皆さん元気にしてますでしょうか?
今回主人公がまた罵声を浴びせます。あまり好きでは無い方は覚悟しておいて下さい。ではどうぞ!
「夏場は冷房要らずね」
「真夏に霜焼けというのも間抜けですが」
深雪が意図せず魔法を発動して落ち着きを取り戻した後の真由美のジョークを達也はさらりと流す。その上でこの場の全員に、壬生との会話を正確に再現した。
簡単に言えば、彼女は風紀委員が嫌いらしい。その理由は彼等の行動が点数稼ぎで強引に摘発していると言っている。
そして自分達は差別を受けていると主張した。魔法に関しては納得している。だがそれ以外での差別には我慢出来ない。魔法競技系のクラブに比べて、自分達が所属している非魔法競技系のクラブの待遇が悪いと。その為に、2科生でありながら風紀委員で頑張っている達也をスカウトした。勿論、彼の行動を確認した上で。
「どうも、風紀委員会の行動は生徒に反感を買っている面がある様ですね」
最後にそう締め括ると、摩利と真由美が顔を曇らせた。達也は彼女の言う様に強引な摘発など存在するのか疑問だった。それに深雪がモニターから見ている限りではむしろ寛容な方だと。摩利もそれに納得だった。彼女の思い込みだと。実際に彼女の言う点数稼ぎだが、そんなものは存在しない。正確には生徒会役員のように卒業後への影響は全く無いのである。校内ではあるのだが、それも多少だ。
「だけど、校内で高い権力を持っているのも事実。特に学校の現体制に不満を持っている生徒から見れば、風紀委員会は権力を笠に着た走狗に見られる事もあるの。正確には、そういう風に印象を操作している何者かがいるんだけどね……」
真由美の回答には、これまで黙って聞いていた総司も反応する。
「正体は分かってるんですか?」
「え?ううん、噂の出所なんて……そう簡単に特定出来るものじゃないから……」
「張本人を突き止められば、止めさせる事も出来るんだがな」
明らかに総司に質問されて、真由美は自分が口を滑らせた事に気付いた。明らかに彼女は動揺している。それは摩利も同様。そう思った達也が切り出した。
「例えば、『ブランシュ』のような組織ですか?」
彼女達の動揺が驚愕に変わった。
「何故、その名前を……」
「別に極秘情報という訳でも無いでしょう。それに先週捕獲した中に青と赤のラインで縁取られた白いリストバンドをつけていた生徒がいた筈です。自分の記憶が正しければ、あれはブランシュの下部組織『エガリテ』のシンボルマークです」
ブランシュの名前だけでなく、エガリテの名前を知っていた達也に真由美たちは驚きを通り越して呆れている。
「エガリテまで、本当に君は良く知っているな」
「こういうことは中途半端に隠しても悪い結果にしか繋がりません。いえ、会長を非難しているのでは無く、政府のやり方が拙劣だと言っているだけですが」
達也が言い訳の形で慰めを掛けても、真由美の表情は晴れなかった。彼女は自分を責める。自分だってこの政策には不満を抱いているのに。それを達也が優しくフォローする。
「学校は国立の組織です。自分達はまだ公務員ではありませんが、学校運営に関わる生徒会役員が国の方針に縛られるのは仕方のない事です。……会長の立場では、秘密にしておくのもやむを得ない事ですよ」
言ってる途中で恥ずかしくなり、目を逸らす達也。それに摩利がにんまりと唇を歪める。
「ほほぅ、達也君も中々優しいところがあるな」
「自分をなんだと思ってるんですか?」
「でも、会長を追い詰めたのも司波君なんですよね」
静かに聞いていたあずさかぼそっと呟く。摩利はすかさず追撃する。
「自分で追い込んで自分でフォローする。ジゴロの手口だな。真由美の気持ちも達也君に傾いてるだろう」
「ちょ、ちょっと摩利!変な事言わないで!」
「それで、本命の悠木はどう思っているのだ?」
急に総司に振る摩利。一同が総司を見ると既にこの会話に飽きたのか、話全体を聞いて呆れて何も言えないような表情をしていた。そして頭の後ろで手を組んでいる。自分が、呼ばれた事に一度確認する程、彼等の会話に参加する気が失せていた。
「俺?知らねぇよ。興味ないし。勝手にやってれば」
壬生の話、政府の話を聞いて両方とも頭が悪いとしか思わなかった総司は、この話を聞くだけ無駄だと判断したのだ。壬生の意見には頭を抱えてしまうし、政策については生徒如きが政府に意見できる訳が無いのに話し合いをする意味がないと。そのため、摩利の振りに反応するのも面倒くさいと思ったのだ。しかし彼の態度に摩利は怒りを募らせ、真由美は自分に全く興味が無いのではないかとやや落ち込む。
「興味無いって何だ。お前も関係してる話だろ」
「興味無いものは無いの。さっきから聞いてれば、意味わかんねーところで落ち込みやがって、馬鹿じゃねぇの?」
総司に言われてますます落ち込む真由美。深雪の時もそうだったが、総司の女への扱いの悪さには頭を抱える達也。
「それにさ、入学式の時から思ってたけどさ。あんた、良く反省してるけど、その言葉に全くと言っていい程、重みが感じられねぇんだよ。口だけ、その場凌ぎ、反省してる風なんだよ。反省の気持ちが全く伝わってこねぇ」
「総司君……」
「それに何で反省してんだよ。政府の政策に従ってるだけで何も悪い事してないだろ。もう自分が政府にでもなったつもりか?」
「お前、言い過ぎだぞ」
「良くそんなんで生徒会長になれたな。しかも全校生徒があんたを慕ってる、笑っちまうわ」
「貴様ッ!」
総司の暴言にとうとう摩利がキレて総司に飛びかかる。しかし総司はそれをいとも容易く避ける。そして彼女を無視して真由美へ話続ける。
「七草会長よ、こんなに慕ってくれる友がいるんだからさ、上っ面な言葉じゃ無くて、本気の発言をしろよ。あんたが出世すれば、不満がある今の政策だって変えられるんじゃ無いのか?今はまだ唯の学生だが、それを出来るだけの能力があるから生徒会長をやってるんだろ。それにあんたには十師族の名もある。本気で努力すれば自分が正しいと思う政策に変えられるんじゃ無いのか?それとも結局、口だけのお嬢様か?」
真由美はそこまで言われてやっと気付く。彼は自分を罵倒しているのでは無く(半分はしてるだろうけど)、自分が情けないと叱ってくれているのだと。思う事があるならそれを変えて見せろと。変える為に行動を起こせと。
真由美は諦めていた。こういうルールなのだからと。しかしそれを変えていけないと誰が決めた?現に自分の思う様に恋愛をしているのだ。本来はいけない2科生という魔法の才に秀でていない人に恋をしている。それは十師族としてはあり得ない。なら行くところまで行ってやる。自分の思った事は全て成し遂げる。ルールだろうがなんだろうが変えてみせる、そう決めた。
「貴様!それ以上私の友を馬鹿にするな!」
「待って!」
あと少しで摩利の拳が総司の頰を捉えるところで真由美が静止をかける。その声で摩利の拳は既の所で止まる。
「摩利、ありがとう」
「真由美!良いのか⁈こいつはお前を──」
「ううん、私が悪かったからいいの。彼は口は悪いけど無意味に人を傷つける事を言う人じゃ無いわ」
「しかし…」
そう言って真由美は総司の前まで歩き頭を下げる。酷い事を言った総司では無く、言われた真由美が頭を下げるというアベコベな状況に場は呆気に取られる。
「ごめんな──」
「止めて下さい」
しかしそれを総司が止める。先程までのタメ口では無く敬語に戻っていた。
「そう簡単に謝らないで下さい。悪いのはどう考えても俺なんで。それより七草会長がやらなきゃならないのは壬生先輩の事ですよ」
「壬生さんの?」
「話を聞く限り彼女は相当頭が逝ってるでしょう。それが誰かに作られたにせよ、自作にせよ、彼女はなんらかの行動をとる筈です。それをしっかり納めて下さい。行動で示すというのはそういう事です」
「そうね、達也君はどう思う?」
「……確かにその可能性はありますね」
「なら総司君、もしそうなったら必ず納めてみせるわ。それが私の反省の証よ」
「期待してます。その時はなんでも言う事を聞きますよ」
「約束よ」
真由美にそう言われて笑顔で返す。その状況に一同はコソコソと話す。
「完全にDVカップルのそれなんだが?」
「あれは大丈夫なんでしょうかね?」
「くそっ、真由美はあいつの何処を気に入ったんだ」
「いざとなったら私達で止めましょうね」
ご愛読ありがとうございました。
なんか主人公の印象がどんどん悪くなっていくよ。口悪すぎ。てか周りが聖人すぎる笑笑。
完全にDVですよね。キレた後に優しくするなんて。この世界(魔法社会)で慣れない環境でストレス溜まってるんだろうな
では次回もお楽しみに、またね。、