対魔法抵抗力エンドレスナイン   作:やってられないんだぜい

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 皆さんこんばんは!

 祝、連続投稿です!なんかさっさと過去話終わらせたかったので勝手に指が動きました。

 今回は少し短めですが本編どうぞ!


 初恋

 

 真由美が泣き止むまで20分程の時間を要した。その間、2人はずっと抱き合い続けた。真由美がそんなに長い間抱き合っていたのは背中を優しくポンポンと叩いてくれる彼の安らぎをずっと感じていたかったからだ。しかし泣き止んで冷静になると羞恥心が勝り、2人は離れた。

 

 「ご、ごめんなさい」

 「いや、全然大丈夫です。それより、その」

 

 真由美は顔を赤くしながら頭を下げる。それに対し、総司は彼女から目を逸らして彼女の身体を指さす。一体どうしたんだろうと真由美は自分の身体を見る。そこで気がついた。犯人に服を脱がされたままだった事を。彼に背を向け、慌てて服を整える。自分の下着姿を見られて彼の顔をまともに見れない。

 

 「すいません、見苦しい姿をお見せして」

 「い、いえ」

 

 見苦しいと彼女は言ったが総司は一切そんな事思っていない。むしろ逆、彼女の姿から目を避らすのに必死だった。一度見ようとしてしまうと目が離せないと感じたのだ。お互い数秒無言になるとある事を思い出し総司はポケットからケータイを取り出す。番号は110番、警察だ。

 

 「はい、誘拐された少女を保護しました。場所は────です。犯人は拳銃とナイフを所持。両足は破壊しておきました。それではお願いします。…では警察にも連絡しましたし自分は犯人を……」

 

 散らばっている犯人を1箇所に固めて見張ろうとする彼の腕を掴んだ。そこで気がついた。彼女の身体がまだ震えている事に。

 

 「ごめんなさい、まだ怖くて。もう少しだけ、こうさせてもらえませんか?」

 

 そう言って彼女は腕に抱きつく。涙目で上目遣いをする彼女にノーと断る事は出来なかった。

 

 「……分かりました。では何か気を紛らわす話でもしましょうか」

 

 2人は普段の生活を語り合った。たわいもない世間話。それでも気を紛らわすには最適だった。

 

 「それでさ、最近から親の仕事の手伝い紛いな事してるんだけど、それが滅茶苦茶大変でさ。確かに金は貰ってるけど割りにあってないのよ、ほんと」

 「ふふ、そうなの」

 

 話してくうちに2人はタメ口になった。お互い歳が近いのもあったし、敬語で話していると何処か心の距離が空いてる感じがすると真由美が提案したのだ。

 

 2人は仲良く話しているがお互いの自己紹介はしない。2人ともあまり名前を知られたくないのだ。真由美は自分の苗字を知られてクラスメイトの様に遠慮されるのが恐ろしくて。総司は詮索されない様に。

 

 「でもどうしてここが分かったの?」

 「たまたまだよ。学校サボってすぐ近くで昼寝してたんだよ。ここは潮風は気持ちいいし、騒音もない。何かあった時に心を癒す場所には最適なんだ。それなのにこんな廃工場と海しかない場所に車が止まる音が聞こえたから気になって近くまで来たらみたら見るからに怪しい人がこの建物の外で彷徨いてて。それで事件かなって」

 「へぇ、そうなの。ごめんなさい、私のせいで邪魔して」

 「別にあんたのせいじゃないさ。悪いのはそこで寝転がってるあいつらさ」

 「ふふ、でも本当にありがとうね。私、怖くて怖くて。貴方がいなかったらなんで怖くて想像もしたくない。……だから貴方は私のヒーローなの」

 

 真由美は白馬の王子様を見るかの様な目で総司を見つめた。それにドキッとする総司だったが直ぐに彼女の言葉を否定する。

 

 「……別に俺はヒーローなんてガラじゃねぇよ。助けに入ったのだって祖父の教えに従っただけさ。元々そういう面倒な事は好きじゃない。正義感なんて持ち合わせてないただの普通の人だ」

 

 自分に対して良いイメージを持ってくれているのはとても喜ばしい事だが彼女に嘘はつきたくなかった。

 

 「お爺さんの言葉?」

 「ああ、何かあったら迷わず行動しろ。それが口癖なんだ。迷ってる間にも事は進む。それで何かあっても取り返しがつかない。だったらまず行動を起こせって。もし俺が助けに行かなくて死なれでもしたら寝覚が悪い。だから助けただけだ」

 「そう、でも関係ないわ」

 「え?」

 「貴方は私を助けてくれた。それで私は救われた。貴方がどう思っていようとその事実は変わらない。目隠しを取られて貴方の顔を見た時、私はとても安心したの。それに貴方の言葉はとても暖かかった。とても面倒だと思って助けた人の言葉ではなかったけれど?」

 「それは…」

 

 お前に惚れたからとは言えなかった。自分が暖かい言葉をかけられたのだって彼女の心に惚れたからだ。彼女を安心させたいと心から思ったからだ。もしどうでもいい相手なら軽い言葉だけで済ませてしまう。自分はそういう人間だ。

 

 「私はあの瞬間、貴方を好きになった」

 

 彼女は急に告白して来た。ハッキリ言ってとても嬉しい。でもそれに応える事はしなかった。

 

 「……それは助けられたから好きだと勘違いしるだけだ」

 「私がそんな簡単に流される女だって言ってるの?」

 「いや、そういう訳じゃ」

 「じゃあこうしましょ。次に会った時、まだ私が好きだったら付き合ってくれる?でも次の日にあっても信じてくれないから1年。1年以上この思いが続いたら付き合って」

 「……考えとく」

 「やった!」

 

 左手でガッツポーズする彼女の姿はとても可愛く見えた。しかしきっと彼女と自分が結ばれる日は来ないだろう総司は思う。自分がこの考えを変えない限り。そしてそれは一生来ない。きっとこんな考えを持ってる人だと知れば彼女の思いは冷めるだろう。自分の初恋の為にこの考えを曲げる事は総司には出来ない。

 

 ウーーー

 

 警察のサイレンの音が聞こえた。

 

 「警察も来た事だし俺はここで」

 「え⁈一緒にいてくれないの?」

 

 真由美は寂しそうに言う。総司だって彼女と離れ離れになりたい訳ではない。それでも自分の存在が特殊故、あまり目立ちたくないのだ。

 

 「…悪い、あまり警察とかの厄介になる事はしたくないんだ」

 「そう、なの。今日は助けてくれてありがとうね。また会えるのを楽しみにしてる」

 

 楽しみにしてると言う割りに表情はとても暗かった。罪悪感に駆られた総司はしょうがなく自分の情報を教える事にした。

 

 「悠木、悠木総司」

 「え?」

 「俺の名前。次会った時に名前が分からなかったら意味がないだろ。でも警察には教えないでくれ。もし聞かれても気絶させられていたので見てませんと言ってくれればいい」

 「え、うん!」

 「じゃあな。もうこんな目に遭うなよ」

 「遭ったらまた助けに来てくれる?」

 「馬鹿……サヨナラ」

 「またね」

 

 そう言って総司は裏口から逃げる。去り際に聞こえない声で初恋の人と言って。

 

 「悠木総司か。……あ、私の名前教えれば良かった!…でもまた会えるよね」

 

 その後、警察が真由美を保護した。電話をかけてきた少年は何処にいるか聞かれた際、彼に言われた通りにした。

 

 本当にもう一度出会えるかは分からない。でもなんとなくだが真由美はまた会えると思った。そしたら自分の思いをまた彼にぶつけるんだと誓って。

 

 

 

 

 

 (あれから3年。貴方の事を忘れた事は一度もなかったわ。年も経てば顔なんて全然変わるものね。あの頃より身長も伸びてかっこよくなっちゃって。お陰で名前を聞くまで貴方が総司だなんて全然分からなかったわ。でも約束は守ったわ。私は今でも貴方が好き。この想いは変わらない。だから、覚悟しておいてね♡)

 

 真由美はあの頃の様に彼の腕に抱き付き、温もりを感じていた。まぁ摩利の一件は少し可哀想と思いはしたが彼への想いは1ミリも下がらない。彼だって友達を守ろうとしたからだ。それどころかまた好感度がアップした程だ。

 

 

 達也と服部の模擬戦が行われる第三演習室に行けば当然彼等の視線は2人に釘付けだった。達也は面白がり、深雪はおめでとうございますと祝福していた。一方服部はまるで親の仇を見るかの様な目で総司を見ていた。こんなる事は予想出来た。だから早く離れて欲しいとお願いしたのに彼女は一向に離そうとせず、結局ここまで辿り着いてしまった。

 

 「どうしてくれるんです七草会長。お陰で注目の嵐じゃないですか」

 「あら?お気に召さない?」

 「はい」

 「残念…」

 

 総司がハッキリ言うと彼女はやっと腕から離れてくれた。でもとても名残惜しそうに腕をチラ見してくる。無視するが。

 

 そして2人の模擬戦の火蓋が切られ、勝負は一瞬で決着がついた。

 

 「勝者…司波達也」

 

 摩利達は信じられないものを見た反応する。総司は彼の潜在能力の高さにワクワクするものの、簡単に決着がついてしまって少し物足りなさを感じたのであった。

 

 




 ご愛読ありがとうございました。総司と真由美は当時両想いだった事が判明しましたね。まぁそれが実る事は今後あるのでしょうか。そしてここから真由美の総司へのアピールはどんどん激しくなるので覚悟しておいて下さい。

 では次回もお楽しみに!
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