皆さん元気にしてますでしょうか?
前回の話がご都合主義と言われたのですがそれにはしっかりとした理由があります。まだ書いてないだけでちゃんとした理由が。
だから灰茨悠里さん、もしまだ興味を示してくれると嬉しいです。
では次回もどうぞ!
場に沈黙が走る。真由美達は聞いた事の無い単語にフリーズし、総司は今まで意識して言わなかった魔術という自分しか知らない単語を口に出して慌てていた。当然彼女は魔術について聞いてくる。
「総司君、魔術って何?」
「い、言い間違いですよ‼︎噛んじゃっただけです、ははは」
しかし苦しすぎる言い訳に誰も信じてくれない。もし他のミスなら適当に誤魔化していただろうが、重大過ぎる事で明らかに動揺している。ここまで動揺していると怪しくて仕方がない。真由美達も総司のこの慌てように唯の言い間違いでは無いと直ぐに分かった。総司はなんとかしてこの場を乗り切る嘘を考え様とするが、こんなに動揺していては思い浮かぶものも浮かばない。
時間は巻き戻らない。そして言い訳しようとも案が出ない。総司はこれまでかと堪忍する。どうせいつかはバレると思っていた。必ずボロを出す。総司は言い訳するのをやめた
「はぁー、俺の事は後で良いですか?今は壬生先輩の安全が第一ですので」
そう言って総司は壬生をお姫様抱っこすると真由美に119番に電話する様頼む。
数分で来た救急車に壬生を乗せるとスタッフが『誰か1人付き添いお願いします』と言った。生徒会長である自分が立候補すると真由美が立候補するが摩利が乗ると言い出した。
「真由美、お前は悠木からしっかり話を聞いた方が良い。壬生は私に任せろ。お前は悠木を頼む」
そう言って救急車と共に病院へ向かった。残された面子はゆっくりと総司を見る。総司も逃げられない事は分かっているので覚悟を決める。
「話しますよ、話せば良いんでしょ。でもこの場で話す内容じゃないです。七草会長、生徒会室で良いですか?」
「え、ええ」
総司が最初に歩き出して、真由美達が後を追う様に歩き出した。しかし生徒会室に着くまで会話は一切無かった。もし、状況が違っていたら。ふざけた場所での発言なら彼の言う事も信じたかも知れないが、あの様な緊迫した状況で彼は真顔で言った。魔法と似ている自分達の知らない単語を。しかもあの後の彼の慌てっぷり。確実にやらかした証拠だ。3人の頭には今、『魔術とは何か』それと『それを知っている悠木総司とは何者なのか?』それが脳を埋め尽くしていた。
生徒会室に着くと既に仕事を終えたのか、服部達は帰宅していた。そして普段、真由美が座ってる所に総司が座る。これは彼が主役だからと真由美が決めた。そして総司は深呼吸して気を落ち着かせる。彼からプレッシャーがひしひしと伝わって来る。それ程真剣なのだ。そして遂に硬く閉ざされていた口を開いた。
「みんなが聞きたいのは魔術について、そしてどうして俺が壬生先輩に掛けられていたのを解いたか、だと思う。だが、それを話す前に一言だけ約束して貰いたい。これから話すことは極秘だ。誰にも話すな。もしこの場の誰かがバラしたりしたら、連帯責任で全員殺す」
「「「⁉︎」」」
殺すと言って総司は殺気を放つ。達也は殺気を受けて咄嗟に深雪を守る。戦場に出た事がある達也だからこそ、瞬時に理解した。この男は本気だ。明らかにチンピラ等が口にする殺すとは重みが違う。一般人が出せる殺気では無い。確実に殺しを経験していると。だからこそ分かった。これは脅しでは無い。この男は友達である自分達であろうが容赦無く殺すのだと。
「もし約束を守る自信が無いなら今すぐこの場を立ち去ってくれ。もしここで立ち去っても、俺はそいつを約束も守れない奴と軽蔑したりしない。今まで通りに接する。そして俺について知ると言う事は危険が伴うと言う事も頭に入れて決断してくれ。ここで話を聞かずに立ち去るか、それとも真実を知るか」
総司からしたら、ここで帰って欲しかった。自分という存在を隠すのも限界がある。何処かで足がつく。その時、真っ先に狙われるのはまず自分の家族、次点で彼女達だ。自分を知ると言うことは即ち、危険に巻き込むと言う事だ。勿論さっきの言葉は嘘だ。いくらなんでも殺しはしない。無関係の者なら……そもそも話しもしないしな。彼女達が誰かにバラす様な人では無い事は何度も食を囲んで分かる。それなのに殺すと言って殺気を放ったのは彼女達を巻き込みたく無いからだ。自分の能力はいずれ世界にバレる。そしたら自分を嗅ぎまわる組織は絶対に現れる。しかも能力の強力さは計り知れない。この力を手に入れる為には手段を選ばないだろう。自分と深く関わると言う事はそいつらに狙われる可能性があるのだ。
しかし自由に生きる事を心情としている自分が、彼女達の自分について知りたいという自由を奪う事はしない。それは彼女達の勝手だ。それを邪魔する気は無い。だが安易に足を踏み入れてほしくはない。だからこその殺気。踏み入れるたら危険が付き纏うとの警告。
3人は各々考える。数分それぞれで考えて各々の決断を下す。
「わたしは、私は聞きません。そこまで言うのは自分の事をあまり私達に知って欲しく無いでしょう理由がお有りなのでしょう」
最初に口を開いたのは深雪だった。
「貴方が真剣に殺すと口にしたのは、それなりの事情があるのでしょう?なら私は無闇に踏み込みません。それに申し訳ありませんが、まだ知り合って間もない私に命を賭けてまで聞かなければいけない理由は私にはありません。ですので私は断らせていただきます」
深雪はハッキリ言い切った。対して親しくも無い自分が聞く義理は無いと。少し口が悪いと思われるが、これは総司が深雪に言った事だ。断る時はハッキリ言えと。総司も彼女の口に文句を言う気は無い。逆に場の雰囲気で流されて安易に聞こうとしない彼女に感謝したいくらいだ。
「深雪、勇気あるトップバッターでの回答、感謝する。これからも仲良くしてくれ」
「はい。それでは私は先に出ていますね。お兄様、お先に失礼します」
「待て、俺も断らせてもらう」
深雪が部屋かれ出る前に、達也に一言掛けると、達也も深雪に続いて総司の話を断った。
「俺と深雪は兄妹だ。俺だけ知る事は出来ない」
「総司さん、大丈夫です。お兄様は約束を破る方ではありませんし、私も聞いたりなどしません」
自分が断ったから達也も断ったのだと深雪は思った。表情から分かりにくいが達也は総司の事をかなり良く思っている。家で良く総司の名前を出すのがその良い証拠だ。だからこそ、深雪は聞くのかと思った。だからこそ達也を置いて出て行こうとしたのだ。
その深雪の考えは大体当たっていた。達也だって気にならない訳では無い。だが、それでも彼の最優先事項は深雪なのだ。
「確かに興味はあった。ほのかの展開式を消滅させたお前の秘密。だが、この件で何かあったら俺だけでなく深雪まで抹殺対処になるだろう。それは出来ない。深雪を危険に晒してまで聞く事はな」
「お兄様……」
「1つ言いたい事がある。お前、俺達はもう友でいられないと思ってないか?」
「……どうしてだ?」
「秘密を抱える。しかも知るなら命を賭けろ、そんなの普通じゃない。今まで通りと言ったがもう戻れないと」
「当たり前だ。俺はいつも通り接しても必ず壁を感じる関係になる。いつも通りでいられる筈がないだろう」
「それは違うな」
総司の言葉を達也は一蹴する。
「人は大なり小なり秘密を抱えているものだ。俺だってそうだ。だからって友達で無くなるなんて事はない。それにお前は隠そうとしていたのだろ。それを無理に聞く気なんてない。それにな、例え俺達の間に秘密があろうが友である事には変わりない。お前は俺の初めての友達なんだ。だからもしその秘密で困った事になったら相談くらいには乗るぞ」
達也はそう言い残し、深雪と共に部屋を出た。流石の総司も惚れそうになる。深雪がさす兄と言うのも分かった気がした。イケメンで強い、性格良し。惚れない要素が見当たらない。もし自分が女だとしたらこういう男に惚れるだろうと思上手く程だ。そして2人が去り、最後に残ったのは真由美であった。
「七草会長はどうするんです?本当に知らなくて良い事ですよ」
特に貴方には、という言葉は伏せた。そう言われたら気になってしまうからだ。もし聞いたのが彼女だけなら、もしかしたら真実を知りたがっただろう。しかし達也や深雪が断った今なら彼女も断ってくれるかも知れない。真実を知ると言うことは、彼女にとって失恋すると同義だからだ。
「私は……」
彼女も迷う。仮に真実を聞いてもそれを誰かに自分からバラさない自信はある。しかしそこに自分の意志が無かったら?自白させる魔法を使用されたら逃れる術は無い。そしたら彼の情報が漏れ、結果的に自分は彼に、最愛の人に殺される。自分はそれに耐えられるのか?このまま何も知らない方が幸せではないのか?彼女は悩みに悩んだ末に出した答えは……
壬生紗耶香は目を覚ますと、そこには知らない天井があった。自分がベットに横になってるのは直ぐ気付いた。そして顔を右に向けると、ナースコールのボタンがある。どうやら自分は病院のベットで寝ていた事が分かった。しかし何故自分が病院にいるのか理解しかねる。
「私は、なんでここに?確か、カフェで悠木君と話があって、それで」
記憶にあるのはサインを強請られたぐらいまで。カフェの中に入った後の記憶があやふやだった。いくら思い出そうとしても思い出せない。
「お、起きたか。大丈夫か?壬生」
「……渡辺先輩」
するとドアを開けて摩利が病室へ入ってきた。彼女の登場に壬生は表情を濁す。尚更状況が理解出来ない。何故、彼女が自分と一緒にいるのか。自分と彼女に接点こそあるが、自分に時間を割く程の間柄では無い。
「壬生、意識はハッキリしているか?」
「はい……」
「記憶は?」
「記憶、ですか?それが悠木君、1年の悠木総司君とカフェに入ったんですがそこからの記憶が」
「ふむ、記憶が混濁しているか。魔法の影響か?」
「……あの、何で渡辺先輩がここに?そして私は何で病院で寝てたんですか?それと魔法って?」
壬生からしたら当然の質問だ。記憶が途絶えて気が付いたら病室のベットで寝ていたのだ。しかも彼女が魔法と口にした。自分の身に何があったのか気になるのは当然だろう。
「壬生、お前は魔法を受けていたんだ」
「ええ⁈」
これには衝撃が走る。知らず知らずのうちに魔法を掛けられていたなんて誰が想像出来ようか。
「詳しくは分からないが、恐らく催眠効果を持つ魔法だろう。お前は利用されていた可能性が高い」
「利用って、誰にですか?」
「そこはまだ分かっていない。すまない」
「い、いえ。ありがとうございます」
壬生としてもまだ信じられない。催眠系の魔法を受けて利用されていたなんて。自分の行動がどこまでが自分の意思で、どこからが操られていたのか。体が震える。しかしある事に気付く。
「どうして渡辺先輩が気付けたんですか?。私に魔法が掛けられていたなんて。催眠系の魔法ってしっかり調べたりしないと分からないものなんじゃないんですか?」
「ん?ああ、違う。気付いたのは私じゃない。悠木だ」
「え?悠木君が?」
「そうだ。詳しくは聞いてないが分からないがな。実はお前達の事を尾行していたんだ」
「何の為にですか?」
「それはだな、真由美が、そのぉ、悠木に対してだな」
摩利としては隠しておきたいのだが、それだと尾行している理由を説明出来ない。非常に困ったことになった。
「悠木君と会長が何かあったんですか?」
「ああ!もう、焦ったい!いいか、真由美は悠木の事が好きなんだ。それでお前達がデートしていたのを気になって着いてった訳だ」
上手く嘘が思い浮かばず、ぶっちゃけた摩利。いきなりの会長の恋事情に壬生はまだ追いついていない。
「そして何を思ったのか、悠木がお前の頭に手を置くと急にお前が気絶したのだ。奴が言うには魔法が掛けられていて、それを解いたという。どうやってかは知らんがな。私は病院まで同行しただけだ。だから礼を言うなら私じゃなくて奴に言え」
後は看護師に任せると言って摩利は去っていった。壬生は既に彼女の事よりも総司が自分に何をしたのかで頭がいっぱいだった。
ご愛読ありがとうございます。
達也と深雪は聞きませんでした。まぁ達也も秘密あるんでね。真由美は真実を知るのか?しないのか。
そして壬生と渡辺。この2人の誤解が解けるのはもう少し先になります。そして入学編ラストまで原作と大きくかけ離れます。それでも言い方はご贔屓お願いします。
では次回もお楽しみに。またね