さて今回から原作開始です!どうぞ!
「それじゃ行ってきまーす」
今日は大事な入学式。いくら総司でもそれは変わりない。義務教育を終えて後の学校と言うのはそれまでとは何もかもが違う。全てはここから始まるのだ。1億円がかかった依頼が!
(そうだよな。もし期待通りの任務をこなせなくて1億円はなしとか言われたらこの学校に入った意味もないしな)
家を出ると改めて制服を見直す。中学までの地味な制服とは打って変わってかなりお洒落だと思う。…センスがないだけかも知れないが。そして、一つだけ気になった点があった。
(気になるのはこの肩のところにある黒いの。まるで本来はここに何かある様なデザイン。ミス、では無いと思うが)
実際は入学説明会でしっかり明記されて説明されているのだが、この総司ときたら待ってる時間が勿体ないと思い瞑想して精神統一をしていたのだ。周りからどう思われていたかは言うまでもあるまい。
学校の近くまで来るとチラホラ同じ制服を着ている者達が見えてきた。既に仲の良いグループが出来上がっている事に少し羨ましく思う。だがそんな事思っている時、疑問に気がつく。横を通る人が皆、こちらを数秒みると小馬鹿にした態度で笑ってくる。総司は咄嗟に何処かに米粒でもついているか、チャックは閉まっているかなど確認したが何処も変なところはない。服装では無いとしたら顔なのでどうでも良いと思い無視する事にする。
魔法師の家系は自分達の子供で優秀な子供が産まれるために遺伝子改造を行う事が多い。その副産物としてでみんな美男美女だ。しかし総司は魔法師の家系ではないので普通の顔である。いや、世間一般では中の上くらい、もしくは上の下くらいは顔が整っているがこの学校に来る者はどいつもこいつも上の上。そんな者達に囲まれれば、たちまち不細工の仲間入りである。
(遺伝子改造して作られた顔の何処が良いんだか。別にお前らがやった訳じゃないけどさ。小さい頃にそれを聞いてから人を顔で判断する事が出来なくなったんだよな)
「納得出来ません!」
後頭部で頭を組みながらのんびり歩いていると声が聞こえた。女性の声だ。なんとなく暇なので声のする方に向かうと一組の男女ペアが言い争っていた。目つきがキリッとした黒髪の中肉中背の男と胸辺りまで伸びた綺麗な髪の毛に見合う様な100人中100が美少女と言う顔を持った女がいた。総司は入学初日から嫌なものを見てしまったと後悔する。
「えぇ、入学早々カップルの破局かよ。今日は一応おめでたい日だぜ、もう少し考えろよ」
流石に呆れてしまう。なんて日に問題を起こしているのだと。流石に見てしまった以上そのまま立ち去るのも後味が悪いので2人の仲を取り持つ事にした。
「だって──」
「はいそこまで。喧嘩は良くないよ」
総司は2人の間に割って入った。2人は急に現れた総司に困惑している。そしてお互いに目配せする。
(深雪、知ってる人か?)
(いえ、初対面ですお兄様)
「あのさ、何があったか知らないけど2人とも止めようよ。今日はめでたい日なんだよ」
「あの、どちらか知りませんけど私はだからこそ怒っているのです」
「はぁ?なんで入学式だから怒る必要があるんだよ。少なくとも痴話喧嘩をする日とは思えないな」
「ち、痴話///……えへへ」
痴話喧嘩と言うと彼女の方は痴話喧嘩と言われて嬉しかったのか頬を染めて身体をくねらせた。どうやら彼女に別れ様とする気はない様で安心する。痴話喧嘩と聞いて喜ぶと言う事はしっかり愛しているのだと。すると男が誤解だと訂正してきた。一体今ので何の誤解があったのか。次の言葉を想像する事は出来なかった。
「勘違いをさせて済まないが俺達は兄妹だ」
「………なんだって?」
聞き返してしまった自分を責める事は出来ないだろう。誰が痴話喧嘩と言われて喜ぶ妹がいると思えるだろうか。いるならば悪いがその人の頭は彼女と同レベルである。
「俺達は兄妹だ」
「それは聞いた。俺が聞き返したのはお前達が兄妹だと言う事が信じられなかっただけだ」
「そんなに俺達が恋人に見えたのか」
「ああ」(って言うか兄妹って発想がまずなかったわ)
「そんな、お似合いのカップルだなんて///」
「黙ってろ変態」
「へ⁈」
いつまでも自分の世界を作り都合の良い部分だけ都合の良い解釈をする彼女に変態の2文字を突き付ける。彼女の見た目がどうか知らないが今の彼女を表す一言はこれ以外思い浮かばなかった。兄にゾッコンな妹。いつか彼女が兄を襲わないか想像すると背筋がゾッとする。変態と言われた彼女は訂正を求めてくるが総司それを無視して男と話す。
「本当に兄妹なのか」
「そうだ」
「ならなんで妹さんは兄とカップルに間違われてこんなにも嬉しがっているんだ?」
「分からないが恐らく……」
彼は少し考えると彼女を見つめる。それ見て彼女も見つめ返す。今度は2人だけの空間が出来上がった。それを見て総司は確信する。
(あ、これ妹が変態なんじゃない。兄妹揃ってブラコンシスコンの変態なんだ)
なんか痴話喧嘩で割り込んだ自分がとんでもなくアホらしく感じる。ここにいる事自体場違いと思えてきた。兄妹なのにカップルを見ているみたいで嫌になる。数秒見つめ合った2人は男が微笑む事で終止符が打たれた。
「それは妹がこんな俺でも慕ってくれているからだろうな」
「そ、そうか」
3人は、ここで出会ったのもなんかの縁だと思い軽く自己紹介をする。
「私は司波深雪、一年生です」
「俺は司波達也、同じく一年だ」
「俺は悠木総司、一年だ。そうか、お前ら同じ一年なのか。てことはお前達二卵性双生児なのか?」
「いや、そう言う訳じゃないんだ。俺が4月に生まれて深雪が3月産まれ。良く間違われるんだよな」
「へぇ、そうなんだ」
まさかの入学早々話し相手が見つかった事に少し浮かれている総司。思い切って先程まで喧嘩していた原因を尋ねる。
「なぁ、さっきまでなんで2人は争っていたんだ?」
「そうでした!悠木さんは正当に評価されない事をどう思いますか?」
「え、えーと」
総司は痛いところを突かれた。確かに評価は正当である方が良い。しかしそれを言うと自分自身がここにいる時点で正当ではない。お前が言うなという話ではあるが現実はそんなものだ。だからこれに対して答えるのではなく、何故その様な事を考えているのかを問う事にした。
「なんでそう思うんだ?」
「兄が正当な評価を受けてないからです」
「え?どうしてそんな事が分かるんだ?」
「そ、それは……」
どうやら彼女は不正に入試結果を入手した様だ。ここで少し安心する。1番危惧していた事は避けられたみたいだからだ。
(良かった。試験結果は張り出されている訳じゃないんだな。ヒヤヒヤしたぜ。それにしても深雪は凄えな。不正に手に入れたって事へ相当の家系のお嬢様か、親族だな。可能性としてはじーさんみたいな十師族と呼ばれる家系か)
しかし総司には関係ない。この兄弟がどんな家系だろうとそんなものどうでも良い。それより彼女の態度から察するに自分の成績を見ていないと断言できるから。
「この学校は可笑しいです」
(そもそもこの世界が可笑しい)
「お兄様もお兄様です。勉学も体術もお兄様に勝てる者などいないというのに!」
「それは違うな」
深雪の言葉に反応する。彼女が間違っている事を言ったからだ。深雪は兄の事だからか少し興奮している為、強めに総司に理由を要求してくる。
「なんでですか⁉︎」
「そりゃそうだろ。勉学は見たお前が言ってるんだからそうかも知れないが体術は違うだろ。この学校の入試科目に体術は無かった。つまりお前は兄以外の新入生の体術が分かる筈が無い。だから達也が誰にも負けないと言うのは断言出来る筈が無い。いくら兄を慕っているからと言って真実が見えないのは感心しないぜ」
「いえ、見なくても分かります。いつも見ている私だから分かります。誰もお兄様に勝てません」
「………あっそ」
ここで総司の深雪への評価は最低近くまで落ちた。他人を勝手に見下して本当の力を理解しない者程愚かなものはない。自信を持つ事は良い事だが、何も知らないのに知った風な口を叩く輩はさっさと痛い目にあった方が良いと思う。
総司の深雪への態度が変わった事を達也は気付いていた。彼女のことばを否定されるのは良い気分では無いが今回ばかりは彼女が悪いと思う達也。
(深雪への態度が急に冷めた。さっきの言葉で評価はかなり落ちたんだろうな。確かにお前の言う通りだ総司。制服の上からでも俺は分かる。鍛え上げられた肉体。内に秘める闘気。実際に戦った事ないから分からないが魔法無しだと恐らくお前の方が上だろうな)
総司の事を静かに観察する達也。そしてそれは総司も同じだった。
(
ご愛読ありがとうございました。
【悲報】総司から深雪への評価が最低となる。深雪さん。見てもないのに決めつけるのは良くないですよ。入学早々ボッチになる可能性が下がった総司。でもやらかしてボッチになる可能性はあるから安心しない様に。それにさ、フィクションだからあるけど現実にこんなに仲の良い兄妹や。妹兄っているのかな?姉がいるけど想像できない。
そして次回は七草生徒会長のご登場です。因みに作者の2番目に好きなキャラです。一位?それは勿論エリカでしょ。
では次回もお楽しみに!またね