魔王織田信長とアインズ様の異世界転移 作:アルトリア・ブラック(Main)
王国編からオリジナルが入ったりノッブの弟が出て来たりします。
ーフィリップー
メイド達はみな、ヒルマの世話になっている。
給金と支払いもしなくて良い娘達だ。今では家のこと全般を完全に任せている。他にも執事や御用商人までヒルマの世話になっていた。
出来れば、昔から家で働いている者達を解雇し、自分の部下だけにしたいのだが、父親がうるさく、諦めている。
父の我儘が許せるのも、ヒルマが金を出してくれているからこそなんとかなるのであって、もしこれが自腹だったら無駄な人件費削減のために絶対に辞めさせてやることだ
フィリップはぼんやりとそんなことを考えていると…
「おや、モチャラス男爵。ご機嫌がよろしくないご様子」
声をかけて来た方に目をやれば、そこには二人の貴族がいた。
「おお!デルヴィン男爵にロキルレン男爵!」
二人の貴族を迎え、お酒を飲み始める。
二人はつい最近貴族になったばかりで、その二人の貴族のリーダーを務めることができるのがとても嬉しく、この場を仕切っているような気持ちになった。
それから三人で経営についての話になり、魔導国から輸送されている食料についての話になった。
「それがですね、信憑性の高い噂ですが、魔導国はアンデットを使って広大な農地を耕しているそうです。なので食料の生産量はかなり膨大で、小さい領土でありながも、王国全土にも匹敵するそうですよ?アンデットは疲労も何も関係ないですからね」
「たんだそれは?!ずるいぞ!」
フィリップは我慢できずに怒鳴る。
自分が努力して領民達にやらせようとしても無理なことを、魔導王とあの宰相が軽々とやっているのが許せない。
自分が苦しんでいるように、魔導王と宰相も苦しめば良いのだ
「実際のところ、魔導王は宰相に全て任せているそうですよ、領内の管理は一応アンデットの王であるあの魔導王が行なっているようですが」
その言葉を聞いてフィリップは嘲笑う。
「魔導国の食料を失わせるためだからと言って、さすがに戦争を仕掛けるわけにも行きませんし」
ふと、フィリップの脳内に閃くものがあった。
まず、凶作が起きても農作物が一定の金額、安い金額でしか売れないというのは魔導国産の食料があるという前提条件のためだ、ではそれが無くなればどうだろうか
答えは一つしかない。『農作物の価格が上がる』
ならば次の問題だ。どうすれば魔導国が保有する農作物がなくなるのだろうか
魔導国の農業生産量が低下すれば良いだけだ。しかし、それは簡単な話ではない。流石にフィリップ一人で魔導国の領土に乗り込み、畑に火を放つなど出来るはずがない。
ならば、その農作物を奪うことは出来ないのだろうか
その答えに辿り着いた瞬間、フィリップは雷に打たれたかのような衝撃に襲われた。
他国の物資を奪う。常識で考えれば危険極まりない行為だ。将来ならともかく、今のフィリップでは一国を相手にして勝てるはずがない。
しかし、王国は魔導国を敵対国家とみなしているはずだ。戦争でかなり自国民を殺されたのだ。敵とみなしていなければそちらの方が変だ。
ならばそんな敵対国から食料を奪うことができれば、それは素晴らしい働きなのではないだろうか。
そういうことであれば王国の上層部もフィリップの味方をしてくれるはずだ。もしかしたら働きに見合うだけの地位に引き上げてくれるかもしれない。
(悪くないぞ、これはかなり良いアイデアではないだろうか?)
しかも、その上で食料を奪えば、商人達もモチャラス領産の農産品をこぞって買い付けるかもしれない。
「二人とも、いかがでしょう。良い話があるのですが」
「良い話ですか?」
「ええ、良い話です」
フィリップは二人に顔を寄せ、己の良いアイデアを得意げに聞かせるのだった。
ーナザリック地下大墳墓・信長の自室ー
「ブァハハハ!!!!」
信長の笑い声が響き渡る。
「愉快すぎる!ヒッハハハ!!襲って奪って、それを売りさばく?!いやいや、普通に考えてそんなことしたら戦争になると気づくじゃろうにっ!どんだけ自分のこと上の存在だと思っておるんじゃ!」
大笑いする信長に茶々が真面目なトーンで『…なんで考えられないんだろう、この馬鹿』と口にする。
「「馬鹿過ぎる」」
濃姫と長可が珍しく冷静になり、二人の声がハモる
「信長様。この男どうしますか?不敬にも魔導国の馬車を襲い、旗を踏む予定のようですが」
「んー、ワシはこのままこの馬鹿の計画を遂行させた方が良いと思うぞ、その方が王国に侵攻できそうじゃしな」
「かしこまりました」
「いやしっかし、場末の酒場でタダ酒しながら話す内容でもないだろうに、内容筒抜けだし、まともな頭を持ち合わせておらんのかのぅ」
「普通の貴族社会を知らないので無理はないと思います。この者達は一般教養を欠いた者達。いくら下級貴族であろうとこの酒場が貴族社会の象徴でも思っているのでしょう。小さな世界で大きな目的を遂行しようとしている自分は最高の存在と、子供の世界から脱していないのだと思います」
濃姫のキツイ言葉に茶々も『そう思う』と共感してくる
「はぁ、面白かったのぅ。一応モモンガさんに報告しておくか」
信長は立ち上がり、長可を連れてモモンガの部屋に向かうために歩き始める。
モモンガは友との話の時間を最近は何より楽しみにしていた。
ナザリックにいる時、正直言って心休まる時がないのだ。
皆期待の目で見てきて、特にデミウルゴスなんてすごいものだった。
(パンドラのいる宝物庫に行くことが最近増えたけど、その度にアイツ信長さんに感謝してるんだよなぁ、そのあと、俺にベッタリだけど…)
信長の話はたまにアルベドやデミウルゴスのような話になるので、わからなくなることはあるのだが、友に聞けば普通に説明してくれるし、話も繋げやすい。
そんな中、最近になって思ってきたのは友の変化だった。
ここに転移してきた時はさほど猟奇的でもなかったのだが、この世界にきてしばらくして、考えがやや猟奇的になっていっているというか、聖王国で収容所の中でいろんな実験をしているのを聞いて少しだけ心配になってくる部分もあった。
モモンガの後ろにパンドラが立ち、信長の後ろには長可が長槍を持っている状態で立っていた。
「王国の貴族が魔導国の馬車を襲うのを黙って見送る、ですか…」
信長の口から聞いたのは、魔導国の馬車をフィリップとかいう馬鹿が襲い、そこから戦争を吹っかけるという流れだった。
「正直言って戦争を吹っかける内容としては薄いとは思うが、難癖なんて幾らでも付けれるし」
「俺は別に他の策は思いつきませんけど…」
魔導国の旗を馬鹿な男に踏まれたくないと思っていると信長が微笑み
「んまぁ、ちょっと偽物にして掲げさせれば良かろう?アルベドの作戦と平行すれば問題なく行われそうじゃ」
それからいろいろ話し合って決まったのはフィリップの愚行の無視。
そして一つ問題があった…
「ラナー王女とか言う頭のおかしい人の話なんですけど、信長さんはあの人についてどう思います?」
今回の王国の件では、彼女の存在はかなり大事になる。
アルベドやデミウルゴスは彼女を引き入れるのを望んでいるように見えるが、モモンガにしてみれば、彼女を操ることができない気がした。
「うーん、ワシもあの女についてはあんまり気が進まないんじゃ、デミウルゴスやアルベド並みの頭脳だし、ワシもあんまり懐に入れたくないって言ったらそうなんじゃが」
「ですよね…ラナー王女の頭脳は…置いておいて、性格はあんまり気に入らないんですよね、不気味で内に入れたくないというかなんというか…」
信長を見ると「…要る・要らないと言ったら要らんじゃろうけど、変に切り捨てるのも悟らせそうで怖いから、アルベドに放り投げるか」と言う。
「つまり、まだ保険として残しておくんですか」
「うん、そうした方が良い気がする。あの手のタイプはきちんと手綱握りしめておけば厄介なことはせんだろうし…多分」
「…自信ないんですね」
「あったりまえじゃ!」
いろいろ話していると…
「ん?アルベドからの伝言じゃ、ちとすまんの」
そう言って話し始める信長を見ていると…
「王国にいるアルベドから呼ばれたから行ってくるわ、ザナック王子とやらが面会したいらしくてのぅ」
「そうですか、頑張ってください。あと、長可も連れて行くつもりですか?」
「ん?あぁ、此奴は先日封印した魔王の支配から自分の配下にしたと言うつもりじゃ、ほれ、シズと同じ感じ」
「おうよ!!俺は大殿の部下だ!(クソでか声)」
耳をつんざくような大声に間近にいた信長がベシッと長可を叩く
「まぁ、上手く事を運ぶからモモンガはドンッ!と構えておれ」
「…本当に無理しないでくださいね、信長さん。プレイヤーが復活出来るかどうか分からないんですし…なおかつ、信長さんを失ったら俺どうやって国運営していけばいいんですか…」
「目下の問題後者じゃね?ま、頑張るからな〜」
そう言って手を振って退出する信長と長可
《伝言》で長可に『命に代えても守れ』と伝えるとやかましいぐらいの声量で返事が返ってくる。