一分二分で読める短編SF小説。
今とは全然違う、こんな世界があったのかもしれない。

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二限目、未来の世界史。

 「よろしく。歴史の授業を始めるよ。」

 年齢こそ若く見えるが、喋り方やその独特な雰囲気からは随分と齢を重ねていることが伺える風貌であった。中性的な顔つきをした教師は自らを世界史の先生だと名乗り、早速初回講座を開始した。

 「君たちもわかる通り、歴史というのは改竄され、誇張されて表現されるものだ。だが、それは歴史に限った話ではない。噂話といった類だってそうだ。つまり、何が言いたいかというと、君達には歴史そのものではなく歴史に対する姿勢というのを学んで欲しい。」

 教師は、歴史が改竄、誇張、間違っているとわかった具体例をいくつか挙げた。1185年鎌倉幕府、1652年イギリス風邪パンデミック、2023年タイムマシン事件。

 生徒は異議を申し立てた。

 「先生、タイムマシン事件は2020年ではないでしょうか?」と。

 「あぁ、そういえば変わったのかい。君はえらいね。まあ、こんな感じで歴史というのは不安定なんだよ。わかったかい。返事をしな。」

 教師は気の抜ける声で、返事をした。

 そういえば、そうだね。そんなものだね。あはは。

 ある1人の生徒は、窓の向こう側にある景色を見つめていた。世界史という科目は、つまらない。たしかに過去を学ぶことは大切だ。だけど、他にも大切なことはあるような気がしてならなかった。

 そんなことを考えて、うとうと首を動かしていると、教師に見つかってしまった。

 「おい、そこのガキ。興味がないのかい。」

 生徒は黙り込んだ。

 「ふん。意気地なしが。まあ、私もあんたぐらいの頃はそうだったよ。」

 教師は、怒るというより、その状況には何度も遭遇しているかのように見えた。そして、こんなことを口走る。

 「これを教えることはあまり良くないとされているんだけどね、まあ教えてあげるよ。特別に。君たちは、自分の置かれている立場がわかっていないからね。私はね、そういう奴が一番嫌いなんだ。自分がいかに恵まれているかを理解していない奴が。」

 生徒たちは首を傾げる。突然、何を言い出すのだろうと。そして、それにはこれから何をいうのだろうというのも含意されていた。

 「いいかい、昔の、そうだね、300年ぐらい前かな。その人々はね、大変だったんだよ。どう大変だったと思う?ほら、ガキ、答えなさい。」

 生徒は、初めて口を開ける。

 「えっと...宇宙に行けなかったとか。」

 教師は鼻で笑う。ふん、と。

 

 「昔の人間は、電池を入れたって、一度止まったら二度と動くことはなかったんだよ。それに比べて君たちは...。」


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