なるほど、それで、どの可能性が一番高いと目算しているのかしら?」
「はい、今までの亜人の侵攻を考えると都市を包囲する可能性が最も高いと出ております。しかしながら今回は二つ以上問題があります」
「えぇ、そうね」
「何がだ?」
レメディオスはカルカの護衛として着いていたため、会議には参加していない。
「…姉様、王国において暴れ回った大悪魔・ヤルダバオトです。そして、その王と呼ばれている第六天魔王。まず、ヤルダバオトがどれほどの知性を持つかわかりません。悪魔は悪知恵に長けた者が多い、もしかすると想定外の戦略を取ってくるかもしれません」
「なるほど…」
「それに、魔王の力・配下の者についてどれくらいいるか判別ついておりません。ヤルダバオトの下にメイドの悪魔。不明なのは赤い髪の化け物、魔王の傍らにいた女。あれらがどういう並び順なのか分かりません」
「最悪の場合、シモベを無尽蔵に増やすことが可能なのだとしたら…」
「「………」」
レメディオスの言葉に静まり返る。
それから幾度と議論を重ねていき、とりあえずはヤルダバオト対策の話になった。
「…まぁ、モンスターなどの討伐に慣れた上位冒険者には国家総動員令に従って従軍してもらっています。こちらの最大戦力をもってすれば、ヤルダバオトも決して倒せない相手ではないでしょう」
冒険者を兵力に含めたことに対して、冒険者組合からは強いクレームが入ったが、カルカは撤回しなかった。
当たり前だ、これは国家の大事であり、戦力を分散させるなど愚の骨頂。それに、聖王国において王国ほど冒険者組合の力は強くない。
「そうね、ただ王国におけるヤルダバオトが引き起こした事件の詳しい情報は集めておかなかったのは失敗ね」
「申し訳ありません」
深々と頭を下げるケラルト
「い、いえ、ケラルト。あなたが悪いんじゃないわ、他国の情報をよっと重要視しようとしてこなかった私の責任なのだから」
「そのようなことはありません。カルカ様は、悪いのはケラルトのやつです」
「姉様…」
「もしかして…いくつかの村から突然人がいなくなるという事件の
裏にもヤルダバオトがいたのかしら?」
「そうなのかもしれませんね…」
その時、カルカはわずかに鐘の音が聞こえたような気がした。
同時に廊下を走る何人かの足音が聞こえてきた。
「カルカ様、我々の後ろに」
聖剣・サファルリシアを抜き払ったレメディオスがずいっと前に出て、カルカと扉の線上に立つ。
扉がばんっと大きな音を立てて開いた
「聖王女様!!」
大声をあげて最初に飛び込んできた男に見覚えがあった。
参謀長だ
「どうした!騒々しい!!」
レメディオスの叱咤に参謀長は浅く荒い息で答える。
「悠長に歩いている暇などない!!聖王女様!ヤルダバオトです!ヤルダバオトが都市内に出現!赤い髪の化け物が都市内の者達を蹂躙しています!更には複数体の悪魔たちと同時に都市内で暴れまわっております!」
「何ですって!」
「亜人たちの軍勢が目撃された場所はこの都市の近郊!」
唐突な情報に頭が混乱したが、それは一瞬のことで、すぐに女王の表情を作ったカルカは命令を発する。
「想定とは大きく異なりますが、対ヤルダバオト・対第六天魔王戦をこれより始めます!我々がヤルダバオトおよび第六天魔王を抑えている間に侵攻してきた他の亜人戦の準備を整えなさい!」
配下の返事を聞きつつ、カルカの心に迷いが戻ってくる。
ヤルダバオトを、第六天魔王を甘くみてはいないだろうか、と
「弱き民に幸せを、誰も泣かない国をね」
「その通りです!カルカ様!」
自分の独り言に満面の笑みでレメディオスが大きく反応する。
手を叩き一斉に動き出す
あれ…?信長様出てこなかった…
次あたりで出ます。
カルカだけはどうしても書きたかった。今後があるから…笑